神殺しの花嫁

海花

文字の大きさ
110 / 173

・・・※

しおりを挟む


「───知らないッ!……」

必死に首を振る姿を誠一郎の冷ややかな瞳が見下ろす。

「……わかりません…………何も…………知ら……ない……」

怯えているとも見える瞳からスっと瑠璃のような涙が零れ落ちた。

この三日間、幸成は『琥珀』のことになると何も言わなかった。
薬を使いギリギリ意識を保った中でさえ「知らない」「分からない」で通す。
既に自我を失いかけた今ですら……。

「……まぁいい……。もう手立ては打ってある」

押さえ付けられた手も、それさえ意味が無いように力が抜けている。

「……何が欲しい?……言ってみろ、幸成……」

耳元で囁いただけのことに幸成の身体がピクピクと波打つ様に震えた。

「……早く…………兄上の…………魔羅を……」

その言葉にニヤリと笑うと、誠一郎は既に紅くただれた幸成の菊座に挿されたままの芋茎に手を掛けゆっくりと抜いた。
口のように開いたままの菊門から、残っていた誠一郎の腎水といちぶのりのドロっとしたつゆが、滲ませた血を混ぜ厭らしく薄桃色の糸を引き、白い腿へと垂れていく。
それでも見て分かる程に中をヒクヒクと震わせ、自分の魔羅をねだる弟の背中に口付け、誠一郎は楽しみながらじわりと自分の魔羅を挿れた。

「───あッ……ン…………ぁ…あ……」

湯に浸かったような温かさと、吸い付くような快感が自分の魔羅全体に及ぶ。
幸成の荒い息遣いが心地好く耳を擽り、それに陶酔するように目を瞑った誠一郎は、紐で縛られたままの魔羅を弄り、中を擦った。

「───ヤッ………………兄上ッ………………イキたいッ……紐を………どうか…紐を………」

魔羅を扱く手から逃げれば奥深くを突かれ、それにまた身体を震わせる。

「……兄上………………」

振り向き懇願する瞳が酷く厭らしく愛おしい。
口から垂らした甘い涎を舌で舐め震える身体を抱き起こすと、誠一郎は幸成の昂りに巻いてあった組紐を指で解いた。

「幸成……決して俺の身体を忘れるなよ……この香りもだ…………」

苦しそうに喘ぐ声とは裏腹に、紐を解かれた途端幸成の欲望が勢いよく吐き出された。

「…………兄…う…え…………」

「いいな……決して忘れるな……」

耳元で繰り返される言葉が呪文のように頭の中で黒く濁り、痛みすら感じなくなった幸成の意識を、蛙を飲み込む蛇のようにゆっくりと、暗い腹の奥へと呑み込んでいった。




「あなたが…………『琥珀殿』か…………?」

震えそうになるのを堪えながら、黒川は黒い毛皮の獣へ言葉を返した。

『……それに答える義理はねぇ。何故その名を知っているのかと聞いた』

先程よりまだ牙を剥き、やはり人の言葉を返した獣を見つめる。
人の言葉を話したとしても、獣相手に、まして人と同じかそれ以上あるのではないかと思われる狼に躊躇いながら黒川は地面に膝を付いた。

「幸成さまよりお聞きしております……。どうか…………幸成さまを救って頂きたい」

地に着きそうな程深く頭を下げた黒川を漆黒の瞳が見つめた。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...