君の手の温もりが…

海花

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ゲームセンター

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葵は久しぶりのゲームセンターを満喫していた。シューティングゲームでは藤井にボロ負けして、始めてやったレースゲームでは最初まともに走れず、もちろん藤井に勝てない。不貞腐れ始めた時、中学の頃友達とクレーンゲームにハマっていたのを思い出した。

「藤井さん、下手すぎ」

全く取る事の出来ない藤井を嬉しそうに見ている。葵の手にはようやく藤井を見返した戦利品がいくつか抱えられている。

「昔はもっと取れたのになぁ……」

藤井が悔しげにブツブツ言うから葵は余計嬉しくなってニッと笑った。


「あー!」

結衣が突然大きな声をあげて立ち止まった。

「——なっ何⁉︎」

その声に本気で驚いている俊輔に気付かず、結衣は目を輝かせながらゲームセンターの中に入っていく。

「これ!」

入口のすぐそばにあるクレーンゲームの前に立ち俊輔を振り返った。今人気のあるキャラクターが中にぎっしりと詰まっている。

———あー……そう言えば…結衣の鞄に付いてるの見たことある……。

「やりたいの?」

俊輔の言葉に結衣は大きく頷いた。
俊輔は笑いながら財布から100円を数枚取り出すとその中の一枚をゲーム機の中に入れた。

「はい、どうぞ」

「え……私出すのに」

財布を取り出そうとする結衣の手を止め

「いいから早くやりなよ」

そう言って笑った。
しかし………俊輔と結衣の財布の中の全ての100円を以ってしても一つも取れない……。
その内の何回かは俊輔もやったが、元々二人ともこの手のゲームをする方じゃないから話にならない……。

「ちょっと待ってて」

俊輔が千円札を崩すために中に入っていった。

———いくら崩しとけばいいかな………。

その時フッと見覚えのある顔が視界に入り、何も考えずに顔をそちらに向けた……。


———あの人だ……………


一瞬で鼓動が早くなる。
すると、藤井も俊輔に気付き目が合った。
逸らしたいのに……俊輔の目が釘付けになる………。


「———葵………」

「ちょっと待って……あぁー‼︎…もう少しで取れたのに……」

クレーンゲームに集中していた葵が藤井を振り返ると、突然葵の頬に手を当て口付けた———。

「———んッ………」

突然熱い舌を絡まされ軽く声が漏れる………。


———⁉︎……………

見開かれた俊輔の瞳がそれでも逸らせないでいる。両替機がジャラジャラと音を立てて100円玉を出しているがそれすら気付かない……。

「俊輔?」

戻るのが遅い俊輔を心配して結衣が見にきて、漸く我に返ると

「———行こう、結衣」

結衣の手を引き両替機もそのままに俊輔はその場を後にした。
そして振り返った結衣の目にも見知らぬ男とキスしている葵が映し出されていた……。


「———藤井さん!」

葵は真っ赤な顔で藤井の胸を押した。

「——こう言う場所でいきなりそういう事しないで下さい‼︎」

「もう!」と怒っている葵を見ながら藤井は自重気味に笑った。

「……俺、本当性格悪いな………」

ボソッと言うと、葵は不思議そうに

「性格悪くないですよ……?。性格悪かったら俺…好きになってないですもん」

真っ赤な顔で口を尖らせながらそう言い

「エロいとは……思うけど……」

最後に付け加える。
そして何も気付いていない葵へ藤井は切なそうに笑った……。
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