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幼少期編
第二王子派の陰謀
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第二王子派と呼ばれる貴族たちがいる。
彼らは第一王子であるアレクよりも第二王子イスタルが王太子に相応しいと考えており、さらには自分たちの娘を第二王子に嫁がせて権力目当てで王族に近づこうと企んでいる者たちのことだ。
第二王子派の貴族たちは現在、王国貴族の約半数を占めており、特に今年になってからは貴族の勢力図は大きく変わっていた。
現在第一王子派の貴族は侯爵家である宰相オシリスと辺境伯家の当主ガスタルの影響下にある。どちらかというと騎士団所属の下位貴族が数多く、貴族の中で三割ほどしかない。
残り二割は中立派である。
ただ中立派はこないだのお茶会にほとんど出席しており、国王陛下が第一王子を王太子にする意図は伝わっていた。
そしてアレクにとって汚点となったお茶会以降、中立派の貴族たちは国王の意を汲んで第一王子擁立派の方に傾いていった。
ここで第二王子派は一計を案じた。
「国の未来を思えばどこの血が混ざっているかもわからぬ第一王子を王太子にするなど到底考えられぬ」
先導するのは白髪の老騎士、ヨーゼフ・オーエン。
第二王子派の貴族の中でもっとも指導者として力ある者だ。彼は領地持ちの貴族であり、爵位は伯爵。しかも先の戦争で活躍した元英雄である。さらにボルトの前に黒金騎士団団長を務めていたバリバリの元軍人である。
実は第一王子派の筆頭であるガスタル・サラトム辺境伯とは犬猿の仲ということもあり、さらには領地が隣ということもあっていつもガスタル辺境伯に対して敵愾心を燃やしていた。
ヨーゼフは宿敵ガスタルの打倒という目的のために第二王子擁立という大義を掲げて第一王子派の切り崩しを企むのであった。
「やはり国王陛下の血筋を強く引いておられる第二王子が王太子となるに相応しい」
大義名分は仲間を増やすための撒き餌である。意外にも高位貴族であるほど中立が多く、侯爵家のほとんどは中立派。そして伯爵家以下、爵位の低い貴族ほどヨーゼフたちの甘言に惑わされた。お茶会やサロン、舞踏会などあらゆる会合を通して彼らは派閥に入っていったのである。
この中には第二王子と直接会った事もない貴族も多く、彼らは自分たちの身の丈に合った思考は持ち合わせていなかった。
寄らば大樹の陰とばかりに第二王子派に群がる貴族たちは意外に多かった。
そして都合良くかわからないが、辺境伯の中から裏切り者まで出すことに成功した。
辺境伯の息子エリックと孫アランである。
二人は当主を裏切り第二王子派に加わるとスパイ活動として第一王子派の情報を第二王子派に流すのであった。
ヨーゼフ以外の第二王子派の貴族たちの目的はあくまで自分達の権勢を強くするために第二王子を擁立し立太子させることだ。
貴族としての面子ははるかに重く、愛国心はどこへやら、
「我らの崇高な目的のためならば、手段は選ばぬ」
己の欲得を隠し、崇高な目的ならばと第二王子派の筆頭ヨーゼフは邪魔な第一王子を暗殺する計画まで企てるのであった。
♢
ワシの名はヨーゼフ・オーエン。
伯爵家領主ではあるが根っからの軍人である。ワシが特に得意なのは計略じゃ。
そしてワシの生涯の目的は打倒ガスタル。
ワシが生きておる内にこの悲願は果たさねば死んでも死にきれん。
計略においてワシはガスタルよりも優れておる。純粋な戦闘力においてはあの憎きガスタルに敵わぬが、奴の力を削いでゆけば良いだけのこと。
じゃから邪魔な第一王子には消えてもらう。
孫娘から先に殺すことも考えたが、あそこの家は暗殺者一族を配下におさめておるからのう。
一筋縄ではいかぬ。辺境伯の鼻をへし折るためにはまだ先に王子を暗殺した方が楽じゃ。
まあ、奴の息子エリックと孫のアランは奴を裏切り、ワシの仲間となったがな。
良い気味じゃ。
今わしはアレク王子暗殺において慎重に、かつ綿密に計画を練っておる。
王子一人を殺すのに軍など要らぬ。
ましてや下手に暗殺者を送っても失敗することはわかっておる。
王族の暗殺は大罪じゃ。よほど上手く計画を立てなければ最悪、重罪人として一家諸共死刑となり、行く末は取り潰しとなる。
「それならば隙を窺うのみよ」
計略を立てるには情報が必要じゃ。情報にも鮮度がある。戦いにおいて勝敗を分けるもの。情報戦による時間との勝負なのじゃ。
そして新鮮な情報を集めようにも遠方の領地では無理じゃからのう。ゆえにワシは今領地を離れ、王都にある屋敷におる。
そして仲間から情報を集め、アレク王子の暗殺が可能な時と場所を考えておる。
今、ワシの手には国王からの招集命令の手紙がある。
内容はアレク王子と辺境伯家アイリーンとの婚約発表と舞踏会の案内じゃ。
手紙を読んだ時は高笑いするガスタルの姿が浮かんできてはらわたが煮え繰り返るほど腹が立った。(すぐに冷静を取り戻したがの)
しかし、これは好都合じゃ。
「やはり舞踏会の中でやるしかあるまい」
婚約発表の場でさすがに暗殺はやり辛い。しかし舞踏会であれば大勢の貴族も集まり、アレク王子と直接に相見えることができる。
そして怨敵ガスタルの孫娘アイリーンも表舞台に出てくる。それは二人とも始末できる好機でもあるということ。
王城には数多くの目はあるがまあ、仲間もおるし、大丈夫じゃろ。
「うむ、当日が楽しみじゃ。ワシも久しぶりに夜会に赴くかのう」
ヨーゼフはニヤリと笑みを浮かべるとそのまま高笑いを繰り返した。そしてじっくりと作戦を練った後に手紙を書き、第二王子派の貴族たちに指示を出すのであった。
彼らは第一王子であるアレクよりも第二王子イスタルが王太子に相応しいと考えており、さらには自分たちの娘を第二王子に嫁がせて権力目当てで王族に近づこうと企んでいる者たちのことだ。
第二王子派の貴族たちは現在、王国貴族の約半数を占めており、特に今年になってからは貴族の勢力図は大きく変わっていた。
現在第一王子派の貴族は侯爵家である宰相オシリスと辺境伯家の当主ガスタルの影響下にある。どちらかというと騎士団所属の下位貴族が数多く、貴族の中で三割ほどしかない。
残り二割は中立派である。
ただ中立派はこないだのお茶会にほとんど出席しており、国王陛下が第一王子を王太子にする意図は伝わっていた。
そしてアレクにとって汚点となったお茶会以降、中立派の貴族たちは国王の意を汲んで第一王子擁立派の方に傾いていった。
ここで第二王子派は一計を案じた。
「国の未来を思えばどこの血が混ざっているかもわからぬ第一王子を王太子にするなど到底考えられぬ」
先導するのは白髪の老騎士、ヨーゼフ・オーエン。
第二王子派の貴族の中でもっとも指導者として力ある者だ。彼は領地持ちの貴族であり、爵位は伯爵。しかも先の戦争で活躍した元英雄である。さらにボルトの前に黒金騎士団団長を務めていたバリバリの元軍人である。
実は第一王子派の筆頭であるガスタル・サラトム辺境伯とは犬猿の仲ということもあり、さらには領地が隣ということもあっていつもガスタル辺境伯に対して敵愾心を燃やしていた。
ヨーゼフは宿敵ガスタルの打倒という目的のために第二王子擁立という大義を掲げて第一王子派の切り崩しを企むのであった。
「やはり国王陛下の血筋を強く引いておられる第二王子が王太子となるに相応しい」
大義名分は仲間を増やすための撒き餌である。意外にも高位貴族であるほど中立が多く、侯爵家のほとんどは中立派。そして伯爵家以下、爵位の低い貴族ほどヨーゼフたちの甘言に惑わされた。お茶会やサロン、舞踏会などあらゆる会合を通して彼らは派閥に入っていったのである。
この中には第二王子と直接会った事もない貴族も多く、彼らは自分たちの身の丈に合った思考は持ち合わせていなかった。
寄らば大樹の陰とばかりに第二王子派に群がる貴族たちは意外に多かった。
そして都合良くかわからないが、辺境伯の中から裏切り者まで出すことに成功した。
辺境伯の息子エリックと孫アランである。
二人は当主を裏切り第二王子派に加わるとスパイ活動として第一王子派の情報を第二王子派に流すのであった。
ヨーゼフ以外の第二王子派の貴族たちの目的はあくまで自分達の権勢を強くするために第二王子を擁立し立太子させることだ。
貴族としての面子ははるかに重く、愛国心はどこへやら、
「我らの崇高な目的のためならば、手段は選ばぬ」
己の欲得を隠し、崇高な目的ならばと第二王子派の筆頭ヨーゼフは邪魔な第一王子を暗殺する計画まで企てるのであった。
♢
ワシの名はヨーゼフ・オーエン。
伯爵家領主ではあるが根っからの軍人である。ワシが特に得意なのは計略じゃ。
そしてワシの生涯の目的は打倒ガスタル。
ワシが生きておる内にこの悲願は果たさねば死んでも死にきれん。
計略においてワシはガスタルよりも優れておる。純粋な戦闘力においてはあの憎きガスタルに敵わぬが、奴の力を削いでゆけば良いだけのこと。
じゃから邪魔な第一王子には消えてもらう。
孫娘から先に殺すことも考えたが、あそこの家は暗殺者一族を配下におさめておるからのう。
一筋縄ではいかぬ。辺境伯の鼻をへし折るためにはまだ先に王子を暗殺した方が楽じゃ。
まあ、奴の息子エリックと孫のアランは奴を裏切り、ワシの仲間となったがな。
良い気味じゃ。
今わしはアレク王子暗殺において慎重に、かつ綿密に計画を練っておる。
王子一人を殺すのに軍など要らぬ。
ましてや下手に暗殺者を送っても失敗することはわかっておる。
王族の暗殺は大罪じゃ。よほど上手く計画を立てなければ最悪、重罪人として一家諸共死刑となり、行く末は取り潰しとなる。
「それならば隙を窺うのみよ」
計略を立てるには情報が必要じゃ。情報にも鮮度がある。戦いにおいて勝敗を分けるもの。情報戦による時間との勝負なのじゃ。
そして新鮮な情報を集めようにも遠方の領地では無理じゃからのう。ゆえにワシは今領地を離れ、王都にある屋敷におる。
そして仲間から情報を集め、アレク王子の暗殺が可能な時と場所を考えておる。
今、ワシの手には国王からの招集命令の手紙がある。
内容はアレク王子と辺境伯家アイリーンとの婚約発表と舞踏会の案内じゃ。
手紙を読んだ時は高笑いするガスタルの姿が浮かんできてはらわたが煮え繰り返るほど腹が立った。(すぐに冷静を取り戻したがの)
しかし、これは好都合じゃ。
「やはり舞踏会の中でやるしかあるまい」
婚約発表の場でさすがに暗殺はやり辛い。しかし舞踏会であれば大勢の貴族も集まり、アレク王子と直接に相見えることができる。
そして怨敵ガスタルの孫娘アイリーンも表舞台に出てくる。それは二人とも始末できる好機でもあるということ。
王城には数多くの目はあるがまあ、仲間もおるし、大丈夫じゃろ。
「うむ、当日が楽しみじゃ。ワシも久しぶりに夜会に赴くかのう」
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