還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase

文字の大きさ
5 / 7

第五章:家族の輪

しおりを挟む
時が経つにつれ、街で子供たちの姿を見かけると、和子はつい微笑んでしまうことがあった。公園でボールを追いかける少年、母親の手を握って歩く幼い姉妹——そんな光景を見るたびに、ふと「もしも」という思いがよぎった。

ある日、二人で夕食をとりながら、健太が慎重に口を開いた。

「和子、里親になること…考えたことある?」

和子は箸を止めた。確かに、子供を授かることはできないが、里親制度なら可能性がある。彼女の胸に小さな希望が灯ったが、すぐに現実がそれを消し去った。

「…私の年齢を考えると、難しいわよね。里親になるには、まだ子供が成人するまで面倒を見られる年齢制限があるし」

健太はうなずいた。  
「調べてみたんだ。実際、和子ばかり負担がかかると思う。ごめん、そんなこと持ち出して」

「いいのよ。考えてくれてありがとう」  
和子は健太の手にそっと触れた。  

和子には前の夫との間に、二人の子供がいた。長男の拓也と長女の由美。それぞれ家庭を持ち、拓也には小学生の息子と娘が、由美には幼稚園児の娘がいた。離婚後、子供たちとの関係はぎくしゃくしていた。彼らは母の選択を理解しようとしながらも、完全には受け入れられていないようだった。特に拓也は、母親が自分より若い男性と再婚したことに、複雑な思いを抱いているようだった。

それを察していた健太は、ある日、和子に内緒で行動を起こした。拓也と由美それぞれに連絡を取り、直接会いたいと申し出たのだ。

最初は警戒していた子供たちだったが、健太の誠実な態度に次第に心を開いていった。彼は自分の生い立ち、仕事、そして和子に対する思いを包み隠さず話した。

「僕は和子さんを心から愛しています。彼女を幸せにすることが、僕の生きがいです」
「お二人には、長年育ててくれた母親として、感謝の気持ちを伝えたいです。どうか、これからも和子さんと良い関係を築いていただけませんか」

健太は深々と頭を下げた。その姿に、拓也も由美も心を動かされた。

「母が明るくなったのは、健太さんのおかげです」  
由美が静かに言った。  
「離婚した時は心配しましたが…今の母は、昔よりも生き生きしている気がします」

「俺も、母が幸せならそれでいい」  
拓也は少し照れくさそうに言った。  
「ただ、いきなり家族として接しろと言われても…時間がかかるかもしれない」

「それで十分です」  
健太は微笑んだ。  
「ゆっくりで構いません。ただ、和子さんがお二人やお孫さんたちに会いやすい環境を作りたいと思って」

それから数週間後、拓也から和子に連絡があった。

「母さん、今度の日曜日、家族で食事しない?健太さんも一緒に来てよ」

その言葉に、和子は涙が溢れた。長い間、修復できないと思っていた家族の絆が、少しずつではあるが、結び直されていくのを感じた。

最初の食事会は少しぎこちなかったが、回を重ねるごとに自然な会話が交わされるようになった。孫たちは最初「おじいちゃん?」と健太を不思議そうに見ていたが、彼が優しく接するうちに、すぐに打ち解けた。

「健太おじちゃん、これ見て!」
「高い高いして!」

健太は孫たちのリクエストに笑顔で応え、和子はその光景を温かい気持ちで見守った。彼女がずっと願っていた、家族の団らん——それが、思いがけない形で実現していた。

ある日、由美がこっそり和子に言った。

「母さん、健太さんから、私たちに会ってほしいって連絡があった時、最初はびっくりしたよ。でも、会って話してみて…母さんを本当に大切に想っているってわかった。だから、もう心配しない。母さん、幸せでいてね」

「ありがとう」  
和子は娘の手を握りしめた。  
「お母さん、今が一番幸せよ」

家族の輪が再び広がっていく。それは、健太の細やかな配慮と、子供たちの理解があってこそのものだった。和子は、この幸せがいつまでも続きますようにと、心から願った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

清掃員と僕の密やかな情状

MisakiNonagase
恋愛
都心のオフィスビルで働く会社員の26歳・高城蓮(たかぎれん)。彼の無機質な日常に唯一の彩りを与えていたのは、夕方から現れる70歳の清掃員・山科和子だった。 青い作業服に身を包み、黙々と床を磨く彼女を、蓮は「気さくなおばあちゃん」だと思っていた。あの日、立ち飲み屋で私服姿の彼女と再会するまでは――。 肉じゃがの甘い湯気、溶けゆく氷の音、そして重ねた肌の温もり。 44歳の年齢差を超え、孤独を分かち合った二人が辿り着いた「愛の形」とは。これは、一人の青年が境界線の向こう側で教わった、残酷なまでに美しい人生の記録。

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

還暦妻と若い彼 継承される情熱

MisakiNonagase
恋愛
61歳の睦美と、20歳の悠人。ライブ会場で出会った二人の「推し活」は、いつしか世代を超えた秘め事へと変わっていった。合鍵を使い、悠人の部屋で彼を待つ睦美の幸福。 しかし、その幸せの裏側で、娘の愛美もまた、同じ男の体温に触れ始めていた。 母譲りの仕草を見せる娘に、母の面影を重ねる青年。 同じ男を共有しているとは知らぬまま、母娘は「女」としての業(さが)を露呈していく。甘いお土産が繋ぐ、美しくも醜い三角関係の幕が上がる。

48歳主婦の宅建試験挑戦―そして年下彼がくれた勇気と恋

MisakiNonagase
恋愛
「お母さん」でも「奥さん」でもない、私の名前を呼び止めたのは、26つも年下の彼だった。 「48歳、主婦。私が手に入れたのは、資格(ライセンス)と、甘く切ない自由だった。」 スーパーのパートに明け暮れる平凡な主婦・中西京香、48歳。 目的もなく始めた宅建試験への挑戦が、枯れかけていた彼女の人生を激変させる。 インスタの勉強垢で出会ったのは、娘よりも年下の22歳大学生・幸正。 「不倫なんて、別の世界の出来事だと思っていた――」 そんな保守的で、誰より否定的な考えを持っていたはずの京香が、孤独な受験勉強の中で彼と心を通わせ、気づけば過去問演習よりも重い「境界線」を越えていく。 資格取得、秘めた大人の恋。そして再スタート、 50歳を迎えた彼女が見つけた、自分だけの「地平線」とは。 不動産、法学、そして予期せぬ情熱が交錯する、48歳からの再生と自立の物語。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

処理中です...