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1、戦国時代へ
7 敏之+斎賀軍side
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伝令が駆け込んできた。
「羽川軍、撤退しております!追いますか?」
「なに!撤退だと!?」
「援軍も未だ到着せず、深追いは危険かと」
「でもなぜ急に……。罠ではないか?」
「ひとまず深追いはせず、撤退と伝えろ」
「はっ!」
優勢に見えた戦局が一転する理由が読めない。胸に嫌な予感が走った。
真人が倒れた場所を思い出し、焦りがこみ上げる。
「父上、真人がまだ倒れているかもしれません! 兵が退いた今こそ探させてください!」
「拙者もお供いたします」
平尾がきっぱりと言う。目の前で助けられなかったことを気にしているのだろう。
「わかった。早く馬を準備して来い」
「はっ!」
自分の馬を引き寄せ、背にまたがる。同じく馬に乗った平尾と合流し、真人のいた場所へ向かった。
「本当にここなのか?」
「はい。そのはずですが……」
馬を降り、手分けして探す。
だが、血の跡こそ残っているものの、本人の姿はどこにもない。
総大将を襲った仲間として連れ去られた可能性もある。
「……やはり連れ去られたか」
「しかし、総大将を狙った賊をなぜ殺さずに……」
「生かす理由があるのでしょう」
平尾の言葉に私は拳を握った。
真人はまだ生きている。だが、羽川の思惑が掴めぬ。
やるせない思いを抱えながら戦場から城に戻って数日後。会議が開かれた。
「今回また集まってもらったのは、八津左の件だ。先日、八津左も関所を取り払ったとの情報が入った」
「なに?八津左が?」
家臣たちがざわめく。
「まさか田辺殿の手引きでは?」
「斎賀の情報が漏れているのでは?」
「それはない。真人には斎賀のことはほとんど伝えておらぬ」
私が否定すると、真人を疑っていた家臣たちは口をつぐむ。それを見た父上が低く笑った。
「しかしあやつが教えたにしては、今関所を廃止して八津左の治安は乱れている。野盗が出没し、商人が去ったと聞く」
「ほう、それは……」
「どうした、じい」
感嘆の声を出したじいに向き直る。
「もしや田辺殿はこれを狙ったのでは……?八津左の治安悪化で国力が乱れ、商人は斎賀に流れる。八津左の力を削りつつ、斎賀の力に寄与する。あの御仁がやりそうなことだ」
「おお、それは!」
「敵地にありながら斎賀のために動く。そのような御仁が他にあろうか」
「なんと志の高い人か……」
室内の空気は一変し、感嘆の声が広がる。
私は父上に進み出て、平伏した。
「父上、真人の救出は必ず斎賀の利益にもなります!どうかお力添えを!」
じっと平伏して助力を請う。返ってきたのは、父上の問いだった。
「敏之、お前は今まで同世代の友がいなかった。あやつに出会ったことは刺激になったと思う。だが、公私を混同するな。お前は友として助けたいのか?それとも、斎賀に役立つ人材だから助けたいのか?」
少し考え、思い浮かんだままを答える。
「両方です。城下町を活性化させたのは紛れもなく真人の力です。また、唯一の友としても見捨てられません。私が同じ目にあったとき、真人は必ず助けてくれると信じます」
沈黙ののち、父上は豪快に笑った。
「ふっ、ふっはっは!そうか!あやつはそれほどの価値があるか!よかろう、手助けしてやる」
「ありがとうございます!」
胸が熱くなる。少し誇張したかもしれない。
だが、真人は斎賀家と知らぬ間から、友と話すように自然に接してきた。
二郎丸や瀬奈とも分け隔てなく接し、子供たちを叱り導く。
二郎丸は文句を言いながらも算学を学び、瀬奈は人見知りのはずが縁側で共にうたた寝をする時さえある。
真人は、誰の庇護もない状態で子供たちを叱りつつ、地位や権力に縛られぬ存在。
だからこそ救わねばならないのだ。
その時、小姓が慌ただしく障子を開けた。
「た、田辺殿が現れました!門前で騒動が起きています!」
「……何!?」
「自力で帰ってきたのか!?」
待ちきれず、私は飛び出す。平尾もすぐに続き、門へ駆けた。
門前に着くと、人だかりの中心に、真人の姿。
見知らぬ二人組と門番が揉めている。
「真人……!」
「無事でよかった」
思わず声が漏れる。
真人は振り返り、短く頷いたように見えた。その底から安堵がの一瞬、胸湧き上がる。
だが、すぐに張り詰めた空気が戻った。
真人の隣には、見知らぬ二人――
青年と、まだ幼いが威厳を帯びた少年。
聞きたいことは山ほどあった。
まず初めに。
勢いをつけて、唯一の友人へ走り寄ることにした。
「羽川軍、撤退しております!追いますか?」
「なに!撤退だと!?」
「援軍も未だ到着せず、深追いは危険かと」
「でもなぜ急に……。罠ではないか?」
「ひとまず深追いはせず、撤退と伝えろ」
「はっ!」
優勢に見えた戦局が一転する理由が読めない。胸に嫌な予感が走った。
真人が倒れた場所を思い出し、焦りがこみ上げる。
「父上、真人がまだ倒れているかもしれません! 兵が退いた今こそ探させてください!」
「拙者もお供いたします」
平尾がきっぱりと言う。目の前で助けられなかったことを気にしているのだろう。
「わかった。早く馬を準備して来い」
「はっ!」
自分の馬を引き寄せ、背にまたがる。同じく馬に乗った平尾と合流し、真人のいた場所へ向かった。
「本当にここなのか?」
「はい。そのはずですが……」
馬を降り、手分けして探す。
だが、血の跡こそ残っているものの、本人の姿はどこにもない。
総大将を襲った仲間として連れ去られた可能性もある。
「……やはり連れ去られたか」
「しかし、総大将を狙った賊をなぜ殺さずに……」
「生かす理由があるのでしょう」
平尾の言葉に私は拳を握った。
真人はまだ生きている。だが、羽川の思惑が掴めぬ。
やるせない思いを抱えながら戦場から城に戻って数日後。会議が開かれた。
「今回また集まってもらったのは、八津左の件だ。先日、八津左も関所を取り払ったとの情報が入った」
「なに?八津左が?」
家臣たちがざわめく。
「まさか田辺殿の手引きでは?」
「斎賀の情報が漏れているのでは?」
「それはない。真人には斎賀のことはほとんど伝えておらぬ」
私が否定すると、真人を疑っていた家臣たちは口をつぐむ。それを見た父上が低く笑った。
「しかしあやつが教えたにしては、今関所を廃止して八津左の治安は乱れている。野盗が出没し、商人が去ったと聞く」
「ほう、それは……」
「どうした、じい」
感嘆の声を出したじいに向き直る。
「もしや田辺殿はこれを狙ったのでは……?八津左の治安悪化で国力が乱れ、商人は斎賀に流れる。八津左の力を削りつつ、斎賀の力に寄与する。あの御仁がやりそうなことだ」
「おお、それは!」
「敵地にありながら斎賀のために動く。そのような御仁が他にあろうか」
「なんと志の高い人か……」
室内の空気は一変し、感嘆の声が広がる。
私は父上に進み出て、平伏した。
「父上、真人の救出は必ず斎賀の利益にもなります!どうかお力添えを!」
じっと平伏して助力を請う。返ってきたのは、父上の問いだった。
「敏之、お前は今まで同世代の友がいなかった。あやつに出会ったことは刺激になったと思う。だが、公私を混同するな。お前は友として助けたいのか?それとも、斎賀に役立つ人材だから助けたいのか?」
少し考え、思い浮かんだままを答える。
「両方です。城下町を活性化させたのは紛れもなく真人の力です。また、唯一の友としても見捨てられません。私が同じ目にあったとき、真人は必ず助けてくれると信じます」
沈黙ののち、父上は豪快に笑った。
「ふっ、ふっはっは!そうか!あやつはそれほどの価値があるか!よかろう、手助けしてやる」
「ありがとうございます!」
胸が熱くなる。少し誇張したかもしれない。
だが、真人は斎賀家と知らぬ間から、友と話すように自然に接してきた。
二郎丸や瀬奈とも分け隔てなく接し、子供たちを叱り導く。
二郎丸は文句を言いながらも算学を学び、瀬奈は人見知りのはずが縁側で共にうたた寝をする時さえある。
真人は、誰の庇護もない状態で子供たちを叱りつつ、地位や権力に縛られぬ存在。
だからこそ救わねばならないのだ。
その時、小姓が慌ただしく障子を開けた。
「た、田辺殿が現れました!門前で騒動が起きています!」
「……何!?」
「自力で帰ってきたのか!?」
待ちきれず、私は飛び出す。平尾もすぐに続き、門へ駆けた。
門前に着くと、人だかりの中心に、真人の姿。
見知らぬ二人組と門番が揉めている。
「真人……!」
「無事でよかった」
思わず声が漏れる。
真人は振り返り、短く頷いたように見えた。その底から安堵がの一瞬、胸湧き上がる。
だが、すぐに張り詰めた空気が戻った。
真人の隣には、見知らぬ二人――
青年と、まだ幼いが威厳を帯びた少年。
聞きたいことは山ほどあった。
まず初めに。
勢いをつけて、唯一の友人へ走り寄ることにした。
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