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心の奥
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家に着くと冬音夜は投げつける様に上着をベッドへ放りつけ、その上に自分も倒れ込んだ。
───何も考えるな………ただの仕事だ………。
自分に言い聞かせる様に頭の中でずっと繰り返している。
美朝希からの着信もメッセージも幾つも届いているのを分かっていながらスマホを手にする気にさえなれなかった。
あの後、あの男は愉しそうに何度も自分を犯し、そして……それに感じていた自分にまたイラついた……。
───風呂………入ろ…………。
冬音夜は重い身体を起こし浴室に向かった。
蛇口を捻り、浴槽にお湯を溜める。“仕事”があった日は必ず湯船に浸かる様にしていた。
自分へのご褒美でもあったし、お湯に浸かった方が汚れがキレイに流れる様な気がしたからだった。
気を紛らわせる為にテレビを点け、着替えの準備をする。
くだらない会話を聞きながら何となくテレビに目を向けると両親と思われる男女と子供二人が机を囲み食事をしている。
嘘くさい会話と笑顔……いつもなら大して気にもならないその映像が、冬音夜の今の疲れた心に響くには充分すぎた。
自分もまだ幼い頃は、父と母…そして美朝希と、こうして目の前の幸せだけを見て生きていられた。全て守られて不安なんてものはおとぎ話の魔女の様に遠い存在だった。
───何で…………俺だけ…………。
そう思った途端、画面を見つめる大きな瞳から涙が溢れ出した。
暗く広い部屋の間接的な照明だけを点けると涼太はソファーに身体を沈めた。
手にしたスマホを弄り冬音夜の番号を見つめる。
いつでも連絡が取れる様に冬音夜にも登録させた。
不満げに、それでも渋々言うことを聞いた冬音夜の顔を思い出すと、無意識に笑いが込み上げる。
───思ったより……面白いおもちゃが手に入ったかもしれないな……。
電話で女の名前を呼んだことは気に入らなかったが……それでも自分だけの物になった事は優越感に浸るには十分だった。
別に冬音夜に本気になっているわけでは無い。ただ………他のヤツとやっていると思うと面白く無かった。
自分でも不思議でならなかったが……想像するだけでイラついた。
───まあ………もうどうでもいい………アイツは俺の物になったんだから……。それより…………
電話を切った後、無理矢理犯した自分を睨みつけた冬音夜を思い出しまた笑いが込み上げる。
そのくせ最後には堪えきれずに艶っぽい声を上げていた。
「俺のことが嫌いだそうだよ」
クスッと笑いながら口に出すと、少し離れた場所にあるデスクに向かって
「あなたと一緒だね……静流さん……」
そう言って優しく微笑んだ。
───何も考えるな………ただの仕事だ………。
自分に言い聞かせる様に頭の中でずっと繰り返している。
美朝希からの着信もメッセージも幾つも届いているのを分かっていながらスマホを手にする気にさえなれなかった。
あの後、あの男は愉しそうに何度も自分を犯し、そして……それに感じていた自分にまたイラついた……。
───風呂………入ろ…………。
冬音夜は重い身体を起こし浴室に向かった。
蛇口を捻り、浴槽にお湯を溜める。“仕事”があった日は必ず湯船に浸かる様にしていた。
自分へのご褒美でもあったし、お湯に浸かった方が汚れがキレイに流れる様な気がしたからだった。
気を紛らわせる為にテレビを点け、着替えの準備をする。
くだらない会話を聞きながら何となくテレビに目を向けると両親と思われる男女と子供二人が机を囲み食事をしている。
嘘くさい会話と笑顔……いつもなら大して気にもならないその映像が、冬音夜の今の疲れた心に響くには充分すぎた。
自分もまだ幼い頃は、父と母…そして美朝希と、こうして目の前の幸せだけを見て生きていられた。全て守られて不安なんてものはおとぎ話の魔女の様に遠い存在だった。
───何で…………俺だけ…………。
そう思った途端、画面を見つめる大きな瞳から涙が溢れ出した。
暗く広い部屋の間接的な照明だけを点けると涼太はソファーに身体を沈めた。
手にしたスマホを弄り冬音夜の番号を見つめる。
いつでも連絡が取れる様に冬音夜にも登録させた。
不満げに、それでも渋々言うことを聞いた冬音夜の顔を思い出すと、無意識に笑いが込み上げる。
───思ったより……面白いおもちゃが手に入ったかもしれないな……。
電話で女の名前を呼んだことは気に入らなかったが……それでも自分だけの物になった事は優越感に浸るには十分だった。
別に冬音夜に本気になっているわけでは無い。ただ………他のヤツとやっていると思うと面白く無かった。
自分でも不思議でならなかったが……想像するだけでイラついた。
───まあ………もうどうでもいい………アイツは俺の物になったんだから……。それより…………
電話を切った後、無理矢理犯した自分を睨みつけた冬音夜を思い出しまた笑いが込み上げる。
そのくせ最後には堪えきれずに艶っぽい声を上げていた。
「俺のことが嫌いだそうだよ」
クスッと笑いながら口に出すと、少し離れた場所にあるデスクに向かって
「あなたと一緒だね……静流さん……」
そう言って優しく微笑んだ。
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