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学園編
魔法の授業
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《アレク視点》
さて、本日よりいよいよ魔法の授業が始まる。
ガルシア師匠の話では入学した最初の頃などは魔法の授業といっても座学のみで、普通なかなか魔法を使わせてもらえないらしい。
ここで我慢して魔法の基礎論を学んでおけば、しばらくしてようやく簡単な魔法を使う実技が始まるそうだ。
ただやはり例外というのはあるそうで、僕とアイリーンは一年生でありながら魔法は群を抜いており、なんと上級レベルにまで達しているため最初の授業は免除となった。
そのかわり僕らは別枠で特別授業として自分たちの魔法属性に合った魔法師のもとで個別指導を受けることになった。
ちなみに僕の護衛騎士でありながら、先日アイリーンに弟子入りしたサラは魔法が苦手だったために一学年(貴族)必須科目である魔法基礎理論の授業を泣く泣く受けている。
アイリーンと一緒に受けられなくて残念だったそうだ。
サラの奴、一応は僕の護衛騎士のはずなんだけど、そこんとこどうなんだろう。
あまり自覚がなさそうだから機会があったら父上に相談してみようかな。
さて、僕とアイリーンの二人は個別指導を受けるべく魔塔と呼ばれる魔法科の特別校舎に来ていた。
魔法科の校舎は学園の本校舎から少し離れたところにあり五角形の建物が特徴らしい。
ここでは共通の魔法授業や魔法のみ使える修練場があり、サラが魔法の授業を受けている校舎はここ。アイツは今頃魔法の授業がわからなくて涙を流しているか、それとも眠たくなって教科書によだれを垂らしているかのどちらかだろうね。
まあいいや。
ちなみに今日の僕は最高の気分である。
なぜかと言うと、なんとアイリーンと一緒に魔法の授業を受けられることになったのだ。
しかも二人だけ、
ふへへ、
サラが一緒にいなくて本当に良かった。
ふふ。
僕とアイリーンだけ特別授業なんだってさ。
ふへへ。
五角形の校舎には、校舎を中心に五つの角にそれぞれ高くそびえる塔が建っていた。
その塔は「魔塔」と呼ばれていて、魔塔は魔法師たちの研究機関となっているそうだ。そして各魔塔には魔法属性の頂点に立つ魔塔主たちがそれぞれの魔塔を運営・管理していると師匠は言っていた。
一応僕は全属性の魔法を扱えるんだけど、アイリーンが水の魔法属性の持ち主なのでアイリーンと共に授業を受けたい僕は水属性魔法の授業を受けることにしたのだ。
そして僕たちは今特別授業を受けるべく「水の魔塔」へ向かっていた。
水の魔塔というのは見た目も分かりやすく水色の建物だった。
天空に届くかと思えるほど空高く長く伸びた塔は多分50階ぐらいはあるんじゃないだろうか。
ちなみに塔のてっぺんまで見上げたら首が痛くなった。
そうこうしているうちに塔の中に入ると、一階の中央には大きな噴水があり、たくさんの水玉がふわふわと浮かびながら円を描いて噴水の周りをまわっている。
水玉は外の光に反射してキラキラと輝いていて本当に綺麗だ。
「アレク様!噴水がとても綺麗ですわ!」
「そうだね」
いかにもファンタジーな景観に僕のテンションは爆上がりだ。まるでディ◯ニー映画のような光景がとても素敵で僕は思わず感動してしまった。
アイリーンは噴水に近づくと水玉に触れたりして遊んでいた。
なんとも美しく微笑ましい光景だろうか。
ここにカメラがあったら良いのに・・・。
仕方ないので僕はとびきり美しい今のアイリーンの姿を脳内フィルムに永久保存しておいた。
そしてそんなところに二人を迎えに来たであろうフラン先生がやってきた。
「えーと、アレク王子とアイリーンさん、ようこそ水の魔塔へ」
「あれ?フラン先生が担当なんですか?たしか先生は初級魔法の授業を担当されてましたよね?」
「あ、ええ、はい、そうだったんですけど、今回、特別というか、なんというか、とりあえず私がお二人の魔法の担当者として決まりましたので、あの、その、どうぞよろしくお願いします」
なんとなくしどろもどろな先生の対応にどことなく不安を抱いてしまう。
しかし今は他に授業を受けられるわけでもないのでフラン先生の言うとおりにするしかない。
「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします」
僕はアイリーンと一緒にフラン先生に向かってペコリとお辞儀した。
「それではあなたたちを私の研究室に案内しますね」
フラン先生はそう言って水の魔塔を案内してくれた。
魔塔は中心に螺旋状の階段があり、各々ラボと呼ばれる魔法師専用の研究室がある。フラン先生の後をついて行く二人はその階段を登りに登って、二十階あたりでようやくフラン先生の研究室にたどり着いた。
「これ、何階まであるんだろ?」
「そうですね、おそらく50階ほどかと思います」
「え!?そんなにあるの?」
「ええ、結構な数の魔法師がいますからね、宮廷魔法師の研究室もここにありますから」
「へええ!それはすごいですね!」
フラン先生と話しながら研究室に移動すると、僕たちの目の前には、扉に可愛らしい黄色の花の木札にフラン先生の名前が彫ってある。
なんともファンシーな雰囲気の扉なのだろう。正直ちょっと入り難い。
「さあ着きましたよ」
扉を開けると部屋の中は書類の束と本がそこらじゅうに積み上がっており、なにやら理科室で見た事のあるようなビーカーとフラスコみたいな実験用の道具などが作業台の上に乱雑に置かれている。
僕の前世の記憶では魔女が大釜でなんか怪しい薬みたいのを作っている時の雰囲気に良く似ている。
「ち、ちょっと散らかっていますけど、どうぞ入ってくださいね」
え?ちょっと?これで?
フラン先生はゴミ屋敷ならぬゴミ研究室に入るや散らかった資料やら本やらをとにかくかき分けながらつき進んでいた。
仕方なく僕とアイリーンも共にフラン先生の後をついて行く。
フラン先生は積み上がった本の台となっていた丸椅子を二つ取り出してアレクとアイリーンの前に用意した。
「それじゃあ、二人ともこの椅子に座ってください」
僕は言われてそのまま座ったが、アイリーンはハンカチの椅子の上にのせてから慎ましく座っていた。
たしかに椅子には埃がついていたようで僕のお尻はすでに埃で真っ白になっていた。
「そ、それでは授業をはじめます。まずはポーションの作り方から始めましょう」
「え?ポーションですか?」
「はい、水属性の魔法師の多くはまずポーション作りから始まります」
「そうなんですね」
おかしいな、ガルシア師匠からポーション作りを教わったことないんだけど、・・・どういうことだろう。
「それでは手順を説明します。まず薬草を煮出して魔力を込めながら掻き混ぜます。そして薬の色が変わったら瓶に移して終了です」
「あ、はい」
僕とアイリーンはいきなりポーション作りの実習に取りかかることになった。
しかし意外だったな。
ガルシア師匠の指導は、今思えばやっぱりスパルタだったんだろう。
たとえば水魔法といえばホースのように水をドバドバと出す修行をしたり、
大きな火の球を延々とつくりつづけたり、
風魔法で洗ったばかりのシーツを乾かせられたり、土魔法でゴーレム造らせられたりしたんだよな。
そのせいで魔法の修行イコール攻撃魔法の訓練というイメージが先行してしまったのは仕方ないことだと思う。
まさか水魔法の基礎がポーション作りだとは思いもしなかった。
フラン先生の説明の後、アイリーンはフラン先生が用意してくれた実験用ビーカーと小さな鍋、そしてかき混ぜ棒と薬草などの用意された道具の確認した。
そしてフラン先生の指導を受けながらポーション作りを始める。
まず鍋に水を入れ、アルコールランプに火をつける。
薬草を手でちぎりながら鍋に入れてそれからはずっと魔力を込めながらかき混ぜるだけだ。
ただアイリーンは以前から何度かポーション作りをしたことがあるらしく魔力の込め方も安定していて手慣れた感じで作っていた。
僕もアイリーンのやり方を見ながら真似するように作ることにした。
(これって初歩レベルの実習なんだよな)
そういえば学園に入学する前は上位魔法の訓練ばかりやらされてたな。
今になってこんな初歩レベルの魔法をしてこなかったなんて、内心、複雑な思いだ。
(師匠の修行ってどこまでが正しいんだ?)
師匠から魔法を教わって完璧だと思っていたけど意外に魔法の知識や能力は穴だらけなのかもしれないな。
これから基礎もちゃんと勉強しておこう。
「さ、アレク様、手が止まってますわよ?」
「あ、うん、ありがとう」
僕はアイリーンに促されたため、かき混ぜ棒を手に持って鍋の中をかき混ぜた。
(ま、今更考えても仕方ないよな。今から覚えれば良いだけだし)
僕は気持ちを切り替えて魔力を込めながら真剣に棒でかき混ぜた。
まぜまぜ。
まぜまぜ。
まぜまぜ。
ひたすら混ぜること20分。
(け、結構退屈だな・・・)
早く終わってくれないかな。
と僕が面倒臭そうにポーションを作っているとフラン先生が声をかけた。
「そろそろ出来上がりますね。もう少しで色が変わりますので色が変わったら隣りの瓶に移してください」
フラン先生がそういうと本当にすぐ色が変わってきた。慌てて鍋を火から離して瓶に出来立てのポーションを移した。
アイリーンの方も無事出来たようで出来立てポーションはなめらかな薄緑色で少し光っていた。
あれ?僕のポーションはなんか黄色っぽい?
失敗したのか?
「ポーションが冷めたら蓋を閉めて完成です」
そしてフラン先生は胸ポケットからスポイトを取り出すと、アイリーンの出来立てポーションの効能検査を始めた。
なにやらリトマス試験紙のようなものにポーションを垂らしている。
フラン先生は手に持ったカラーパレットを見ながら二人の作ったポーションの効能がどのあたりかを見ているのだ。
アイリーンは高位ポーションだったみたいでフラン先生が「スゴイです!」と褒めていた。
「次はアレク王子のポーションですね。それでは色のチェックを、って、あれ?この色は何なのかしら」
僕の作ったポーションはカラーパレットには載っていないようだ。
フラン先生があれ?みたいな顔をしている。
そして本棚にある他の資料などをもってきては色々調べはじめた。
そして一冊の古い魔導書の本を読んでいる時にようやく答えが見つかったようだ。
「これは!?」
答えを見つけた時、フラン先生は何やら興奮しており、一人だけ大騒ぎしている。
「ひ、ひょっとして、これは、万能治療薬、エ、エリクサーと呼ばれる伝説の秘薬かもしれません・・・」
「は?」
「え?」
「ちょっと他の先生方に確認してみないと分かりませんが、伝説のエリクサーについて書かれている資料にはこのアレク王子が作られたポーションの色と同じ色をしています」
(マジか!)
いきなり言われても実感がわかないな。
アイリーンは興奮して「アレク様!素晴らしいですわ!」と騒いでくれた。
そんなアイリーンも可愛い。
「アレク王子、よろしければこの薬をこちらで預かってもよろしいですか?」
「あ、はい、良いですよ」
「あっ、ありがとうございます!それでは結果が分かり次第お伝えさせていただきますね」
そう言ってフラン先生はアレクの手作りポーションを鍵付きの棚に入れた。
そして三日後、
アレクは伝説の薬を作る薬師として新しく魔法師の名簿に登録されるのであった。
さて、本日よりいよいよ魔法の授業が始まる。
ガルシア師匠の話では入学した最初の頃などは魔法の授業といっても座学のみで、普通なかなか魔法を使わせてもらえないらしい。
ここで我慢して魔法の基礎論を学んでおけば、しばらくしてようやく簡単な魔法を使う実技が始まるそうだ。
ただやはり例外というのはあるそうで、僕とアイリーンは一年生でありながら魔法は群を抜いており、なんと上級レベルにまで達しているため最初の授業は免除となった。
そのかわり僕らは別枠で特別授業として自分たちの魔法属性に合った魔法師のもとで個別指導を受けることになった。
ちなみに僕の護衛騎士でありながら、先日アイリーンに弟子入りしたサラは魔法が苦手だったために一学年(貴族)必須科目である魔法基礎理論の授業を泣く泣く受けている。
アイリーンと一緒に受けられなくて残念だったそうだ。
サラの奴、一応は僕の護衛騎士のはずなんだけど、そこんとこどうなんだろう。
あまり自覚がなさそうだから機会があったら父上に相談してみようかな。
さて、僕とアイリーンの二人は個別指導を受けるべく魔塔と呼ばれる魔法科の特別校舎に来ていた。
魔法科の校舎は学園の本校舎から少し離れたところにあり五角形の建物が特徴らしい。
ここでは共通の魔法授業や魔法のみ使える修練場があり、サラが魔法の授業を受けている校舎はここ。アイツは今頃魔法の授業がわからなくて涙を流しているか、それとも眠たくなって教科書によだれを垂らしているかのどちらかだろうね。
まあいいや。
ちなみに今日の僕は最高の気分である。
なぜかと言うと、なんとアイリーンと一緒に魔法の授業を受けられることになったのだ。
しかも二人だけ、
ふへへ、
サラが一緒にいなくて本当に良かった。
ふふ。
僕とアイリーンだけ特別授業なんだってさ。
ふへへ。
五角形の校舎には、校舎を中心に五つの角にそれぞれ高くそびえる塔が建っていた。
その塔は「魔塔」と呼ばれていて、魔塔は魔法師たちの研究機関となっているそうだ。そして各魔塔には魔法属性の頂点に立つ魔塔主たちがそれぞれの魔塔を運営・管理していると師匠は言っていた。
一応僕は全属性の魔法を扱えるんだけど、アイリーンが水の魔法属性の持ち主なのでアイリーンと共に授業を受けたい僕は水属性魔法の授業を受けることにしたのだ。
そして僕たちは今特別授業を受けるべく「水の魔塔」へ向かっていた。
水の魔塔というのは見た目も分かりやすく水色の建物だった。
天空に届くかと思えるほど空高く長く伸びた塔は多分50階ぐらいはあるんじゃないだろうか。
ちなみに塔のてっぺんまで見上げたら首が痛くなった。
そうこうしているうちに塔の中に入ると、一階の中央には大きな噴水があり、たくさんの水玉がふわふわと浮かびながら円を描いて噴水の周りをまわっている。
水玉は外の光に反射してキラキラと輝いていて本当に綺麗だ。
「アレク様!噴水がとても綺麗ですわ!」
「そうだね」
いかにもファンタジーな景観に僕のテンションは爆上がりだ。まるでディ◯ニー映画のような光景がとても素敵で僕は思わず感動してしまった。
アイリーンは噴水に近づくと水玉に触れたりして遊んでいた。
なんとも美しく微笑ましい光景だろうか。
ここにカメラがあったら良いのに・・・。
仕方ないので僕はとびきり美しい今のアイリーンの姿を脳内フィルムに永久保存しておいた。
そしてそんなところに二人を迎えに来たであろうフラン先生がやってきた。
「えーと、アレク王子とアイリーンさん、ようこそ水の魔塔へ」
「あれ?フラン先生が担当なんですか?たしか先生は初級魔法の授業を担当されてましたよね?」
「あ、ええ、はい、そうだったんですけど、今回、特別というか、なんというか、とりあえず私がお二人の魔法の担当者として決まりましたので、あの、その、どうぞよろしくお願いします」
なんとなくしどろもどろな先生の対応にどことなく不安を抱いてしまう。
しかし今は他に授業を受けられるわけでもないのでフラン先生の言うとおりにするしかない。
「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします」
僕はアイリーンと一緒にフラン先生に向かってペコリとお辞儀した。
「それではあなたたちを私の研究室に案内しますね」
フラン先生はそう言って水の魔塔を案内してくれた。
魔塔は中心に螺旋状の階段があり、各々ラボと呼ばれる魔法師専用の研究室がある。フラン先生の後をついて行く二人はその階段を登りに登って、二十階あたりでようやくフラン先生の研究室にたどり着いた。
「これ、何階まであるんだろ?」
「そうですね、おそらく50階ほどかと思います」
「え!?そんなにあるの?」
「ええ、結構な数の魔法師がいますからね、宮廷魔法師の研究室もここにありますから」
「へええ!それはすごいですね!」
フラン先生と話しながら研究室に移動すると、僕たちの目の前には、扉に可愛らしい黄色の花の木札にフラン先生の名前が彫ってある。
なんともファンシーな雰囲気の扉なのだろう。正直ちょっと入り難い。
「さあ着きましたよ」
扉を開けると部屋の中は書類の束と本がそこらじゅうに積み上がっており、なにやら理科室で見た事のあるようなビーカーとフラスコみたいな実験用の道具などが作業台の上に乱雑に置かれている。
僕の前世の記憶では魔女が大釜でなんか怪しい薬みたいのを作っている時の雰囲気に良く似ている。
「ち、ちょっと散らかっていますけど、どうぞ入ってくださいね」
え?ちょっと?これで?
フラン先生はゴミ屋敷ならぬゴミ研究室に入るや散らかった資料やら本やらをとにかくかき分けながらつき進んでいた。
仕方なく僕とアイリーンも共にフラン先生の後をついて行く。
フラン先生は積み上がった本の台となっていた丸椅子を二つ取り出してアレクとアイリーンの前に用意した。
「それじゃあ、二人ともこの椅子に座ってください」
僕は言われてそのまま座ったが、アイリーンはハンカチの椅子の上にのせてから慎ましく座っていた。
たしかに椅子には埃がついていたようで僕のお尻はすでに埃で真っ白になっていた。
「そ、それでは授業をはじめます。まずはポーションの作り方から始めましょう」
「え?ポーションですか?」
「はい、水属性の魔法師の多くはまずポーション作りから始まります」
「そうなんですね」
おかしいな、ガルシア師匠からポーション作りを教わったことないんだけど、・・・どういうことだろう。
「それでは手順を説明します。まず薬草を煮出して魔力を込めながら掻き混ぜます。そして薬の色が変わったら瓶に移して終了です」
「あ、はい」
僕とアイリーンはいきなりポーション作りの実習に取りかかることになった。
しかし意外だったな。
ガルシア師匠の指導は、今思えばやっぱりスパルタだったんだろう。
たとえば水魔法といえばホースのように水をドバドバと出す修行をしたり、
大きな火の球を延々とつくりつづけたり、
風魔法で洗ったばかりのシーツを乾かせられたり、土魔法でゴーレム造らせられたりしたんだよな。
そのせいで魔法の修行イコール攻撃魔法の訓練というイメージが先行してしまったのは仕方ないことだと思う。
まさか水魔法の基礎がポーション作りだとは思いもしなかった。
フラン先生の説明の後、アイリーンはフラン先生が用意してくれた実験用ビーカーと小さな鍋、そしてかき混ぜ棒と薬草などの用意された道具の確認した。
そしてフラン先生の指導を受けながらポーション作りを始める。
まず鍋に水を入れ、アルコールランプに火をつける。
薬草を手でちぎりながら鍋に入れてそれからはずっと魔力を込めながらかき混ぜるだけだ。
ただアイリーンは以前から何度かポーション作りをしたことがあるらしく魔力の込め方も安定していて手慣れた感じで作っていた。
僕もアイリーンのやり方を見ながら真似するように作ることにした。
(これって初歩レベルの実習なんだよな)
そういえば学園に入学する前は上位魔法の訓練ばかりやらされてたな。
今になってこんな初歩レベルの魔法をしてこなかったなんて、内心、複雑な思いだ。
(師匠の修行ってどこまでが正しいんだ?)
師匠から魔法を教わって完璧だと思っていたけど意外に魔法の知識や能力は穴だらけなのかもしれないな。
これから基礎もちゃんと勉強しておこう。
「さ、アレク様、手が止まってますわよ?」
「あ、うん、ありがとう」
僕はアイリーンに促されたため、かき混ぜ棒を手に持って鍋の中をかき混ぜた。
(ま、今更考えても仕方ないよな。今から覚えれば良いだけだし)
僕は気持ちを切り替えて魔力を込めながら真剣に棒でかき混ぜた。
まぜまぜ。
まぜまぜ。
まぜまぜ。
ひたすら混ぜること20分。
(け、結構退屈だな・・・)
早く終わってくれないかな。
と僕が面倒臭そうにポーションを作っているとフラン先生が声をかけた。
「そろそろ出来上がりますね。もう少しで色が変わりますので色が変わったら隣りの瓶に移してください」
フラン先生がそういうと本当にすぐ色が変わってきた。慌てて鍋を火から離して瓶に出来立てのポーションを移した。
アイリーンの方も無事出来たようで出来立てポーションはなめらかな薄緑色で少し光っていた。
あれ?僕のポーションはなんか黄色っぽい?
失敗したのか?
「ポーションが冷めたら蓋を閉めて完成です」
そしてフラン先生は胸ポケットからスポイトを取り出すと、アイリーンの出来立てポーションの効能検査を始めた。
なにやらリトマス試験紙のようなものにポーションを垂らしている。
フラン先生は手に持ったカラーパレットを見ながら二人の作ったポーションの効能がどのあたりかを見ているのだ。
アイリーンは高位ポーションだったみたいでフラン先生が「スゴイです!」と褒めていた。
「次はアレク王子のポーションですね。それでは色のチェックを、って、あれ?この色は何なのかしら」
僕の作ったポーションはカラーパレットには載っていないようだ。
フラン先生があれ?みたいな顔をしている。
そして本棚にある他の資料などをもってきては色々調べはじめた。
そして一冊の古い魔導書の本を読んでいる時にようやく答えが見つかったようだ。
「これは!?」
答えを見つけた時、フラン先生は何やら興奮しており、一人だけ大騒ぎしている。
「ひ、ひょっとして、これは、万能治療薬、エ、エリクサーと呼ばれる伝説の秘薬かもしれません・・・」
「は?」
「え?」
「ちょっと他の先生方に確認してみないと分かりませんが、伝説のエリクサーについて書かれている資料にはこのアレク王子が作られたポーションの色と同じ色をしています」
(マジか!)
いきなり言われても実感がわかないな。
アイリーンは興奮して「アレク様!素晴らしいですわ!」と騒いでくれた。
そんなアイリーンも可愛い。
「アレク王子、よろしければこの薬をこちらで預かってもよろしいですか?」
「あ、はい、良いですよ」
「あっ、ありがとうございます!それでは結果が分かり次第お伝えさせていただきますね」
そう言ってフラン先生はアレクの手作りポーションを鍵付きの棚に入れた。
そして三日後、
アレクは伝説の薬を作る薬師として新しく魔法師の名簿に登録されるのであった。
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