78 / 80
はじまる冬
78
しおりを挟む
夜近くになってごぉごぉという音が次第にやんで、辺りが静かになる。
夕食を共にして居た僕達もそれに気づいて、大雪が終りを迎えたのだと二人で悟った。
「大雪、終わったみたいだね。ちょっと外を見てみるよ」
「気をつけてね?」
「うん、玄関から覗くだけだから」
そう言って玄関ドアに近づいて、外へと開け放つ。
そうすると辺りはすごい雪が積もっているのに、空には星が見えた。
「大雪、やんだみたい。ちょっと厩舎まで雪かきしつつ様子を見てくるよ。オードちゃんはそのまま寝ちゃってもいいから」
「え、でもそんなの大変だよ」
「大丈夫、これでも慣れてますから。それより、オードちゃんが心配高r遅くなったら寝ちゃってて」
そういうと外に出て、厩舎までの道を雪かきしつつ先に進んでいく。
いつもなら胡粉もかからない場所に一時間以上かけて辿り着いて皆の様子を見れば、特に変わったところはないようだった。
ついでにと思ってブラシ掛けや搾乳を行って、そのまま出荷箱へ。
この作業はもうなれたもので、三十分もかからなかった。
雪かきした道を戻りつつ、その後は家から鶏小屋までの雪かきをしつつ鶏小屋へと向かう。
こちらはそんなに距離が離れていないので三十分ほどで終わって、鶏たちの様子が見れた。
もうすやすやと眠っていて、卵を回収して餌を入れるだけにして外に出る。
その頃にはすっかり僕の身体も冷えていて、急いで家へと戻った。
「おかえり」
「オードちゃん、寝てていいって言ったのに」
「頑張ってる人がいるのに、眠れないよ」
寝間着に着替えたオードちゃんがコートを脱いだ僕の身体を毛布で包んでくれて、暖炉の前に座らせてくれる。
「どうだった? みんな、大丈夫そう?」
「うん。雪かきもしてきたし、明日は朝から動けそうだよ。あ、でも明日オードちゃんが帰る時が大変そうだね」
「そこは町の除雪機が出るから大丈夫だと思うよ。でも、山には流石にしばらく行けないかな」
「そっか。じゃあしばらく朝のデートは中止かな」
そう言って笑い合って、なんとなくそう言う気分になって、そのまま一度キスをする。
「……明日には終わっちゃうんだね」
「なにが?」
「この二人っきりの生活が」
「……生活って言っても、僕寝てばっかりだったけど」
「それでも幸せな時間だったよ」
「……僕も」
一生この生活が続けばいいと、そう思えるくらいには幸せで。
まあ地獄も味わったけれども、それを含めて幸せだった。
「そうだ。せっかく温まってるのにあれだけど、ちょっと外に出てみない? 星がすごく綺麗だったんだ」
「台風一過ならぬ大雪一過だからね。ちょっとまって、コート着るね」
そうして二人で外に出て、星の鑑賞をする。
「どれが何座なのかわからないけど、すごく綺麗」
「多分空気が澄んでるせいだね。あ、北斗七星くらいはわかるよ、あれだ!」
「じゃあ私もオリオン座くらいはわかるよ。あれ!」
そうしてふたりで指差し合って笑い合って。
ほんの少しの時間をそうして星空鑑賞にあてて、すぐに家の中に戻る。
「うー、さむさむ!」
「寒かったねー! でもすごく綺麗だった!」
「うん、見れてよかった」
コートを掛けて暖炉の前でふたりで身を寄せ合ってそんな会話をして。
「じゃ、寝よっか」
「うん」
そう言い出したのは僕の方で、寝間着に着替える。
オードちゃんは昨日してたみたいに紙をちょこんと二つ結びにして、ベッドの上で待っている。
……待っている。
「あの……今日も?」
「今日こそ、だよ。抱き合って眠りたい」
「……それは中々難易度が」
「だめ?」
「僕、自信ないよ?」
「どうしてもだめ?」
「……わかった、いいよ。頑張るよ」
「何を頑張るのかわかんないけど、ファイト!」
応援するくらいなら別々に寝かせて欲しいとは言えず。
ベッドに言って、二人で横になって。
真正面から抱きしめ合って、鎖骨のあたりにこつんとオードちゃんの顔が来る。
なかなかこれは……辛い!
「も、もうちょっと離れて……」
「だーめ。寒いから、暖まらないと」
「……オードちゃんって実はわかってしてる?」
「え? なにを?」
「……なんでもないです」
これは本気でわかってないと悟って、何かもう悟りがひらけた気分だった。
この子にこの手のことで意識してくれと期待するのは多分無駄であるのだ、おそらく。エッチなことはしないって昨日約束したし。
変な気分にならないように気持ち下半身を離して、そのままオードちゃんにキスをする。
「へへ、おやすみのキスだ」
「うん、おやすみのキス」
「じゃ、私からも」
「うん」
そう言って軽くキスをされて、そのまま目を瞑る。
不思議と今日はこのまま眠れそうだな、なんて思った。
今日は何かがすごく満たされていて、そういう気分にはならないのだ。
「おやすみ」
「うん、おやすみ」
そう言い合って、目を瞑る。
その日僕の見た夢は、すごくいい夢だった。
夕食を共にして居た僕達もそれに気づいて、大雪が終りを迎えたのだと二人で悟った。
「大雪、終わったみたいだね。ちょっと外を見てみるよ」
「気をつけてね?」
「うん、玄関から覗くだけだから」
そう言って玄関ドアに近づいて、外へと開け放つ。
そうすると辺りはすごい雪が積もっているのに、空には星が見えた。
「大雪、やんだみたい。ちょっと厩舎まで雪かきしつつ様子を見てくるよ。オードちゃんはそのまま寝ちゃってもいいから」
「え、でもそんなの大変だよ」
「大丈夫、これでも慣れてますから。それより、オードちゃんが心配高r遅くなったら寝ちゃってて」
そういうと外に出て、厩舎までの道を雪かきしつつ先に進んでいく。
いつもなら胡粉もかからない場所に一時間以上かけて辿り着いて皆の様子を見れば、特に変わったところはないようだった。
ついでにと思ってブラシ掛けや搾乳を行って、そのまま出荷箱へ。
この作業はもうなれたもので、三十分もかからなかった。
雪かきした道を戻りつつ、その後は家から鶏小屋までの雪かきをしつつ鶏小屋へと向かう。
こちらはそんなに距離が離れていないので三十分ほどで終わって、鶏たちの様子が見れた。
もうすやすやと眠っていて、卵を回収して餌を入れるだけにして外に出る。
その頃にはすっかり僕の身体も冷えていて、急いで家へと戻った。
「おかえり」
「オードちゃん、寝てていいって言ったのに」
「頑張ってる人がいるのに、眠れないよ」
寝間着に着替えたオードちゃんがコートを脱いだ僕の身体を毛布で包んでくれて、暖炉の前に座らせてくれる。
「どうだった? みんな、大丈夫そう?」
「うん。雪かきもしてきたし、明日は朝から動けそうだよ。あ、でも明日オードちゃんが帰る時が大変そうだね」
「そこは町の除雪機が出るから大丈夫だと思うよ。でも、山には流石にしばらく行けないかな」
「そっか。じゃあしばらく朝のデートは中止かな」
そう言って笑い合って、なんとなくそう言う気分になって、そのまま一度キスをする。
「……明日には終わっちゃうんだね」
「なにが?」
「この二人っきりの生活が」
「……生活って言っても、僕寝てばっかりだったけど」
「それでも幸せな時間だったよ」
「……僕も」
一生この生活が続けばいいと、そう思えるくらいには幸せで。
まあ地獄も味わったけれども、それを含めて幸せだった。
「そうだ。せっかく温まってるのにあれだけど、ちょっと外に出てみない? 星がすごく綺麗だったんだ」
「台風一過ならぬ大雪一過だからね。ちょっとまって、コート着るね」
そうして二人で外に出て、星の鑑賞をする。
「どれが何座なのかわからないけど、すごく綺麗」
「多分空気が澄んでるせいだね。あ、北斗七星くらいはわかるよ、あれだ!」
「じゃあ私もオリオン座くらいはわかるよ。あれ!」
そうしてふたりで指差し合って笑い合って。
ほんの少しの時間をそうして星空鑑賞にあてて、すぐに家の中に戻る。
「うー、さむさむ!」
「寒かったねー! でもすごく綺麗だった!」
「うん、見れてよかった」
コートを掛けて暖炉の前でふたりで身を寄せ合ってそんな会話をして。
「じゃ、寝よっか」
「うん」
そう言い出したのは僕の方で、寝間着に着替える。
オードちゃんは昨日してたみたいに紙をちょこんと二つ結びにして、ベッドの上で待っている。
……待っている。
「あの……今日も?」
「今日こそ、だよ。抱き合って眠りたい」
「……それは中々難易度が」
「だめ?」
「僕、自信ないよ?」
「どうしてもだめ?」
「……わかった、いいよ。頑張るよ」
「何を頑張るのかわかんないけど、ファイト!」
応援するくらいなら別々に寝かせて欲しいとは言えず。
ベッドに言って、二人で横になって。
真正面から抱きしめ合って、鎖骨のあたりにこつんとオードちゃんの顔が来る。
なかなかこれは……辛い!
「も、もうちょっと離れて……」
「だーめ。寒いから、暖まらないと」
「……オードちゃんって実はわかってしてる?」
「え? なにを?」
「……なんでもないです」
これは本気でわかってないと悟って、何かもう悟りがひらけた気分だった。
この子にこの手のことで意識してくれと期待するのは多分無駄であるのだ、おそらく。エッチなことはしないって昨日約束したし。
変な気分にならないように気持ち下半身を離して、そのままオードちゃんにキスをする。
「へへ、おやすみのキスだ」
「うん、おやすみのキス」
「じゃ、私からも」
「うん」
そう言って軽くキスをされて、そのまま目を瞑る。
不思議と今日はこのまま眠れそうだな、なんて思った。
今日は何かがすごく満たされていて、そういう気分にはならないのだ。
「おやすみ」
「うん、おやすみ」
そう言い合って、目を瞑る。
その日僕の見た夢は、すごくいい夢だった。
0
あなたにおすすめの小説
二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました
小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」
二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。
第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。
それから二十年。
第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。
なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。
不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。
これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。
※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
王女殿下のモラトリアム
あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」
突然、怒鳴られたの。
見知らぬ男子生徒から。
それが余りにも突然で反応できなかったの。
この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの?
わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。
先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。
お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって!
婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪
お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。
え? 違うの?
ライバルって縦ロールなの?
世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。
わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら?
この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。
※設定はゆるんゆるん
※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。
※明るいラブコメが書きたくて。
※シャティエル王国シリーズ3作目!
※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。
上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。
※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅!
※小説家になろうにも投稿しました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる