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ルードの本気
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「えっ、ここに紙と髪の毛を入れるんですか?」
「うん……」
「それだけ?」
「うん……」
丸いガラス瓶の中に黄色に光る液体がポコポコと泡を立てている。ガラス瓶の底には透明に光る小さな魔石が何個か沈んでいる。そこにメッセージを書いた紙と送りたい相手の髪の毛や爪など体の一部を入れると、その相手にその紙が届くという魔具らしい。送る紙も特殊な魔具の一種でその辺の紙では相手に届くことはないようだ。
「それにしても、キルシュの髪の毛、束で持ってんのな。こう見るとまあまあキモいぞ」
「連絡用だから……。あっちも僕の髪の毛いっぱい持ってるし……」
ハレアはガラス瓶の中に入れた髪の毛と紙をよーく見ている。キルシュの銀色の髪の毛が端からすうっと消え、その次にメッセージを書いた紙がポロポロと崩れるように消えた。
「あっ!全部消えました!」
「消えたら多分あっちに届いてると思う……」
リールはボソボソと呟く。
「すごい!ありがとうございます!リールさん!」
ハレアはリールの顔を見上げるが、リールはその瞬間にそっぽを向いてしまった。
「ん?お嬢とリールは同い年なんだからお互い呼び捨てでもいいんじゃない?」
「……それは……ちょっ……」
リールはハレアにもルードにも聞こえない何かをブツブツ言っている。
「でも、私、リールさんとお話したのは今日が初めてですし……。リールさんも、その……」
「本当に覚えてないんだね……」
リールは二人に聞こえない声でそう言った。
「まあ、おいおい仲良くなったら呼び捨てでもいいんじゃない?家族みたいなもんだし!なんなら、お嬢も俺のこと『ルード』って呼んでくれてもいいんだよ?」
ルードは流し目のキメ顔でハレアに目線を送った。
「いや、ルードさんはルードさんでいいです」
ハレアはルードの顔をじとっとした目で見る。
「なんでだよ~!お嬢~!」
ルードはいつものように八重歯を出し、無邪気な顔で笑った。
―――
「兄さん、ちょっといい?」
リールはルードの肩をそっと叩き耳打ちをした。
「ん?あっ、お嬢、その辺の魔具見てていいよ。ただ触ると何起きるか分かんないから見るだけね」
ルードはそう言うと、リールと部屋の端の方へと向かった。
「実はキルシュさんに、その……あの人……のことつけてるってバレて……」
「あの人ってお嬢?」
ルードがチラッとハレアを見る。ハレアは人形の瞳をまじまじと見ている。こちらには目もくれない。
「そう……。この間街に出た時のやつ……。多分、魔道具店の男がチクったんだと思う……。アイツ妙に勘が鋭かったし……」
「で?お前なんて言い訳したの?」
「兄さんに頼まれてついて行ったって言った……」
「まあ、実際そうだし、それはいいんだけどさ……。なんでお嬢のあとつけてるか聞いてもいい?あの日だけじゃないだろ?ロンダム家との会議にも来てたし」
「はっ……恥ずかしいから……」
「えっ?」
「恥ずかしいから……。あっちは僕のこと忘れてるし……」
「あ~、会ったことあんのね。学年一緒だし、そういうこともあるだろうけどさ~。普通に話しかければいいだろ……」
「僕、こんなんだし……」
リールが下を向くと長い前髪で完全に顔が隠れてしまった。
「お嬢は別にどんなんでも態度変えるような人じゃねーだろ。さっきだってリールの魔具すごいって褒めてたじゃん」
「それはそうなんだけど……。僕とは生きてる世界が違い過ぎる……。学校でもキラキラしてて色んな人に囲まれてて……こないだも魔道具店のイケメン男に告白されたらしいし……」
「えっ!?そうなの!?うわ~!こないだ迎えに行った時に顔だけでも見ときゃよかった~」
ルードは右手で頭を抱えた。
「で?お前はなんでそれ知ってんの?」
「えっ……それは……、モーネと話してるのが偶然聞こえて……」
「そんな話、お嬢がその辺でするわけねーだろ!お前、お嬢の部屋に勝手に入ってんだろ!」
「あっ……、えっ……」
リールは動揺を隠しきれない。
「次勝手にお嬢の部屋入ったら、俺が相手だからな」
ルードはリールの耳元で低い声で言った。弟であるリールには分かる。それが本当に怒っているときの声色であることを。そして、魔具なしの魔術勝負ではリールはルードには絶対勝てないのだ。
「うん……」
「それだけ?」
「うん……」
丸いガラス瓶の中に黄色に光る液体がポコポコと泡を立てている。ガラス瓶の底には透明に光る小さな魔石が何個か沈んでいる。そこにメッセージを書いた紙と送りたい相手の髪の毛や爪など体の一部を入れると、その相手にその紙が届くという魔具らしい。送る紙も特殊な魔具の一種でその辺の紙では相手に届くことはないようだ。
「それにしても、キルシュの髪の毛、束で持ってんのな。こう見るとまあまあキモいぞ」
「連絡用だから……。あっちも僕の髪の毛いっぱい持ってるし……」
ハレアはガラス瓶の中に入れた髪の毛と紙をよーく見ている。キルシュの銀色の髪の毛が端からすうっと消え、その次にメッセージを書いた紙がポロポロと崩れるように消えた。
「あっ!全部消えました!」
「消えたら多分あっちに届いてると思う……」
リールはボソボソと呟く。
「すごい!ありがとうございます!リールさん!」
ハレアはリールの顔を見上げるが、リールはその瞬間にそっぽを向いてしまった。
「ん?お嬢とリールは同い年なんだからお互い呼び捨てでもいいんじゃない?」
「……それは……ちょっ……」
リールはハレアにもルードにも聞こえない何かをブツブツ言っている。
「でも、私、リールさんとお話したのは今日が初めてですし……。リールさんも、その……」
「本当に覚えてないんだね……」
リールは二人に聞こえない声でそう言った。
「まあ、おいおい仲良くなったら呼び捨てでもいいんじゃない?家族みたいなもんだし!なんなら、お嬢も俺のこと『ルード』って呼んでくれてもいいんだよ?」
ルードは流し目のキメ顔でハレアに目線を送った。
「いや、ルードさんはルードさんでいいです」
ハレアはルードの顔をじとっとした目で見る。
「なんでだよ~!お嬢~!」
ルードはいつものように八重歯を出し、無邪気な顔で笑った。
―――
「兄さん、ちょっといい?」
リールはルードの肩をそっと叩き耳打ちをした。
「ん?あっ、お嬢、その辺の魔具見てていいよ。ただ触ると何起きるか分かんないから見るだけね」
ルードはそう言うと、リールと部屋の端の方へと向かった。
「実はキルシュさんに、その……あの人……のことつけてるってバレて……」
「あの人ってお嬢?」
ルードがチラッとハレアを見る。ハレアは人形の瞳をまじまじと見ている。こちらには目もくれない。
「そう……。この間街に出た時のやつ……。多分、魔道具店の男がチクったんだと思う……。アイツ妙に勘が鋭かったし……」
「で?お前なんて言い訳したの?」
「兄さんに頼まれてついて行ったって言った……」
「まあ、実際そうだし、それはいいんだけどさ……。なんでお嬢のあとつけてるか聞いてもいい?あの日だけじゃないだろ?ロンダム家との会議にも来てたし」
「はっ……恥ずかしいから……」
「えっ?」
「恥ずかしいから……。あっちは僕のこと忘れてるし……」
「あ~、会ったことあんのね。学年一緒だし、そういうこともあるだろうけどさ~。普通に話しかければいいだろ……」
「僕、こんなんだし……」
リールが下を向くと長い前髪で完全に顔が隠れてしまった。
「お嬢は別にどんなんでも態度変えるような人じゃねーだろ。さっきだってリールの魔具すごいって褒めてたじゃん」
「それはそうなんだけど……。僕とは生きてる世界が違い過ぎる……。学校でもキラキラしてて色んな人に囲まれてて……こないだも魔道具店のイケメン男に告白されたらしいし……」
「えっ!?そうなの!?うわ~!こないだ迎えに行った時に顔だけでも見ときゃよかった~」
ルードは右手で頭を抱えた。
「で?お前はなんでそれ知ってんの?」
「えっ……それは……、モーネと話してるのが偶然聞こえて……」
「そんな話、お嬢がその辺でするわけねーだろ!お前、お嬢の部屋に勝手に入ってんだろ!」
「あっ……、えっ……」
リールは動揺を隠しきれない。
「次勝手にお嬢の部屋入ったら、俺が相手だからな」
ルードはリールの耳元で低い声で言った。弟であるリールには分かる。それが本当に怒っているときの声色であることを。そして、魔具なしの魔術勝負ではリールはルードには絶対勝てないのだ。
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