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「まぁ、別に俺は人の恋愛とか性癖にどうこう言うつもり無いから…安心してよ、零ちゃん」
康平が零に向けてにっこりと笑った…。やっと直斗を座らせて零もその隣に座ると、車輪付きの椅子を滑らせ康平も近くに移動する。
──零ちゃんて……俺……一応教師の卵なんだけど……。しかも……性癖って……
零が少し顔を赤くして苦笑いをした。その様子を見ていた直斗が
「零ちゃんとか言うな」
康平を睨みつける。
「何で?イイじゃん。お前なんて呼び捨てにしてんじゃん」
康平が意味が解らないと言いたげに返した。
「俺はこいつの彼氏な?お前は赤の他人!解る?」
───彼氏って…………
二人の会話に零が顔を余計赤くする。
「お前が零ちゃんの彼氏なら…俺から見たら友達の彼女じゃん。……彼女…?この場合彼氏か……?」
康平が眉をひそめ首を捻り一瞬悩んでから
「まぁ、どっちでもいいか」
と一人で納得している。
「友達の恋人はただの他人だよ」
直斗が相変わらず康平を睨んで言い捨てた。
「……すげー独占欲……。いいよね?零ちゃん。俺が零ちゃんて呼んでも」
呆れた様に言ったかと思ったら、急に零に向けて許可を求めた。
「──え!?…………」
二人の視線が一斉に自分に向けられる。しかも直斗の視線は一向に怒りが消える気配がない……。
「あ……いや……。ここは学校だし……俺…僕は一応教師の卵な訳で……「零ちゃん」はあんまり……」
俯きながら康平の意見を却下した……つもりだった。
「まぁ…確かに学校で「零ちゃん」はマズイか……。じゃあ学校ではそう呼ぶのはやめとくわ。直斗との仲がバレても悪いし……」
──あ……そう受け取ったんだね……
「学校じゃなくても零ちゃんて言うな。てか学校以外で零と会うことねぇだろが」
直斗は不機嫌なのを隠そうともしない。
「直斗くん……そんなに怒らないで……」
零が直斗の顔を覗き込む。この調子じゃこの後も何が起こるか分からない…。他の生徒と少し談笑しただけでどうなる事か……。そうでなくても不自然な程自分のそばにいるのに……。
「直斗くんだって!可愛いー!お前、零ちゃんに『直斗くん』て呼ばれてんの!?」
康平が声を上げて笑いだした。
──え!?……マズかった!?……直斗くん、こんなに機嫌悪いのに……そんな事今言わなくても……
「零ちゃんて呼ぶなっつってんだろうが!」
直斗が立ち上がると康平の胸ぐらを掴んだ。
「うるせぇよ!束縛野郎」
康平も直斗に掴みかかる。
「ちょっ…ちょっと!二人とも落ち着いて…」
「零は座ってろ。…お前、人の女に気安いんだよ」
───俺…男だけど…………
「彼女の前だからってカッコつけんなよ『直斗くん』」
───高野くん!?…………しつこい様だけど俺…男…………ってそうじゃなかった!
「二人ともやめなさい!」
零が二人の間に割って入ろうとするが
「零は黙ってろ!」
直斗が怒鳴った。目の奥が再び怒りの色を濃くしている。
「おいおい……。零ちゃん、こんな野蛮なヤツのどこがいいの?こんな束縛野郎と別れて俺と付き合おうよ?」
康平がわざわざ零に笑顔を向け直斗の怒りを煽る。
「──いい加減にしろよ!」
一触即発の空気の中怒鳴ったのは零だった。
「くだらない事で喧嘩してんな!ここは俺の大事な研修先なんだよ!そんなことも解らないなら出てけ!」
直斗も康平も零の男らしい怒鳴り声に目を丸くした。学校でのスマートな零からも、家での優しく甘えん坊な零からも想像すら出来ない姿だった。
───零が……本気で怒った……
呆然とする二人を尻目に零が勢いよく椅子に座った。
「……ごめん…………」
直斗も康平から手を離すと零の隣に腰掛け顔を覗き込んだ。
「ごめんなさいでしょ!」
零が直斗を睨みつける。今までのどの零より怖い…………。
「…ごめん…なさい……」
「高野くんもだよ!人が怒ってるのをわざわざ煽るような事しちゃダメだよ!」
すっかり教師の顔に戻り康平も睨む。
「はい……すんませんでした……」
康平も上目遣いで零の様子を窺う。普段怒らない人が怒ると怖いってのは…本当なんだな……と二人ともが同時に考えていた。
夕食を済ませ零が二人で買った猫のカップにコーヒーを入れる。そして前からあるカップにも…。
「あ、零ちゃん、俺、砂糖とミルクも入れてね」
康平が零に声を掛ける。
「……お前……コーヒーなんか飲んでないで早く帰れよ」
直斗が呆れたように康平に文句を言った。学校からの帰り際、一緒に零の家に行くと言ってきかない康平に「じゃあ夕食を一緒に…」と零が声を掛けたのだ。
「イイじゃねぇか、ケチケチすんなよ。ね!零ちゃん」
康平が笑いかけるが、零は「ははは……」と笑うに留めた。また喧嘩でもされたらたまったもんじゃない……。
しかしそう言いながらも直斗と康平がたわいない話を始め、それを聞くでもなく聞きながら零は机の隅でパソコンを広げ、そろそろ終わる教育実習のレポートをまとめ始めた。
「そう言えば、ノブくんがお前のこと気にしてたよ、零ちゃんのこと話してたんだ?」
「別に…話した訳じゃねぇし」
直斗がコーヒーを口に運ぶ。
「お前がちゃんとやれたかって…聞かれたけど」
康平の言葉に直斗が思わずコーヒーを吹き出した。
「おいっ!……汚ねぇなぁ!!」
そのコーヒーが見事に康平にかかった。
「──大丈夫!?」
零が慌ててタオルを取りに行き、直斗と康平に渡した。
「何があったの…?」
零が咽る直斗の背中を擦りながら眉をひそめた。レポートに集中していて話を聞いていなかったのだ。
「えー……直斗が零ちゃんとちゃんとやれたのかって話してだけだけど……」
康平がタオルでかかったコーヒーを拭きながら、なんの躊躇いもなく口にした。するとまたその言葉に直斗の咽
せが酷くなり
「なっ……!」
零が顔を赤くした。
「ノブくんから聞かれた時、直斗がやらねえ訳ねえじゃんて思ったけど…相手が零ちゃんだったからノブくん気に
してたんだな」
「……おいっ!!」
やっと少し落ち着いた直斗が慌てて康平を止めた。
───余計なことをペラペラと!
「え?…あ……言っちゃいけなかった?」
康平が零の赤い顔にやっと気付いた。
「……お前……本当…帰れよ……」
直斗が零をチラッと見てため息をついた。
浴室から康平のご機嫌な鼻歌が聞こえてきて直斗はまたため息をついた……。
──あいつ……いつ帰んだよ……。
コーヒーで汚れたシャツを洗濯するから、その内にシャワーを浴びたらどうかと零が提案したのだ。家に帰って
も暇な康平が勿論それを断るわけが無い。
「あいつ……マイペースでごめんな」
直斗が零の顔を覗き込むと
「何で?俺は普通に楽しいけど」
零が微笑んだ。
「…………楽しいんだ……?」
その笑顔を見て直斗が眉をひそめた。零は首を傾げ少し考えてから「あっ……」と声を上げた。
「ヤキモチ?」
「………………別に……」
火を見るより明らかに直斗が不機嫌になっている。
「俺と二人の時には見られない直斗くんが見られるからだよ」
そう言って困った様に笑い、直斗の頬に口付けた。
───本当に…ヤキモチ妬き………可愛いけど…………
零が離れようとした瞬間直斗が腕を掴み零にキスをする。
「今日…帰ってからまだ一度もしてない」
不機嫌そうにそう呟き、再びキスをして抱きしめた。零は康平が浴室から出てくるのでは…と心配になりながらも抵抗できない。昼からずっとヤキモチを妬いている直斗が愛しくて仕方なかった。
「───おいおい……俺がいなくなった途端…それかよ…………」
タイミングバッチリにシャワーを終えて出てきた康平がやれやれとでも言いたげに肩を竦めてため息をついたのだった。
康平が零に向けてにっこりと笑った…。やっと直斗を座らせて零もその隣に座ると、車輪付きの椅子を滑らせ康平も近くに移動する。
──零ちゃんて……俺……一応教師の卵なんだけど……。しかも……性癖って……
零が少し顔を赤くして苦笑いをした。その様子を見ていた直斗が
「零ちゃんとか言うな」
康平を睨みつける。
「何で?イイじゃん。お前なんて呼び捨てにしてんじゃん」
康平が意味が解らないと言いたげに返した。
「俺はこいつの彼氏な?お前は赤の他人!解る?」
───彼氏って…………
二人の会話に零が顔を余計赤くする。
「お前が零ちゃんの彼氏なら…俺から見たら友達の彼女じゃん。……彼女…?この場合彼氏か……?」
康平が眉をひそめ首を捻り一瞬悩んでから
「まぁ、どっちでもいいか」
と一人で納得している。
「友達の恋人はただの他人だよ」
直斗が相変わらず康平を睨んで言い捨てた。
「……すげー独占欲……。いいよね?零ちゃん。俺が零ちゃんて呼んでも」
呆れた様に言ったかと思ったら、急に零に向けて許可を求めた。
「──え!?…………」
二人の視線が一斉に自分に向けられる。しかも直斗の視線は一向に怒りが消える気配がない……。
「あ……いや……。ここは学校だし……俺…僕は一応教師の卵な訳で……「零ちゃん」はあんまり……」
俯きながら康平の意見を却下した……つもりだった。
「まぁ…確かに学校で「零ちゃん」はマズイか……。じゃあ学校ではそう呼ぶのはやめとくわ。直斗との仲がバレても悪いし……」
──あ……そう受け取ったんだね……
「学校じゃなくても零ちゃんて言うな。てか学校以外で零と会うことねぇだろが」
直斗は不機嫌なのを隠そうともしない。
「直斗くん……そんなに怒らないで……」
零が直斗の顔を覗き込む。この調子じゃこの後も何が起こるか分からない…。他の生徒と少し談笑しただけでどうなる事か……。そうでなくても不自然な程自分のそばにいるのに……。
「直斗くんだって!可愛いー!お前、零ちゃんに『直斗くん』て呼ばれてんの!?」
康平が声を上げて笑いだした。
──え!?……マズかった!?……直斗くん、こんなに機嫌悪いのに……そんな事今言わなくても……
「零ちゃんて呼ぶなっつってんだろうが!」
直斗が立ち上がると康平の胸ぐらを掴んだ。
「うるせぇよ!束縛野郎」
康平も直斗に掴みかかる。
「ちょっ…ちょっと!二人とも落ち着いて…」
「零は座ってろ。…お前、人の女に気安いんだよ」
───俺…男だけど…………
「彼女の前だからってカッコつけんなよ『直斗くん』」
───高野くん!?…………しつこい様だけど俺…男…………ってそうじゃなかった!
「二人ともやめなさい!」
零が二人の間に割って入ろうとするが
「零は黙ってろ!」
直斗が怒鳴った。目の奥が再び怒りの色を濃くしている。
「おいおい……。零ちゃん、こんな野蛮なヤツのどこがいいの?こんな束縛野郎と別れて俺と付き合おうよ?」
康平がわざわざ零に笑顔を向け直斗の怒りを煽る。
「──いい加減にしろよ!」
一触即発の空気の中怒鳴ったのは零だった。
「くだらない事で喧嘩してんな!ここは俺の大事な研修先なんだよ!そんなことも解らないなら出てけ!」
直斗も康平も零の男らしい怒鳴り声に目を丸くした。学校でのスマートな零からも、家での優しく甘えん坊な零からも想像すら出来ない姿だった。
───零が……本気で怒った……
呆然とする二人を尻目に零が勢いよく椅子に座った。
「……ごめん…………」
直斗も康平から手を離すと零の隣に腰掛け顔を覗き込んだ。
「ごめんなさいでしょ!」
零が直斗を睨みつける。今までのどの零より怖い…………。
「…ごめん…なさい……」
「高野くんもだよ!人が怒ってるのをわざわざ煽るような事しちゃダメだよ!」
すっかり教師の顔に戻り康平も睨む。
「はい……すんませんでした……」
康平も上目遣いで零の様子を窺う。普段怒らない人が怒ると怖いってのは…本当なんだな……と二人ともが同時に考えていた。
夕食を済ませ零が二人で買った猫のカップにコーヒーを入れる。そして前からあるカップにも…。
「あ、零ちゃん、俺、砂糖とミルクも入れてね」
康平が零に声を掛ける。
「……お前……コーヒーなんか飲んでないで早く帰れよ」
直斗が呆れたように康平に文句を言った。学校からの帰り際、一緒に零の家に行くと言ってきかない康平に「じゃあ夕食を一緒に…」と零が声を掛けたのだ。
「イイじゃねぇか、ケチケチすんなよ。ね!零ちゃん」
康平が笑いかけるが、零は「ははは……」と笑うに留めた。また喧嘩でもされたらたまったもんじゃない……。
しかしそう言いながらも直斗と康平がたわいない話を始め、それを聞くでもなく聞きながら零は机の隅でパソコンを広げ、そろそろ終わる教育実習のレポートをまとめ始めた。
「そう言えば、ノブくんがお前のこと気にしてたよ、零ちゃんのこと話してたんだ?」
「別に…話した訳じゃねぇし」
直斗がコーヒーを口に運ぶ。
「お前がちゃんとやれたかって…聞かれたけど」
康平の言葉に直斗が思わずコーヒーを吹き出した。
「おいっ!……汚ねぇなぁ!!」
そのコーヒーが見事に康平にかかった。
「──大丈夫!?」
零が慌ててタオルを取りに行き、直斗と康平に渡した。
「何があったの…?」
零が咽る直斗の背中を擦りながら眉をひそめた。レポートに集中していて話を聞いていなかったのだ。
「えー……直斗が零ちゃんとちゃんとやれたのかって話してだけだけど……」
康平がタオルでかかったコーヒーを拭きながら、なんの躊躇いもなく口にした。するとまたその言葉に直斗の咽
せが酷くなり
「なっ……!」
零が顔を赤くした。
「ノブくんから聞かれた時、直斗がやらねえ訳ねえじゃんて思ったけど…相手が零ちゃんだったからノブくん気に
してたんだな」
「……おいっ!!」
やっと少し落ち着いた直斗が慌てて康平を止めた。
───余計なことをペラペラと!
「え?…あ……言っちゃいけなかった?」
康平が零の赤い顔にやっと気付いた。
「……お前……本当…帰れよ……」
直斗が零をチラッと見てため息をついた。
浴室から康平のご機嫌な鼻歌が聞こえてきて直斗はまたため息をついた……。
──あいつ……いつ帰んだよ……。
コーヒーで汚れたシャツを洗濯するから、その内にシャワーを浴びたらどうかと零が提案したのだ。家に帰って
も暇な康平が勿論それを断るわけが無い。
「あいつ……マイペースでごめんな」
直斗が零の顔を覗き込むと
「何で?俺は普通に楽しいけど」
零が微笑んだ。
「…………楽しいんだ……?」
その笑顔を見て直斗が眉をひそめた。零は首を傾げ少し考えてから「あっ……」と声を上げた。
「ヤキモチ?」
「………………別に……」
火を見るより明らかに直斗が不機嫌になっている。
「俺と二人の時には見られない直斗くんが見られるからだよ」
そう言って困った様に笑い、直斗の頬に口付けた。
───本当に…ヤキモチ妬き………可愛いけど…………
零が離れようとした瞬間直斗が腕を掴み零にキスをする。
「今日…帰ってからまだ一度もしてない」
不機嫌そうにそう呟き、再びキスをして抱きしめた。零は康平が浴室から出てくるのでは…と心配になりながらも抵抗できない。昼からずっとヤキモチを妬いている直斗が愛しくて仕方なかった。
「───おいおい……俺がいなくなった途端…それかよ…………」
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