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はじめての秋
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収穫祭の前日の夜。
その日も雨が降っていて、地面が濡れていた。
これで明日火が起こせるかなーと心配しながら広場にかご車でバタタールの山を運ぶ。
もうみんな準備は整っているようで、あたりは街灯だけで薄暗く、気をつけなければ転びそうだった。
「あいつなんかやめて俺にしとけよ」
そんな中、そんな言葉が耳に入ってくる。
こんなところでよくやるねーと出歯亀にならないようにこそこそとバタタール置き場にそれを置けば、思いの外声の主は近くにいたらしく人影が見えた。
人影は二つで、片方は背の高い男の方。こいつがさっきのセリフを吐いたのだろう。
もうひとりはたたまれたテントが邪魔になって見えないけど、恐らく女の子なんだろう。
「あんなやつなんて、言わないでよ!」
その声には聞き覚えが合って。
聞き覚えどころか、とてもとても愛しい、オードちゃんの声で。
「あいつは町の外の人間だぞ? それに比べて俺は町長の息子だ。絶対にここからはいなくならない。いついなくなるかわからないあいつなんてやめて、俺にしとけばいいだろ?」
これは一体なんだろうか。
おかしい、何かがおかしかった。
この台詞には見覚えがある。
そう、これはメインヒロインとある程度仲良くなった時に発生するライバルイベントで……。
はっと気づく。
僕は、この世界では主人公。
ということは、今のメインヒロインはオードちゃんなんだ。
だから、今このイベントが起きてるんだ。
あのイベント、どうやって切り抜けるんだっけ。
主人公は、みてるだけで終わるんだっけ。
見てるだけで終わる? ふざけるな、そんなこと、出来るわけないじゃないか!
「オードちゃん!」
「ノルズくん!?」
ここで出ていってなにが出来るっていうんだろう。
なにが言えるっていうんだろう。
それでも出ていかなければと思った。だから、出てきたんだ。
それで、他の男に抱きしめられている恋人を見て平静でいられるかって?
そんなの、無理に決まってる。
「ノ、ノルズくん聞いて。今のは――いたっ」
オードちゃんの腕を無理やり引っ張って、ノースのやつから引き離す。
それから一発、ノースの右頬を思い切り殴ろうとして、オードちゃんから止められた。
「違うの、聞いて。今のは、違うの……」
そういって僕の腕に縋ってなくオードちゃん。
そんな彼女を見て、振り上げた右腕を力なくダラりと下ろす。
「何だよ、殴んねーのか? 自分の女が他の男に抱きしめられてたってのに、お前は意気地なしだな」
ノースがそう煽ってくるをギリリッと奥歯を噛み締めて耐えて、そのままオードちゃんの腕に触れる。
「気にしてないから」
「っ!」
「もう準備は終わったの?」
「うん」
「じゃあ、帰ろう? 酒場まで送ってくよ」
「でも……」
「送らせて」
「……うん」
そうして手をつないで、いつもみたいに酒場に向かって。
でも最後にノースに、すれ違いざまに一言だけ。
「オードちゃんは奪わせない」
「――っ!」
それに面食らったのか、ノースはその場で立ち尽くして。
僕らは二人で、酒場までの道程を歩いていく。
その日も雨が降っていて、地面が濡れていた。
これで明日火が起こせるかなーと心配しながら広場にかご車でバタタールの山を運ぶ。
もうみんな準備は整っているようで、あたりは街灯だけで薄暗く、気をつけなければ転びそうだった。
「あいつなんかやめて俺にしとけよ」
そんな中、そんな言葉が耳に入ってくる。
こんなところでよくやるねーと出歯亀にならないようにこそこそとバタタール置き場にそれを置けば、思いの外声の主は近くにいたらしく人影が見えた。
人影は二つで、片方は背の高い男の方。こいつがさっきのセリフを吐いたのだろう。
もうひとりはたたまれたテントが邪魔になって見えないけど、恐らく女の子なんだろう。
「あんなやつなんて、言わないでよ!」
その声には聞き覚えが合って。
聞き覚えどころか、とてもとても愛しい、オードちゃんの声で。
「あいつは町の外の人間だぞ? それに比べて俺は町長の息子だ。絶対にここからはいなくならない。いついなくなるかわからないあいつなんてやめて、俺にしとけばいいだろ?」
これは一体なんだろうか。
おかしい、何かがおかしかった。
この台詞には見覚えがある。
そう、これはメインヒロインとある程度仲良くなった時に発生するライバルイベントで……。
はっと気づく。
僕は、この世界では主人公。
ということは、今のメインヒロインはオードちゃんなんだ。
だから、今このイベントが起きてるんだ。
あのイベント、どうやって切り抜けるんだっけ。
主人公は、みてるだけで終わるんだっけ。
見てるだけで終わる? ふざけるな、そんなこと、出来るわけないじゃないか!
「オードちゃん!」
「ノルズくん!?」
ここで出ていってなにが出来るっていうんだろう。
なにが言えるっていうんだろう。
それでも出ていかなければと思った。だから、出てきたんだ。
それで、他の男に抱きしめられている恋人を見て平静でいられるかって?
そんなの、無理に決まってる。
「ノ、ノルズくん聞いて。今のは――いたっ」
オードちゃんの腕を無理やり引っ張って、ノースのやつから引き離す。
それから一発、ノースの右頬を思い切り殴ろうとして、オードちゃんから止められた。
「違うの、聞いて。今のは、違うの……」
そういって僕の腕に縋ってなくオードちゃん。
そんな彼女を見て、振り上げた右腕を力なくダラりと下ろす。
「何だよ、殴んねーのか? 自分の女が他の男に抱きしめられてたってのに、お前は意気地なしだな」
ノースがそう煽ってくるをギリリッと奥歯を噛み締めて耐えて、そのままオードちゃんの腕に触れる。
「気にしてないから」
「っ!」
「もう準備は終わったの?」
「うん」
「じゃあ、帰ろう? 酒場まで送ってくよ」
「でも……」
「送らせて」
「……うん」
そうして手をつないで、いつもみたいに酒場に向かって。
でも最後にノースに、すれ違いざまに一言だけ。
「オードちゃんは奪わせない」
「――っ!」
それに面食らったのか、ノースはその場で立ち尽くして。
僕らは二人で、酒場までの道程を歩いていく。
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