Bグループの少年

櫻井春輝

文字の大きさ
上 下
132 / 147
第三章 Bグループの少年と藤本家

第二十三話 香のライフは……

しおりを挟む
 
 
 
「いやいや、置いて帰ったも何も、仕事終わったから帰っただけですよ、俺は」
 焦ったように手を振って、少しばかりオーバーリアクション気味に男が亮に返事をすると、亮はますます不機嫌そうに眉を歪めた。
「何言ってんだ、俺が事務で捕まってるの見るや、お前がそっと後ろ歩きで逃げたのに俺が気づいてないとでも思ってんのか」
 それを聞いて男はギクリといった音が聞こえてきそうなほどに肩を竦め、「は、ははは……」と誤魔化すような愛想笑いを浮かべ始めた。
(……どういう関係なんだろ……?)
 内心でそう思うも何となく察しはついている。
 『仕事』や『事務』といったワードを聞くに、バイト先の同僚なのだろう。
 それはわかるのだが、その先がわからない。
 何せ男は明らかに社会人な雰囲気があり、大学は既に卒業しているような年齢に見えるからだ。
 そんな、香や亮、淳也を含めても随分年上そうな男性に対し、亮の態度や口調はあまりにも気安く、そして二人の雰囲気からすると亮の方が上の立場っぽく見えるのだ。
 バイトでも何でも先に入っている方が先輩というのは確かにあるが、それにしたっていくらなんでも度が過ぎているように思える。
 淳也も同じことを思っているようで、今も部下を詰るように亮と男が言い合っているのを怪訝に見比べている。
 そこで見かねたように恵梨花が亮の袖をちょいちょいと引っ張って亮の気を引いた。
「ちょっと、亮くん……」
「ん……? ああ、すまん。こいつはバイト先の……同僚……? でな」
 何故か疑問形で紹介された男は頬を引き攣らせていた。
「バ、バイト先って……いや、そういえば実は高校生な班長からしたらバイトでも合ってるのか……」
 どこか納得いかなさそうに呟く男を横目に、恵梨花はやはりと頷いた。
「あ、やっぱり……てことは静さんとも同僚ってことなんだよね?」
「そうだな。一応、こいつと俺と静と巴の四人で一つの班って形で仕事してる」
「そうなんだ――!」
 そう言って目を丸くする恵梨花に、男は改めるように視線を向けた。
「静さんを知ってるってことは……じゃあ、その子が噂の班長の彼女の――若奥さんですか」
「はあっ――!?」
「ええっ――!?」
 亮と恵梨花が同時に驚きの声を上げた。
(若奥さんって……)
 噴き出しそうになったのを香は堪えた。
「お、おま、な、なに、何言ってんだ!?」
 亮が顔を赤くしながら男を問い詰める横では、同じく頬を赤く染めた恵梨花が顔を隠すように俯いている。
 恥ずかしそうにしているその様を見て香は思わず恵梨花を抱きしめそうになった。
「へ? ああ、若奥さんってやつですか? えっと……すみません。いや、静さんがずっと皆にそう言ってたものですから、移ったみたいですね」
「はあ!? おい、皆!? 言ってるってどういうことだ!?」
 初めて聞いたような亮から掴みかからんばかりに更に問い詰められた男は「やっちまった」と言わんばかりに頬を引き攣らせた。
「あー……どうやら、俺は地雷を踏んだみたいですね……」
「んなこと、どうでもいいんだよ! おい、なんだ、静のやつさっきみたいなことあちこちで言い触らしてんのか!?」
「えーと、その件についてはちょっと行き違いがあったようでして……」
 遂には胸ぐらを掴まれてガクガクと揺さぶられている男は冷や汗をダラダラと流しながら、亮から視線を逸らして、何やら言い訳みたいなのを口にしている。
「ふざけたこと言ってんじゃねえ!  静のやつが俺のいないとこで好き勝手言ってんだな!?」
「そ、それについては私からは何とも……」
 そこで口調を丁寧にしてまで言い訳をする男に救いの手が入る。
「も、もう、いいじゃない、亮くん……それより、亮くんや静さんの同僚の人なら、ちゃんと紹介して欲しいな……?」
 未だ頬を染めていながらもどこか嬉しそうな恵梨花にそう言われて、亮は渋々と男から手を引いた。
 そして見るからにホッとした様子の男は、恵梨花へと感謝の視線を送りながら会釈した。
「はあ……助かりました。堀越翔太(ほりこししょうた)といいます。お見知りおきを」
「あ、ご丁寧に――藤本恵梨花です。初めまして」
「ええ、初めまして……しっかし、噂通り……いや、噂以上にと言うか……滅茶苦茶に可愛らしいお嬢さんですね、班長。超正統派の美少女って感じで」
 心から感嘆した様子の堀越に、亮は自慢気に何度も首を縦に振る。
「ふっ、そうだろうそうだろう」
「ちょ、ちょっと亮くん――」
 恵梨花が耳まで真っ赤にして恥ずかしそうにしつつ、でもやはりどこか嬉しそうに亮へ抗議の声を上げる。
「何だ? 本当のことじゃねえか」
 首を傾げる亮に恵梨花が弱々しく言い返す。
「そ、そういうことじゃなくって……」
 そんな二人の様子を堀越は苦笑して、香は少々呆れ気味に眺めていた。
(うーん、まさにバカップル……)
「えーっと……と言うことは、班長はデート中でしたか、これは邪魔をしてすみません」
 そう声をかけられた亮は思い出したように香と淳也をチラッと見てから、躊躇いがちに頷いた。
「あー……まあ、そうとも言うな……」
 亮の視線に気づいていた堀越は、香と淳也へ目を向けた。
「もしかしてと思ってましたが、こちらの二人も班長のお知り合いで……?」
 そう聞きながら会釈された香と淳也は同じく会釈をして返す。
「俺の、と言うか、恵梨花のな……」
 亮が言いにくそうに答えると、堀越はパチパチと目を瞬かせた。
「な、なるほど……つ、つまりは、彼女さんの繋がりで、だ、ダブルデートってことですか……」
 そう言う堀越の顔はこれでもかと意外そうであった。
(確かに恵梨花の彼って、こういうのに付き合わなさそうな感じなのよねー。恵梨花に頼まれたから断れなかったのかしら?)
 どうして亮が了承したのかの経緯を知ったら、香は冷たい目を送っていたことだろう。
 亮は頭をガシガシと掻いて、先ほどよりも答え辛そうに返す。
「……ああ。なんか文句あるか?」
「いやいやいや!? 無いです無いです!!」
 焦ったようにブンブンと手を振って拒否を示す堀越に、亮は苛立たしげに鼻息を荒らした。それからふと思い出したように問いかけた。
「そういやお前、何で着替えもせず一人でこんなとこいるんだ?」
「え? ああ、一人でここにいるのは、朝飯食いに行ってたからです。そっち行ったところに、朝だけやってる卵かけご飯の専門店ありまして」
 背後を指差しながらの堀越の言葉に、亮は興味深そうになった。
「卵かけご飯の専門店だと?」
「ええ。俺も最近聞いたばっかの店でしてね。試しに行ってみました。知らない食い方も色々教えてもらえましてね……だけでなく予想以上に美味かったですよ」
「おま……何で、俺を誘わねえんだよ」
「いやいや、休みの朝一にいきなり誘えませんよ。第一、班長今日はこうやって用事あったんでしょ?」
 それには反論する言葉が無かったようで、亮は唸った。
「……む……よし、今度朝方に仕事終わった時に連れてけ」
「それは別に構いませんが」
 その受け答えを見て、淳也が苦笑しながら「だから高校生に夜勤のバイトなんて、出来ないんだけどね……」と小さく呟いていた。
(……もしかして、歳誤魔化してるのかしら……?)
 ふと香の脳裏にそんな考えが浮かんだが、恵梨花の彼が高校にいることは間違いないことだと聞いているので、流石にそれは無いかと思い直した。
 しかしだ、亮と堀越のやり取りを聞いていると、どっちが年上なのかわからなくなってくるから不思議に思ってしまうのは変わらない。
「おし……んで、お前、その店行くのにワザワザその服着て行ったのか?」
 亮がそう聞くと、堀越は苦笑を浮かべて頬を掻いた。
「いやいや、そんなまさか……昨日の帰り、静さん巴さんに呼ばれて朝まで付き合わされたんですよ」
「静さんですか?」
 知ってる人なのだろうか、小首を傾げた恵梨花が話に入った。
「え? ああ、奥さ――彼女さんの家に行ったんでしたね、静さん」
 またも奥さんと呼びそうになって、堀越は言い直した。
「そ、そうです……」
 恥ずかしそうに消え入りそうな声で返す恵梨花に、堀越は苦笑した。
「静さんは途中で帰りましたけどね、巴さんが帰してくれなくて……結局朝まででした」
 肩を落としながら煤れたような顔をした堀越に、亮が言った。
「なんだ、お前。じゃあ、俺を見捨てて帰った後に、双子に捕まってたのか。ははっ、ざまあねえな」
 からからと笑う亮に、堀越が憤然と返す。
「ちょっ、ひどいですね! それに、見捨てるなんて語弊にもほどがありますよ!」
「いや、本当のことだろ」
「いやいやいや! だからですね! 俺含む静さん、巴さん班員の評価を班長の代わりに班員である俺が書くとか無理ですから!」
 その言葉にギョッとしたのは恵梨花だけでなく、香も淳也もだ。
(は!?……この人の評価を恵梨花の彼がするの……?) 
 あだ名のように班長と呼んでるのかと思っていたが、実際的に班長らしい。
「そこはお前のその無駄にいい頭使って、俺っぽく書くとかだな、色々やりようがあるだろ」
「無駄にいい頭って何ですか!?  仮に書いたとして、巴さん静さんにバレたら、何言われるか!? いや、何されるか!?」
「それは……頑張れ」
「うわー……」
 朝まで付き合わされたと言った時以上に煤けた顔となった堀越を前に、恵梨花が亮の袖をちょいちょいと引っ張る。
「……亮くんって、本当に堀越さん、静さんの班の班長なの……?」
「うん? ああ、そうだけど?」
「な、何で亮くんが……?」
「何でって……何でだろうな?」
 恵梨花の疑問に疑問で返す亮。そんな二人の間に、堀越が深い苦笑を浮かべて入る。
「それはですね、班長の実力がピカ一で、だけでなく指揮能力、咄嗟の判断力も実際的に優れてるからなんですよ。現場は実力主義ですからね」
「あー……な、なるほど……」
 恵梨花には思い当たることがあるらしいが、香と淳也からしたら何の話をしてるのかサッパリだった。
「じゃ、じゃあ、本当に亮くんが班長なんだ……」
「まあな。面倒が多くて静辺りに代わってもらいてえんだが……ホリ、お前代わりやらねえか?」
 あだ名らしきもので呼ばれた堀越は渇いた笑みを漏らす。
「は、はは……無理に決まってるじゃないですか。四人の中で、一番実力が下の俺が班長とか無理過ぎます」
「うーむ……じゃあ、書類仕事の時だけ、お前班長やれよ」
「いやー班長……本気で言ってますよね?」
「当たり前だろ?」
「はあ……」
 肩を落としながら遣る瀬無いように首を振る堀越。
 その様を見て、香は堀越が亮の下で苦労していることだけは理解出来た。
「……ねえ、亮くん?」
 恵梨花がニコリと亮を見上げた。
「な、何だ……恵梨花?」
「堀越さんが言うように、いくらなんでも班員の評価を班の人に任せようとするのはどうかと思うな、私」
 ど正論をぶつけられた亮は目を泳がせ、堀越は救いの女神を見るような顔になった。
「え、えっとだな、恵梨花。これは適材適所というやつで、ホリは書類仕事に関しては、それはもう――」
「だとしても、評価表はその内に入らないんじゃないかな、流石に」
「そ――そうとも言えるかもしれんな……」
「かも、じゃなくて、絶対にそうだよ」
「そ、そうか……」
 焦ったように冷や汗を流し始める亮に、堀越がニコニコと笑顔になった。
「いやー、奥さん流石です。班長がタジタジじゃないですか。こんな班長見たことないです」
 そう言われて、恵梨花が再び顔を真っ赤に染め上げる。対して、亮は黙ってろと言わんばかりに堀越を睨みつけた。
「あ、あの、だから、奥さんだなんて……」
「おっと、失礼。あ、もういい加減、邪魔するのもなんなので、これで失礼しますね――では」
 亮に睨まれたからか、頬を引き攣らせた堀越は手短かに挨拶を終えて四人の前から去って行った。
 それから何とも言えない空気が流れる中で、最初に口を開いたのは恵梨花だった。
「はあ……亮くん? 自分の仕事押し付けてばっかりしたらダメだよ?」
「いやいや、恵梨花。あいつに任せてばっかりだと思われるのは心外だぞ?」
「……じゃあ、しょっちゅう?」
「……たまに?」
 その回答に恵梨花がジト目を亮に向けた。
「ふーん……亮くんの『たまに』か……」
 意味ありげに呟かれた亮は、顔ごと恵梨花から逸らした。
(これは『たまに』どころじゃなさそうね……)
 そう思ったのは香だけでは無いだろう。
 淳也が苦笑して、二人に話しかける。
「色々と聞きたいところだけど、ひとまずは歩かないか?」
 亮と恵梨花はハッとしてから、香と淳也へ振り返る。
(……二人で話し始めると周り見えなくなるのがデフォっぽいわね、この二人……)
「あーそうだな、長々と悪かった」
「ご、ごめんなさい……」
 亮と恵梨花がペコと頭を下げる。
「いや、いいよ。さっきは俺もだったし。お互い様だろ」
「はは、そう言ってくれると助かる」
 亮がそう言ってから自然と四人は再び歩き始めた。
「ねえ、桜木くん、さっきの人って何歳なのか聞いても?」
 香が背後に振り返りながら聞くと、亮は悩ましげに首を傾げた。
「ホリの年齢?……何歳だっけな、あいつ。確か……24とかいってたような……?」
「へ、へえ……随分、歳上だよね?」
「うん? ああ、まあ、そうだな……」
 腑に落ちないような亮の答え方に、恵梨花が察したように言った。
「亮くん、もしかして堀越さんのこと歳上とか意識したこと無いんじゃない?」
「あ、それだ。歳とか気にしたこと無かったな、あいつとは道場で稽古つけてからの付き合いだし」
「あ、そういうこと……」
 納得したような恵梨花に対し、そこで淳也が反応して振り返った。
「桜木くんって、どこか道場に通ってるのかい?」
「通ってるって言うか――」
「家が道場なんです」
 ここで亮に関する新情報が入って、香の思考が忙しなく回転を始める。
(家が道場……? つまり、土地がある。つまり、お金持ち。桜木くんが長男だとすれば、跡取り……?)
 土地代は場所によるだろうが、それでも貧乏なんてことは無いはずだ。亮がよほど遠く離れた僻地に住んでいなければ。
(話に聞いてたより、顔はいいし、バイクなんて乗ってるし、家は道場……けっこう優良物件なんじゃ……)
 香が色々考えている横で、淳也が亮と言葉を交わす。
「へえ? 何の道場やってるのか聞いても?」
「古いのが自慢な拳法だよ」
 苦笑しながら肩を竦めて返す亮に、淳也は納得したように頷いた。
「なるほど。けっこうガッシリした体格してるから、何かやってるとは思ってたけど、そういうことか」
「そうかい? あんまりそういうこと言われねえんだけどな」
 亮がそう言う通りに、香も淳也が言ったような印象は受けなかった。
「亮くんって、着痩せする方だよね」
「ああ、それはよく言われるな」
 そういうことかと香は納得する。
「それで、さっきの人は桜木くんの道場に通ってるのかい?」
 淳也の問いに、亮は頷いた。
「そんなところだな。指導してるのが主に俺だから、あまり歳を意識しねえんだよな」
「桜木くんが?……なるほどな……」
 再度、納得したように呟く淳也。
 亮が指導してるという点に香は気になった。
(道場の人間だからって、桜木くんが指導……? 他に教えれる人いなかったのかしら?)
 聞こうかどうか迷っていると、恵梨花が先に口を開いた。
「でも、亮くんが指導してるからって、仕事押し付けていい訳じゃないよね?」
「うっ……」
 話が戻ったことに、気不味そうにする亮。
「えーっとだな、恵梨花。何か誤解してると思うぞ」
「誤解って……どんな?」
「うむ。まあ、確かにあいつに仕事を頼む時はある」
「うん」
「だが、頼んだ時はそれなりに礼はしてるぞ」
「ふむふむ」
「あいつも言ってたが、ホリは俺の班の中では一番実力が下だからな。礼代わりに、よく稽古を見てやってる」
「ふうん……?」
「おっと、嫌がるあいつにきつい稽古をしてる訳じゃねえぞ? あいつが望んだことだからな?」
「あ、そうなんだ」
「ああ。それに、あいつは書類仕事が本当に早いし得意でな。あいつは稽古を望み、俺は書類仕事を頼みたい。どうだ、利害は一致してるだろ?」
 それが本当なら確かにウィンウィンだろう。
「うーん……でも、評価表は完全に班長の亮くんの仕事だと思うな」
 これについては、異論を挟む余地もないだろう。
「ま、まあ、そうかもしれんな……次からは気をつける」
「うん。指導する立場の上に、上司だからって無理言っちゃダメだよ」
「はは……はい」
 香は尻に敷く様というものを見た気がした。
(それよか……何のバイトかわからないけど、バイト先で班長……? さっきの人も桜木くんの部下っぽい態度だし……た、立場的には、シフトリーダーの淳也さんと、い、いい勝負かしらね?)
 香は、ふふんと虚勢を張りながらそう思い込むことにした。
「……もしかして、斎藤の話した時に、桜木くんが頷いてたのは、さっきの人のこと?」
 何のことかと思ったが、少し考えてから思い出した。淳也が後輩の斎藤に仕事を頼みやすいと言った時に、亮が同意するように頷いていた時のことだろう。
(あ、そうだ。後輩からの慕われ具合なら淳也さんの勝ち……? 勝ちね、うん)
 厳密には堀越は後輩ではなく、部下であるが、香はそこは見ないことにした。
「うん? ああ、そうそう。ホリも割と軽い印象だけど、仕事任せやすくてな」
 淳也とは任せやすいのニュアンスが違う気がした香だった。
「そ、そんなに軽い印象には見えなかった気がするけど……」
 この恵梨花の言葉には香も同意だ。堀越は斎藤ほどチャラくは無かっただろう。だが、軽い印象があったのは確かだ。
(それに対し、淳也さんの後輩である斎藤くんは見た目チャラくても高学歴だし)
 やはり自分の彼の淳也の方がすごい、ふふんと香が内心で勝ち誇っていたのも束の間――
「そうか? まあ、そうかもな……それにあいつ、あれで東大卒でな」
「ええっ!?」
 驚きの声を上げた恵梨花と淳也に対し、香は自分の顔がピシッと固まったのを自覚した。
「な、けっこう意外だろ? そんな大学出てるせいか、書類仕事に強くてな。報告書とか纏めるの上手くて、つい頼んじまう」
「そ、そうなんだ……え、何で、そんな大学出た人が亮くんと同じ仕事してるの!?」
 本当にそれだと、勢い込んで尋ねる恵梨花と一緒に香はギギギとぎこちなく振り返って耳を傾けた。
「ああ、なんでも入社した時は俺とは違う部署の情報部? だっけか、そこに配属されたらしいんだけど、途中から現場での仕事希望したみたいでな。それで、うちの部署に来たって訳だ」
「そ、そうなんだ……変わってる? ね……」
「だろ? そんな大学出といて、俺がいるようなとこ来るなんてな。幸いかどうかわかんねえが、あいつ学生の時に色々格闘技やってたからか、下地はあってな。配属されてからはうちの道場に熱心に通って、けっこう実力伸ばしてな……気づいたら、俺の班にきてた」
「ふ、ふうん……?」
 良くわかってなさそうな恵梨花であるが、それはこちらもだった。淳也は自分の頭をコンコンと叩きながら悩んでいる。
 香は亮から聞いた話をわかる範囲で整理するのが精一杯だった。
(ちょ、ちょっと待ってよ……東大出なんて超エリートの人が入った会社が恵梨花の彼のバイト先ってこと!? え、それ本当にバイトなの!? しかも、そんな人が部下!?……な、何者なのよ、恵梨花の彼って……)
 もはやバイト先がコンビニだと偽っていたことすら忘れてるかのような亮の話を耳にして、香は混乱しつつも、脳内には計算が走っていた。
(つ、つまり……)
 香の彼である淳也のバイト先がお洒落なカフェに対し、亮のバイト先(?)は東大出のエリートでも入社するような会社。有名進学校に所属する後輩に対し、東大出の部下。
 不確かな部分もあり、憶測も混じっているが、簡単にまとめるとこういうことだろう。
 高校生の付き合いであれば、それほど気にするようなことではないだろう。だが、香のようなアホであるが計算高い女の子はステータスやブランドに弱く、こう答えを出してしまうのだ。
 世の女性が羨むのは、後者の亮が多数だろうと。
 更に言うなら結婚適齢期の女性であれば圧倒的に後者を選ぶであるだろうということも。
(ま、負けた……)
 香一人だけが勝手に始めている脳内彼氏自慢合戦、バイトの部に於いて香は敗北感を覚えずにいられず、それによって打ちのめされ、目眩を起こしそうになり、足元をふらつかせたのだった。



「次、これ! これ着てみて、亮くん!」
「お、おう……なあ、恵梨花さっきのでいいんじゃないか……?」
「ダメよ! もっと色んなの見たい――じゃなくて、ちゃんと選ばないと!!」
「……ん? 今なんて――」
「ほ、ほら! いいから、早くこれ着てみて!」
 そう言って、亮に服を押し付けて手早く試着室のカーテンを閉める恵梨花。その際に一瞬見えた亮の表情が出荷されていく何かのようだったのが印象的だった。
 そんな二人の様子を香と淳也は少し離れた場所で見ていた。
「……桜木くんが来た時から思ってたけど、藤本さんって彼のこと滅茶苦茶好きみたいだね」
「そ、そうですね……彼の方も好きなのはわかるんですけど、恵梨花の方がもっと好きそうなのは、少し意外でした」
 香の知る範囲では、恵梨花は香と同じく恋に憧れを抱いても、実際にはどの男にも興味を持たなかった。本当に数え切れないほど告白されていたが、バッサリ切りまくっていたのだ。それが今では本当に普通の女の子のように、初めて出来た彼氏に夢中になっている。
 そのことが香にはなんだか感慨深かった。
(やっぱり恋してるせいね、中学の時も溢れんばかりだったけど、ずっと魅力的に見える……ああ、可愛い恵梨花)
 試着室に背を向け、自分のスマホを眺めてホクホク顔をしている恵梨花を目にしながら香は、ほうと息を吐いた。恵梨花のスマホに写っているのが何かは予想がついている。亮が試着する度にスマホで撮影をしていたから、その写真だろう。
 ちなみに香が元気になっているのは、店に入ってから亮に何度も試着をさせてはしゃぐ恵梨花が可愛かったことと、もう一つ。そもそも今すぐ結婚する訳でもない高校生である自分達の彼氏のバイト先や人間関係なんてどうでもいいじゃない、なんて割と本末転倒的に近い結論を自己防衛もかねて出したからだ。
 忘れてはいけない、香は残念な女の子である。
「香は桜木くんがどんな人だとか何も聞いてないのかい?」
 浸っていた香は淳也の声で我に返った。
「え? ああ、恵梨花からは何も聞いてませんでした……あ、同い年だということだけは聞いてましたけど……」
 淳也が聞きたいのはそういうことではないことぐらいは香もわかっているため、声は尻つぼみになった。
「そうか……」
「……彼のこと気になります?」
「まあ……色々な意味で気にならない方がおかしくないかな?」
 苦笑しながら紡がれた言葉に、香も同じく苦笑しながら同意の意味を込めて相槌を打った。
 脳内で自慢合戦をしていた香は亮の話を耳にすると、淳也と比べての優劣にばかり注目していたが、改めて考えると突っ込みどころが多過ぎた。
(何で高校生がバイト先で社会人を部下にしてるのよ。そもそもバイト先の班長である理由が、実力が一番とか指揮能力が優れてるからって何なのよ……)
 百歩譲って指揮能力に関しては目を瞑ってもいい。クラブ活動や生徒会の活動などでそれを身につける学生は確かにいるからだ。
(それに実力って……家が拳法の道場とか、稽古とかの話と合わせると、武力ってことじゃない。それが必要なバイトなんて……高校生でなんて聞いたことないわよ)
 当然のように同じ結論を出している淳也が言った。
「まあ、バイトが何なのか聞いた時に、あからさまに隠した理由はさっきので何となく察せたけど……にしても、面白いな」
「そうですね……淳也さんは、桜木くんのバイト先が何なのか予想ついたんですか?」
「うーん……あるにはあるけど、自分でもどうだろうって思うのが一つだけ」
「本当ですか!? なんですか!?」
 流石、自分より遥かに頭が良く大学生でもある淳也だと香は目を輝かせた。
「ははっ、いや、本当に自信ないよ?」
 苦笑する淳也に香はせがんだ。
「それでもいいです! 教えてください!」
「んー……じゃあ、言うけど――探偵事務所とかかな。それだと、現場がどうとか、指揮能力に判断力、いざ犯人と対面した時のための力とか、大卒の人が一緒とか色々説明つくかなって」
 その答えを聞いて、香は目を見開いた。
「そ、それですよ! 淳也さん!! 間違いないですよ!!」
 興奮気味な香に対し、淳也は怪訝に眉をひそめた。
「ええ……? 本当にそう思うかい……?」
「そうに決まってますよ! きっと危ない黒っぽい組織とかと戦うために、武力が必要で道場で育った彼が、世間には内緒でこっそり探偵事務所で働いてるんですよ!! あ――!? そうだ、きっと恵梨花は彼と組織の人との戦いに巻き込まれて、そこを助けられて惚れたんですよ、きっとそうですよ!!」
 思いつくままに香が言うと、淳也は思案気に顎へ手を当てた。
「ふむ……香がそこまで言うなら――」
「ええ! 間違いありません! ファイナルアンサーですよ!!」
 唾を飛ばしかねない勢いで香が口走ると、淳也はニコッと微笑んで頷いた。
「――うん、香がそこまで言うなら不正解ってことだな」
「ええ! ですよ――ん? え? あれ、それってどういうこと――」
 何故、淳也が意見を翻したのかわからず戸惑う香に、淳也は噴き出し気味に肩を震わせると、香の頭をポンポンと撫でた。
「――っくく……うん、気にしなくていいから。香はそのままでいいから。そうだよね、香の言う通りの可能性もあるかもしれないしね」
 よくわからないが、香は褒められたと思って照れて顔が赤くなる。
「え、えへへ。そ、そうですか?」
「うん。香はそのままでいいから」
「で、でへへ……も、もうー淳也さんったらー!」
 だらし無く笑む香の頭を、淳也は優しい笑みを浮かべながら撫で続けたのだった。



「わー、高い……」
「そうだな、晴れてるから見晴らしもいいし」
 ガラスの向こうの景色を眺めて呆然とする恵梨花に対し、それほど感動した様子のない亮が相槌を打つすぐ隣で、香も恵梨花と同じように感動して淳也へ話しかけていた。
「あ! 淳也さん、あそこ見てください! あれ私と恵梨花の中学校ですよ!」
「んん……? ごめん、流石にわからないな」
「ええー? あそこですよ、あそこ! ほら、私の指の方角を真っ直ぐ!」
 香からしたら一目瞭然なのだが、そう示されても目の前の光景は広過ぎて、やはり淳也はわからなかったようで、苦笑を浮かべた。
 今四人がいる場所はショッピングモールのすぐ近くにある高層ビルの最上階である。恵梨花のための恵梨花による亮のファッションショーが終わると、もうすぐ昼という時間になっていたため、ランチにすることと決めて、淳也の案内でやってきたのだ。
「とにかく、店の方に行こうか。そこからでも景色は見えるから、どうせならそこでゆっくり観よう」
 淳也がそう呼びかけて、四人は止めていた足を動かし始めた。
「何出す店って言ってたっけ……?」
 度重なる試着のせいか朝に見た時より疲弊している様子の亮が淳也に尋ねる。
 着ている服は宣言した通り恵梨花チョイスのものだ。黒のスキニーパンツに、藍色のシャツといった暗目のものが選ばれたのはスーツ姿を見た名残のせいだろう。清算を終えた亮が「これ二回目ぐらいに試着したやつじゃなかったっけ……?」とため息を吐いていたのがまた印象的であった。だが、その服は恵梨花が吟味しただけあって、亮によく似合っており、引き締まった体格の良さを映えさせていて、香から見ても素直に格好いいと思えた。ただし――
(ま、まあ、淳也さんには負けるけどね!!)
 香がそう思ったのも仕方ないことだろう。恵梨花だってきっとそう思っていることだろうから。
「イタリアンだよ。苦手な人は少ないと思って選んだけど、問題なかったかな?」
 淳也の答えに、亮は頷く。
「問題ないぜ」
「なら、良かったよ。味は保証する」
「そいつは楽しみだ」
 そう言って亮が笑いかけると、淳也も笑い返す。
 恵梨花と亮の隣で、香も淳也を着せ替えして楽しんでいた間に、亮と淳也の二人はそれほど言葉を交わした訳でもないのに、意外なほどに仲が良くなっていた。
「でも、山本さん、こんな高層ビルの最上階にあるようなレストランだと、けっこう高くつくんじゃ……?」
 恵梨花が高校生らしい心配を顔に貼り付けて聞くと、淳也は安心させるように微笑んだ。
「ああ、ディナーはコース料理を中心としてるからけっこう高めだけど、ランチだとそれほどでもないから大丈夫だよ」
「あ、そうなんですか……」
 ホッとしたような恵梨花に、香は鼻高々だった。
(オホホホホ、どうよ、この淳也さんの抜かりなさ! 案内されてる段階で、高級そうでお洒落な店なのが簡単に想像できて、でも、ランチタイムはリーズナブル価格だと前もって知っている情報通っぷり! それに美味しいお店知ってることのポイントの高さがわかるでしょ、恵梨花!? 高校生の彼氏だとなかなかないポイントでしょ!? オーホホホホ!)
 実際に高笑いしたくて、それを我慢しているために顔がニマニマするのを止められない香の横で、淳也が補足する。
「ランチはメインを何にするか選んだら、他はビュッフェなんだ。だから色々食べれるよ」
「あ、ビュッフェなんですか。それは楽しみです」
「――ということは食べ放題か」
 そう言って獰猛に笑う亮に、恵梨花が懸念を顔に出した。
「……亮くん、食べ尽くしちゃダメだよ?」
 その言葉に香と淳也はギョッとして振り返ったが、亮は気にした様子もなく笑い飛ばした。
「はは、何言ってんだ、恵梨花――」
 それを聞いて淳也と香が、流石にそれは無いかとホッとしつつ前へ目を戻したのも束の間。
「大皿ごと持って行ったらダメなんだから、そんなの無理に決まってるだろ」
 淳也と香はピクと肩を揺らした。
(それは、つまり――)
「――食べれないとは言わないんだね……」
(――ということよね)
 恵梨花がジト目で亮を見ている。香は横目で隣の彼氏を窺った。
「……店の選択ミスったかな……」
 悩まし気に淳也はボソッと呟いてから再び振り返った。
「じゃあ桜木くん、イタリアンはけっこう好きなんだ?」
「うん? ああ、美味いしな」
「て言うか、亮くんって好き嫌い無いよね」
「……まあ、そうだな」
「ふふ、お母さんも言ってたけど、亮くん好き嫌い無いから何でも作り甲斐あるよ」
「……いつもお世話になってます」
「いーえ! ふふっ」
 また二人が今日何度目かわからないイチャイチャワールドを展開し始めて、香は淳也と顔を見合わせて苦笑した。
(……にしても、付き合った期間を考えると、妙にこう――所帯くさいというか、たまに熟年夫婦みたいなとこ見せるわね、この二人)
 それに加えて、亮と恵梨花の会話を聞いていると、どうやら亮は恵梨花の家族と相当仲良くしている節が窺える。
(……あのシスコンの代名詞と言われている恵梨花のお兄さんとも仲が良いように聞こえたけど……一体、どうやって、そんなミラクル起こしたんだろ?)
 町内で知らぬ者などいない美しき三姉妹の雪月花。この三人を妹に持つその兄も美形で有名だが、それ以上にシスコンぶりが有名なのだ。父の溺愛ぶりも言うまでもないことだ。更には三姉妹を守るために、警察犬として名高い犬種の犬を文字通りの番犬として飼っているという話も周知の事実である。
(よくまあ、こんな家族のいる家と、短期間で仲良くなれたものね……? そういや、恵梨花のとこの犬って、本当に家族以外の男が近づくと吠えまくるのよねー……お陰で、変な勧誘も家まで来なくなったって恵梨花喜んでたけど……あれ? そんな犬いるのに彼は大丈夫なのかな? まあ、そこは流石に飼い主の家族が宥める……か)
 事実を知ったらさぞ驚いただろうが、香は無難な予想を出して納得した。
 そうして少し歩いたところで、外観が綺麗で落ち着いた感じの店の前で淳也が足を止めた。
「着いた、ここだよ」
「うわあ……」
 香は恵梨花と一緒に、感嘆の声を上げた。
(すごい……何て言うか、高級そう……こんなとこ私達が入っていいのかしら……)
 香もここに連れられるのは初めてであるため、恐らくは同じ感想を抱いているだろう恵梨花と共に驚いている。だが、そこでハッとする。
(お、オホホホ! どうよ、恵梨花! こんなすごそうな、大人っぽいお店に高校生の桜木くんは連れてってくれないでしょ!? 年上の彼を持つ私が羨ましいでしょ!?)
 ブレない香は、すかさずここで己への自尊心を高めて、先ほど蓋をした敗北感を綺麗に追い出せた。そうしてすっかり自信を回復させた香は、勝ち誇った気分で亮の反応はどうかと横目で窺った。すると――
「……?」
 亮は店を見上げて頻りに首を捻っている。まるで何かを思い出そうとしてるようなその仕草に、香は嫌な予感がした。
「……どうしたの、亮くん?」
 恵梨花もそんな亮に気づいたようで、問いかけた。
「うん?……いや、何か見た覚えがあるような気がしてな」
「ふーん……」
「どうしてそんな目で俺を見るんだ」
「亮くんがそう言う時って、大抵忘れてるんだよね。来たことあるんじゃないの?」
「ここにか? いやいや、俺このビルに登ったの初めてだから、そんなはず無えよ」
「ふーん……? じゃあ、何でだろうね」
「さあな? 多分、似たような店に行ったことあるんだろ」
「うーん……あ、入るよ、亮くん」
 納得してなさそうな恵梨花の声を背に、香は先導する淳也の後に続いた。
(み、見覚えあるだけね……ふう、セーフセーフ)
 ここで亮も行ったことあるなんて言われたら、高校生では到底来なさそうな店を知っている年上の彼、というアドバンテージが台無しになるとこである。
 ホッとしつつ香が淳也と共に店の中に入ると、支配人か店長かマネージャーかよくわからないが、そんな雰囲気のある、綺麗で高級そうなスーツを身に纏った壮年の男性が入り口脇に立っていた。
「いらっしゃいませ」
 柔和に微笑んで、もてなそうとする気持ちが込められた挨拶をされ、店の雰囲気と相まって香は嬢様気分を覚えて高揚する。そこで淳也が朗らかに男性へ声をかけた。
「やあ、小川さん」
「これは、山本様――ご予約の方、承っております」
 その受け答えに、香は驚きつつ有頂天になった。
(お、オホホホホ!! ど、どうよ、恵梨花!? こんな立派なお店の人が淳也さんの顔を覚えてるのよ!? す、すごい! いや、すごくない、恵梨花!?)
 思いもしなかったことが起きて、香は鼻高々であった。チラと後ろを窺うと、恵梨花も感嘆している様子で、香は高笑いしたい気分だった。
「じゅ、淳也さん、この店よく来られるんですか……?」
 思わず香が聞くと、淳也は少し恥ずかしそうに答えた。
「はは、いや、こことは違うとこにある本店の方に家族でよく来ててね。ここにも出来たって聞いたから、どうせならって思ってさ」
「そーなんですかー!」
 そこで小川が目を細めて話に入ってきた。
「はい、山本様ご家族の方にはいつもご贔屓にしていただいております」
「はは、でも小川さんがここにいてくれて良かったよ。落ち着けるから」
「ありがとうございます。新規にオープンしたここが落ち着くまではと、この私めがオーナーに任されております」
「うん、小川さんがいれば間違いないと思うよ」
「ありがとうございます――四名様でのご予約でしたね? 席の方、ご用意できております。お連れ様は――」
 小川が香に目をやりながら、淳也に問いかける。
「うん、ありがとう。後ろの二人がそうだから」
 亮と恵梨花を目にして納得したように頷いた小川は一礼する。
「かしこまりました、それでは席の方までご案内させていただき――?」
 小川が香達を誘導しようと手で示し、足を動かそうとしたところで突然ピタと立ち止まり、目を見開き驚いた顔でゆっくり振り返った。
 その目の先は淳也と香を通り越して、亮と恵梨花の二人に向けられている。
 ここで香は、こういう店の人でも恵梨花の美貌に驚くのかと勘違いした。そのため、二度見をしてしまったのかと思ったのだが――
「さ、桜木様――!?」
 香は再び目眩を起こしそうになった。
 
 
 
************************************************
香、浮かれる
香、ショックを受ける
香、敗北を覚える
香、瞑想して回復する
香、淳也とイチャイチャして回復する
香、浮かれる
香、不安を覚える
香、眩暈を起こす(←今ここ

励みになりますので感想いただけると嬉しいです!

遅くなり申し訳ありません。
次はもっと早く更新できるかなと思います。
その際にちょっと報告出来ることがあるかなーと……

↓こちらの作品も是非↓

『社畜男はB人お姉さんに助けられて――』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/249048187/870310808


おまけツイートとか流してるので、興味ある方は是非↓のツイッターまで
https://twitter.com/sakuharu03
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

気まぐれ女神に本気でキャラメイクされました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:3,481

異世界迷宮のスナイパー《転生弓士》アルファ版

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:584

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,160pt お気に入り:139

伯爵令嬢は執事に狙われている

恋愛 / 完結 24h.ポイント:626pt お気に入り:449

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:248pt お気に入り:305

俺を裏切り大切な人を奪った勇者達に復讐するため、俺は魔王の力を取り戻す

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:5,583pt お気に入り:91

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

BL / 完結 24h.ポイント:631pt お気に入り:2,625

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。