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「お前…何でこんな事始めた?」
料理を口に運びながら突然涼太が口を開いた。
「……何で…って……」
返事をする為に冬音夜は口の中の肉を慌てて飲み込んだ。
まさかそんな事を聞かれるとも思わず一瞬声を詰まらせ、戸惑っていた。
「…………金が必要だったからです…」
なんと言えばいいか解らない。金が必要な事くらい解っている筈だ。
「……そうじゃなくてさ…」
涼太は呆れた様に笑い
「お前ノン気だろ…?何で男相手にこんな事し始めたのかって聞いてんだよ。要は始めたキッカケだよ。お前の見た目なら、別に…ホストでも何でも出来ただろ」
そう続けた。元々その気があったならまだしも、そう簡単にやろうとは思わないだろう…と言いたいのだ。
「…………言わないとダメですか?」
冬音夜は料理を見詰めたまま答えた。
別にそんな事答えるのは構わなかったが、何故か言いたくない。
それが涼太だからなのか、冬音夜にも解らなかったが答えたくない。
「…………ダメだ」
意外な返答に涼太は一瞬冬音夜を見つめた。
冬音夜の事だからすんなり答えると思っていた。
それくらい今までは涼太の言うことに対して従順だったからだ。
冬音夜はしばらく料理を見つめていたが、小さなため息を吐き
「……人と話すのが苦手なので、ホストは向いてないと思いました。…始めたキッカケは…バイト先の居酒屋で声を掛けられたからです」
淡々とした口調で告げた。
「客にか?」
「そうです…」
「いくら貰った?」
「───は?」
「その時さ。始めて男とやったんだろ?」
涼太の質問に眉をしかめた。
そんなことどうでもいいように思える。
しかし涼太は冬音夜の返事を待つようにじっと見つめている。
それに微かにイラつきを覚えたが冬音夜は諦めたようにため息と共に言葉を吐いた。
「……3万です」
その答えに涼太は目を見開くと
「お前……随分安売りしたな」
バカにしたような声を出し、冬音夜をまたイラつかせた。
「……そんなの……初めてで“相場”なんて知りませんでしたから」
「そりゃそうだ」
そう言って笑いだした涼太を、ムッとしたまま睨みつけた。
───何なんだ……この人……。
以前から“苦手な客”ではあったが、今は“苦手”ではなく“気に食わない”。
他人に対してこの手の感情を抱いたことが無かったが、今『嫌いな人はいるか?』と聞かれれば間違いなくこの男の名前を出す程度には気に食わなかった。
「まぁ……いいや…。それより、飯食えよ」
一頻り笑うと気が済んだのか、涼太は再び食事をし始めた。
───本当に……何なんだこの人…。自分が話し始めたくせに……。
唖然とする冬音夜に
「食えよ。──お前は少し太った方がいい」
そう言ってまた呆れた様に笑った。その言葉にまたイラつき
「……余計なお世話です」
わざわざ聞こえるように言うと、ブスっとしたまま冬音夜も再び食事を始めた。
料理を口に運びながら突然涼太が口を開いた。
「……何で…って……」
返事をする為に冬音夜は口の中の肉を慌てて飲み込んだ。
まさかそんな事を聞かれるとも思わず一瞬声を詰まらせ、戸惑っていた。
「…………金が必要だったからです…」
なんと言えばいいか解らない。金が必要な事くらい解っている筈だ。
「……そうじゃなくてさ…」
涼太は呆れた様に笑い
「お前ノン気だろ…?何で男相手にこんな事し始めたのかって聞いてんだよ。要は始めたキッカケだよ。お前の見た目なら、別に…ホストでも何でも出来ただろ」
そう続けた。元々その気があったならまだしも、そう簡単にやろうとは思わないだろう…と言いたいのだ。
「…………言わないとダメですか?」
冬音夜は料理を見詰めたまま答えた。
別にそんな事答えるのは構わなかったが、何故か言いたくない。
それが涼太だからなのか、冬音夜にも解らなかったが答えたくない。
「…………ダメだ」
意外な返答に涼太は一瞬冬音夜を見つめた。
冬音夜の事だからすんなり答えると思っていた。
それくらい今までは涼太の言うことに対して従順だったからだ。
冬音夜はしばらく料理を見つめていたが、小さなため息を吐き
「……人と話すのが苦手なので、ホストは向いてないと思いました。…始めたキッカケは…バイト先の居酒屋で声を掛けられたからです」
淡々とした口調で告げた。
「客にか?」
「そうです…」
「いくら貰った?」
「───は?」
「その時さ。始めて男とやったんだろ?」
涼太の質問に眉をしかめた。
そんなことどうでもいいように思える。
しかし涼太は冬音夜の返事を待つようにじっと見つめている。
それに微かにイラつきを覚えたが冬音夜は諦めたようにため息と共に言葉を吐いた。
「……3万です」
その答えに涼太は目を見開くと
「お前……随分安売りしたな」
バカにしたような声を出し、冬音夜をまたイラつかせた。
「……そんなの……初めてで“相場”なんて知りませんでしたから」
「そりゃそうだ」
そう言って笑いだした涼太を、ムッとしたまま睨みつけた。
───何なんだ……この人……。
以前から“苦手な客”ではあったが、今は“苦手”ではなく“気に食わない”。
他人に対してこの手の感情を抱いたことが無かったが、今『嫌いな人はいるか?』と聞かれれば間違いなくこの男の名前を出す程度には気に食わなかった。
「まぁ……いいや…。それより、飯食えよ」
一頻り笑うと気が済んだのか、涼太は再び食事をし始めた。
───本当に……何なんだこの人…。自分が話し始めたくせに……。
唖然とする冬音夜に
「食えよ。──お前は少し太った方がいい」
そう言ってまた呆れた様に笑った。その言葉にまたイラつき
「……余計なお世話です」
わざわざ聞こえるように言うと、ブスっとしたまま冬音夜も再び食事を始めた。
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