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1、戦国時代へ
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敏之と出会ってから、早くも数ヶ月が経っていた。
お決まりの場所となった小屋へ向かっている。
最初は何もかもに戸惑っていた俺も、最近は畑仕事にもそれなりに慣れてきた。
何より――堆肥が導入されたのがでかい。
なんと、斎賀のお殿様の命で「堆肥を作るように」とお達しがあったのだ。
おかげで畑は前よりずっと扱いやすくなったし、臭いもだいぶマシ。
もう息を止めながら撒かなくてもいい!
ありがとう、お殿様!神様!
……とはいえ、実際は若様が発案してくれたらしい。
顔も見たことのない斎賀の若様に、真人はありがたやと頭を下げて、小屋へ向かって歩いていた。
今日は子供の面倒を見る約束がある。
前にちょっと遊んでやったら、すっかり懐かれてしまった。
というのも、井戸を覗き込もうとした子を慌てて抱き上げて止めたことがあるのだ。
親も「ありがとう! ありがとう!」と感謝してきて、真人もペコペコ頭を下げるしかなかった。
以来、ちょくちょく面倒を見るようになっていた。
今回は収穫したものを売りに行くらしい。
つい先日、斎賀のお殿様が戦で勝利したとのことで、城下町は人でにぎわっているという。
絶好の稼ぎ時、というわけだ。
ぶらぶらと小屋に着くと、敏之は既に来ていた。
だが、その隣には見知らぬ男が立っている。
少し離れたところで足を止めると、音で気づいたのか二人が振り返った。
「真人、こっちこっち」
敏之が手を振る。
男はちらりとこちらを見た。
真人は会釈し、挨拶をする。
「こんにちは」
「この人は父上に仕えている者だよ。今日、子供たちの面倒をみるって言ってたろ? だから、この人に任せようと思って」
「いやいや、初対面の人に子供を任せられるかって!」
敏之はどこかお坊ちゃん感が滲み出している。
「心配いらない。彼は私の守役なんだ」
男は一歩進み出て、恭しく頭を下げた。
「敏之様の守役、高野政成と申す」
「政成は信用できるよ。小さい頃から一緒だし、子供にも慣れてるから」
「いや、でもさ……」
「ほら、行こう行こう」
敏之は俺の言葉を聞き流し、ずんずんと村の方へ歩き出す。
腕を引かれ、俺はズルズルと連行される羽目になった。
村に戻ると、お婆ちゃんが顔を出した。
「おや真人や、帰ってきたのかい。賑やかだねえ」
「お、お婆ちゃん。この前話していた敏之なんだけど…」
「初めまして」
敏之はぺこりと礼をした。
「真人を私の家まで連れて行きたくて。その間、子供たちは政成に任せようと思うのです」
お婆ちゃんは二人を見て、にこりと微笑む。
「今ならあの子たち、家にいるだろう。行ってごらん」
「ありがとう! 政成、頼んだよ!」
「承知致しました」
「え、ちょ、ちょっと待てって!」
「真人はこっち!」
「えぇー、お婆ちゃん行ってきます!」
またしても敏之に引きずられる真人。
「ちょっと急すぎるって!」
「大丈夫大丈夫」
言い合いしつつも歩き進めると、賑やかな場所に出た。
「ここが城下町だよ」
「うわぁ……」
人の声、店の呼び込み、香ばしい匂いが入り混じり、熱気に包まれている。
「こっち! 私の家はすぐそこだから!」
敏之はそのまま武家屋敷へ突っ込んでいく。
白壁の大きな屋敷。いかにもお偉いさんが住んでそうな場所だ。
「おい!本当にここか⁉︎バレたら首飛ぶんじゃ……!」
「大丈夫大丈夫。ほら、行こう」
半ば強引に門をくぐらされ、心臓が壊れそうなほどバクバクな体験をする羽目になった。
敏之はニヤリと笑う。
「だって連れて来たかったの、ここだから」
慌てていると、奥から誰かが走ってきた。
「お帰りでしたか、敏之様。瀬奈様が探しておられます」
敏之は子供のようにニヤニヤしながら真人の袖を引っ張る。
引きずられるように門をくぐり、真人は大きな困惑を味わった。
「ねえ、おうまさんやって! おうまさん!」
一体何が起こったのか。
真人は女の子にお願いされて馬になりきっている。
キャッキャと楽しそうにはしゃぐこの子は、敏之の妹らしい。
「ひひっんって…」
ふと横を見ると、敏之は腹を抱えて笑っている。
「そこまで笑うなよ」
女の子を背中に乗せ、「ひひーん」と鳴き声を真似る。
初めは驚いていた女の子も、今は笑顔を見せていた。
「まえー! 次はみぎー!」
髪飾りを揺らし、進行方向を示す女の子。
小さな手でパシパシと背中を叩かれるが、可愛いだけだ。
「瀬奈、離してやりな。そろそろ疲れてきただろう。梅はどうしたんだい?」
「わかんない! お兄ちゃまの声がしたから来たの」
敏之が女の子に声をかける。
ろくに名前も知らず遊んでいたと、今更気づいた。
「失礼します。敏政様が敏之様とお連れの方をお呼びです」
障子の向こうから声が聞こえ、瀬奈を下ろし、敏之に続く。
小姓とふっくらした女性が控えていた。
「瀬奈様!」
「梅! 楽しかった!」
女の子は駆け寄り、梅さんが礼を言う。
「これは敏之様。瀬奈様と遊んで頂きありがとうございます」
「いや、瀬奈の相手をしていたのは私ではなく、真人だ」
「まあ。真人様、ありがとうございます」
「いえいえ、とんでもないです」
呼ばれて恐縮しつつ、真人は返事をした。
「私達は呼ばれている。瀬奈をよろしく頼む。では行こう」
「はい。失礼します」
「また遊んでね!」
「また今度な」
瀬奈と呼ばれていた女の頭を撫で、敏之の後をついていく。
小姓が先導しつつ、ちらちらと真人を見ている。
服装は農民の姿だが、変なところはない…と思いたい。
「こちらです」
障子の横で二人の男性が控えていた。
「敏之様がお見えです」
障子が開くと、一番奥に貫禄ある人が座っている。
手前にはゴツい人たちがずらっと並んでこちらを見ている。
「こわっ…」
小声で悲鳴を上げ、敏之の後ろに隠れようとするが、敏之はお構いなし。
袖を掴まれ、道連れにされる。
両側の視線に萎縮しつつ、中央の威厳ある男の前に座った。
「先日話した、例の発案者です。私の友を連れてきました」
訳もわからず頭を下げ、横を見ると名を、と言われる。
「田辺真人といいます」
「ほう、お主が。家名があるのか。儂は敏之の父であり、この斎賀領の領主である」
「だまっててごめん」
目元が敏之と似ている。
将来、敏之もこんなマッチョになるのか…。
「え、領主様と息子?」
横の男性が声をかける。
「某は長岡重兵衛と申す。先の戦はお主のおかげで勝利できたのだ」
「え、まさか。戦も終わってから知ったのに」
「いいや。敏之様を通じて実験を行った結果、堆肥の効果も確かに出ていると聞く。戦での勝利もお主の言葉がきっかけとなった」
「畑?」
「堆肥のことだよ、真人」
やっと堆肥のことを思い出し、納得する真人。
「あ、あれか。でもあれって斎賀のお殿様が…」
「本当なのか試してみたところ、例年より収穫が増えたんだ。だから他の村でもやるように伝えている」
あの時はお殿様に感謝していたが、よく考えたら若様、つまり敏之の提案と聞いた。
「戦は?俺何も聞かれてないけど」
「二か月前に、戦は戦わずに勝つのが一番だって話したことは覚えている?兵は農民が多く、早く戦を終えたがっていた。だから寝返りを促し、小さな夜襲を繰り返した」
「おお、意外とえげつない作戦」
「敵は精神も疲れ、夜も眠れない。農民の不安を仰ぎ、私たちの軍が勝った」
敏之が横で笑みを浮かべる。
「真人、覚えてる? “戦は戦わずして勝つのが一番だ”って言ってたこと」
(……あれ、雑談のつもりだったんだけど!?)
もう必死に黙って頷くしかなかった。
真人は脳内だけで反論しつつも、聞き役に徹していた。
しかし、どうやら真人は聞き役に徹しすぎたようである。
ふと気がつけば、この大きな屋敷に身を置くことになっていた。
敏之が発端だったが、それを聞いたお殿様の鶴の一声で、いつのまにか決まってしまった。
あまりにも突然で、真人は戸惑った。
お婆ちゃん達にはお世話になったし、後でお礼を言いに行かねば。
どうしてこうなったのか。
強制的に突如始まった居候生活。
案内された部屋に荷物はない。
手ぶらである。
一旦敏之の部屋に向かおう。
「出てきたのはいいけど、どの部屋か聞いてなかったあ!」
この屋敷の構造は部屋数が多く、迷いやすい。
出てきたはいいが、自分の部屋までさえわからなくなってしまった。
うろちょろ歩いていると、パタパタと足音がすることに気づく。
真人が止まれば足音も止まる。
振り返っても誰もいない。
素知らぬ顔をして歩き、手前の曲がり角を曲がったところで足踏みをした。
足音の主は見えなくなったことに焦ったらしく、バタバタと走ってきたところへ、両手を広げて構えた。
「うわあ! 離せ!」
「捕まえた!誰だお前。人の後を追っかけてきて」
「お前こそ誰だ!怪しい奴め!成敗するぞ!」
「出来るのか?やってみろよ」
腕の中に飛び込んできたのは男の子だった。
小さい体で怒っているのが面白く、挑発すると予想外の行動に出る。
「誰かー!侵入し…むぐ!」
「ばっかお前。侵入者って叫ぼうとしただろ!お前が成敗するんじゃないのか?」
「だって怪しいやつに出会ったら叫べって兄上が!」
「俺は敏之に連れてこられただけの居候だよ」
ため息をつき、男の子を離す。
肩に手を置き、言い聞かせるように軽く自己紹介した。
「今日からここに住むことになった、田辺真人だ。真人でいいぞ」
「屋敷に住むのか?」
「そうだ。だから侵入者ではないよ。名前は?」
「俺は二郎丸だ!元服したら、兄上と同じで父上の名前を一文字もらうのだ!」
鼻息をふんすっと鳴らす二郎丸。
見た目は10歳くらいか。
子供がこんなところで何をしているんだろう。
「間違っても本物の侵入者にはついていくなよ。あと、二郎丸って呼んでいいか?二郎丸も親と離れて迷子なのか?」
「迷子じゃないぞ!兄上が帰ってきたと聞いて、夕餉まで兄上の部屋にいる予定だったのだ!」
「兄上?・・・なあ、お前の兄ってもしかして敏之?」
「そうだ!次期当主の斎賀七三郎敏之というお名前であり、俺の兄上だ!」
あいつのちゃんとした名前って斎賀七三郎敏之って言うんだ…。
昔の人の名前って長いなあ。
「というか、次期当主!?」
ここに来てから驚いてばかりだ。
「じゃあ一緒に敏之の部屋まで行こう。これから行く予定だったんだ」
「うわっ」
二郎丸の肩を掴み歩き出す。
何故だろう、二郎丸を敬ったら負けた気がする。
渡り廊下で繋がった建物へ入った。
「なあ、別の建物だけど」
「ここが兄上の部屋だ。兄上ー、二郎丸です!」
障子を開け中へ入る。
真人も「お邪魔します」と言いながら後に続いた。
部屋の中で、敏之は読書中。
本がたくさん置かれている部屋だ。
二郎丸の肩を掴み、前に押し出して言った。
「侵入者扱いされたんだが。こいつに」
「なにを!うろうろしていて怪しかったからだ!」
「まあまあ2人とも落ち着いて。もう知り合ってるなら話が早い」
パンッと両手をたたいて、敏之がこちらを振り返った。
「突然で申し訳ないけれど、頼みたいことがあったんだ。真人、二郎丸に算学を教えてくれない?」
「算学? 」
「うん、真人って算学できたよね? ここに住んでもらいたかった理由の一つに、二郎丸への教育もあって。できたらでいいんだけど。」
「住まわせてもらうんだし、別にいいけれども」
「私ありがとう。二郎丸もいい?」
二郎丸はえぇ…と言いながらも断らない。
敏之の言うことは素直に聞くらしい。
「あ、そういえばさ、広間で聞いた敏之の口調、違和感あった。次期当主って聞いてから記憶が曖昧だったんだけど」
「兄上のどこが変だったんだ!」
「変とは言ってないだろ、でも小屋ではもっとくだけた口調だったよな」
「ごめん、びっくりさせたね。ああいうところは迂闊なこと言えなくてね。次期当主としての態度を見せないと足元をすくわれる」
「大変だな、敏之も」
「今まではね。これからは真人がいるから」
「え、でも俺ずっといるかはわからないし。突然プレッシャーかけるのやめてよ!」
「ぷれっしゃー? わかってるよ。でもいてくれるだけで嬉しい」
「二郎丸は兄上がいて嬉しいです!」
敏之は二郎丸の頭を撫でながら本を片付ける。
「さてと、そろそろ夕餉の時刻か。今日はここで食べる?」
「はい! ここで食べます!」
「あ、いいの。じゃあ俺も」
夕食は楽しく、二杯もおかわりした。
二郎丸も張り合う(子供用のお茶碗)が、途中でお腹を押さえ諦めていた。
食後、雑談をしていると、ふと敏之が何か思いついたように顔を上げた。
「ねえ明日は城下町に行かない? 真人、今日見たのが初めてだよね?」
「あぁ、いいなそれ。俺勝手に外出してもいいのか」
「俺も行きたいです!」
「二郎丸は稽古あるでしょ?」
「はは、ドンマイ!」
「ぐぬぬぬ……」
今日、初めて見た城下町は賑やかだった。
「あ、俺お金持ってない」
「問題ないよ。私が出すから。雰囲気楽しむだけでも楽しいし」
「嬉しいけどいいの?」
「うん、友達と城下町に行くのは初めてだから。行くとしてもじいか政成だったから。誰にも言っちゃだめだよ」
「うん?誰にも言っちゃだめ?つまり抜け出すと?ここ警備ゆるいのか?」
「抜け穴知ってるから。私が抜け出すのはいつものことだよ」
「俺は次期当主様が命令したっていうからな」
敏之の脱走癖に驚きつつも、真人は、明日が楽しみで仕方がない。
悔しそうな二郎丸の頬っぺたを存分に突いた後、真人は部屋に送ってもらい就寝した。
「うわぁ、賑やか!」
「戦が終わって人が多いからね。あ、串焼きが売ってるよ! 行こう、真人!」
串焼き片手に紐を売るお店を眺める。
祭りの日の子どもみたいにはしゃぐ敏之。
「はい、真人の分」
「ありがと」
串焼きにかぶりつく。
タレがトロッとして美味しい。
もっと濃さが欲しいが何の肉だろう。
「何か欲しいのでもあったのか?」
「ううん、二郎丸に髪紐でもあげようかと。今日連れて来れなかったから」
「お婆ちゃん達の家に寄るためにすぐ出てきたからな。寂しがってたけどお礼言えてよかった」
スクールバッグの持ち出しと屋敷にお世話になることを伝えるため、一度村に寄った。
荷物を整理している間、敏之が驚く二人に説明をしているようだった。
なぜこうなっているのか、最も現状を理解できていないのは間違いなく真人である。
去り際、お爺ちゃんが「いつでも戻ってきていい」と言ってくれたのが本当に嬉しかった。
「それには何が入ってるの? 不思議な形だね」
「教科書とかいっぱい。テスト最終日だったから数学と英語と日本史…」
その瞬間、日本史の授業が頭をよぎった。
「日本史?あ!敏之、ごめんすぐに帰ろう! 俺ちょっとやることできた!」
忘れていた! 日本史の教科書を入れたままだった!
気が急いて敏之を置いて走り出した。
ゼィゼィ息切れで屋敷に戻ったが、ついてきた敏之はまだ余裕がある様子。
「敏之、ごめん! やることできたから! あと、俺の部屋には誰も入らないように伝えて!」
「いいけど、突然どうしたの? せっかく町に出てたのに」
「ごめん、また今度! あとでな!」
残念そうな敏之に謝り、途中二郎丸にも会ったが適当に返事をして通り抜けた。
部屋に入ると大急ぎでバッグを開け、日本史の教科書を探す。
バッグを開け、取り出したのは一冊の教科書――日本史。
ページをめくる。
何度も、何度も。
……だが、どこにも「斎賀家」の名はなかった。
滅ぼされたのか?
もともと存在しなかったのか?
歴史に強くない真人に、正解はわからない。
しかし、史実と似ているようで、何かが確実に違う。
胸の奥に冷たいものが広がった。
「……ここは、本当に俺の知ってる戦国なのか?」
力が抜け、敷布団に倒れ込む。
教科書のページだけがやけに白く浮かんで見えた。
お決まりの場所となった小屋へ向かっている。
最初は何もかもに戸惑っていた俺も、最近は畑仕事にもそれなりに慣れてきた。
何より――堆肥が導入されたのがでかい。
なんと、斎賀のお殿様の命で「堆肥を作るように」とお達しがあったのだ。
おかげで畑は前よりずっと扱いやすくなったし、臭いもだいぶマシ。
もう息を止めながら撒かなくてもいい!
ありがとう、お殿様!神様!
……とはいえ、実際は若様が発案してくれたらしい。
顔も見たことのない斎賀の若様に、真人はありがたやと頭を下げて、小屋へ向かって歩いていた。
今日は子供の面倒を見る約束がある。
前にちょっと遊んでやったら、すっかり懐かれてしまった。
というのも、井戸を覗き込もうとした子を慌てて抱き上げて止めたことがあるのだ。
親も「ありがとう! ありがとう!」と感謝してきて、真人もペコペコ頭を下げるしかなかった。
以来、ちょくちょく面倒を見るようになっていた。
今回は収穫したものを売りに行くらしい。
つい先日、斎賀のお殿様が戦で勝利したとのことで、城下町は人でにぎわっているという。
絶好の稼ぎ時、というわけだ。
ぶらぶらと小屋に着くと、敏之は既に来ていた。
だが、その隣には見知らぬ男が立っている。
少し離れたところで足を止めると、音で気づいたのか二人が振り返った。
「真人、こっちこっち」
敏之が手を振る。
男はちらりとこちらを見た。
真人は会釈し、挨拶をする。
「こんにちは」
「この人は父上に仕えている者だよ。今日、子供たちの面倒をみるって言ってたろ? だから、この人に任せようと思って」
「いやいや、初対面の人に子供を任せられるかって!」
敏之はどこかお坊ちゃん感が滲み出している。
「心配いらない。彼は私の守役なんだ」
男は一歩進み出て、恭しく頭を下げた。
「敏之様の守役、高野政成と申す」
「政成は信用できるよ。小さい頃から一緒だし、子供にも慣れてるから」
「いや、でもさ……」
「ほら、行こう行こう」
敏之は俺の言葉を聞き流し、ずんずんと村の方へ歩き出す。
腕を引かれ、俺はズルズルと連行される羽目になった。
村に戻ると、お婆ちゃんが顔を出した。
「おや真人や、帰ってきたのかい。賑やかだねえ」
「お、お婆ちゃん。この前話していた敏之なんだけど…」
「初めまして」
敏之はぺこりと礼をした。
「真人を私の家まで連れて行きたくて。その間、子供たちは政成に任せようと思うのです」
お婆ちゃんは二人を見て、にこりと微笑む。
「今ならあの子たち、家にいるだろう。行ってごらん」
「ありがとう! 政成、頼んだよ!」
「承知致しました」
「え、ちょ、ちょっと待てって!」
「真人はこっち!」
「えぇー、お婆ちゃん行ってきます!」
またしても敏之に引きずられる真人。
「ちょっと急すぎるって!」
「大丈夫大丈夫」
言い合いしつつも歩き進めると、賑やかな場所に出た。
「ここが城下町だよ」
「うわぁ……」
人の声、店の呼び込み、香ばしい匂いが入り混じり、熱気に包まれている。
「こっち! 私の家はすぐそこだから!」
敏之はそのまま武家屋敷へ突っ込んでいく。
白壁の大きな屋敷。いかにもお偉いさんが住んでそうな場所だ。
「おい!本当にここか⁉︎バレたら首飛ぶんじゃ……!」
「大丈夫大丈夫。ほら、行こう」
半ば強引に門をくぐらされ、心臓が壊れそうなほどバクバクな体験をする羽目になった。
敏之はニヤリと笑う。
「だって連れて来たかったの、ここだから」
慌てていると、奥から誰かが走ってきた。
「お帰りでしたか、敏之様。瀬奈様が探しておられます」
敏之は子供のようにニヤニヤしながら真人の袖を引っ張る。
引きずられるように門をくぐり、真人は大きな困惑を味わった。
「ねえ、おうまさんやって! おうまさん!」
一体何が起こったのか。
真人は女の子にお願いされて馬になりきっている。
キャッキャと楽しそうにはしゃぐこの子は、敏之の妹らしい。
「ひひっんって…」
ふと横を見ると、敏之は腹を抱えて笑っている。
「そこまで笑うなよ」
女の子を背中に乗せ、「ひひーん」と鳴き声を真似る。
初めは驚いていた女の子も、今は笑顔を見せていた。
「まえー! 次はみぎー!」
髪飾りを揺らし、進行方向を示す女の子。
小さな手でパシパシと背中を叩かれるが、可愛いだけだ。
「瀬奈、離してやりな。そろそろ疲れてきただろう。梅はどうしたんだい?」
「わかんない! お兄ちゃまの声がしたから来たの」
敏之が女の子に声をかける。
ろくに名前も知らず遊んでいたと、今更気づいた。
「失礼します。敏政様が敏之様とお連れの方をお呼びです」
障子の向こうから声が聞こえ、瀬奈を下ろし、敏之に続く。
小姓とふっくらした女性が控えていた。
「瀬奈様!」
「梅! 楽しかった!」
女の子は駆け寄り、梅さんが礼を言う。
「これは敏之様。瀬奈様と遊んで頂きありがとうございます」
「いや、瀬奈の相手をしていたのは私ではなく、真人だ」
「まあ。真人様、ありがとうございます」
「いえいえ、とんでもないです」
呼ばれて恐縮しつつ、真人は返事をした。
「私達は呼ばれている。瀬奈をよろしく頼む。では行こう」
「はい。失礼します」
「また遊んでね!」
「また今度な」
瀬奈と呼ばれていた女の頭を撫で、敏之の後をついていく。
小姓が先導しつつ、ちらちらと真人を見ている。
服装は農民の姿だが、変なところはない…と思いたい。
「こちらです」
障子の横で二人の男性が控えていた。
「敏之様がお見えです」
障子が開くと、一番奥に貫禄ある人が座っている。
手前にはゴツい人たちがずらっと並んでこちらを見ている。
「こわっ…」
小声で悲鳴を上げ、敏之の後ろに隠れようとするが、敏之はお構いなし。
袖を掴まれ、道連れにされる。
両側の視線に萎縮しつつ、中央の威厳ある男の前に座った。
「先日話した、例の発案者です。私の友を連れてきました」
訳もわからず頭を下げ、横を見ると名を、と言われる。
「田辺真人といいます」
「ほう、お主が。家名があるのか。儂は敏之の父であり、この斎賀領の領主である」
「だまっててごめん」
目元が敏之と似ている。
将来、敏之もこんなマッチョになるのか…。
「え、領主様と息子?」
横の男性が声をかける。
「某は長岡重兵衛と申す。先の戦はお主のおかげで勝利できたのだ」
「え、まさか。戦も終わってから知ったのに」
「いいや。敏之様を通じて実験を行った結果、堆肥の効果も確かに出ていると聞く。戦での勝利もお主の言葉がきっかけとなった」
「畑?」
「堆肥のことだよ、真人」
やっと堆肥のことを思い出し、納得する真人。
「あ、あれか。でもあれって斎賀のお殿様が…」
「本当なのか試してみたところ、例年より収穫が増えたんだ。だから他の村でもやるように伝えている」
あの時はお殿様に感謝していたが、よく考えたら若様、つまり敏之の提案と聞いた。
「戦は?俺何も聞かれてないけど」
「二か月前に、戦は戦わずに勝つのが一番だって話したことは覚えている?兵は農民が多く、早く戦を終えたがっていた。だから寝返りを促し、小さな夜襲を繰り返した」
「おお、意外とえげつない作戦」
「敵は精神も疲れ、夜も眠れない。農民の不安を仰ぎ、私たちの軍が勝った」
敏之が横で笑みを浮かべる。
「真人、覚えてる? “戦は戦わずして勝つのが一番だ”って言ってたこと」
(……あれ、雑談のつもりだったんだけど!?)
もう必死に黙って頷くしかなかった。
真人は脳内だけで反論しつつも、聞き役に徹していた。
しかし、どうやら真人は聞き役に徹しすぎたようである。
ふと気がつけば、この大きな屋敷に身を置くことになっていた。
敏之が発端だったが、それを聞いたお殿様の鶴の一声で、いつのまにか決まってしまった。
あまりにも突然で、真人は戸惑った。
お婆ちゃん達にはお世話になったし、後でお礼を言いに行かねば。
どうしてこうなったのか。
強制的に突如始まった居候生活。
案内された部屋に荷物はない。
手ぶらである。
一旦敏之の部屋に向かおう。
「出てきたのはいいけど、どの部屋か聞いてなかったあ!」
この屋敷の構造は部屋数が多く、迷いやすい。
出てきたはいいが、自分の部屋までさえわからなくなってしまった。
うろちょろ歩いていると、パタパタと足音がすることに気づく。
真人が止まれば足音も止まる。
振り返っても誰もいない。
素知らぬ顔をして歩き、手前の曲がり角を曲がったところで足踏みをした。
足音の主は見えなくなったことに焦ったらしく、バタバタと走ってきたところへ、両手を広げて構えた。
「うわあ! 離せ!」
「捕まえた!誰だお前。人の後を追っかけてきて」
「お前こそ誰だ!怪しい奴め!成敗するぞ!」
「出来るのか?やってみろよ」
腕の中に飛び込んできたのは男の子だった。
小さい体で怒っているのが面白く、挑発すると予想外の行動に出る。
「誰かー!侵入し…むぐ!」
「ばっかお前。侵入者って叫ぼうとしただろ!お前が成敗するんじゃないのか?」
「だって怪しいやつに出会ったら叫べって兄上が!」
「俺は敏之に連れてこられただけの居候だよ」
ため息をつき、男の子を離す。
肩に手を置き、言い聞かせるように軽く自己紹介した。
「今日からここに住むことになった、田辺真人だ。真人でいいぞ」
「屋敷に住むのか?」
「そうだ。だから侵入者ではないよ。名前は?」
「俺は二郎丸だ!元服したら、兄上と同じで父上の名前を一文字もらうのだ!」
鼻息をふんすっと鳴らす二郎丸。
見た目は10歳くらいか。
子供がこんなところで何をしているんだろう。
「間違っても本物の侵入者にはついていくなよ。あと、二郎丸って呼んでいいか?二郎丸も親と離れて迷子なのか?」
「迷子じゃないぞ!兄上が帰ってきたと聞いて、夕餉まで兄上の部屋にいる予定だったのだ!」
「兄上?・・・なあ、お前の兄ってもしかして敏之?」
「そうだ!次期当主の斎賀七三郎敏之というお名前であり、俺の兄上だ!」
あいつのちゃんとした名前って斎賀七三郎敏之って言うんだ…。
昔の人の名前って長いなあ。
「というか、次期当主!?」
ここに来てから驚いてばかりだ。
「じゃあ一緒に敏之の部屋まで行こう。これから行く予定だったんだ」
「うわっ」
二郎丸の肩を掴み歩き出す。
何故だろう、二郎丸を敬ったら負けた気がする。
渡り廊下で繋がった建物へ入った。
「なあ、別の建物だけど」
「ここが兄上の部屋だ。兄上ー、二郎丸です!」
障子を開け中へ入る。
真人も「お邪魔します」と言いながら後に続いた。
部屋の中で、敏之は読書中。
本がたくさん置かれている部屋だ。
二郎丸の肩を掴み、前に押し出して言った。
「侵入者扱いされたんだが。こいつに」
「なにを!うろうろしていて怪しかったからだ!」
「まあまあ2人とも落ち着いて。もう知り合ってるなら話が早い」
パンッと両手をたたいて、敏之がこちらを振り返った。
「突然で申し訳ないけれど、頼みたいことがあったんだ。真人、二郎丸に算学を教えてくれない?」
「算学? 」
「うん、真人って算学できたよね? ここに住んでもらいたかった理由の一つに、二郎丸への教育もあって。できたらでいいんだけど。」
「住まわせてもらうんだし、別にいいけれども」
「私ありがとう。二郎丸もいい?」
二郎丸はえぇ…と言いながらも断らない。
敏之の言うことは素直に聞くらしい。
「あ、そういえばさ、広間で聞いた敏之の口調、違和感あった。次期当主って聞いてから記憶が曖昧だったんだけど」
「兄上のどこが変だったんだ!」
「変とは言ってないだろ、でも小屋ではもっとくだけた口調だったよな」
「ごめん、びっくりさせたね。ああいうところは迂闊なこと言えなくてね。次期当主としての態度を見せないと足元をすくわれる」
「大変だな、敏之も」
「今まではね。これからは真人がいるから」
「え、でも俺ずっといるかはわからないし。突然プレッシャーかけるのやめてよ!」
「ぷれっしゃー? わかってるよ。でもいてくれるだけで嬉しい」
「二郎丸は兄上がいて嬉しいです!」
敏之は二郎丸の頭を撫でながら本を片付ける。
「さてと、そろそろ夕餉の時刻か。今日はここで食べる?」
「はい! ここで食べます!」
「あ、いいの。じゃあ俺も」
夕食は楽しく、二杯もおかわりした。
二郎丸も張り合う(子供用のお茶碗)が、途中でお腹を押さえ諦めていた。
食後、雑談をしていると、ふと敏之が何か思いついたように顔を上げた。
「ねえ明日は城下町に行かない? 真人、今日見たのが初めてだよね?」
「あぁ、いいなそれ。俺勝手に外出してもいいのか」
「俺も行きたいです!」
「二郎丸は稽古あるでしょ?」
「はは、ドンマイ!」
「ぐぬぬぬ……」
今日、初めて見た城下町は賑やかだった。
「あ、俺お金持ってない」
「問題ないよ。私が出すから。雰囲気楽しむだけでも楽しいし」
「嬉しいけどいいの?」
「うん、友達と城下町に行くのは初めてだから。行くとしてもじいか政成だったから。誰にも言っちゃだめだよ」
「うん?誰にも言っちゃだめ?つまり抜け出すと?ここ警備ゆるいのか?」
「抜け穴知ってるから。私が抜け出すのはいつものことだよ」
「俺は次期当主様が命令したっていうからな」
敏之の脱走癖に驚きつつも、真人は、明日が楽しみで仕方がない。
悔しそうな二郎丸の頬っぺたを存分に突いた後、真人は部屋に送ってもらい就寝した。
「うわぁ、賑やか!」
「戦が終わって人が多いからね。あ、串焼きが売ってるよ! 行こう、真人!」
串焼き片手に紐を売るお店を眺める。
祭りの日の子どもみたいにはしゃぐ敏之。
「はい、真人の分」
「ありがと」
串焼きにかぶりつく。
タレがトロッとして美味しい。
もっと濃さが欲しいが何の肉だろう。
「何か欲しいのでもあったのか?」
「ううん、二郎丸に髪紐でもあげようかと。今日連れて来れなかったから」
「お婆ちゃん達の家に寄るためにすぐ出てきたからな。寂しがってたけどお礼言えてよかった」
スクールバッグの持ち出しと屋敷にお世話になることを伝えるため、一度村に寄った。
荷物を整理している間、敏之が驚く二人に説明をしているようだった。
なぜこうなっているのか、最も現状を理解できていないのは間違いなく真人である。
去り際、お爺ちゃんが「いつでも戻ってきていい」と言ってくれたのが本当に嬉しかった。
「それには何が入ってるの? 不思議な形だね」
「教科書とかいっぱい。テスト最終日だったから数学と英語と日本史…」
その瞬間、日本史の授業が頭をよぎった。
「日本史?あ!敏之、ごめんすぐに帰ろう! 俺ちょっとやることできた!」
忘れていた! 日本史の教科書を入れたままだった!
気が急いて敏之を置いて走り出した。
ゼィゼィ息切れで屋敷に戻ったが、ついてきた敏之はまだ余裕がある様子。
「敏之、ごめん! やることできたから! あと、俺の部屋には誰も入らないように伝えて!」
「いいけど、突然どうしたの? せっかく町に出てたのに」
「ごめん、また今度! あとでな!」
残念そうな敏之に謝り、途中二郎丸にも会ったが適当に返事をして通り抜けた。
部屋に入ると大急ぎでバッグを開け、日本史の教科書を探す。
バッグを開け、取り出したのは一冊の教科書――日本史。
ページをめくる。
何度も、何度も。
……だが、どこにも「斎賀家」の名はなかった。
滅ぼされたのか?
もともと存在しなかったのか?
歴史に強くない真人に、正解はわからない。
しかし、史実と似ているようで、何かが確実に違う。
胸の奥に冷たいものが広がった。
「……ここは、本当に俺の知ってる戦国なのか?」
力が抜け、敷布団に倒れ込む。
教科書のページだけがやけに白く浮かんで見えた。
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