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「あんた!何この部屋!!」
夕食も食べずメモを探していた結衣の部屋のドアを開けるなり母親が怒鳴った。それもそのはずで部屋中に本から服から、小さな紙切れまでがお互い重なり合って足の踏み場が無い所の騒ぎではなくなっていたからだ。
「……うるさいなぁ!何!?」
イライラして泣きそうになりながら母を睨みつける。
「何イライラしてるの…?夕飯…食べないの?」
泣きそうな娘に呆れながら、それでも心配そうに声を掛ける。
「いらない!もう!探し物してるからほっといて!」
完全な八つ当たりだと解っていながら、つい声を荒らげてしまった。もう俊輔が薫の家に行ってから4時間近く経つ。ちゃんと連絡が来ているし、俊輔の言う通り本当にただの取り越し苦労なのかもしれない……。
それでも、どうしても不安が消えない。
「……なに探してん?」
呆れ顔の母に
「お母さんに言ってもどうせ知らないって言うじゃん!」
またキツい言い方になってしまう。
「そうだけどさ……。そんなイライラしてないで一応言ってごらん?」
部屋の真ん中に座り込んでいる結衣の元まで来るとしゃがみこんで顔を覗き込む。
「……春に葵の電話番号貰ったんだけど……どうしても必要なのに…それが無いの……」
母の優しい言葉に感情が溢れ出した。
「………お母さん知ってるよ?俊ちゃんに葵ちゃんの番号貰ったけど、いらないからあげるってお母さんにくれたじゃない」
涙をいっぱいに溜めたまま母を見つめる。
「……うそ…………」
「嘘じゃないよ」
そう言って母が呆れたように笑って立ち上がった。
「電話台の下の引き出しに入れておいたよ。──だから、お母さん何でも大事にしなさいっていつも……」
母の言葉が言い終わらない内に階段をかけおりる。余程関心が無かったのか言われても全く思い出せなかったが今は母の言葉に縋るしかない。
「…………あった………」
小さな引き出しを開けると隅に追いやられた小さなメモに俊輔の字で電話番号が書かれている。
「あったでしょ?」
母が笑いながら階段を降りてきた。
「ありがとう!」
結衣は母に抱きつくと再び部屋へ戻った。
───葵に電話しなくちゃ……。
「結衣!ご飯は!?」
「後でたべる!」
散らかった部屋に戻ると結衣は慌ててスマホを手に取った。
「これで……いいかな……」
夕食を藤井と二人で済ませ食器を洗い、後片付けまで済ませると、満足気に微笑んだ。
「ありがとう。ごめんね、色々迷惑掛けて…」
藤井がすまなそうに笑いかける。自分でやるから……と言う藤井を葵は無理に座らせていた。
「明日も来ますから」
葵がコーヒーを入れながら藤井に話し掛ける。もちろん自分にはココアを入れる。
「……そんな大した怪我じゃないよ」
コーヒーを受け取りながらそう言う藤井に
「骨折してるのに!?」
葵が眉をひそめる。
───骨折が大した怪我じゃないなら……一体どんな怪我なら『大した怪我』になるんだ…?
藤井の横に立ち、葵は周りがほんのり黄色くなってきた顔の痣に手を当てる。
「……腫れは大分なくなりましたね」
それでもかなり痛々しく見える。
藤井が葵の手の上から自分の手を重ねた。「明日来る」ということは『今日は帰る』ということだ。その言葉に胸が痛み葵を見つめた。
───そばにいて欲しいと言ったら…葵はどうするだろう……。
藤井の気持ちに気付いたのか、葵がかがみ込み藤井に口付けた。
「そばに……いますか……?」
葵の言葉に思わず動けなくなった。言葉が喉に詰まって出てこない。
葵は黙ったまま再び藤井に口付けた。藤井の気持ちが手に取るように解る気がした。多分思い込みじゃなく自分にそばにいて欲しいと望んでいる。
葵の舌に遠慮がちに絡ませていた舌がだんだん熱を帯びてきているのが分かる。
───その時リビングに置きっぱなしにしていた葵のスマホが着信を知らせた。
夕食も食べずメモを探していた結衣の部屋のドアを開けるなり母親が怒鳴った。それもそのはずで部屋中に本から服から、小さな紙切れまでがお互い重なり合って足の踏み場が無い所の騒ぎではなくなっていたからだ。
「……うるさいなぁ!何!?」
イライラして泣きそうになりながら母を睨みつける。
「何イライラしてるの…?夕飯…食べないの?」
泣きそうな娘に呆れながら、それでも心配そうに声を掛ける。
「いらない!もう!探し物してるからほっといて!」
完全な八つ当たりだと解っていながら、つい声を荒らげてしまった。もう俊輔が薫の家に行ってから4時間近く経つ。ちゃんと連絡が来ているし、俊輔の言う通り本当にただの取り越し苦労なのかもしれない……。
それでも、どうしても不安が消えない。
「……なに探してん?」
呆れ顔の母に
「お母さんに言ってもどうせ知らないって言うじゃん!」
またキツい言い方になってしまう。
「そうだけどさ……。そんなイライラしてないで一応言ってごらん?」
部屋の真ん中に座り込んでいる結衣の元まで来るとしゃがみこんで顔を覗き込む。
「……春に葵の電話番号貰ったんだけど……どうしても必要なのに…それが無いの……」
母の優しい言葉に感情が溢れ出した。
「………お母さん知ってるよ?俊ちゃんに葵ちゃんの番号貰ったけど、いらないからあげるってお母さんにくれたじゃない」
涙をいっぱいに溜めたまま母を見つめる。
「……うそ…………」
「嘘じゃないよ」
そう言って母が呆れたように笑って立ち上がった。
「電話台の下の引き出しに入れておいたよ。──だから、お母さん何でも大事にしなさいっていつも……」
母の言葉が言い終わらない内に階段をかけおりる。余程関心が無かったのか言われても全く思い出せなかったが今は母の言葉に縋るしかない。
「…………あった………」
小さな引き出しを開けると隅に追いやられた小さなメモに俊輔の字で電話番号が書かれている。
「あったでしょ?」
母が笑いながら階段を降りてきた。
「ありがとう!」
結衣は母に抱きつくと再び部屋へ戻った。
───葵に電話しなくちゃ……。
「結衣!ご飯は!?」
「後でたべる!」
散らかった部屋に戻ると結衣は慌ててスマホを手に取った。
「これで……いいかな……」
夕食を藤井と二人で済ませ食器を洗い、後片付けまで済ませると、満足気に微笑んだ。
「ありがとう。ごめんね、色々迷惑掛けて…」
藤井がすまなそうに笑いかける。自分でやるから……と言う藤井を葵は無理に座らせていた。
「明日も来ますから」
葵がコーヒーを入れながら藤井に話し掛ける。もちろん自分にはココアを入れる。
「……そんな大した怪我じゃないよ」
コーヒーを受け取りながらそう言う藤井に
「骨折してるのに!?」
葵が眉をひそめる。
───骨折が大した怪我じゃないなら……一体どんな怪我なら『大した怪我』になるんだ…?
藤井の横に立ち、葵は周りがほんのり黄色くなってきた顔の痣に手を当てる。
「……腫れは大分なくなりましたね」
それでもかなり痛々しく見える。
藤井が葵の手の上から自分の手を重ねた。「明日来る」ということは『今日は帰る』ということだ。その言葉に胸が痛み葵を見つめた。
───そばにいて欲しいと言ったら…葵はどうするだろう……。
藤井の気持ちに気付いたのか、葵がかがみ込み藤井に口付けた。
「そばに……いますか……?」
葵の言葉に思わず動けなくなった。言葉が喉に詰まって出てこない。
葵は黙ったまま再び藤井に口付けた。藤井の気持ちが手に取るように解る気がした。多分思い込みじゃなく自分にそばにいて欲しいと望んでいる。
葵の舌に遠慮がちに絡ませていた舌がだんだん熱を帯びてきているのが分かる。
───その時リビングに置きっぱなしにしていた葵のスマホが着信を知らせた。
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