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第一部 現実になった異世界生活
現-2. 現世界5日目 こちらの世界でスキルは使えるか?
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週末になり、今日はジェンと一緒に出かける予定だ。
記憶を思い出した後、ジェンが気軽に自分に声をかけてくるので学校ではちょっと注目を浴びてしまっている。たしかに自分たちにとっては普通の距離感なんだが、高校生で、しかも知り合ってからの期間を考えると距離が近すぎると思われても仕方がない。
ジェンに何度かそれを説明して付き合い方を考えるように言ったんだが、なかなか聞き入れてくれない。クラスが違うからまだ接点は少ないんだが、休み時間にやってくるから余計に目立ってしまう。せっかく目立たないようにしていた高校生ライフが・・・。
まあ人生経験から言って今更ながら高校生というのもどうかと思うんだが、こっちの年齢では17歳だからしょうがない。勉強のことも考えると今後どう進むのかとかも考えないといけないよなあ。
今回出かける目的は向こうの世界で持っていた力が使えるかどうかの確認である。魔素はこちらの世界にも少しあるみたいで、少しコントロールしようとしたら体内にたまっていく感じがしたのである。ただ何かあっても困るので住宅地など人がいるところで試してみるわけにもいかず、遠出をすることになったのである。
さすがに車の運転ができるわけではないので、公共の交通手段で行くしかない。以前行ったことがある山の方にテストするにはちょうど良さそうな場所があったと記憶していたので行ってみることにした。
ジェンの家の近くの駅で待ち合わせてから電車とバスを乗り継いで1時間ほどかけて移動する。移動中、さすがにジェンが注目を浴びるのは仕方がない。特に田舎の方になれば日本人でない彼女は余計に目立ってしまう。
端から見ると高校生カップルなんだが、実質の年齢を考えるとなんか違和感が・・・とか考えていたらにらまれてしまった。
「イチ?なんかとっても失礼なこと考えていなかった?」
さすがに勘が鋭いのは相変わらずだ。
紅葉の季節なので少しは登山客もやってきているが、ルートから外れたところが針葉樹林で人もほとんどいない上、そこそこの荒れ地もあるのでここを選んだのである。
あのときの説明では「ほぼ無理」と言っていた。「ほぼ」であって「できない」とは言っていなかったというのが引っかかっていたのである。もちろんあっちの世界の効力は無理としてもその百分の一でも力が使えればこっちの世界では結構な効果だ。
まずは体に魔素を集めてみると、ペースは遅いがわずかながら集まってくるのを感じる。とりあえずある程度たまったところで魔法を使ってみると発動した。発動してしまった。
この世界で何もないところから火が出たのである。うーむ、マジシャンもびっくりだな。
魔素のたまりが遅いため、効果もあまり上げられないが、時間をかければそこそこの威力は出ることが分かった。
そして一番の問題である収納魔法だ。魔力をためて起動してみると、アイテムの一覧が開いた。ちゃんと見れるし、向こうの世界の時に入れたものが表示されている。うーん・・・これは・・・。
もし戻せないと困るので無難に指輪を指定すると取り出すことができた。こちらの世界では鑑定はできなかったんだが、取り出した指輪の鑑定はすることができた。
どういう理論か分からないけど、向こうのものに関してはもの自体にその情報が入っていると言うことなんだろうか?自分やジェンが鑑定できたと言うことは、一度向こうの世界に行ったものが鑑定できると言うことなのだろうか?
一通りの検証を終えてからお昼ご飯を食べる。ジェンが用意してくれてきたお弁当だ。張り切って作ってくれたようなんだけど、量が多すぎるぞ。
お弁当を食べた後、横になっているとジェンが近くにやってきた。
「ねえ、久しぶりに・・・」
そして彼女の顔が自分の顔に近づいてくる。ほんとに久しぶりにジェンを感じる。
さらにジェンが体をすり寄せてきたので、自分が手を伸ばそうとしたところで気がついた。
「いやいや、まだ高校生だし、そういうのはまだ早いと思う・・・。」
「え~~~、あっちでは普通だったじゃない。」
「いやいや、こっちとあっちの世界では違うでしょう!!それにこっちにはジェンの両親もいるんだし。」
「も~~、私の両親はあなたの選んだ人ならかまわないと言ってくれているから大丈夫よ。」
「あと、こっちの世界に戻ったときに向こうの行く前の状態に戻っているはずだよね。ってことは、もしかしたら・・・。こんなところでいいの?」
「あっ・・・。」
結局、いろいろと押し問答があったが、それ以上はやめておくことにした。
せっかく遠くまで来たので紅葉を楽しんでから家に戻った。
とりあえず表面的には普通の高校生活を過ごすことにして、時間があるときにこっちの生活基盤を整えてくことにしよう。ジェンとのことについてもどうするかを考えないといけないしなあ。今晩の内にお互いに考えをまとめて、明日また話すことにした。
記憶を思い出した後、ジェンが気軽に自分に声をかけてくるので学校ではちょっと注目を浴びてしまっている。たしかに自分たちにとっては普通の距離感なんだが、高校生で、しかも知り合ってからの期間を考えると距離が近すぎると思われても仕方がない。
ジェンに何度かそれを説明して付き合い方を考えるように言ったんだが、なかなか聞き入れてくれない。クラスが違うからまだ接点は少ないんだが、休み時間にやってくるから余計に目立ってしまう。せっかく目立たないようにしていた高校生ライフが・・・。
まあ人生経験から言って今更ながら高校生というのもどうかと思うんだが、こっちの年齢では17歳だからしょうがない。勉強のことも考えると今後どう進むのかとかも考えないといけないよなあ。
今回出かける目的は向こうの世界で持っていた力が使えるかどうかの確認である。魔素はこちらの世界にも少しあるみたいで、少しコントロールしようとしたら体内にたまっていく感じがしたのである。ただ何かあっても困るので住宅地など人がいるところで試してみるわけにもいかず、遠出をすることになったのである。
さすがに車の運転ができるわけではないので、公共の交通手段で行くしかない。以前行ったことがある山の方にテストするにはちょうど良さそうな場所があったと記憶していたので行ってみることにした。
ジェンの家の近くの駅で待ち合わせてから電車とバスを乗り継いで1時間ほどかけて移動する。移動中、さすがにジェンが注目を浴びるのは仕方がない。特に田舎の方になれば日本人でない彼女は余計に目立ってしまう。
端から見ると高校生カップルなんだが、実質の年齢を考えるとなんか違和感が・・・とか考えていたらにらまれてしまった。
「イチ?なんかとっても失礼なこと考えていなかった?」
さすがに勘が鋭いのは相変わらずだ。
紅葉の季節なので少しは登山客もやってきているが、ルートから外れたところが針葉樹林で人もほとんどいない上、そこそこの荒れ地もあるのでここを選んだのである。
あのときの説明では「ほぼ無理」と言っていた。「ほぼ」であって「できない」とは言っていなかったというのが引っかかっていたのである。もちろんあっちの世界の効力は無理としてもその百分の一でも力が使えればこっちの世界では結構な効果だ。
まずは体に魔素を集めてみると、ペースは遅いがわずかながら集まってくるのを感じる。とりあえずある程度たまったところで魔法を使ってみると発動した。発動してしまった。
この世界で何もないところから火が出たのである。うーむ、マジシャンもびっくりだな。
魔素のたまりが遅いため、効果もあまり上げられないが、時間をかければそこそこの威力は出ることが分かった。
そして一番の問題である収納魔法だ。魔力をためて起動してみると、アイテムの一覧が開いた。ちゃんと見れるし、向こうの世界の時に入れたものが表示されている。うーん・・・これは・・・。
もし戻せないと困るので無難に指輪を指定すると取り出すことができた。こちらの世界では鑑定はできなかったんだが、取り出した指輪の鑑定はすることができた。
どういう理論か分からないけど、向こうのものに関してはもの自体にその情報が入っていると言うことなんだろうか?自分やジェンが鑑定できたと言うことは、一度向こうの世界に行ったものが鑑定できると言うことなのだろうか?
一通りの検証を終えてからお昼ご飯を食べる。ジェンが用意してくれてきたお弁当だ。張り切って作ってくれたようなんだけど、量が多すぎるぞ。
お弁当を食べた後、横になっているとジェンが近くにやってきた。
「ねえ、久しぶりに・・・」
そして彼女の顔が自分の顔に近づいてくる。ほんとに久しぶりにジェンを感じる。
さらにジェンが体をすり寄せてきたので、自分が手を伸ばそうとしたところで気がついた。
「いやいや、まだ高校生だし、そういうのはまだ早いと思う・・・。」
「え~~~、あっちでは普通だったじゃない。」
「いやいや、こっちとあっちの世界では違うでしょう!!それにこっちにはジェンの両親もいるんだし。」
「も~~、私の両親はあなたの選んだ人ならかまわないと言ってくれているから大丈夫よ。」
「あと、こっちの世界に戻ったときに向こうの行く前の状態に戻っているはずだよね。ってことは、もしかしたら・・・。こんなところでいいの?」
「あっ・・・。」
結局、いろいろと押し問答があったが、それ以上はやめておくことにした。
せっかく遠くまで来たので紅葉を楽しんでから家に戻った。
とりあえず表面的には普通の高校生活を過ごすことにして、時間があるときにこっちの生活基盤を整えてくことにしよう。ジェンとのことについてもどうするかを考えないといけないしなあ。今晩の内にお互いに考えをまとめて、明日また話すことにした。
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