偽りの聖女に断罪された本物の聖女、神と騎士に愛される

林 真帆

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プロローグ

第12話 新たなる聖女

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 翌朝の王都は、前夜の冷ややかな沈黙とは一転し、熱気に包まれていた。
 
 大広間に人々が集められ、新たな聖女の誕生を祝う儀式が執り行われていたのだ。


「リディア様……真の聖女だ」

「この国を導くお方は、やはりリディア様だったのだ……!」

 廷臣たちの口から賛美が次々と零れ落ちる。
 
 リディアは母ルシアに背を押され、壇上へと進み出た。白いドレスに身を包み、黄金の光を模した装飾をまとった
その姿は、たしかに“聖女”と呼ぶにふさわしい輝きを放っていた。

 リディアの胸は高鳴っていた。
 
 ――人々が自分を必要としている。
 
 ――アルベルト殿下の隣に立つ未来がある。

 
 その甘美な想像が、瞳の奥に強い光を宿らせていた。


「国に平和をもたらす聖女、リディア・アルディナ!」

 
 高らかに告げられる宣言に、場内は歓声で満ちる。
 
 ルシアは誇らしげに娘を見つめ、まるで自分が王妃になったかのように微笑んでいた。

 
 だが、群衆の熱狂の中で、ただ一人、アルベルトだけが複雑な表情を浮かべていた。
 
 確かに、民はリディアを望んでいる。彼女の奇跡は多くの者に希望を与えた。
 
 
 ――しかし、本当にこれでいいのか。


(セシリアの祈りは、確かに人々を救ってきた。あれは決して偽物ではなかったはずだ……)

 
 心の奥底で消えぬ迷いが燻り続ける。
 
 だが、もはや彼には立場があった。民心を前に、弱気な言葉を吐くわけにはいかない。

 
 一方その頃、王都の片隅では――。
 
 ひっそりと馬車に乗せられたセシリアが、王宮から遠ざけられていた。
 
 顔を覆うフードの下で、涙はもう枯れていた。代わりに、胸の奥で冷たい炎のような決意が生まれつつあった。


(私にできることは……きっとまだあるはず。これは神が私に与えた試練……)

 
 その小さな決意の芽は、やがて大きな力へと育っていく。
 
 しかしそれはまだ、誰も知らない未来の物語だった。
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