起源召喚士〜魔法が使えないと宣言されたのに召喚魔法に目覚めた件〜

ユズル

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始まりの日

襲撃

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ソウルとガストはお互い顔を真っ赤にしながら孤児院に帰り着く。

 先程のこともあり、お互いどこかぎこちない。

「じっ、じゃあ俺、木剣片付けてくるわ……」

「じ、じゃあ私は先に戻ってるね?」

 そう言ってガストは一足先に中庭から孤児院の方へ向かった。

「あー……」

 1人になったソウルはどこかホッとしたような、寂しいような……。そんな気持ちになった。

 そして木剣を門の近くに立てかけながらガストの唇の感触を思い出す。

「あれ、キス……だよな?」

 言葉に出してみると頬が赤くなるのを感じる。次どんな顔をしてガストに会えばいいか分からない。

 だが、心は羽のように軽く、心臓の動悸が収まらない。

「おおおおちおち、落ち着け……」

 ふうと息を整えながら孤児院を見る。明かりが消えた孤児院はまるで廃墟のようだった。

「……ん?」

 しかし、まだ寝る時間には早い。何かおかしいと思ったその時だった。

「きゃあっ」

 遠くでガストの悲鳴が聞こえた。

「!?」

 木剣を掴み、声の方へ走る。何かまずい事が起きている。直感でそう感じたソウルは中庭へ向かった。

 中庭に出ると、そこには見知らぬ背が高い男が立っている。

 髪は重力を無視したように逆さに立ち、サングラスを掛けている。ベルトにはジャラジャラした鉄製のドクロを模したアクセサリーがついており怪しい雰囲気をさらに不気味なものにしていた。

「おや?まだガキがいたのかな?」

 男はネチネチとした蛇のような口調で告げる。

「離してっ」

 そして、ガストがその腕の中で暴れているのが見えた。

「こらこら、怪我したくないなら暴れないでね?」

 そいつはガストを右手で捕まえており、その後ろには縛られた孤児院の子どもたちと、倒れたシルヴァとライがいた。

「っ!みんな!?」

 ソウルは状況を飲み込み切れないままに叫ぶ。

 襲撃だった。

 だが、こんな孤児院に金銭があるとは思わないだろう。だとすれば、この男の目的は何だ?

 ……1つ心当たりがあった。

「……狙いはガストだな?」

「それを知ってどうするのかな?」

 男はにやにやしながら答える。

 治療系魔法の才能は貴重だ。

 治療の才能はオリジン・マナに大きく左右される。才能が無いものがいくら修行をしても治療系魔法が使えるようにはならないのだ。

 しかも治療魔法のマナを持つ者はとても少ないと聞く。

 そのような中でも、ガストは致命傷のような傷も全快するほどの力を持っている。下手をするとガスト1人で第1級騎士団以上の価値があった。

 だが、シルヴァとヴィクターの尽力で、その力の詳細はごく一部の人間にしか伝わっていない。病院で働いているが、そこの医者の計らいで情報は隠して仕事をしてもらっていると聞いている。

 ならば一体、どこから情報が漏れたんだ?

「てめぇ、一体ガストのことをどこから……」

「おやおや、他人の心配をしている暇があるのかい?」

 そう言って男はこちらに左手をかざす。

「【地】と【槍】のマナ。飛べ【ロックジャベリン】」

 詠唱すると何も無い空間に岩の塊が現れる。そしてそれは岩の槍となってソウルに飛来した。

「っ!?」

 ソウルは咄嗟に横に転がりそれを回避。

 ドスンッ

 ソウルがさっきまで立っていた場所に岩の槍が突き刺さる。

「おぉ?なかなかやるじゃない」

 さらに続けて男はマナを溜め始めた。

「【ロックジャベリン】」

 そして次々と岩の槍が現れてはソウルに目掛けて飛来する。

「おおおおおおお!?」

 対するソウルは全力で走りながらそれらを回避していく。岩槍は孤児院の壁にグサグサと突き刺さり、孤児院を破壊していった。

「あっははは!面白いガキだなぁ。じゃあ、とっておきを見せてやるよぉ」

 そう言うと男は両手の平を合わせて詠唱する。

「【地】と【蛇】のマナ。くらいつけ【ロックサーペント】」

 そして男は左手を地面につけた。すると、辺りに軽い地震のような地響きがする。

「な、なんだ?」

 ソウルは警戒して男を睨む。

 どこからどんな魔法が飛んで来るかわからない。魔法で対抗できないソウルは男の一挙一動も見逃せなかった。一瞬でも隙を見せればやられてしまうだろう。

 でも、それはあいつも同じことだ。

 相手の隙をつき、一気に畳みかける。魔法が使えるライを相手に試合をして何度か成功させたことはある戦法だ。それしかない。

「……だめだ、ソウル」

 すると、倒れたライが掠れた声をあげる。



「下だ……!」



「下!?」


 次の瞬間、ミシィっと音を立てて地面が割れた。

「もう遅いよ?」

 ドンッ

 男の声が聞こえたかと思うと同時に体を鈍い衝撃が走り、ソウルの視界が真っ暗になった。
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