転生したら王子だったけど僕だけ前世のまま(モブ顔)だった( ゜д゜)

あんこもっち

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学園編

エリクサーの完成③

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エリクサー制作が難航し、解決のためのグループディスカッションが始まった。

そんな時、フラン先生の何気ない提案によって皆の表情が一気に固まった。

シンと鎮まる実験室でフラン先生がころころと鈴のような声色でなんとも恐ろしいことを言ってきたのだ。

フラン「全属性のアレク王子の体の一部を切り取って液体に混ぜると良いかもしれません」

「はい?」

急に危ない発言をするフラン先生に僕は距離を取った。

「フラン先生!アレク王子に対して不敬ですわ!」

アイリーンが僕を庇うように前に出てフラン先生を抗議する。マジ女神!

フラン「でもぉ、人類の為に犠牲はつきものですよ?それに体の一部を切ったところでここにあるエリクサーを飲めばまた新しいのが生えてくるじゃないですかぁ」

アレク「いやいや!トカゲじゃあるまいし、体の一部を毎回切り刻んで使ってたら身がもちませんて!いつも体の一部がなくともエリクサーを作っていたじゃないですか!」

フラン先生の異変の妄言に僕は焦りを感じ、額には一雫の冷や汗が流れる。

フラン「んー、ですよねぇ、でもぉ、せめて爪とか、髪だけでもぉ、ダメですかぁ?」

フラン先生が可愛らしく上目遣いで見つめてくる。しかも大きな胸を寄せ上げて僕に近づいてきた。

(む、胸が・・・)

アイリーン「は、破廉恥ですわ!」

アイリーンが僕の前に立ってフラン先生のハニートラップから僕を護ってくれた。しかし、そのせいで僕はフラン先生の胸を見ることも叶わず、アイリーンの後ろ姿しか見えない。

(あー、む、胸がー)

残念無念とはこのことだ。
僕は必死になってフラン先生を見ようと少しだけ体を上下左右にぐるぐると円を描くように動かしてみた。するとアイリーンは僕の動きに合わせて身体をぐるぐると回してきた。

まるで昔流行ったエグ◯イルのダンスのように僕とアイリーンはしばらくの間ぐるぐると回り続けた。

結局フラン先生の御姿は見ること叶わず、ただアイリーンの背中しか見えない。

純粋ピュアなパロムは顔を赤くして目を逸らしていた。

ジョージとアランは目を♡にしながら鼻の下をのばしており、二人の視線はフラン先生の大きな胸に釘付け状態になっている。

「やれやれですわ」

ローズマリアは呆れている。

アレク「わ、わかりましたよ!はい!これならいいでしょ?」

僕は自棄になってしまい髪を一本引き抜いてフラン先生に渡した。フラン先生は両手で僕の毛を受け取って、なぜかありがたそうに拝んでいる。

フラン「あ!ありがとうございますぅ!」

フラン先生は嬉々として空の瓶を取り出すと僕の髪の毛を一本入れた後に何やら新しい液体を入れ始めた。

フラン先生は瓶をよく振って出てきた色をカラーパレットを見ながらうんうんと言って調べ始めた。

アイリーン「先生それは何ですの?」

フラン「これはアレク王子の魔法属性を識別する薬ですぅ、とりあえず聖属性反応を調べましたぁ」

アイリーン「どうなんですか?」

フラン「そうですねぇ、やはりアレク王子は完全なる聖属性の持ち主ですねぇ、アレク王子、今度は闇属性を調べるのでぇ、もう一本髪の毛をくださぁい」

アレク「え?また?」

フラン「はい!お願いしまぁす♡」

フラン先生は嬉しそうに僕に頼み込んできた。

もうさすがに断れる雰囲気ではないためしぶしぶと髪を一本引き抜いてフラン先生に渡した。

フラン先生はまた嬉しそうに空の瓶を取り出して僕の髪の毛を入れ、次の溶液を入れ始める。

今度は瓶の中の液体が濃い紫色に変化する。

フラン「ここまで完全な闇属性の色は初めてみましたぁ!さすがはアレク王子ですぅ!」

アレク「はは・・・」(乾いた笑い)

2本毛を犠牲にしたせいか、フラン先生の喜ぶ姿も可愛いが何故かあまり嬉しくない。

フラン「それではもう一度エリクサーを作ってみますのであと5本ぐらい髪の毛をくださいねぇ♡」

アレク「ご、5本?」

フラン「はい!5本でぇす!」

うふふと嬉しそうにフラン先生は簡単に頼んでくる。

(こ、この先生は危険だ・・・)

そのうち髪の毛が無くなるまで実験に付き合わされそうだ。

僕はフラン先生のマッドサイエンティスト属性に改めて恐怖した。

フラン「さあ!みんな始めましょう!」

アイリーンとジョージ、パロムは気の毒そうに僕を見てくる。
ローズマリアは綺麗な顔を扇子で隠しており、どうやら笑いを堪えているようだ。

アランなどは笑いすぎて呼吸困難になっていた。そのまま窒息死してしまえば良いのに。

ああ、

あの可愛かったはずのフラン先生の笑みが今は怖くて仕方ない。

しかし僕にはもう実験に付き合うことしか選択肢は無いようだ。

(ええい!もうヤケだ!)

僕は泣く泣く5本髪の毛をむしりフランに渡す。

そのうち10円ハゲになりそうだ。

円形脱毛の王子にはなりたくはないな。

もうこれで実験が終わってくれと心から祈る。

(ほんと頼む!これで実験が成功してくれ!)

まぜまぜ、

まぜまぜ、

まぜまぜ、

僕の真剣な祈りが届いたか、今度はさっきと違う色で液体が光り輝いた。

フラン「こ、これは!」

カラーパレットを見ながらフラン先生は興奮し出した。

フラン「え、エリクサーですぅ!やりましたぁ!せ、成功ですぅ!」

なんと僕の真剣な祈りが届いたのか!

神様!ありがとう!!

やったよ!とうとう皆の魔力によってエリクサーが作れるようになった!

僕の髪の毛によって作られるエリクサーなんてなんとも微妙なんだけどね。

こうしてエリクサー制作の実験は成功した。

フラン先生はアーシェラ学園長に報告して、ひとまず次の魔法師の会議でエリクサー作成の報告をすることとなった。



後日、


「アレク王子ぃ!!今度の会議で報告するのにまた王子の髪の毛を貸してくださぁい!」

またもやフラン先生がやって来て泣きながら無理を頼み込んでくる。

「貸せと言われても髪の毛を貸すことなんて出来ませんよ」

「えぇ?また生えてくるから良いではないですかぁ!」

「いや、だからまた生えるまで時間がかかるでしょうが!」

「でも100本ぐらい良いじゃないですかぁ」

「いやいや、100本も抜けませんて」

「エリクサーを飲めば生えてくるんじゃないですか?」

「エリクサーは毛生え薬じゃありませんよ」

「そ、それじゃあ、わ、私の胸でも何でも触らせてあげますからぁ!」

「え?」

僕の髪の毛という尊い犠牲を必要とするも、エリクサーさえ完成させられるのであれば手段は選ばないフラン先生は対価として自身の胸を触らせてもよいというなんとも素晴らしい条件を出してきた。

僕は悩むフリをしてみたが、すでに本能には抗えず、ついフラン先生の胸を凝視してしまう。

僕はフラン先生のご立派な双丘の谷間を前にして悟ったのだ。

これは本能的に抗えるものではないと。

条件?いやいやこれは単なるご褒美、サービスじゃあるまいか。

フッ、

僕の心はすでに決まった。

「それなら・・・」

コホン、

「何を触らせるですって?」

ん?

僕は背後から漂ってくる鬼気森然が迫るような気配を感じ取った。

振り向くとアイリーンが何やら黒いオーラを放ちつつ優しく微笑んでいる。

「ア、アイリーン?」

背後から歩み寄るアイリーンからは凍てつくような冷気がピリピリと僕の全身に伝わってくる。

これは闇魔法?いや氷魔法の方だろうか。どちらにせよ僕の命に危機が迫っていることには違いない。

・・・ヤバ。

「アレク様?先程からちゃんとお断りしていたのに、何故急に沈黙されていたのですか?」

「い、いや、か、髪の毛ならまた生えてくるから大丈夫かなと・・・え、えへへ」

「へえ、それではわたくしがこの短剣でその髪を切って差し上げようかしら」

アイリーンは腰にある短刀の鞘を抜き、ゆらりと構え出す。

殺気に近い重圧を感じた僕はさっきからずっと冷や汗が止まらない。

もはや蛇に睨まれた蛙のようだ。

「アイリーン!ま、待った!待ってくれ!」

「アレク様?あまり動かれると危ないですわ。髪だけではなくてその首にまで刃が及ぶかもしれませんわよ?」

「ひぃぃ!!ア、アイリーン!ゆ、許して!ほ、ほんの出来心だったんだ!」

「問答無用ですわ!そんなに役に立ちたいならばハゲになるまで毛を差し出すことですわ!」

フラン「そうですぅ♪禿げても大丈夫ですよ♪」

「いや、大丈夫じゃないでしょ!」

僕はアイリーンの振り回す短剣を必死に避けた。

「アレク様!逃げていては髪の毛が手に入らないではありませんか」

「そうですぅ!男の子なら二言はありませんよぉ!はやく髪の毛くださぁい!」

「か、勘弁してくれー!!!」

いきなりの修羅場に遭遇したアレクの悲痛の叫びは水の魔塔の全てのフロアに響き渡った。

この後、アレクの元には学園から正式にエリクサー作成のため週に100本ほど髪の毛を提供してほしいという申請書、いや、ある意味、脅迫状みたいな書状が届いたのである。

アレクは今回の件でフラン先生が真性のマッドサイエンティストなのだと心底理解した。

またアイリーンの嫉妬とはかくも恐ろしいものであるのかということを身を以て知るのであった。
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