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第一部 現実になった異世界生活
30. 異世界64日目 初めての野営
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翌朝0時に起きてから朝食を取り、早々に出発する。目的の場所は歩いて2時間近くかかる森になるんだが、町の周りよりも1ランク上の魔獣が多い場所だ。素材の買い取りの対象も多いので効率は結構いいらしい。
残念ながら肉は運搬の関係から持って帰られる量が制限されるのでその分は向こうで消費するか、希少部位のみを最終日に持って帰るくらいか?
一応腐食を軽減できる魔法はあるんだが、暑くなってくるとその軽減力も小さくなるからねえ。今までは狩ってからその日に持ち帰っていたのであまり気にしていなかったんだけどね。
荷物の運搬には荷車や車を使う人もいるが、一番効率的なのは収納バッグだ。量もかなり小さくなるので便利なんだが、値段もそうだが、なかなか売りに出ないので手に入れるのが困難なので持っている人は少ない。
このため手に入りやすい荷車や車になるが、車は数百万ドールに維持費も結構かかるものなのでこちらも簡単には手が出ない。それに荷車や車については狩り場にはあまり持って行けないというのが問題である。
ということで大半の冒険者は重量軽減バッグで荷物を運ぶというのが基本となるため、遠征に出た人たちが持って帰ることができるのは肉以外の素材が中心となってしまうのだ。
いままで荷物の重量軽減のみ考えていたんだが、体も軽くできるのではないかと思ってやってみたらうまくいった。ただ荷物の軽減よりも集中しないといけないため、軽減すると言っても体重の半分くらいが限度だが、それでも十分に軽い。
体が軽くなったこともあって走るのも楽になり、通常2時間かかるところを1時間もかからず到着できた。体が軽いので一歩の距離が半端なく長くなったんだもんなあ。これだったらちょっと無理すれば日帰りもできるようになるんじゃないか?
やはりやってきている冒険者はそれなりにいるみたいなので、索敵で人のいないエリアへと進む。ここに出てくるのは山猫、二頭蛇、巨蟷螂、吸血蝙蝠、魔猪、魔牛、魔馬とかの並階位中上位の魔獣である。大蟻や大蜂という魔獣もいるようなんだが、団体で襲ってくるのであまり相手をしたくない。毒は即死レベルではないようなんだが、数多く刺されるとまずいらしい。しかも素材にならないし。
あと穴熊や大魔猪とか上階位の魔獣も出る可能性があるようだが、現在の自分たちでは避けた方がよさそうである。倒すのも厳しいと思う上に、せっかくの素材があまり持って帰られないのでもったいない。
さっそく索敵をしながら森の中を進んでいく。魔獣の強さについても大分分かるようになってきてはいるのでかなわない魔獣が来たら早々に逃げる方がいいだろう。
大蛇とか毒スライムとか初階位の魔獣もいるんだが、割合的には並階位の魔獣が圧倒的に多い。魔獣のいる割合も高くてそんなに探すまでもない。
山猫は普通考える猫よりは二回りほど大きくて小さな豹といった感じだ。木の上に潜んでいることが多く、近くに来たところで襲いかかってくる。隠密のスキルを持っているみたいなので注意は必要だが、いる場所がわかっていると特に問題は無い。少し離れたところから風弾と水弾で攻撃してからとどめを刺す感じだ。反撃をしてきても最初にダメージを与えているので動きが遅くなっていて、剣で防ぎながら倒すことができる。
毛皮が買い取り対象なのでできるだけ傷つけないように倒さないと買い取り価格が大幅に下がってしまうので風弾や水弾が有効だ。風斬の方が楽なんだけどね。ただ解体はかなり面倒だった。しかも結構かさばるし・・・。
二頭蛇は大蛇よりも少し大きいくらいの二股の蛇だ。頭が二つあるので攻撃力は確かに高いんだが、その分動きが遅い感じなので自分は大蛇よりも倒しやすかった。毒は持っているみたいだけど、それほど強くないみたいなので気にしていると倒せなくなってしまうからね。
こちらも倒した後の解体が面倒だった。しかも二股なので余計に難しい。さすがにすべて成功するわけではないのでいくつかは失敗してしまった。まあしょうが無いよなあ・・・。肉は食べることができるので今日食べる分だけは確保しておく。
巨蟷螂や吸血蝙蝠は数が多いので面倒なんだが、強さ自体はそこまではない。特に吸血蝙蝠は病原菌を移されるのが怖いので倒しきった後は安全のため回復魔法をかけておく。病原菌を除去するイメージでやればいいみたいだ。
こっちの素材回収はかなり楽なんだが、結構かさばるのが問題だ。ただ戦闘中に傷が入って買い取り対象外のものもそれなりに出るのは仕方が無い。
やはり二人で狩りをすると最初の魔法攻撃でかなりダメージを与えることができるのでだいぶ楽になった。魔獣が1匹の場合は囲って攻撃できるので攻撃も通りやすいし、向こうも困惑するので攻撃も避けやすいからね。おそらく一人だとこのレベルの魔獣を狩るのは結構大変だったと思う。
今回倒した魔獣で食べられるのは蛇肉だけなんだが、今日食べる分だけ確保してあとは処分するのがちょっともったいない。1匹辺り50ドールなんだが、運ぶ手間の方が大きいし、結局捨てることになるのであれば解体時間がもったいないからね。
お昼は携帯食を食べてから5時に狩りを終了する。今日狩ったのは山猫5、二頭蛇8、巨蟷螂8、吸血蝙蝠12で大体4000ドールくらいになりそうだ。肉も持って帰っていたらプラス500ドールくらいだが、これはしょうがないだろう。
いったん森から出て少し離れたところに移動してからテントを設営。かまどを作ってから今日狩った蛇の肉を調理する。今日は塩胡椒をふってから小麦粉をまぶしてプライパンでひたひたに炒めた蛇肉の唐揚げだ。あまりこった料理は作れないのはしょうがない。これにサラダと携帯食のビスケットで済ませることにした。
ジェンはあまり料理は得意ではないみたいなのと、こういう外で料理はしたことがないようだったので自分が担当することになった。
家でも少し料理は手伝っていたし、家族でキャンプに行っていたときには両親から色々と野外料理について聞いていたからよかった。
「味はそんなに悪くないとは思うけど、ここではこれくらいが限度だよ。」
「うん、十分美味しいよ。ありがとう。」
できたての蛇の唐揚げを頬張りながら返事をしてくれるジェン。蛇肉なので嫌がられるかと思ったんだが、特に問題ないらしい。あちこち旅行に行ったときに蛇肉だけでなくいろいろな動物の肉を食べていたみたいなので大丈夫らしい。
料理をすると匂いで魔獣が寄ってきてしまうのであまり匂いの出ない料理をすることも多いらしいが、風魔法で匂いが拡散しないように囲うことで対応は可能だ。慣れるまでは神経も使うんだが、慣れてしまうとあまり意識しなくてもできるのでとてもありがたい。
野営も魔法があると火もつけられるし、飲み水も問題ないし大分楽になる。特に飲み水を持ち歩かなくて良くなるのは重量的にはとてもありがたい。土魔法ももう少しレベルアップしたら、家みたいなものが作れるようになるんだろうか?そしたらテントもいらなくなるな。
食事の後は浄化魔法で体や荷物をきれいにして、武器の手入れをする。浄化魔法はジェンも使っていたようで、やはり最初は簡単な汚れを落とすくらいしかならなかったが、今では自分と同じくシャワー並みにきれいになるらしい。ありがたい魔法だ。
ただ、このレベルの浄化魔法を使える人はあまりいないようで、やはり普通は最初の頃の水で拭いたくらいのレベルらしい。汚れを分子まで分解するイメージで魔法をかけることでかなりきれいになっているんだが、分子という概念がないのであくまで拭いたり流したりするイメージなので汚れが落ちないのだろう。正直今は洗濯するよりもキレイになっているような気もする。
あたりに魔獣がいないとはいえ、何があるかわからないので見張りが必要だ。前半を自分が、後半をジェンが行うことにして、まずは自分が見張りをすることにした。
薪集めから食事、片付けなどをしているとすでに時間は7時を回っており、7時半にやっとジェンが眠りについた。交代は10時で2.5時間の睡眠だ。もとの世界でいう5時間なので十分とはいえないが、しょうがない。
治癒魔法で疲労は抑えられているとはいえ、眠いものは眠い。眠らないようにガイド本で勉強しながら薪をくべて火を絶やさないようにしておくが、時々体を動かさないと眠りに誘われてしまう。
さすがに魔獣の生息地から離れているせいか魔獣は現れることなく、10時になったところでジェンと交代。すぐに眠りに落ちていった。
0時半にジェンに起こされるが、やはり眠い。さすがに寝袋だと眠りが浅かったのも影響しているのかもしれない。寝袋で寝るなんてキャンプの時くらいしか経験ないからなあ。一応地面を土魔法で耕して柔らかくしたりしていたんだが、ベッドに比べるまでもない。
朝食は昨日の残りをスープにして携帯食と一緒に食べて終わらせる。荷物を撤収してから狩りに出発すると、すでに結構な時間がたっていた。
昨日と同じように狩りをするが、やはり寝不足のせいで索敵も甘いし、集中力があまり上がらないせいか、魔法の威力や精度も低い。このままだと変なミスをして怪我をしてしまう可能性も高い。
「ごめん。やっぱり体が慣れていないせいか、ちょっと厳しいよ。今日はもう休憩にしていいかな?変なミスをして怪我してしまいそうだよ。」
「そうね、私も集中力が続かなくて魔法の精度がかなり落ちているわ。この後休憩しても集中力が回復するようには思えないので一度町に戻らない?」
「それじゃあ、お昼を食べてから町に戻ろう。もう一度狩りの方法を検討した方が良さそうだ。」
ジェンとも意見が一致したのでお昼ご飯を食べてから撤収することにした。
今日倒せたのは半分の時間だったとはいえ、山猫1、巨蟷螂5、吸血蝙蝠3だけだった。成果は4分1くらいになっている。
帰りも精神が続かなくて、荷物の軽減が精一杯となり、2時間ちかくかけて町に戻ることになった。疲れた・・・。
素材を売却すると全部で5650ドールとなったんだが、2日目の稼ぎは半日とはいえ1000ドールくらいとかなり低い。一日狩ったとしても初日の半分くらいになっていたと思われる。これだと近くで狩りをしたのとあまり変わらないので遠征をした意味がない。
いったん役場に移動してから今後のことを考えてみる。
「もう少し野営や見張りをしてもちゃんと狩りができるようにならないと、遠征の方が効率低くなっているよね。」
「そうねえ。見張りとかも訓練していかなければならないけど、数日で慣れるわけでもないからそれまでは近場で狩りをする?」
「いや、今回遠征したけど、移動時間を考えると日帰りでも結構狩りができるんじゃないかと思ってるんだ。」
「たしかにそんな気がするわね。ちゃんと考えてどうするか決めましょう。」
今は夏になってきて日が長いので0~7時までは明るい。野営の場合は準備もあるが6時に狩りを完了するとして、準備と夕食で寝るのは7時くらい。0時まで寝れば一人あたり2.5時間なので地球時間で5時間だから、十分ではないがなんとかなるくらいか?移動は行きに1時間、帰りに2時間かかると仮定。
そうすると1日目の狩りは0時に出発して1時に到着し、1時から5時間。2日目は1日狩りをしたとして5時間、3日目は帰ることを考えると4時間と考えられる。そうすると3日間合計で14時間となる。夕食を簡単なものにしてしまえばプラス1時間で16時間だ。それ以上だとおそらく素材とか持って帰るのが厳しくなってくるはずだ。
日帰りで狩りをすると考えた場合、0時に出発するとして1時に到着、5時まで狩りをして戻ってくるとすれば1日4時間だ。帰りに1時間で帰ることができれば6時まで狩りをするとして5時間なので3日間狩りをするのであれば合計12~15時間くらいと見ていいか?しかも1日で帰ってくるとすると素材もすべて持って帰ることができるはずだ。
1日あたり1時間くらい狩る時間が短いが、効率を考えるとどう考えても日帰りの方が良くない?移動の時の負担もどのくらいかわからないが、交代で寝る必要もないので、十分今までと同じ睡眠時間をとることができるし、他にも色々できそうだ。
普通は移動で片道2時間近くかかるで日帰りだと狩りする時間は2時間程度となって無理だろうが、その時間が半分ですむと考えるとありか?慣れてくれば移動時間はもっと早くなる可能性もある。
もちろん今後のことを考えて野営にも慣れておく必要はあるが、それはもう少し後でもいいかもしれない。睡眠時間を短くしても大丈夫なように調整していかないといけないだろうが、今は4時間くらい寝るのに慣れているからねえ。あと野営でもちゃんと寝られるように練習もしなければならない。
狩りの効率も最初は様子見だったから頑張れば一日で4000~5000くらい稼げそうな気もする。肉とかも持って帰られるだろうしね。毎日は厳しいかもしれないので3日に1日休みを取っても1ヶ月で6~8万ドールくらい。経費を差し引いてもざっくりと3~5万ドールほどプラスとなる。他に経費がかかったとしても十分かもしれない。
「それじゃあ、今日は早めにゆっくり休んで、明日から日帰りで遠征に行くことにしよう。休みをどの間隔で取らなければならないかはやってみないと分からないけどね。場合によっては1日おきに遠征と近場を繰り返す方法もあるし。」
「近場の狩りの時は宿の手伝いもできるだろうから、割引もしてくれると思うわ。」
「それじゃあ、その内容で頑張ろう。」
この日は早めに夕食をとってから宿に戻り早々にベッドへ。やはりベッドはいいなあと速攻で眠りに落ちてしまった。
~魔獣紹介~
山猫:
並階位上位の魔獣。森に生息し、大半を木の上で過ごす。体長は800ヤルドくらいあり、木の上から襲いかかってくる。隠密スキルを持っているみたいで発見しにくいが、体長も大きいため注意深く見れば発見できる。
鋭い牙と爪で攻撃してくるが、防御力が低いため剣や魔法だけでなく弓矢による攻撃も有効である。かむ力が強く、指をかまれると食いちぎられる可能性が高いため注意が必要。
素材として毛皮が買い取り対象となっており、毛皮の模様により買い取り価格に若干差が出る。肉は食べることはできるが、食用には向かない。
二頭蛇:
並階位上位の魔獣。岩場や森に生息する二股の蛇の形をした魔獣。大きなものは大人の身長くらいあり、小型の魔獣や動物を麻痺させてから丸呑みする。物陰や木の上から突然襲ってくることがあり、隠密のスキルを持っているのか索敵に引っかかりにくいため注意が必要。
弱い麻痺系の毒を持っているため、かみつき攻撃には注意。かまれるとかまれた部位がしびれてちゃんと動かせなくなる。頭が二つあるので攻撃力は高くなるが、その分動きは遅い。
素材としての買い取り対象は皮と肉となるため、素材確保の場合は頭を潰すのが一番よい。ただし皮は上手に処理を行わないと買い取り対象外となるため、自信がないのであれば専門家に任せる方がいいだろう。
巨蟷螂:
並階位上位の魔獣。林や草原に生息している1キヤルドくらいの大きさの蟷螂の形をした昆虫型の魔獣。5~10匹で行動していることが多い。
両手の鎌で攻撃してくるため、数が多い場合は場所取りが重要となる。できれば何かを背にして戦った方がよい。装甲はそれなりに固いため、関節部分を狙うのが有効。
素材としての買い取り対象は両手の鎌の部分となるが、綺麗な状態でないと買い取り対象外となる。
吸血蝙蝠:
並階位上位の魔獣。森に生息している大きさ300ヤルドくらいの大きさで、5~10匹くらいの集団で行動している。羽を使って飛ぶことができるが、飛行距離はそれほど長くない。首筋などにかみついて血を吸われるが、その際に病原菌を移されることがあるため、もし血を吸われた場合はすぐにに回復薬や回復魔法を使った方がよい。もし治療を怠れば数日間の発熱を起こす場合がある。
素材としての買い取り対象は羽の部分となるが、羽は根本から綺麗にとらなければ買い取りの対象外となる。肉は食用不可。
残念ながら肉は運搬の関係から持って帰られる量が制限されるのでその分は向こうで消費するか、希少部位のみを最終日に持って帰るくらいか?
一応腐食を軽減できる魔法はあるんだが、暑くなってくるとその軽減力も小さくなるからねえ。今までは狩ってからその日に持ち帰っていたのであまり気にしていなかったんだけどね。
荷物の運搬には荷車や車を使う人もいるが、一番効率的なのは収納バッグだ。量もかなり小さくなるので便利なんだが、値段もそうだが、なかなか売りに出ないので手に入れるのが困難なので持っている人は少ない。
このため手に入りやすい荷車や車になるが、車は数百万ドールに維持費も結構かかるものなのでこちらも簡単には手が出ない。それに荷車や車については狩り場にはあまり持って行けないというのが問題である。
ということで大半の冒険者は重量軽減バッグで荷物を運ぶというのが基本となるため、遠征に出た人たちが持って帰ることができるのは肉以外の素材が中心となってしまうのだ。
いままで荷物の重量軽減のみ考えていたんだが、体も軽くできるのではないかと思ってやってみたらうまくいった。ただ荷物の軽減よりも集中しないといけないため、軽減すると言っても体重の半分くらいが限度だが、それでも十分に軽い。
体が軽くなったこともあって走るのも楽になり、通常2時間かかるところを1時間もかからず到着できた。体が軽いので一歩の距離が半端なく長くなったんだもんなあ。これだったらちょっと無理すれば日帰りもできるようになるんじゃないか?
やはりやってきている冒険者はそれなりにいるみたいなので、索敵で人のいないエリアへと進む。ここに出てくるのは山猫、二頭蛇、巨蟷螂、吸血蝙蝠、魔猪、魔牛、魔馬とかの並階位中上位の魔獣である。大蟻や大蜂という魔獣もいるようなんだが、団体で襲ってくるのであまり相手をしたくない。毒は即死レベルではないようなんだが、数多く刺されるとまずいらしい。しかも素材にならないし。
あと穴熊や大魔猪とか上階位の魔獣も出る可能性があるようだが、現在の自分たちでは避けた方がよさそうである。倒すのも厳しいと思う上に、せっかくの素材があまり持って帰られないのでもったいない。
さっそく索敵をしながら森の中を進んでいく。魔獣の強さについても大分分かるようになってきてはいるのでかなわない魔獣が来たら早々に逃げる方がいいだろう。
大蛇とか毒スライムとか初階位の魔獣もいるんだが、割合的には並階位の魔獣が圧倒的に多い。魔獣のいる割合も高くてそんなに探すまでもない。
山猫は普通考える猫よりは二回りほど大きくて小さな豹といった感じだ。木の上に潜んでいることが多く、近くに来たところで襲いかかってくる。隠密のスキルを持っているみたいなので注意は必要だが、いる場所がわかっていると特に問題は無い。少し離れたところから風弾と水弾で攻撃してからとどめを刺す感じだ。反撃をしてきても最初にダメージを与えているので動きが遅くなっていて、剣で防ぎながら倒すことができる。
毛皮が買い取り対象なのでできるだけ傷つけないように倒さないと買い取り価格が大幅に下がってしまうので風弾や水弾が有効だ。風斬の方が楽なんだけどね。ただ解体はかなり面倒だった。しかも結構かさばるし・・・。
二頭蛇は大蛇よりも少し大きいくらいの二股の蛇だ。頭が二つあるので攻撃力は確かに高いんだが、その分動きが遅い感じなので自分は大蛇よりも倒しやすかった。毒は持っているみたいだけど、それほど強くないみたいなので気にしていると倒せなくなってしまうからね。
こちらも倒した後の解体が面倒だった。しかも二股なので余計に難しい。さすがにすべて成功するわけではないのでいくつかは失敗してしまった。まあしょうが無いよなあ・・・。肉は食べることができるので今日食べる分だけは確保しておく。
巨蟷螂や吸血蝙蝠は数が多いので面倒なんだが、強さ自体はそこまではない。特に吸血蝙蝠は病原菌を移されるのが怖いので倒しきった後は安全のため回復魔法をかけておく。病原菌を除去するイメージでやればいいみたいだ。
こっちの素材回収はかなり楽なんだが、結構かさばるのが問題だ。ただ戦闘中に傷が入って買い取り対象外のものもそれなりに出るのは仕方が無い。
やはり二人で狩りをすると最初の魔法攻撃でかなりダメージを与えることができるのでだいぶ楽になった。魔獣が1匹の場合は囲って攻撃できるので攻撃も通りやすいし、向こうも困惑するので攻撃も避けやすいからね。おそらく一人だとこのレベルの魔獣を狩るのは結構大変だったと思う。
今回倒した魔獣で食べられるのは蛇肉だけなんだが、今日食べる分だけ確保してあとは処分するのがちょっともったいない。1匹辺り50ドールなんだが、運ぶ手間の方が大きいし、結局捨てることになるのであれば解体時間がもったいないからね。
お昼は携帯食を食べてから5時に狩りを終了する。今日狩ったのは山猫5、二頭蛇8、巨蟷螂8、吸血蝙蝠12で大体4000ドールくらいになりそうだ。肉も持って帰っていたらプラス500ドールくらいだが、これはしょうがないだろう。
いったん森から出て少し離れたところに移動してからテントを設営。かまどを作ってから今日狩った蛇の肉を調理する。今日は塩胡椒をふってから小麦粉をまぶしてプライパンでひたひたに炒めた蛇肉の唐揚げだ。あまりこった料理は作れないのはしょうがない。これにサラダと携帯食のビスケットで済ませることにした。
ジェンはあまり料理は得意ではないみたいなのと、こういう外で料理はしたことがないようだったので自分が担当することになった。
家でも少し料理は手伝っていたし、家族でキャンプに行っていたときには両親から色々と野外料理について聞いていたからよかった。
「味はそんなに悪くないとは思うけど、ここではこれくらいが限度だよ。」
「うん、十分美味しいよ。ありがとう。」
できたての蛇の唐揚げを頬張りながら返事をしてくれるジェン。蛇肉なので嫌がられるかと思ったんだが、特に問題ないらしい。あちこち旅行に行ったときに蛇肉だけでなくいろいろな動物の肉を食べていたみたいなので大丈夫らしい。
料理をすると匂いで魔獣が寄ってきてしまうのであまり匂いの出ない料理をすることも多いらしいが、風魔法で匂いが拡散しないように囲うことで対応は可能だ。慣れるまでは神経も使うんだが、慣れてしまうとあまり意識しなくてもできるのでとてもありがたい。
野営も魔法があると火もつけられるし、飲み水も問題ないし大分楽になる。特に飲み水を持ち歩かなくて良くなるのは重量的にはとてもありがたい。土魔法ももう少しレベルアップしたら、家みたいなものが作れるようになるんだろうか?そしたらテントもいらなくなるな。
食事の後は浄化魔法で体や荷物をきれいにして、武器の手入れをする。浄化魔法はジェンも使っていたようで、やはり最初は簡単な汚れを落とすくらいしかならなかったが、今では自分と同じくシャワー並みにきれいになるらしい。ありがたい魔法だ。
ただ、このレベルの浄化魔法を使える人はあまりいないようで、やはり普通は最初の頃の水で拭いたくらいのレベルらしい。汚れを分子まで分解するイメージで魔法をかけることでかなりきれいになっているんだが、分子という概念がないのであくまで拭いたり流したりするイメージなので汚れが落ちないのだろう。正直今は洗濯するよりもキレイになっているような気もする。
あたりに魔獣がいないとはいえ、何があるかわからないので見張りが必要だ。前半を自分が、後半をジェンが行うことにして、まずは自分が見張りをすることにした。
薪集めから食事、片付けなどをしているとすでに時間は7時を回っており、7時半にやっとジェンが眠りについた。交代は10時で2.5時間の睡眠だ。もとの世界でいう5時間なので十分とはいえないが、しょうがない。
治癒魔法で疲労は抑えられているとはいえ、眠いものは眠い。眠らないようにガイド本で勉強しながら薪をくべて火を絶やさないようにしておくが、時々体を動かさないと眠りに誘われてしまう。
さすがに魔獣の生息地から離れているせいか魔獣は現れることなく、10時になったところでジェンと交代。すぐに眠りに落ちていった。
0時半にジェンに起こされるが、やはり眠い。さすがに寝袋だと眠りが浅かったのも影響しているのかもしれない。寝袋で寝るなんてキャンプの時くらいしか経験ないからなあ。一応地面を土魔法で耕して柔らかくしたりしていたんだが、ベッドに比べるまでもない。
朝食は昨日の残りをスープにして携帯食と一緒に食べて終わらせる。荷物を撤収してから狩りに出発すると、すでに結構な時間がたっていた。
昨日と同じように狩りをするが、やはり寝不足のせいで索敵も甘いし、集中力があまり上がらないせいか、魔法の威力や精度も低い。このままだと変なミスをして怪我をしてしまう可能性も高い。
「ごめん。やっぱり体が慣れていないせいか、ちょっと厳しいよ。今日はもう休憩にしていいかな?変なミスをして怪我してしまいそうだよ。」
「そうね、私も集中力が続かなくて魔法の精度がかなり落ちているわ。この後休憩しても集中力が回復するようには思えないので一度町に戻らない?」
「それじゃあ、お昼を食べてから町に戻ろう。もう一度狩りの方法を検討した方が良さそうだ。」
ジェンとも意見が一致したのでお昼ご飯を食べてから撤収することにした。
今日倒せたのは半分の時間だったとはいえ、山猫1、巨蟷螂5、吸血蝙蝠3だけだった。成果は4分1くらいになっている。
帰りも精神が続かなくて、荷物の軽減が精一杯となり、2時間ちかくかけて町に戻ることになった。疲れた・・・。
素材を売却すると全部で5650ドールとなったんだが、2日目の稼ぎは半日とはいえ1000ドールくらいとかなり低い。一日狩ったとしても初日の半分くらいになっていたと思われる。これだと近くで狩りをしたのとあまり変わらないので遠征をした意味がない。
いったん役場に移動してから今後のことを考えてみる。
「もう少し野営や見張りをしてもちゃんと狩りができるようにならないと、遠征の方が効率低くなっているよね。」
「そうねえ。見張りとかも訓練していかなければならないけど、数日で慣れるわけでもないからそれまでは近場で狩りをする?」
「いや、今回遠征したけど、移動時間を考えると日帰りでも結構狩りができるんじゃないかと思ってるんだ。」
「たしかにそんな気がするわね。ちゃんと考えてどうするか決めましょう。」
今は夏になってきて日が長いので0~7時までは明るい。野営の場合は準備もあるが6時に狩りを完了するとして、準備と夕食で寝るのは7時くらい。0時まで寝れば一人あたり2.5時間なので地球時間で5時間だから、十分ではないがなんとかなるくらいか?移動は行きに1時間、帰りに2時間かかると仮定。
そうすると1日目の狩りは0時に出発して1時に到着し、1時から5時間。2日目は1日狩りをしたとして5時間、3日目は帰ることを考えると4時間と考えられる。そうすると3日間合計で14時間となる。夕食を簡単なものにしてしまえばプラス1時間で16時間だ。それ以上だとおそらく素材とか持って帰るのが厳しくなってくるはずだ。
日帰りで狩りをすると考えた場合、0時に出発するとして1時に到着、5時まで狩りをして戻ってくるとすれば1日4時間だ。帰りに1時間で帰ることができれば6時まで狩りをするとして5時間なので3日間狩りをするのであれば合計12~15時間くらいと見ていいか?しかも1日で帰ってくるとすると素材もすべて持って帰ることができるはずだ。
1日あたり1時間くらい狩る時間が短いが、効率を考えるとどう考えても日帰りの方が良くない?移動の時の負担もどのくらいかわからないが、交代で寝る必要もないので、十分今までと同じ睡眠時間をとることができるし、他にも色々できそうだ。
普通は移動で片道2時間近くかかるで日帰りだと狩りする時間は2時間程度となって無理だろうが、その時間が半分ですむと考えるとありか?慣れてくれば移動時間はもっと早くなる可能性もある。
もちろん今後のことを考えて野営にも慣れておく必要はあるが、それはもう少し後でもいいかもしれない。睡眠時間を短くしても大丈夫なように調整していかないといけないだろうが、今は4時間くらい寝るのに慣れているからねえ。あと野営でもちゃんと寝られるように練習もしなければならない。
狩りの効率も最初は様子見だったから頑張れば一日で4000~5000くらい稼げそうな気もする。肉とかも持って帰られるだろうしね。毎日は厳しいかもしれないので3日に1日休みを取っても1ヶ月で6~8万ドールくらい。経費を差し引いてもざっくりと3~5万ドールほどプラスとなる。他に経費がかかったとしても十分かもしれない。
「それじゃあ、今日は早めにゆっくり休んで、明日から日帰りで遠征に行くことにしよう。休みをどの間隔で取らなければならないかはやってみないと分からないけどね。場合によっては1日おきに遠征と近場を繰り返す方法もあるし。」
「近場の狩りの時は宿の手伝いもできるだろうから、割引もしてくれると思うわ。」
「それじゃあ、その内容で頑張ろう。」
この日は早めに夕食をとってから宿に戻り早々にベッドへ。やはりベッドはいいなあと速攻で眠りに落ちてしまった。
~魔獣紹介~
山猫:
並階位上位の魔獣。森に生息し、大半を木の上で過ごす。体長は800ヤルドくらいあり、木の上から襲いかかってくる。隠密スキルを持っているみたいで発見しにくいが、体長も大きいため注意深く見れば発見できる。
鋭い牙と爪で攻撃してくるが、防御力が低いため剣や魔法だけでなく弓矢による攻撃も有効である。かむ力が強く、指をかまれると食いちぎられる可能性が高いため注意が必要。
素材として毛皮が買い取り対象となっており、毛皮の模様により買い取り価格に若干差が出る。肉は食べることはできるが、食用には向かない。
二頭蛇:
並階位上位の魔獣。岩場や森に生息する二股の蛇の形をした魔獣。大きなものは大人の身長くらいあり、小型の魔獣や動物を麻痺させてから丸呑みする。物陰や木の上から突然襲ってくることがあり、隠密のスキルを持っているのか索敵に引っかかりにくいため注意が必要。
弱い麻痺系の毒を持っているため、かみつき攻撃には注意。かまれるとかまれた部位がしびれてちゃんと動かせなくなる。頭が二つあるので攻撃力は高くなるが、その分動きは遅い。
素材としての買い取り対象は皮と肉となるため、素材確保の場合は頭を潰すのが一番よい。ただし皮は上手に処理を行わないと買い取り対象外となるため、自信がないのであれば専門家に任せる方がいいだろう。
巨蟷螂:
並階位上位の魔獣。林や草原に生息している1キヤルドくらいの大きさの蟷螂の形をした昆虫型の魔獣。5~10匹で行動していることが多い。
両手の鎌で攻撃してくるため、数が多い場合は場所取りが重要となる。できれば何かを背にして戦った方がよい。装甲はそれなりに固いため、関節部分を狙うのが有効。
素材としての買い取り対象は両手の鎌の部分となるが、綺麗な状態でないと買い取り対象外となる。
吸血蝙蝠:
並階位上位の魔獣。森に生息している大きさ300ヤルドくらいの大きさで、5~10匹くらいの集団で行動している。羽を使って飛ぶことができるが、飛行距離はそれほど長くない。首筋などにかみついて血を吸われるが、その際に病原菌を移されることがあるため、もし血を吸われた場合はすぐにに回復薬や回復魔法を使った方がよい。もし治療を怠れば数日間の発熱を起こす場合がある。
素材としての買い取り対象は羽の部分となるが、羽は根本から綺麗にとらなければ買い取りの対象外となる。肉は食用不可。
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いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
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手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜
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命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。
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ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。
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レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
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