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十四話⑧
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「オラオラどぉしたぁ!!」
外に出てすぐに、ゴランさんの怒声が響き渡った。
テンション上がりすぎて、オラオラ系のヤンキーみたいな口調になってる。
猫ちゃん達の方は……。
「フハハハ!我を討たんとする者はもう居らんのか!?来ないならこちらから行くぞ!!」
まだノリノリなセイちゃんは、山賊の塊を駆け抜けては近くの人間を噛んでは投げ、噛んでは投げを繰り返している。
マグちゃんと金ちゃんは……あ、隅の方に居る。
飽きちゃったのかマグちゃんと金ちゃんは壁の側に腰を降ろしていた。
時折アクビをしつつも、たまに襲ってくる山賊を迎撃している。ケイ2もマグちゃんと金ちゃんの側で奮戦していた。
しかし驚いたことに、山賊の数があまり減っていないのだ。セイちゃんやゴランさんによってそう浅くない傷を受けているのに、まるでゾンビのように立ち上がってくるのだ。
両腕が折れている者、胸から横っ腹にかけて大きな刀傷を受けているもの、眼球が飛び出している者まで立ち上がってくる。
そして一様に、
「スリーシャ様のため……スリーシャ様のため……」
と呪文のようにブツブツ唱えながら、襲ってくるのだ。
際限無く迫ってくる山賊の波に、ゴランさんの顔にも疲労が浮かんでいる。
ゴランさんはまぁ最悪死んでもいいとしても、こんなにゾンビみたいな奴らにずっと襲われてたら、猫ちゃん達が怪我をするかもしれない。
さっさと終わらせて、猫吸い補給したいけど、さてどうしようかな。
よし、供給源を絶とうか。
彼らのヤル気の源を探して周囲を見渡すと、置くの方で縮こまっているスリーシャを見つけた。
私は山賊の塊をまっすぐに切り抜け、逃げ惑うスリーシャの髪を掴んで引き留めた。
「痛い痛い痛い!何すんのよ!!」
「コイツらにかけてるチャームを解いて」
「嫌よ!そんなことしたら、私の兵隊が居なくなっちゃうじゃない!」
「そんなこと言って良いのかなぁ?」
私がスッと手を振り上げると、スリーシャはビクリと体を振るわせた。
DV彼氏を持つ女の子のように恐怖で顔を歪ませている。
「分かりました!解除しますから!」
最初の妖艶なキャラからは想像もつかない情けない声でそう言うと、スリーシャは指をパチンと鳴らした。
その直後、山賊達の動きがピタリと止まった。
「え?俺ら……何でこんなとこに居るんだ?」
困惑の声が上がったのも束の間、
「イッテェェェェェ!」
「ウギャァァ!俺の腕がぁ!!」
「え!?え!?俺の目どうなってんのこれ!?」
至るところから悲鳴が響く。
チャームの効果で麻痺していた痛覚が一気に流れ出したのだろう。
私はその隙にスリーシャを小脇に抱え、セイちゃんの元に走った。
「マグちゃん金ちゃん!ゴランさん達!今のうちに帰るよ!」
私たちは一斉にセイちゃんの背に飛び乗り、山賊達の地獄絵図となっている広場を抜け、一気にカツケェロ山を跡にした。
外に出てすぐに、ゴランさんの怒声が響き渡った。
テンション上がりすぎて、オラオラ系のヤンキーみたいな口調になってる。
猫ちゃん達の方は……。
「フハハハ!我を討たんとする者はもう居らんのか!?来ないならこちらから行くぞ!!」
まだノリノリなセイちゃんは、山賊の塊を駆け抜けては近くの人間を噛んでは投げ、噛んでは投げを繰り返している。
マグちゃんと金ちゃんは……あ、隅の方に居る。
飽きちゃったのかマグちゃんと金ちゃんは壁の側に腰を降ろしていた。
時折アクビをしつつも、たまに襲ってくる山賊を迎撃している。ケイ2もマグちゃんと金ちゃんの側で奮戦していた。
しかし驚いたことに、山賊の数があまり減っていないのだ。セイちゃんやゴランさんによってそう浅くない傷を受けているのに、まるでゾンビのように立ち上がってくるのだ。
両腕が折れている者、胸から横っ腹にかけて大きな刀傷を受けているもの、眼球が飛び出している者まで立ち上がってくる。
そして一様に、
「スリーシャ様のため……スリーシャ様のため……」
と呪文のようにブツブツ唱えながら、襲ってくるのだ。
際限無く迫ってくる山賊の波に、ゴランさんの顔にも疲労が浮かんでいる。
ゴランさんはまぁ最悪死んでもいいとしても、こんなにゾンビみたいな奴らにずっと襲われてたら、猫ちゃん達が怪我をするかもしれない。
さっさと終わらせて、猫吸い補給したいけど、さてどうしようかな。
よし、供給源を絶とうか。
彼らのヤル気の源を探して周囲を見渡すと、置くの方で縮こまっているスリーシャを見つけた。
私は山賊の塊をまっすぐに切り抜け、逃げ惑うスリーシャの髪を掴んで引き留めた。
「痛い痛い痛い!何すんのよ!!」
「コイツらにかけてるチャームを解いて」
「嫌よ!そんなことしたら、私の兵隊が居なくなっちゃうじゃない!」
「そんなこと言って良いのかなぁ?」
私がスッと手を振り上げると、スリーシャはビクリと体を振るわせた。
DV彼氏を持つ女の子のように恐怖で顔を歪ませている。
「分かりました!解除しますから!」
最初の妖艶なキャラからは想像もつかない情けない声でそう言うと、スリーシャは指をパチンと鳴らした。
その直後、山賊達の動きがピタリと止まった。
「え?俺ら……何でこんなとこに居るんだ?」
困惑の声が上がったのも束の間、
「イッテェェェェェ!」
「ウギャァァ!俺の腕がぁ!!」
「え!?え!?俺の目どうなってんのこれ!?」
至るところから悲鳴が響く。
チャームの効果で麻痺していた痛覚が一気に流れ出したのだろう。
私はその隙にスリーシャを小脇に抱え、セイちゃんの元に走った。
「マグちゃん金ちゃん!ゴランさん達!今のうちに帰るよ!」
私たちは一斉にセイちゃんの背に飛び乗り、山賊達の地獄絵図となっている広場を抜け、一気にカツケェロ山を跡にした。
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