61 / 68
深夜の女子会
しおりを挟む
「えっ!第三皇子殿下との間でそんなことになっていたなんて!」
チルの部屋でベッドに寝ころびながら、ハレアはここに来ることになった経緯を丁寧に説明した。もちろん、機密事項は伏せ、自分の魔力量のことも少々低めに言った。
「でも、私はフェイリス殿下、そんなに悪い人だとは思ってないの。それなのに、ウェルはもう会っちゃダメって!」
「まあ、自分の奥さんが他の男と会うのはいい気はしないしね」
「えっ!?嫉妬!?」
「嫉妬だろ」
チルは冷めた目でハレアを見た。
(えっ、最近はすっかり忘れてたけど、これは溺愛計画一歩前進なのでは?あれ?でも、私ウェルに溺愛されてどうしたいんだろう……)
「そ、それより、チルはどうなの?」
「私は昔っから大勢とお見合い的なのさせられてもう勘弁って感じ」
「学校時代から色んな人と噂があったよね」
「私がちょっと見た目が大人っぽくて美しいからって世間では色々言われちゃうから本当面倒。一回会っただけで恋人面されたり……」
「それ嫌だね~」
「まあ、お見合いに関しては仕方ない部分もあると思うけどね。私、上のアニキは子爵家を継ぐし、二番目のアニキは魔術師団だし……」
チルは「はぁ……」と小さなため息をつき、下を向いた。
「私、父の政治の道具だからさ。貴族だと仕方ないっていうのも分かる。でも私によってくる人はみんな私の見た目かルルドネアのお金に興味がある人ばっかり……。私は私に興味のない人と結婚したい……」
その言葉はいつものチルとは違い、弱々しく辛うじて絞り出たようだった。ハレアはなんと返したらいいのか言葉が見つからず、チルの手を包むように両手で覆った。
「まあ、でも今はハレアが来てくれてほんと気持ちが軽くなった!学校卒業してからずーっと鬱憤が溜まってたけど!」
ぎこちなく笑う彼女をハレアは抱き寄せた。
「よかった。私、学生時代もそうだし、今だってこうしてここでお世話になってて、チルに甘えっぱなしだからちょっとでも役に立ってるなら嬉しい」
ハレアがチルの耳元で言うと、チルの鼻水をすする音が聞こえた。そして、抱き寄せたハレアの肩に涙がこぼれてきた。
「わ、私ね、ハレアが羨ましかったの。政略結婚だったかもしれないけど、妻を守るために大して交流もなかったうちにお願いできるくらい必死な旦那がいて。いつでも守ってくれる使用人がいて。フラれても思い続けてくれる人がいて……。私にはないもの全部持ってるんだもん……。でもね………、分かるの。私もハレア好きだもん!守りたくなるくらい好きになるの分かるもん!それに、ハレアはただ守られるだけの人じゃないっていうのも……分かる。だからすごく魅力的なんだよね……」
チルはそっとハレアから離れた。チルの顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「まあ、ハレアはすっごい鈍感ですっごいアホだけど!」
チルは涙で濡れた顔のままいつものように笑った。
「アホじゃないし!」
ハレアもふにゃっとした笑顔でチルを見た。
「鈍感なのは自覚あるんだ~」
「いや、それは……カミュにその……告白されたときに、気付いてないの私だけって言われて……」
「あーっ!そうだ!そのことも詳しく聞きたかったんだ~!色男君になんて告白されたの~?」
いつもの調子に戻ったチルにハレアは困惑していると、『コンコンッ――』とチルの部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「そろそろ、夜も遅いのでインハート夫人を部屋までお送りいたします」
少しだけ開いた扉の隙間から男の人の低い声がした。
「あ~、アニキか~。今いいとこだったのに~」
チルのその一言で外にいるのがカイルであることにハレアは気付いた。
チルの部屋でベッドに寝ころびながら、ハレアはここに来ることになった経緯を丁寧に説明した。もちろん、機密事項は伏せ、自分の魔力量のことも少々低めに言った。
「でも、私はフェイリス殿下、そんなに悪い人だとは思ってないの。それなのに、ウェルはもう会っちゃダメって!」
「まあ、自分の奥さんが他の男と会うのはいい気はしないしね」
「えっ!?嫉妬!?」
「嫉妬だろ」
チルは冷めた目でハレアを見た。
(えっ、最近はすっかり忘れてたけど、これは溺愛計画一歩前進なのでは?あれ?でも、私ウェルに溺愛されてどうしたいんだろう……)
「そ、それより、チルはどうなの?」
「私は昔っから大勢とお見合い的なのさせられてもう勘弁って感じ」
「学校時代から色んな人と噂があったよね」
「私がちょっと見た目が大人っぽくて美しいからって世間では色々言われちゃうから本当面倒。一回会っただけで恋人面されたり……」
「それ嫌だね~」
「まあ、お見合いに関しては仕方ない部分もあると思うけどね。私、上のアニキは子爵家を継ぐし、二番目のアニキは魔術師団だし……」
チルは「はぁ……」と小さなため息をつき、下を向いた。
「私、父の政治の道具だからさ。貴族だと仕方ないっていうのも分かる。でも私によってくる人はみんな私の見た目かルルドネアのお金に興味がある人ばっかり……。私は私に興味のない人と結婚したい……」
その言葉はいつものチルとは違い、弱々しく辛うじて絞り出たようだった。ハレアはなんと返したらいいのか言葉が見つからず、チルの手を包むように両手で覆った。
「まあ、でも今はハレアが来てくれてほんと気持ちが軽くなった!学校卒業してからずーっと鬱憤が溜まってたけど!」
ぎこちなく笑う彼女をハレアは抱き寄せた。
「よかった。私、学生時代もそうだし、今だってこうしてここでお世話になってて、チルに甘えっぱなしだからちょっとでも役に立ってるなら嬉しい」
ハレアがチルの耳元で言うと、チルの鼻水をすする音が聞こえた。そして、抱き寄せたハレアの肩に涙がこぼれてきた。
「わ、私ね、ハレアが羨ましかったの。政略結婚だったかもしれないけど、妻を守るために大して交流もなかったうちにお願いできるくらい必死な旦那がいて。いつでも守ってくれる使用人がいて。フラれても思い続けてくれる人がいて……。私にはないもの全部持ってるんだもん……。でもね………、分かるの。私もハレア好きだもん!守りたくなるくらい好きになるの分かるもん!それに、ハレアはただ守られるだけの人じゃないっていうのも……分かる。だからすごく魅力的なんだよね……」
チルはそっとハレアから離れた。チルの顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「まあ、ハレアはすっごい鈍感ですっごいアホだけど!」
チルは涙で濡れた顔のままいつものように笑った。
「アホじゃないし!」
ハレアもふにゃっとした笑顔でチルを見た。
「鈍感なのは自覚あるんだ~」
「いや、それは……カミュにその……告白されたときに、気付いてないの私だけって言われて……」
「あーっ!そうだ!そのことも詳しく聞きたかったんだ~!色男君になんて告白されたの~?」
いつもの調子に戻ったチルにハレアは困惑していると、『コンコンッ――』とチルの部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「そろそろ、夜も遅いのでインハート夫人を部屋までお送りいたします」
少しだけ開いた扉の隙間から男の人の低い声がした。
「あ~、アニキか~。今いいとこだったのに~」
チルのその一言で外にいるのがカイルであることにハレアは気付いた。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
[完結中編]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ@女性向け・児童文学・絵本
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる