君の手の温もりが…

海花

文字の大きさ
124 / 160

俊輔と藤井

しおりを挟む
———え…………
俊輔の舌が当然の様に葵の舌を見付け絡ませる。葵には何が起こったか理解出来なかった。
「葵?」
開いていたドアから藤井が入っていくと俊輔と目が合った。葵に口付けながら俊輔の瞳は藤井を見つける。
「…………この子に何を飲ませた?」
藤井がドアの外まで来ていた薫に声をかけた。
「メチレンジオキシメタンフェタミン………バツ……って言った方が良かった……?」
———MDMAか……
俊輔が藤井を見つめながら葵に絡ませる舌を激しくしていく……。葵は理解も抵抗も出来ずに俊輔を受け入れている。
「葵」
藤井が葵と俊輔を無理に引き離した。
「藤井さん……俺……」
葵が戸惑うように赤い顔で藤井を見上げる。俊輔の突然の行動にどうしていいのか解らなくなっていた。
「彼は今まともじゃ無い。少し離れた方がいい」
そう言って葵を引き離すと俊輔が噛み付かんばかりに藤井を睨みつけた。
「悪いけど……今の君には葵は触れさせられない」
葵と俊輔の間に割って入るとそう言い、脱いであった服を俊輔に着せる。その手を振り払い藤井を殴ろうとする俊輔の腕を藤井が掴んだ
「………君が薬を使われていなかったら、俺も君を殴ってたよ」
無表情でそう言い無理に俊輔を立たせると
「さあ、帰ろう」
葵に声を掛け、俊輔の腕を掴みドアへ向かった。


「悪いね。今の君を車の中で自由にしておく訳にはいかなから」
そう言って藤井は俊輔に笑顔を向けた。等の俊輔は手首と足首をガムテープで巻かれ口まで塞がれている。
「………ここまでしなきゃダメですか……?」
葵が心配そうな顔で藤井を見つめる。
「車の中で暴れられでもしたら大変だからね」
藤井が葵にも笑顔を向けると
「………怒ってます?」
葵が上目遣いで藤井の顔色を窺う…。
「そりゃ……多少はね。葵は今はまだ……俺の恋人だからね」
そう言って後部座席のドアを閉めると、葵をドアに押し付けキスをした。車の中から俊輔が見ているのを承知した上でだった。葵には『多少はね』と答えたが俊輔が葵の兄でなければ薬のせいであれ確実に殴っていただろう。
車の中で俊輔は意外にも天井を見上げたまま大人しく後部座席で膝を曲げ横になっていた。葵が時々心配そうに気に掛けたが、それにすら関心を示さなかった。
「俊……元に戻りますよね……?」
葵が運転をしている藤井の横顔を見つめた。その表情から不安が痛い程伝わってくる。
「……きっと…大丈夫だよ。時間が経てば…」
正直なところ藤井にだって判りはしない。何の薬でも使った当人との相性がある。
「藤井さんは……さっきあいつが言ってた薬……使ったことあるんですか?」
「まさか!……俺はその手の薬は使わないよ」
葵の質問に苦笑いして答えると
「すみません。……そうゆうのよく知ってそうだったから……」
葵が気まずそうに俯いた。その様子に思わず笑いながら
「10代の時知り合いの飲み屋でバイトしてたから…葵よりは少し詳しいくらいだよ。………それに……」
藤井は少し躊躇ってから
「知り合いが…彼みたいに知らない間に飲まされてたことがあったから」
そう続けた。
「その人は……元に戻りましたか…?」
葵の瞳が縋るように藤井を見つめる…。
「もちろん、ちゃんと戻ったよ」
藤井の言葉に葵がホッとしたように背もたれに身体を預け息を吐いた。その会話の間も俊輔は黙ってただ天井を見つめていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

守り守られ

ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師 患者 瀬咲朔 腸疾患・排泄障害・下肢不自由 看護師 ベテラン山添さん 準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん 木島 尚久 真幌の恋人同棲中

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。 ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

一軍男子と兄弟になりました

しょうがやき
BL
親の再婚で一軍男子と兄弟になった、平凡男子の話。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

処理中です...