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”一緒なら”
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「店まで閉めてもらって申し訳ありません」
ハレアたちはごちゃごちゃとした魔道具店の奥にある、自宅のリビングに通された。
「いえ、わざわざここまで来ていただいて……。呼ばれたら城でも屋敷にでも出向きましたのに」
そう言いながらカミュレスはデザインの揃っていないマグカップにお茶を入れて出してくれた。
「私、砂糖二つで」
ハレアはカミュレスを見上げて無邪気に言う。
カミュレスはキッチンに戻り、角砂糖の入ったガラスケースを持ってきてハレアの前にドンッと置いた。
「自分で入れろ。これだから貴族のお嬢様は」
「は~い」
ハレアは気の抜けた声で返事をして、砂糖をマグカップに入れた。
キルシュはそれを見て「んんっ」と咳ばらいをした。
「本題に入ってもよろしいでしょうか」
少し不機嫌そうな声を出す。ハレアはそれに気づかずにお茶を冷まそうと「ふぅ~ふぅ~」とウサギが描かれているマグカップに息を吹いている。これからする話が自分の話だというのに全く緊張感がない。ロンはその様子を見て「あちゃ~」と呆れている。
「どういったご用件で今日は?」
カミュレスは緊張した面持ちだ。
「知ってはいると思いますが、彼女の能力についてです」
「能力というのは?」
「魔石を破壊する能力とその欠片を浴びると一時的ではあるものの魔力量が増えるということについてです」
「えっ……、魔石を壊せることは知っていましたが……」
カミュレスは目を丸くして言葉を失っている。
「魔力量が増えるということは知らなかったと?」
「……はい」
カミュレスは下を向いて何か考え込んでいる様子だ。
「このことは一切他言無用でお願いしたい。もし、あなたから漏れるようなことがあれば、しかるべき対応をしなくてはいけません」
「それは……はい……」
「カミュ、ごめんなさい。変なことに巻き込んでしまって……」
「いや、それは大丈夫。それよりも、ハレアは魔術師団に保護されるんですか?」
「いや、こちらとしてもそうしたかったのだが、このことは皇帝陛下にも言ってはいません。陛下を信用していないわけではないが、どこからか漏れてしまえば争いの火種になり兼ねないので」
「そ、そうですよね……」
「まあ、なんか君なら言わないって信用できるよ。俺らが入ってきた瞬間に真っ先にハレアちゃんのこと心配したでしょ?彼女の魔力量が悪用されてるんじゃないかって思ったんだよね?」
「あっ、まあ……。ハレアはこの通り抜けてるところがあるので……。屋敷の人に言ったと聞いた時は気が気じゃなくて。でも、魔術師団長が一緒なら安心ですね」
カミュレスはため息交じりに自分を納得させるように言った。
「“一緒なら”ね」
ロンはキルシュを横目で見る。キルシュは少しバツが悪そうな顔をしている。
「僕は言いませんよ、元よりそのつもりだったので、心配しなくて大丈夫です。なんか、逆にスッキリしました!」
カミュレスはぎこちない笑顔をした。
「あっ、一つ気になることがあるんですがいいですか?」
さっきまでの引きつった笑顔が一転、真剣な顔になる。
「今はいませんが、以前ハレアがここに来た時に彼女の後をつけている人がいました。姿は見えませんでしたが……。僕には自分の姿を消す魔術は知らないのですが、確実にいたと思います。その人に『帝国の人間か』と尋ねましたが返答はありませんでした。もしかしたら、彼女はすでに狙われている可能性はありませんか?」
「えっ!そうなの!」
ハレアはマグカップをカチャッとテーブルに置き、目を丸くさせた。
「あ~、体を透過させる方法はあるっちゃああるんだが……、ちょっとこれ以上は申し訳ありませんがここでは言えません。こちらで確認します」
キルシュが苦い顔をする。
「えっ!体を消せるなんて最高だな!」
ロンも驚いた表情をし、口元が少し緩んでいる。
「そういう邪な考えを持つ人がいるので、世には出せないようなものですよ」
キルシュはロンを見ながら呆れている。
「じゃあ、これで失礼します。お時間を作っていただきありがとうございます」
キルシュとロンは深々とカミュレスに向かってお辞儀をした。
ハレアは胸元で小さく手を振った。
「僕たちはこのまま時計塔に戻る。君は屋敷からルードが迎えに来ているはずだから」
そう言って店の外に出ると、ルードが馬車の前に立っていた。
「お嬢、帰ろっか?」
ルードがハレアに手を差し伸べた。ハレアはその手を取ろうと、乗せようとした右手をひっこめた。
「ごめんなさい!ちょっとだけ待っててください!」
そう言い、ハレアは店の中へと戻っていった。
時計塔に戻ろうと歩き始めたキルシュとロンも、その声に驚き振り向いた。
「おい、あれいいのか?旦那が奥さんと他の男の密会を許しちゃって」
ロンが冷やかすようにキルシュに言い放つ。
「カミュレスさんはただのご学友ですよ」
「そんなこと言っちゃって。本当は気になるくせに~」
「僕と彼女は契約結婚なので」
キルシュは眉間にしわを寄せながら足早に魔道具店を後にした。
ハレアたちはごちゃごちゃとした魔道具店の奥にある、自宅のリビングに通された。
「いえ、わざわざここまで来ていただいて……。呼ばれたら城でも屋敷にでも出向きましたのに」
そう言いながらカミュレスはデザインの揃っていないマグカップにお茶を入れて出してくれた。
「私、砂糖二つで」
ハレアはカミュレスを見上げて無邪気に言う。
カミュレスはキッチンに戻り、角砂糖の入ったガラスケースを持ってきてハレアの前にドンッと置いた。
「自分で入れろ。これだから貴族のお嬢様は」
「は~い」
ハレアは気の抜けた声で返事をして、砂糖をマグカップに入れた。
キルシュはそれを見て「んんっ」と咳ばらいをした。
「本題に入ってもよろしいでしょうか」
少し不機嫌そうな声を出す。ハレアはそれに気づかずにお茶を冷まそうと「ふぅ~ふぅ~」とウサギが描かれているマグカップに息を吹いている。これからする話が自分の話だというのに全く緊張感がない。ロンはその様子を見て「あちゃ~」と呆れている。
「どういったご用件で今日は?」
カミュレスは緊張した面持ちだ。
「知ってはいると思いますが、彼女の能力についてです」
「能力というのは?」
「魔石を破壊する能力とその欠片を浴びると一時的ではあるものの魔力量が増えるということについてです」
「えっ……、魔石を壊せることは知っていましたが……」
カミュレスは目を丸くして言葉を失っている。
「魔力量が増えるということは知らなかったと?」
「……はい」
カミュレスは下を向いて何か考え込んでいる様子だ。
「このことは一切他言無用でお願いしたい。もし、あなたから漏れるようなことがあれば、しかるべき対応をしなくてはいけません」
「それは……はい……」
「カミュ、ごめんなさい。変なことに巻き込んでしまって……」
「いや、それは大丈夫。それよりも、ハレアは魔術師団に保護されるんですか?」
「いや、こちらとしてもそうしたかったのだが、このことは皇帝陛下にも言ってはいません。陛下を信用していないわけではないが、どこからか漏れてしまえば争いの火種になり兼ねないので」
「そ、そうですよね……」
「まあ、なんか君なら言わないって信用できるよ。俺らが入ってきた瞬間に真っ先にハレアちゃんのこと心配したでしょ?彼女の魔力量が悪用されてるんじゃないかって思ったんだよね?」
「あっ、まあ……。ハレアはこの通り抜けてるところがあるので……。屋敷の人に言ったと聞いた時は気が気じゃなくて。でも、魔術師団長が一緒なら安心ですね」
カミュレスはため息交じりに自分を納得させるように言った。
「“一緒なら”ね」
ロンはキルシュを横目で見る。キルシュは少しバツが悪そうな顔をしている。
「僕は言いませんよ、元よりそのつもりだったので、心配しなくて大丈夫です。なんか、逆にスッキリしました!」
カミュレスはぎこちない笑顔をした。
「あっ、一つ気になることがあるんですがいいですか?」
さっきまでの引きつった笑顔が一転、真剣な顔になる。
「今はいませんが、以前ハレアがここに来た時に彼女の後をつけている人がいました。姿は見えませんでしたが……。僕には自分の姿を消す魔術は知らないのですが、確実にいたと思います。その人に『帝国の人間か』と尋ねましたが返答はありませんでした。もしかしたら、彼女はすでに狙われている可能性はありませんか?」
「えっ!そうなの!」
ハレアはマグカップをカチャッとテーブルに置き、目を丸くさせた。
「あ~、体を透過させる方法はあるっちゃああるんだが……、ちょっとこれ以上は申し訳ありませんがここでは言えません。こちらで確認します」
キルシュが苦い顔をする。
「えっ!体を消せるなんて最高だな!」
ロンも驚いた表情をし、口元が少し緩んでいる。
「そういう邪な考えを持つ人がいるので、世には出せないようなものですよ」
キルシュはロンを見ながら呆れている。
「じゃあ、これで失礼します。お時間を作っていただきありがとうございます」
キルシュとロンは深々とカミュレスに向かってお辞儀をした。
ハレアは胸元で小さく手を振った。
「僕たちはこのまま時計塔に戻る。君は屋敷からルードが迎えに来ているはずだから」
そう言って店の外に出ると、ルードが馬車の前に立っていた。
「お嬢、帰ろっか?」
ルードがハレアに手を差し伸べた。ハレアはその手を取ろうと、乗せようとした右手をひっこめた。
「ごめんなさい!ちょっとだけ待っててください!」
そう言い、ハレアは店の中へと戻っていった。
時計塔に戻ろうと歩き始めたキルシュとロンも、その声に驚き振り向いた。
「おい、あれいいのか?旦那が奥さんと他の男の密会を許しちゃって」
ロンが冷やかすようにキルシュに言い放つ。
「カミュレスさんはただのご学友ですよ」
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