起源召喚士〜魔法が使えないと宣言されたのに召喚魔法に目覚めた件〜

ユズル

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騎士団入団

新たな旅立ち

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 ピンクの花に染まる山を見つめる青年がそこにいた。

 盗賊のような服装に身を包み、その上から黒いマントを被った青年は6年の修行の日々を思い出す。

 視線の向こうには白く輝くあの城。かつて11年前にみんなで訪れたイーリスト城があの頃と変わらぬ姿を見せる。

「これで、最後か……」

「なに湿っぽくなってんだ。ガキ」

「い、いい加減ガキって言うのはやめろって言ってんだろ!?」

 16歳になったソウルはシナツに文句を言う。

「ったく、弟子の門出だってのにこの師匠は……」

「なぁにが弟子だ。勝手に6年金魚の糞みたいにくっついてきただけだろうが」

「誰が金魚の糞だ!?」

 何度も繰り返したくだらない言い合いをする。が、やがて2人でケラケラ笑い出した。

「ったく、これで最後だってのによ。相変わらずすぎるだろ」

「いいんだよ、こんなもんで」

 そう言ってシナツはこちらに向きなおる。

「おら。ここまで見送ってやったんだ。後は好きに行きな」

「分かったよ。ったく、ほんとに最後の最後まで……」

 そうぶつぶつと文句を言いながらソウルはイーリスト城下町に向かって歩き始める。

「あー……おいソウル」

 すると、珍しく歯切れの悪い口調でシナツが呼び止めてきた。

「今度はなんだよ」

 ソウルが振り返ると黒い何かが飛んでくる。

「うお?」

 飛んできた物体を受け止めてみるとそれはシナツがずっと肌身離さずに持っていた黒剣だった。

「……え?」

 ソウルは目が点になる。

「持ってけ。選別だ」

 シナツは向こうを向きながら言った。

「で、でも、これ大事なもんじゃ……」

「いいから持ってけ。この6年の選別だよ。それに、おれが持つよりおめえが持ってた方がいいだろうからな」

「……ったく」

 ソウルが持っていた方がいいという理由はよく分からなかったが、シナツに認められたような気がして目頭が熱くなる。

「師匠!!」

 そして、ソウルは叫び深く頭を下げた。


「6年間、育ててくれて、ありがとうございました!!!!」


 そしてソウルはこらえていた涙が溢れて止まらなくなる。


「あー、るっせぇなぁ!とっとと行けよ!!!」


 シナツは叫ぶ。その声は少しうわずっているように聞こえた。

「いつか、騎士になって立派になった俺を見に来てくれよな!!」

 そう言ってソウルは城下町へと駆けて行った。


「ソウル!」


 そんなソウルの背中からシナツの声が聞こえる。



「おめぇと過ごした6年、退屈じゃあなかったよ!」



 ソウルはたまらずに振り返ったが、もうそこにシナツの姿はなかった。


ーーーーーーー


「あーったくよ」

 久々に1人になったシナツは空を見上げる。

 まさかこの自分がまた召喚術士を育てることになるとは思わなかった。

 だが、ソウルとの生活は悪くない日々だったとも思う。

「あいつになら……託してもいいのかも知れねぇな」

 シナツは晴渡る空を仰ぎながらそうつぶやくのだった。
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