母の浮気に気づいた3世帯の娘の戦い

MisakiNonagase

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第六章:美玲(大学生21)の挑戦

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月曜日の午後、美玲は母・麗子と近所のカフェで向かい合っていた。麗子は美玲から「相談がある」と言われ、少し心配そうな表情を浮かべていた。

「どうしたの?大学で何か問題でも?」

「ううん、そうじゃなくて…」美玲はお茶のカップを弄りながら、言葉を選んだ。「お母さんのことなんだけど」

麗子の表情が少し硬くなった。「私のことがどうかしたの?」

「お母さん、最近楽しそうだね。何かいいことでもあったの?」

「そう?普通だけど」麗子はそっけなく答えた。

美玲は深呼吸をした。瑠華から教わった通り、直接的なアプローチを取ることにした。

「お母さん、浩一さんと会ってるんでしょ?」

麗子の手が止まった。カップがカチリと音を立てた。

「誰から聞いたの?」

「優子ちゃんの母が銀座で見かけたって。それから、他の人も六本木で二人を見たって」

麗子の顔が青ざめた。彼女は周りを見回し、声を潜めて言った。

「美玲、それは…」

「不倫だよ、お母さん」美玲の声は震えていた。「お父さんが知ったら、どんなに傷つくかわかってる?」

「あなたにはわからない…」麗子の目に涙が浮かんだ。「お父さんと私は、もう長い間、夫婦というより同居人みたいなものなの。会話もほとんどない。でも、浩一さんと会っている時だけ、昔の自分に戻れる気がする」

「それで浮気が許されるの?」美玲も泣き出しそうだった。「お母さん、家族を壊す気なの?」

麗子は長い間沈黙した。やがて、小さな声で言った。

「会うのをやめるわ」

「本当に?」美玲は母の目を見つめた。

「本当よ。でも…お願いがある。お父さんには言わないで。私からちゃんと話すから」

美玲は躊躇した。母の表情は真剣そうだったが、どこか弱々しくも見えた。

「わかった。でも、もし嘘だったら…」

「嘘じゃない」麗子は強く言った。「約束する」

二人はそれ以上話さず、お茶を終えた。家に帰る道すがら、美玲は胸の中にわだかまりを感じた。母の言葉を信じていいのだろうか。

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