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十四話⑤
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「チャームだと……!?他者を強制的に魅了するサキュバスの固有魔法……貴様魔物か!?」
「いいや?私は人間さ、半分サキュバスなだけのね」
「サキュバスと人間のハーフ……?そんなものがあり得るか!!」
スリーシャは嘲るようにクスクスと笑い始めた。
「そう、本来ならあり得ない魔物と人間のハーフ。それがこの私さ!!私のチャームにかかれば男はもちろん、女だってイチコロさ」
そう言って、スリーシャは私の方をチラリと見た。そしてゴランさんに向き直ると、感心したようにフッと息をついた。
「しかし私のチャームを喰らって、そんなに正気を保てるなんてねぇ、なかなかの精神力じゃないか。気に入ったよ」
「麓の冒険者達がお前に従っていたのはそう言うことだったのか」
「そうさね、私にチャームをかけられた人間は私に好かれようとどんな命令でも聞いてくれるのさ、麓に配置しとけば、お前らはそう簡単に手出しできないからね」
「つくづく卑怯な奴だな貴様は……!!!」
「吠えたところでもう遅いよ、あんたはもう、私の虜になっちまったんだからね」
そう言うとスリーシャは、ゴランさんの頬を愛撫するように優しく触れた。
その瞬間、ゴランさんの体が震えだした。歯を食い縛り、必死に何かに耐えているようだった。
「健気だねぇ、あんたみたいなヤツを屈服させるのが一番興奮するよ」
「離れろ下郎め……!」
スリーシャは鼻先が触れそうなほどゴランさんに顔を近づけると、勝利を確信したように笑った。
「チャーム」
二度目のチャームをかけられたゴランさんは手をダラリと脱力させ、表情からも覇気が消えていった。
「アハハハ!ゴールドプレートとやらも、私にかかればこんなもんさ!」
「さすがですボス!」
「イチコロでしたね!」
山賊達が口々にスリーシャを褒め称え始めた。
おだてているのではなく、彼らもチャームによってスリーシャを崇めさせられているのだ。
「それにしても今回は、予想外の品物が手に入ったねぇ……」
スリーシャは私の方に踵を返し歩み寄ると、私の顔をまじまじと見つめた。
「魔物使いをモノにできるなんてねぇ、私は魔物を使役できないから助かったよ」
そのままスリーシャはセイちゃんを見上げると、ゴクリと息を飲んだ。
「しかも連れてる魔物がこんな上玉だなんて……フフフ……アーッハッハッハ!世界は私を中心に回ってるんだよ!」
スリーシャは高らかに笑った。まるで世界を手にした魔王のように禍々しい笑い声だった。
「まぁ魔物は獣クサイから拠点の外にでも置いとこうかね、魔物使いの方は私のそばに置いてコキ使ってやっ……ヘブッ!?」
私の放った平手打ちをまともに受け、スリーシャは地面に倒れ伏した。
信じられないといった目付きで私の方を見上げている。
「なっ……なんで!?私のチャームを食らって、何で私に攻撃できるの!?」
「何でって……私が猫ちゃん以外に靡くわけ無いでしょうが!」
高らかに宣言した私を、スリーシャが呆然として見上げていた。
「いいや?私は人間さ、半分サキュバスなだけのね」
「サキュバスと人間のハーフ……?そんなものがあり得るか!!」
スリーシャは嘲るようにクスクスと笑い始めた。
「そう、本来ならあり得ない魔物と人間のハーフ。それがこの私さ!!私のチャームにかかれば男はもちろん、女だってイチコロさ」
そう言って、スリーシャは私の方をチラリと見た。そしてゴランさんに向き直ると、感心したようにフッと息をついた。
「しかし私のチャームを喰らって、そんなに正気を保てるなんてねぇ、なかなかの精神力じゃないか。気に入ったよ」
「麓の冒険者達がお前に従っていたのはそう言うことだったのか」
「そうさね、私にチャームをかけられた人間は私に好かれようとどんな命令でも聞いてくれるのさ、麓に配置しとけば、お前らはそう簡単に手出しできないからね」
「つくづく卑怯な奴だな貴様は……!!!」
「吠えたところでもう遅いよ、あんたはもう、私の虜になっちまったんだからね」
そう言うとスリーシャは、ゴランさんの頬を愛撫するように優しく触れた。
その瞬間、ゴランさんの体が震えだした。歯を食い縛り、必死に何かに耐えているようだった。
「健気だねぇ、あんたみたいなヤツを屈服させるのが一番興奮するよ」
「離れろ下郎め……!」
スリーシャは鼻先が触れそうなほどゴランさんに顔を近づけると、勝利を確信したように笑った。
「チャーム」
二度目のチャームをかけられたゴランさんは手をダラリと脱力させ、表情からも覇気が消えていった。
「アハハハ!ゴールドプレートとやらも、私にかかればこんなもんさ!」
「さすがですボス!」
「イチコロでしたね!」
山賊達が口々にスリーシャを褒め称え始めた。
おだてているのではなく、彼らもチャームによってスリーシャを崇めさせられているのだ。
「それにしても今回は、予想外の品物が手に入ったねぇ……」
スリーシャは私の方に踵を返し歩み寄ると、私の顔をまじまじと見つめた。
「魔物使いをモノにできるなんてねぇ、私は魔物を使役できないから助かったよ」
そのままスリーシャはセイちゃんを見上げると、ゴクリと息を飲んだ。
「しかも連れてる魔物がこんな上玉だなんて……フフフ……アーッハッハッハ!世界は私を中心に回ってるんだよ!」
スリーシャは高らかに笑った。まるで世界を手にした魔王のように禍々しい笑い声だった。
「まぁ魔物は獣クサイから拠点の外にでも置いとこうかね、魔物使いの方は私のそばに置いてコキ使ってやっ……ヘブッ!?」
私の放った平手打ちをまともに受け、スリーシャは地面に倒れ伏した。
信じられないといった目付きで私の方を見上げている。
「なっ……なんで!?私のチャームを食らって、何で私に攻撃できるの!?」
「何でって……私が猫ちゃん以外に靡くわけ無いでしょうが!」
高らかに宣言した私を、スリーシャが呆然として見上げていた。
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