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山の秋
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「じゃあ宮島さん、あんたは児島さんから、渡された箱の中身は見てないんだね」
「ああ、知らんな、確かに箱は受け取った、しかし、車はその日盗まれたんでね、箱も一緒にね、早く車を見つけて下さいよ、お巡りさん
勿論、麻布署に届けたよ
金のやり取りなんか有るわけないよ、何のためにさ、児島さんとは、久々に会って世間話をしただけさ
そろそろ、来客があんだよね、もういいかな」
事情調査の為、宮島の事務所を訪れた捜査員は、予想していた答えではあるが足どりは重かった。
「百戦錬磨、海千山千ってとこですか、でもこれで、少なくとも、宮島だけは中身を知ってますね、車両の盗難届けまで出して、ヤバイから無い事にしたんですよね」
「うん、だが、ここから先は、かなりてこずるな
果たして、このラインで何かつかめるのか、先が思いやられるな
そろそろ釧路西署から、何か上がる頃じゃないか、取り敢えず戻るとするか」
デスクに戻った警視庁の捜査員達は、釧路西署から送られた資料を検討していた。
「この三名の死因も凄い内容だな、釧路西署もえらいもん抱えちまったな
だがやはりと言うか何と言うか、向こうも金の流れが全く掴めないでいるな
要するに、枯死してまで働いているのに、北海道に金が渡っていない、逆に考えると主犯は、東京かなとも思う」
「そうですよね、誰が仕入れて、その金は何処へ行ったのか、荒い感じの犯行なのに、売人以外は、金の臭いをさせないですね」
「もっと言うと、あれだけの人気商品を一回だけで終らせるなんて、かなり変わった犯罪者だと思わんか
俺には、その意図するところが何なのかさっぱり解らんのだ」
釧路西署
「主任、須田の住居は本人の土地なのですが、作業小屋がある山の方は、昭和のいわゆる原野商法で、地主がモザイクの様に入り組んでいました、ところが、ほんの最近、この山が一人の地主に統一されました
東京の徳山と言う弁護士です
時期的に何か有りそうですね」
「う~ん、早速東京に連絡してくれないか
なあ、若松この事件て、何か変じゃないか、犯行やその手口を隠そうともしない、かといって愉快犯の様に、見せつける訳でもなく、何と言うかその、バレても良い、最終目的さえ達成すれば後はどうでも良さそうだよな」
「ええ、関係者が今さら儲けてもしょうがない連中ばかり、しかも、一番金が欲しい奴らは真っ先に他界
取り敢えず東京へ知らせます
それと再度死んだ三名と児島とその家族も含めて、関係を洗い直したいと思います」
北海道からの情報にもとずき、警視庁の捜査員二名が、徳山法律事務所を訪れた。
「全ては、村重健一朗さんの依頼によるものと言う事ですか」
「はい、彼とは大学時代の友人であり、時折会って飲んだりもする仲です
あの土地と言うか、山の購入には、私も急にどうしたんだ、と、本人に聞きました
費用は、二億、残金は全て阿寒湖畔にある、自然保護団体へ寄付する事が依頼内容の全てです」
「失礼ですが、こう言う案件は良くあるものなんでしょうか」
「いえ、ただ税金の対策としては、こういった形もあるのかなとは思います
友人ではなくとも、多分、依頼があれば、普通に引き受けたと思います
もし、これが犯罪捜査であるなら、然るべき手続きを踏んで頂ければ、喜んで協力します」
「はい、ありがとう御座います、しかし、現段階において、未だどうなるか何も解りませんし、決まってもいないのです
まあ、そのために、色々聞いているところです」
「そうですか、でも、自分の友人が、何かの嫌疑がかかっていると思うと、あまり良い気持ちはしないですね
そういえば、村重は、私がこの件が終了したことを告げたら、良くわからない、今まで頭の中に霧がかかっていた様だ、何故こんな依頼をしたのか自分でも良く解っていない、なんて事を言ってました」
「それで、徳山さんは、どう答えたのですか」
「おいおい、全てが終わった、今さらもう遅すぎるよ、と、そうしたら、いや違うんだ、何のためにこうしたのか、根本的な事が解らんのだと、変な事を言ってました」
「そうでしたか、ご協力ありがとう御座いました
大変参考になりました」
奇しくも、児島とその娘婿の村重は肝心な部分を覚えてはいない様だ。
捜査員なら当然疑ってかかる、第一警察に対してそんな態度で臨めば直ぐに見破られる、これが、嘘や演技だとしたら、かなり単純な人間ではないだろうか
「それでは、村重さんは、徳山弁護士への、依頼金二億円の出どころは良くわからない、覚えていないと、かなりの大金で、しかも、現金ですよ」
「何と言われようと、覚えてないと言うより、記憶がはっきりしないと言うのが、本当のところです」
「若松、東京から君が送った情報のフィードバックが来てる
あの山に関しては、かなりな展開だな
肝心な部分は、本人に記憶がないのか、かなり解りにくいな
東京も手詰まりに近い状況の様だ」
「結局、児島も村重も、肝心な部分は記憶がない、あ、それを言うなら、2人の妻も含めてか、、ですね
村重夫妻の聞き取りも実施されたんですね」
「うん、なあ若松ちょっとこの添付された写真を見てくれ
村重の奥さんが、写した画像なんだけど、この一枚の景色に、見覚えがないか」
「あー、ここって、もしかして、あの山ですね、キツネを撮ろうとして写ったんですね
てことは、須田達と接点が有るかも知れないですよ」
「ああ、もう一度洗い直して見よう、どこかに見落としが有るかも知れんしな
一応指紋も請求しとくか、こっちからも送っておこう」
「主任、再度空港から、阿寒湖温泉のホテルまで、検証してみましょう」
「なあ若松、あの山をわざわざ二億円使って手に入れて、それをすぐさま寄付してしまう、しかも、かなり危ない橋を渡って、地位も名誉も金もある人間がするかな
児島の立場なら、そんな事をしなくても、霞ヶ関の何処かに言えば済む筈だと思わないか
しかも、家族まで巻き込んで
早い話この一件で誰か得した者が1人も存在しない、徳山弁護士事務所位なものだ」
「そうですね、私は、宮島が関係しているなら、奴が糸引いていると思っていました
でも、金の流れがあまりにも、あからさまと言うか、解りやすいですよね
ある意味、素人、或いは犯罪とかの認識が全く無い人間が、企画したとか」
山は喜びに満ちていた。
既にどんぐりの木は、葉が茶色になり、枝が風に揺れる度に、茶褐色の実をアラレの様にパラパラと、地上に落としている。
山葡萄は紅く染まり、コクワも蝦夷マタタビも実が熟していた。
エゾリスやシマリスは、木々のあいだを駆け回っていた。
ノネズミは地表を這い回り、それらを狙って、鳥やキツネ、タヌキ、猛禽類、そして大量のどんぐりを食べに羆もやって来る。
生き物達は知っている、この饗宴が終わると、あの長い厳しい冬がやって来るのだ、今の内に食べ急がねばならない。
一番遅い山葡萄の実が熟す時、山には早くも、霜がおりる。木々は、生き物達を急かす合図の様に、葉を色づかせていた。
大村と若松は、これまでの慰労を兼ねて、市内の居酒屋で、酒を酌み交わしていた。
「主任、要するに、須田達と児島達、この間に仲介している者が誰なのか解ればいいんですよね」
若松は、少し酔っていた、何を話しあっても、最後は必ずそれを言う。
2人ともジレンマに陥っていた、普通なら、ここまで調べたら何かしら新たな発見が有るものだ。
今のところ、その兆しもない、須田の家の玄関から、児島の指紋が発見されたが、尚更疑問があらわになっただけだ。
一度も面識が無い人間の家に訪ねて行く事は、現在なら十分可能である。
しかし、それも、あそこに行けば確実にブツが手に入る位の確かさがなければ、近付かないだろう。
それが今回調査の大きな山場であると、大村にも解っているだけに、若松の気持ちは痛いほど理解できた。
「解ってるって若松、さ、もう帰って明日又、頑張ろうや」
店を出た2人の前を、一匹のキツネが横切った。
道東では、町中でも珍しくもない光景だ。
「おっ、キツネか、何か最近しょっちゅう見ないすか、主任」
キツネは、若松の声に反応したかのように立ち止まりこちらを見て座り込み、後ろ足で首の辺りを掻きむしり、大きな口を開けてあくびをした。
「アハハハハハ、そうかもな、俺達、化かされてるかも知れんな
さっさと帰ろうや」
キツネは、いつの間にか、2人の前から姿を消していた。
「ああ、知らんな、確かに箱は受け取った、しかし、車はその日盗まれたんでね、箱も一緒にね、早く車を見つけて下さいよ、お巡りさん
勿論、麻布署に届けたよ
金のやり取りなんか有るわけないよ、何のためにさ、児島さんとは、久々に会って世間話をしただけさ
そろそろ、来客があんだよね、もういいかな」
事情調査の為、宮島の事務所を訪れた捜査員は、予想していた答えではあるが足どりは重かった。
「百戦錬磨、海千山千ってとこですか、でもこれで、少なくとも、宮島だけは中身を知ってますね、車両の盗難届けまで出して、ヤバイから無い事にしたんですよね」
「うん、だが、ここから先は、かなりてこずるな
果たして、このラインで何かつかめるのか、先が思いやられるな
そろそろ釧路西署から、何か上がる頃じゃないか、取り敢えず戻るとするか」
デスクに戻った警視庁の捜査員達は、釧路西署から送られた資料を検討していた。
「この三名の死因も凄い内容だな、釧路西署もえらいもん抱えちまったな
だがやはりと言うか何と言うか、向こうも金の流れが全く掴めないでいるな
要するに、枯死してまで働いているのに、北海道に金が渡っていない、逆に考えると主犯は、東京かなとも思う」
「そうですよね、誰が仕入れて、その金は何処へ行ったのか、荒い感じの犯行なのに、売人以外は、金の臭いをさせないですね」
「もっと言うと、あれだけの人気商品を一回だけで終らせるなんて、かなり変わった犯罪者だと思わんか
俺には、その意図するところが何なのかさっぱり解らんのだ」
釧路西署
「主任、須田の住居は本人の土地なのですが、作業小屋がある山の方は、昭和のいわゆる原野商法で、地主がモザイクの様に入り組んでいました、ところが、ほんの最近、この山が一人の地主に統一されました
東京の徳山と言う弁護士です
時期的に何か有りそうですね」
「う~ん、早速東京に連絡してくれないか
なあ、若松この事件て、何か変じゃないか、犯行やその手口を隠そうともしない、かといって愉快犯の様に、見せつける訳でもなく、何と言うかその、バレても良い、最終目的さえ達成すれば後はどうでも良さそうだよな」
「ええ、関係者が今さら儲けてもしょうがない連中ばかり、しかも、一番金が欲しい奴らは真っ先に他界
取り敢えず東京へ知らせます
それと再度死んだ三名と児島とその家族も含めて、関係を洗い直したいと思います」
北海道からの情報にもとずき、警視庁の捜査員二名が、徳山法律事務所を訪れた。
「全ては、村重健一朗さんの依頼によるものと言う事ですか」
「はい、彼とは大学時代の友人であり、時折会って飲んだりもする仲です
あの土地と言うか、山の購入には、私も急にどうしたんだ、と、本人に聞きました
費用は、二億、残金は全て阿寒湖畔にある、自然保護団体へ寄付する事が依頼内容の全てです」
「失礼ですが、こう言う案件は良くあるものなんでしょうか」
「いえ、ただ税金の対策としては、こういった形もあるのかなとは思います
友人ではなくとも、多分、依頼があれば、普通に引き受けたと思います
もし、これが犯罪捜査であるなら、然るべき手続きを踏んで頂ければ、喜んで協力します」
「はい、ありがとう御座います、しかし、現段階において、未だどうなるか何も解りませんし、決まってもいないのです
まあ、そのために、色々聞いているところです」
「そうですか、でも、自分の友人が、何かの嫌疑がかかっていると思うと、あまり良い気持ちはしないですね
そういえば、村重は、私がこの件が終了したことを告げたら、良くわからない、今まで頭の中に霧がかかっていた様だ、何故こんな依頼をしたのか自分でも良く解っていない、なんて事を言ってました」
「それで、徳山さんは、どう答えたのですか」
「おいおい、全てが終わった、今さらもう遅すぎるよ、と、そうしたら、いや違うんだ、何のためにこうしたのか、根本的な事が解らんのだと、変な事を言ってました」
「そうでしたか、ご協力ありがとう御座いました
大変参考になりました」
奇しくも、児島とその娘婿の村重は肝心な部分を覚えてはいない様だ。
捜査員なら当然疑ってかかる、第一警察に対してそんな態度で臨めば直ぐに見破られる、これが、嘘や演技だとしたら、かなり単純な人間ではないだろうか
「それでは、村重さんは、徳山弁護士への、依頼金二億円の出どころは良くわからない、覚えていないと、かなりの大金で、しかも、現金ですよ」
「何と言われようと、覚えてないと言うより、記憶がはっきりしないと言うのが、本当のところです」
「若松、東京から君が送った情報のフィードバックが来てる
あの山に関しては、かなりな展開だな
肝心な部分は、本人に記憶がないのか、かなり解りにくいな
東京も手詰まりに近い状況の様だ」
「結局、児島も村重も、肝心な部分は記憶がない、あ、それを言うなら、2人の妻も含めてか、、ですね
村重夫妻の聞き取りも実施されたんですね」
「うん、なあ若松ちょっとこの添付された写真を見てくれ
村重の奥さんが、写した画像なんだけど、この一枚の景色に、見覚えがないか」
「あー、ここって、もしかして、あの山ですね、キツネを撮ろうとして写ったんですね
てことは、須田達と接点が有るかも知れないですよ」
「ああ、もう一度洗い直して見よう、どこかに見落としが有るかも知れんしな
一応指紋も請求しとくか、こっちからも送っておこう」
「主任、再度空港から、阿寒湖温泉のホテルまで、検証してみましょう」
「なあ若松、あの山をわざわざ二億円使って手に入れて、それをすぐさま寄付してしまう、しかも、かなり危ない橋を渡って、地位も名誉も金もある人間がするかな
児島の立場なら、そんな事をしなくても、霞ヶ関の何処かに言えば済む筈だと思わないか
しかも、家族まで巻き込んで
早い話この一件で誰か得した者が1人も存在しない、徳山弁護士事務所位なものだ」
「そうですね、私は、宮島が関係しているなら、奴が糸引いていると思っていました
でも、金の流れがあまりにも、あからさまと言うか、解りやすいですよね
ある意味、素人、或いは犯罪とかの認識が全く無い人間が、企画したとか」
山は喜びに満ちていた。
既にどんぐりの木は、葉が茶色になり、枝が風に揺れる度に、茶褐色の実をアラレの様にパラパラと、地上に落としている。
山葡萄は紅く染まり、コクワも蝦夷マタタビも実が熟していた。
エゾリスやシマリスは、木々のあいだを駆け回っていた。
ノネズミは地表を這い回り、それらを狙って、鳥やキツネ、タヌキ、猛禽類、そして大量のどんぐりを食べに羆もやって来る。
生き物達は知っている、この饗宴が終わると、あの長い厳しい冬がやって来るのだ、今の内に食べ急がねばならない。
一番遅い山葡萄の実が熟す時、山には早くも、霜がおりる。木々は、生き物達を急かす合図の様に、葉を色づかせていた。
大村と若松は、これまでの慰労を兼ねて、市内の居酒屋で、酒を酌み交わしていた。
「主任、要するに、須田達と児島達、この間に仲介している者が誰なのか解ればいいんですよね」
若松は、少し酔っていた、何を話しあっても、最後は必ずそれを言う。
2人ともジレンマに陥っていた、普通なら、ここまで調べたら何かしら新たな発見が有るものだ。
今のところ、その兆しもない、須田の家の玄関から、児島の指紋が発見されたが、尚更疑問があらわになっただけだ。
一度も面識が無い人間の家に訪ねて行く事は、現在なら十分可能である。
しかし、それも、あそこに行けば確実にブツが手に入る位の確かさがなければ、近付かないだろう。
それが今回調査の大きな山場であると、大村にも解っているだけに、若松の気持ちは痛いほど理解できた。
「解ってるって若松、さ、もう帰って明日又、頑張ろうや」
店を出た2人の前を、一匹のキツネが横切った。
道東では、町中でも珍しくもない光景だ。
「おっ、キツネか、何か最近しょっちゅう見ないすか、主任」
キツネは、若松の声に反応したかのように立ち止まりこちらを見て座り込み、後ろ足で首の辺りを掻きむしり、大きな口を開けてあくびをした。
「アハハハハハ、そうかもな、俺達、化かされてるかも知れんな
さっさと帰ろうや」
キツネは、いつの間にか、2人の前から姿を消していた。
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