友達親子の親密の境界線

MisakiNonagase

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第五章:変化の兆し

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大樹の結婚から一年半が経ち、優子が妊娠した。

「おめでとう!すごいじゃない!」

冬美は電話で知らせを聞き、心からの祝福の声を上げた。祖母になる喜びが、胸いっぱいに広がった。

「まだ三ヶ月だから、安定するまであまり言わないでねって医者に言われてるんだ。でも母さんにはすぐに伝えたくて」

大樹の声は、父親になる喜びと不安で震えていた。

「もちろん、秘密にするわ。でも本当によかった!私、祖母になるんだ!」

その夜、冬美は一人でワインを開け、ゆっくりと飲んだ。喜びと同時に、ある決断が心の中で固まっていくのを感じた。

数日後、大樹が団地を訪れた。優子の体調が安定するまで、実家でしばらく過ごすことになったからだ。

「で、元気?つわりは?」

「まだ大丈夫みたい。食欲はあるし、疲れやすいけど、それくらい」

大樹はソファに深く座り込んだ。父親になるプレッシャーと、仕事のストレスで少し疲れているように見えた。

「大樹、話があるの」

冬美の真剣な声に、大樹は顔を上げた。

「私たちの関係、そろそろ終わりにしよう」

「…え?」

「私、祖母になるんだよ?そして大樹は父親になる。これ以上、この関係を続けるのは…間違ってる」

大樹は黙り込んだ。冬美の言うことは正しいとわかっていた。子供が生まれたら、父親としての責任がさらに重くなる。そんな中で母との肉体関係を続けるのは、倫理的にも現実的にも難しくなる。

「でも…」

「『でも』はないわ。これまで、私たちの関係は誰にも迷惑をかけなかった。でもこれからは違う。生まれてくる子供に対して、この秘密はあまりに重すぎる」

冬美の目には涙が浮かんでいたが、声は確かだった。

「大樹が父親になるんだから、立派な父親になってほしい。そのためには、私たちの関係は清算しないといけない」

「…わかった」

大樹はゆっくりと頷いた。

「でも、それでもたまには会えるよな?普通の親子として」

「もちろん!それどころか、もっと頻繁に会うわよ!孫の面倒を見るのが祖母の役目でしょ?」

冬美は笑顔を作ったが、その笑みの裏には深い寂しさがあった。五年以上続いた特別な関係に終止符を打つ決断は、簡単なものではなかった。

「最後に…一つだけお願いがある」

「なに?」

「最後の『女体盛り』をやろう。本当に最後に」

大樹は驚いた表情を浮かべた。

「でも、もう終わりにするって決めたじゃんか」

「だからこそ、最後の思い出にしたいの。きちんと区切りをつけるために」

その週末、彼らは五年以上続けてきた儀式を、最後に行った。いつもより高級な刺身を買い揃え、冬美の体を芸術的に飾り立てた。

「きれいだな」

大樹はため息混じりに呟いた。

「歳とったわ。若い時とは体のラインも変わったし」

「それでも美しいよ」

大樹は刺身を一つつまみ、冬美の口に運んだ。彼女はそれを口に含み、ゆっくりと味わった。

「この五年間、ありがとう、大樹。普通の親子じゃ絶対に経験できなかったことを、たくさん経験させてもらった」

「こっちこそ。母さんがいてくれたから、俺は何でも乗り越えられた」

「これからは、普通の親子に戻ろう。いや、普通以上の親子に。何でも話せる親友のような親子のままで」

「そうだな」

その夜、彼らは最後の肉体を重ねた。これまで以上にゆっくりと、慈しむように。終わった後、二人は抱き合ったまま、長い時間言葉を交わさなかった。

「大樹」

「ん?」

「これからは、立派な父親になってね。そして優子ちゃんを大切にして。私も、立派な祖母になるから」

「わかった。母さんも、新しい幸せを見つけてくれよな」

「うん。約束する」
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