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第一部 現実になった異世界生活
38. 異世界168日目 初めて人を・・・
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4日目から山越えとなるため、ここから数日は野営となるようだ。もっと北に行けば山越えをしなくてもいいらしいが、そちらのルートだと10日以上も余計に時間がかかるらしいのでこちらのルートを使う人が多いようだ。
途中出てくるのは相変わらず昆虫系の魔獣が多い。山に入っていくと、道幅も結構狭くなってきて車がなんとか離合できるくらいだ。しばらく走っていくと、山の中腹くらいのところに野営用の場所が作られていた。場所と言っても木が倒されて広場になっているところにかまどがあるくらいだけどね。
テントを設置してから夕食の準備に取りかかる。夕食は途中で出てきた大魔牛の肉を使った焼き肉だ。臭いについては魔道具で消臭するみたいなので屋外でも大丈夫らしい。
出てきたときはかなり焦ったが、結構あっさりと倒すのはさすが良階位である。せっかくなので指導を受けながら裁かせてもらった。魔牛は解体したことがあったのでやり方はそれと大きな差がなかった。
夜は魔獣よけの魔道具を使っているんだが完全ではないこと、盗賊が出てくる可能性もあることから見張りの必要がある。見張りは2交代で寝ることになっていたので自分とジェンも交代でやることにした。時間は8時から10時と10時から0時の2時間交代である。
最初にジェンがスレインさんとアルドさんと一緒に対応し、残りが後番だ。さすがに眠いが、前よりはだいぶマシだ。宿に泊まっているときに交代で仮眠をとったりとか、寝袋で寝たりとかお試しでやっていたので少しは効果があったのかもしれない。まあ甘い考えではあるんだけどね。
順調に山道を進んでいたんだが、途中で倒木があって進めなくなっていた。「木をどけないといけないなあ。」とか考えていると、車に乗せている連絡用の無線(魔法で会話を飛ばす機械なので原理はわからない)から連絡が入る。
「盗賊がいる可能性が高い。みんな準備しろ!」
まじか!!
索敵範囲を広げると確かに反応があったので、さらに集中して確認する。最初から索敵の範囲を広げておけば良かったよ。
「前方の左右に8人ずつ16人、後方に6人。前方のグループのうち2名はかなり強そうです。」
すぐにこちらからも連絡を入れてからできる限り車を固めて迎撃態勢をとる。
30キヤルドほど離れたところにバラバラと姿を見せる盗賊と思われる人たち。2人はまだ森の中にいるので弓か何かで狙いをつけているんだろう。
「俺たちのことに気がついたみたいだから出てきてやったが、誰かと思えば蠍の尾のメンバーじゃねえか。元気にしてたか?」
「レイストフ・・・。」
スレインさん達の顔色が悪い。
「良階位まで上がったと聞いていたが、あのお嬢ちゃんたちがよく頑張ったもんだなあ。まあ、おとなしくしていたら命だけは助けてやるぜ。俺たちを満足させることができたならな。がはははは。」
「く・・・。昔の私たちだと思わないでよ。」
どうも知っている人らしいが、かなり強いようだ。
後方にいる盗賊は単で逃げるのを防止のために木を倒しただけみたいでこちらにはやってこないみたいだ。逃げてきたら不意打ちする感じなのかもしれない。
「みなさん。うまくいくかわかりませんが、一つ試してみます。チャンスと思ったら攻め込んでください。あと、前方の森の中に2人残っていますが、後方の6人は動く様子がありません。」
もしかしてと用意していた袋を土魔法と風魔法を使って上空へ持ち上げる。奴らの上まで来たところで魔法と思われる攻撃を受けて落とされてしまった。中に入っていた水滴が奴らの上に降り注ぐが、ダメージは受けていない。
「なにをしようとしたのかわからないが、残念だったな小僧!!動きはバレバレだぞ!おとなしく聞く気がないならこちらから行かせてもらうぞ!!」
「くそ!!アルドはレイストフを、イントはカヌサイムを足止めして!防御に徹して無理しないで!私とジュンイチで他の奴らに対応。ジェンとデルタは状況を見て援護をお願い。」
スレインさんがそう叫んだとき、盗賊たちの様子がおかしくなった。
「なんだこれは。目が痛え!!」「痛い!!!」「前が見えない!!」
あちこちで悲鳴が上がっている。もしもの時のために作っておいたカプサイシンの目潰しだ。
「みなさん、今です!!奴らは目があまり見えないはずですが、しばらくすれば回復してきます。一気にけりをつけましょう!風魔法で奴らの周りの空気を一掃するので突っ込んでも大丈夫です!」
そう言って広範囲の風魔法で奴らの周りに漂う空気を一掃する。
「わかった。私とアルドでレイストフを、イントとデルタでカヌサイムを倒す。ジュンイチとジェンはできる範囲で他のやつらを頼む!!」
いくら実力があるとはいえ、不意を突かれて混乱している上に目に痛みがはしり見えない状況では気配を察知することもできないようで二人がかりに一気に押さえ込まれている。
盗賊たちはのたうち回って闇雲に剣を振るっているので同士討ちも起きている。まずはジェンと二人で森の中にいる二人を魔法で攻撃して動きを止める。軽減魔法を使って一気に近づいたので弓を射るタイミングがなかったみたいであっさりと倒すことができた。
このあとまだ目が見えない盗賊達には魔法を打ち込み、奴らの首筋を切り裂いていく。この間に例の二人は首をはねられたみたいで、スレインさん達と一緒に残りの盗賊を倒していく。こちらにいた16人をすべて討ち取ったところで、後方にいた6人はこちらの状況に気がついたのか逃げ始めた。
「追いますか?」
「索敵エリアが広そうだからギリギリの範囲で追いかけられるか?」
こちらの後始末は任せてイントさんと一緒に逃げていった6人を追いかける。10分ほど走ったところで盗賊たちの動きが止まり、その先にいた3人と合流したようだ。3人もそれほど強いようには思えない感じだ。
ある程度近くまで行くと、洞窟を改造して住処にしていることがわかった。おそらく他の奴らがやられたため、すぐに動き出すかもしれないので、いったん自分だけ引き返してみんなのところに戻る。
皆のところに戻ると、盗賊達は全員息の根を止められたみたいだった。コーランさんと相談したところ、強くないとはいえ、盗賊を残しておくと危険という判断ですぐに討伐に向かうことになった。こちらも危険があるかもしれないため、アルドさん、デルタさん、ジェンが残り、スレインさんと自分で先ほどのところに戻る。
イントさんと合流して話を聞くと、まだ特に動きはないらしい。扉の近くまで移動してみるが、索敵能力を持った人間がいないのか全く気がついていない。どうもここからの移動を考えて荷物をまとめているような感じだ。
タイミングを見計らって中に突撃し、一気に9人全員を切り倒す。中に入ってきた自分たちを見て戦意もなくなってしまったみたいであっけなくけりはついた。命乞いを聞く暇もなかったな。
住処の中を一応確認してみたが、とらわれている人は見当たらなかった。ただとらわれてきた人がいたんだろうなと言う形跡があったので、散々もてあそばれた後で殺されたのかもしれない。
逃亡を考えていたせいで貴重品がまとめられていたようなので、それだけを持ってみんなのところにいったん戻る。
すでに遺体は焼却処分されているみたいで使えそうな装備がまとめられていた。身分証明証も回収しているようだ。時間はまだ早いんだが、状況の整理もあるので今日はこの辺りで野営することにしたようである。倒木を取り除いてから少し先にある広場で野営の準備に取りかかる。
盗賊の住処に戻って荷物を確認するというので自分ももう一度一緒に行くことにした。今回はコーランさんも同行するようだ。
強かった二人は元々良階位の冒険者だったが、3人パーティーの一人が亡くなってからうまく回らなくなってしまい、盗賊に身を落としてしまったようだ。以前は別の地域で盗賊をやっていたという話を聞いたことがあったが、討伐隊に半壊されたらしいのでこの地に移ってきたのだろう。そのときは100人規模の盗賊団になっていたらしい。
こっちではまだ人数が少ないので手頃な規模の集団を狙っていたと思われる。おそらく山の入り口にも見張りがいてタイミングなどを見計らって襲っていたのだろう。
先ほどの住処に戻り、遺体を焼却処分してから荷物を確認してみる。住処の広さから考えて先ほど倒した人数と差はないと考えて良さそうだった。とりあえず殲滅できたと考えていいようである。
奪った荷物はすでに換金したのか、もともとそんなにため込んでいなかったのかわからないが、めぼしいものはほとんどなかった。先ほどの貴重品くらいなものなのかな?
こちらの盗賊達の装備品は低級レベルのものばかりで価値はなさそうだったが、いくつか剣やアクセサリーがあったのでこれも追加でもらっていくことになった。一応できる範囲で鑑定をしていったが、思ったよりもめぼしいものはない。まあ半端ない規模の盗賊でなければそんなにすごいお宝をため込んでいるわけはないか。
みんなのところに戻って、やっと一息つく。
興奮から冷めてくると人を殺したんだという実感がやってきた。ただ思ったほど嫌悪感はない。やはりやらなければやられるという認識があるせいなのか?それとも異世界に来るときに精神を書き換えられているのだろうか?
ジェンとも話しをしたが、ジェンは自分よりも現実的な考えのようだった。小さな頃から結構そういうことには巻き込まれていたらしい。そういえば金持ちだったとか言う話をしていたな。
しばらく二人で話した後、みんなのところに戻る。蠍の尾のメンバーから大丈夫かと声をかけられるが、思ったよりは落ち着いていることを話した。コーランさんも自分たちの様子を見てやっとほっとしたようだった。
自分たちが落ち着いたのを確認してからこの後の話となった。おそらく盗賊団には懸賞金がかけられていると言うことなので、それについては護衛のメンバーでの分配となるようだ。これは町に着いてからの話となる。
盗賊の接収品については通常は護衛を依頼した側がすべて受け取ることになるようだが、コーランさんから3等分にしましょうという提案があった。さらに装備については使えるものがあればそれは先にとってかまわないし、使わない分の売却代も分けてもらってかまわないと言われたのでありがたく受けることにした。
今後も護衛を依頼するので護衛の方のレベルが上がってもらえればこちらも安心だと言うことらしい。きっとこのあたりの先行投資が商売の秘訣なんだろうなあ。
装備品に浄化の魔法をかけてから確認をしてみる。鑑定スキルを持っているというのは公にはできないのでそこは黙っておくしかない。
あの二人以外は並か低レベルの装備なんだが、二人が身につけていたのは高どころか良レベルの装備も混じっていた。ただ倒されるときに使い物にならなくなっているものもあるのは仕方がないところか。
商人の一人が調合スキルを持っていて簡単な鑑定ができるというのでざっくりと仕分けをしていた。自分も確認をしてみたが、間違いはなさそうだった。使えそうな高レベルの防具はこんな感じだった。
鋼の剣(高)、鋼の短剣(高)、鋼の盾(良)、革の鎧(高)、鋼の籠手(高)、革の籠手(高)、革のブーツ(高)、革のブーツ(高)、革の兜(高)、革の兜(高)、腕輪(高)
防具のサイズは若干の調整はできるんだが、大幅にずれていると調整ができないし、武器についても重心などによっては今のものと差がありすぎて使えないものも結構あったりする。
いろいろと試して気になったのは鋼の剣(高)、革の籠手(高)、腕輪(高)だ。腕輪は“俊敏の腕輪”となっており、俊敏強化が付与されているものだった。
盾はせっかくの良レベルの防具なんだが、サイズがどう考えても合わないのはしょうがない。ざっくりとした値段を聞いたら値段が100万ドール以上と聞いてびびったんだけどね。
スレインさんから使うものは先にとっていいと言われたのでこの3つをもらうことにした。スレインさん達は鋼の盾(良)、鋼の籠手(高)をもらうようだ。
スレインさん達も装備はそこそこのものを使っているが、すべて良レベルのものでそろえているわけでもないようだ。良レベルになると出物も少なくなるし、金額も上がってくるからね。材料も鋼の上はミスリルになるんだが、まだ全部がミスリルというわけでもないようだ。
あとの金品関係はアクセサリーなどの宝飾品とお金となるんだが、お金は全部で15万ドール程度。アクセサリーは特にスキルはついていないただの装飾品ということもあり、全部で10万ドールくらいの価値らしい。装飾品は売るときの値段となるため、お金の方を自分たちで等分することになった。ありがたいことだ。
夕食には温かいスープを食べてから野営となるが、どうも興奮して眠れないのでこのまま見張りをすることにしてジェンと二人で話をする。もし眠くなったら他の人も起こすということにしていたんだが、いろいろととりとめなく話していると、明るくなってきた。やはり興奮していたんだろう。
途中出てくるのは相変わらず昆虫系の魔獣が多い。山に入っていくと、道幅も結構狭くなってきて車がなんとか離合できるくらいだ。しばらく走っていくと、山の中腹くらいのところに野営用の場所が作られていた。場所と言っても木が倒されて広場になっているところにかまどがあるくらいだけどね。
テントを設置してから夕食の準備に取りかかる。夕食は途中で出てきた大魔牛の肉を使った焼き肉だ。臭いについては魔道具で消臭するみたいなので屋外でも大丈夫らしい。
出てきたときはかなり焦ったが、結構あっさりと倒すのはさすが良階位である。せっかくなので指導を受けながら裁かせてもらった。魔牛は解体したことがあったのでやり方はそれと大きな差がなかった。
夜は魔獣よけの魔道具を使っているんだが完全ではないこと、盗賊が出てくる可能性もあることから見張りの必要がある。見張りは2交代で寝ることになっていたので自分とジェンも交代でやることにした。時間は8時から10時と10時から0時の2時間交代である。
最初にジェンがスレインさんとアルドさんと一緒に対応し、残りが後番だ。さすがに眠いが、前よりはだいぶマシだ。宿に泊まっているときに交代で仮眠をとったりとか、寝袋で寝たりとかお試しでやっていたので少しは効果があったのかもしれない。まあ甘い考えではあるんだけどね。
順調に山道を進んでいたんだが、途中で倒木があって進めなくなっていた。「木をどけないといけないなあ。」とか考えていると、車に乗せている連絡用の無線(魔法で会話を飛ばす機械なので原理はわからない)から連絡が入る。
「盗賊がいる可能性が高い。みんな準備しろ!」
まじか!!
索敵範囲を広げると確かに反応があったので、さらに集中して確認する。最初から索敵の範囲を広げておけば良かったよ。
「前方の左右に8人ずつ16人、後方に6人。前方のグループのうち2名はかなり強そうです。」
すぐにこちらからも連絡を入れてからできる限り車を固めて迎撃態勢をとる。
30キヤルドほど離れたところにバラバラと姿を見せる盗賊と思われる人たち。2人はまだ森の中にいるので弓か何かで狙いをつけているんだろう。
「俺たちのことに気がついたみたいだから出てきてやったが、誰かと思えば蠍の尾のメンバーじゃねえか。元気にしてたか?」
「レイストフ・・・。」
スレインさん達の顔色が悪い。
「良階位まで上がったと聞いていたが、あのお嬢ちゃんたちがよく頑張ったもんだなあ。まあ、おとなしくしていたら命だけは助けてやるぜ。俺たちを満足させることができたならな。がはははは。」
「く・・・。昔の私たちだと思わないでよ。」
どうも知っている人らしいが、かなり強いようだ。
後方にいる盗賊は単で逃げるのを防止のために木を倒しただけみたいでこちらにはやってこないみたいだ。逃げてきたら不意打ちする感じなのかもしれない。
「みなさん。うまくいくかわかりませんが、一つ試してみます。チャンスと思ったら攻め込んでください。あと、前方の森の中に2人残っていますが、後方の6人は動く様子がありません。」
もしかしてと用意していた袋を土魔法と風魔法を使って上空へ持ち上げる。奴らの上まで来たところで魔法と思われる攻撃を受けて落とされてしまった。中に入っていた水滴が奴らの上に降り注ぐが、ダメージは受けていない。
「なにをしようとしたのかわからないが、残念だったな小僧!!動きはバレバレだぞ!おとなしく聞く気がないならこちらから行かせてもらうぞ!!」
「くそ!!アルドはレイストフを、イントはカヌサイムを足止めして!防御に徹して無理しないで!私とジュンイチで他の奴らに対応。ジェンとデルタは状況を見て援護をお願い。」
スレインさんがそう叫んだとき、盗賊たちの様子がおかしくなった。
「なんだこれは。目が痛え!!」「痛い!!!」「前が見えない!!」
あちこちで悲鳴が上がっている。もしもの時のために作っておいたカプサイシンの目潰しだ。
「みなさん、今です!!奴らは目があまり見えないはずですが、しばらくすれば回復してきます。一気にけりをつけましょう!風魔法で奴らの周りの空気を一掃するので突っ込んでも大丈夫です!」
そう言って広範囲の風魔法で奴らの周りに漂う空気を一掃する。
「わかった。私とアルドでレイストフを、イントとデルタでカヌサイムを倒す。ジュンイチとジェンはできる範囲で他のやつらを頼む!!」
いくら実力があるとはいえ、不意を突かれて混乱している上に目に痛みがはしり見えない状況では気配を察知することもできないようで二人がかりに一気に押さえ込まれている。
盗賊たちはのたうち回って闇雲に剣を振るっているので同士討ちも起きている。まずはジェンと二人で森の中にいる二人を魔法で攻撃して動きを止める。軽減魔法を使って一気に近づいたので弓を射るタイミングがなかったみたいであっさりと倒すことができた。
このあとまだ目が見えない盗賊達には魔法を打ち込み、奴らの首筋を切り裂いていく。この間に例の二人は首をはねられたみたいで、スレインさん達と一緒に残りの盗賊を倒していく。こちらにいた16人をすべて討ち取ったところで、後方にいた6人はこちらの状況に気がついたのか逃げ始めた。
「追いますか?」
「索敵エリアが広そうだからギリギリの範囲で追いかけられるか?」
こちらの後始末は任せてイントさんと一緒に逃げていった6人を追いかける。10分ほど走ったところで盗賊たちの動きが止まり、その先にいた3人と合流したようだ。3人もそれほど強いようには思えない感じだ。
ある程度近くまで行くと、洞窟を改造して住処にしていることがわかった。おそらく他の奴らがやられたため、すぐに動き出すかもしれないので、いったん自分だけ引き返してみんなのところに戻る。
皆のところに戻ると、盗賊達は全員息の根を止められたみたいだった。コーランさんと相談したところ、強くないとはいえ、盗賊を残しておくと危険という判断ですぐに討伐に向かうことになった。こちらも危険があるかもしれないため、アルドさん、デルタさん、ジェンが残り、スレインさんと自分で先ほどのところに戻る。
イントさんと合流して話を聞くと、まだ特に動きはないらしい。扉の近くまで移動してみるが、索敵能力を持った人間がいないのか全く気がついていない。どうもここからの移動を考えて荷物をまとめているような感じだ。
タイミングを見計らって中に突撃し、一気に9人全員を切り倒す。中に入ってきた自分たちを見て戦意もなくなってしまったみたいであっけなくけりはついた。命乞いを聞く暇もなかったな。
住処の中を一応確認してみたが、とらわれている人は見当たらなかった。ただとらわれてきた人がいたんだろうなと言う形跡があったので、散々もてあそばれた後で殺されたのかもしれない。
逃亡を考えていたせいで貴重品がまとめられていたようなので、それだけを持ってみんなのところにいったん戻る。
すでに遺体は焼却処分されているみたいで使えそうな装備がまとめられていた。身分証明証も回収しているようだ。時間はまだ早いんだが、状況の整理もあるので今日はこの辺りで野営することにしたようである。倒木を取り除いてから少し先にある広場で野営の準備に取りかかる。
盗賊の住処に戻って荷物を確認するというので自分ももう一度一緒に行くことにした。今回はコーランさんも同行するようだ。
強かった二人は元々良階位の冒険者だったが、3人パーティーの一人が亡くなってからうまく回らなくなってしまい、盗賊に身を落としてしまったようだ。以前は別の地域で盗賊をやっていたという話を聞いたことがあったが、討伐隊に半壊されたらしいのでこの地に移ってきたのだろう。そのときは100人規模の盗賊団になっていたらしい。
こっちではまだ人数が少ないので手頃な規模の集団を狙っていたと思われる。おそらく山の入り口にも見張りがいてタイミングなどを見計らって襲っていたのだろう。
先ほどの住処に戻り、遺体を焼却処分してから荷物を確認してみる。住処の広さから考えて先ほど倒した人数と差はないと考えて良さそうだった。とりあえず殲滅できたと考えていいようである。
奪った荷物はすでに換金したのか、もともとそんなにため込んでいなかったのかわからないが、めぼしいものはほとんどなかった。先ほどの貴重品くらいなものなのかな?
こちらの盗賊達の装備品は低級レベルのものばかりで価値はなさそうだったが、いくつか剣やアクセサリーがあったのでこれも追加でもらっていくことになった。一応できる範囲で鑑定をしていったが、思ったよりもめぼしいものはない。まあ半端ない規模の盗賊でなければそんなにすごいお宝をため込んでいるわけはないか。
みんなのところに戻って、やっと一息つく。
興奮から冷めてくると人を殺したんだという実感がやってきた。ただ思ったほど嫌悪感はない。やはりやらなければやられるという認識があるせいなのか?それとも異世界に来るときに精神を書き換えられているのだろうか?
ジェンとも話しをしたが、ジェンは自分よりも現実的な考えのようだった。小さな頃から結構そういうことには巻き込まれていたらしい。そういえば金持ちだったとか言う話をしていたな。
しばらく二人で話した後、みんなのところに戻る。蠍の尾のメンバーから大丈夫かと声をかけられるが、思ったよりは落ち着いていることを話した。コーランさんも自分たちの様子を見てやっとほっとしたようだった。
自分たちが落ち着いたのを確認してからこの後の話となった。おそらく盗賊団には懸賞金がかけられていると言うことなので、それについては護衛のメンバーでの分配となるようだ。これは町に着いてからの話となる。
盗賊の接収品については通常は護衛を依頼した側がすべて受け取ることになるようだが、コーランさんから3等分にしましょうという提案があった。さらに装備については使えるものがあればそれは先にとってかまわないし、使わない分の売却代も分けてもらってかまわないと言われたのでありがたく受けることにした。
今後も護衛を依頼するので護衛の方のレベルが上がってもらえればこちらも安心だと言うことらしい。きっとこのあたりの先行投資が商売の秘訣なんだろうなあ。
装備品に浄化の魔法をかけてから確認をしてみる。鑑定スキルを持っているというのは公にはできないのでそこは黙っておくしかない。
あの二人以外は並か低レベルの装備なんだが、二人が身につけていたのは高どころか良レベルの装備も混じっていた。ただ倒されるときに使い物にならなくなっているものもあるのは仕方がないところか。
商人の一人が調合スキルを持っていて簡単な鑑定ができるというのでざっくりと仕分けをしていた。自分も確認をしてみたが、間違いはなさそうだった。使えそうな高レベルの防具はこんな感じだった。
鋼の剣(高)、鋼の短剣(高)、鋼の盾(良)、革の鎧(高)、鋼の籠手(高)、革の籠手(高)、革のブーツ(高)、革のブーツ(高)、革の兜(高)、革の兜(高)、腕輪(高)
防具のサイズは若干の調整はできるんだが、大幅にずれていると調整ができないし、武器についても重心などによっては今のものと差がありすぎて使えないものも結構あったりする。
いろいろと試して気になったのは鋼の剣(高)、革の籠手(高)、腕輪(高)だ。腕輪は“俊敏の腕輪”となっており、俊敏強化が付与されているものだった。
盾はせっかくの良レベルの防具なんだが、サイズがどう考えても合わないのはしょうがない。ざっくりとした値段を聞いたら値段が100万ドール以上と聞いてびびったんだけどね。
スレインさんから使うものは先にとっていいと言われたのでこの3つをもらうことにした。スレインさん達は鋼の盾(良)、鋼の籠手(高)をもらうようだ。
スレインさん達も装備はそこそこのものを使っているが、すべて良レベルのものでそろえているわけでもないようだ。良レベルになると出物も少なくなるし、金額も上がってくるからね。材料も鋼の上はミスリルになるんだが、まだ全部がミスリルというわけでもないようだ。
あとの金品関係はアクセサリーなどの宝飾品とお金となるんだが、お金は全部で15万ドール程度。アクセサリーは特にスキルはついていないただの装飾品ということもあり、全部で10万ドールくらいの価値らしい。装飾品は売るときの値段となるため、お金の方を自分たちで等分することになった。ありがたいことだ。
夕食には温かいスープを食べてから野営となるが、どうも興奮して眠れないのでこのまま見張りをすることにしてジェンと二人で話をする。もし眠くなったら他の人も起こすということにしていたんだが、いろいろととりとめなく話していると、明るくなってきた。やはり興奮していたんだろう。
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