90 / 109
寿の宮夫妻
しおりを挟む
この国の現時点における皇太子夫妻からの招待、ありがたいことだろう。煌の宮の一件以降初めての招待客だと言う。深くは知らないが、シンには一体どんなパイプがあるのやら。
「本日はお招きくださり誠にありがとうございます」
尊星とツキヨはお辞儀をする。
「さ、どうぞ、上がって」
寿の宮はそう言う。二人はその言葉に従う。
玄関から客間への通路。
昔から思っていたが、相変わらず生活感のない家だ。壁や床、天井に至るまで白色で、家具も必要最低限しかないし、侍女もまるで複製のように同じ髪型、同じ化粧に同じ服。寿の宮の性格が全面に押し出されている。
「綺麗なお家ですね」
ツキヨが場をなごませるように言った。
「子が居てはすぐに汚くされてしまうから、掃除は徹底するよう侍女に頼んでいるんだ」
「な、なるほど」
なんとなく寿の宮の侍女にはなりたくないと思ってしまう。
席について、お茶とお茶菓子が出される。
ちらりと純の宮妃を見る。頬の辺りがげそっと痩せてやつれたような気がする。
「あなたがツキヨの宮妃かしら?」
「はい、はじめまして」
緊張の面持ち。
「私は純。よろしくね」
柔らかく微笑んだ純の宮妃に少し安心した。
「しかし珍しいな。尊星の方から私たちに会いに来るなど」
「長兄である寿の宮とその妃である純の宮妃に結婚の挨拶を済ませていないのは…と思いまして。」
「そうか、二人は仲睦まじく結婚生活を営めているのか?」
尊星とツキヨは顔を見合わせる。
「はい」
「まぁ!それは何よりね、寿安さま」
「うむ」
話題は二人の新婚旅行の話へとシフトした。半年以上前にはなるが、あの日のことは鮮明に覚えている。寿の宮夫妻の新婚旅行の話も聞かせてもらった。
1時間程したところで、寿の宮は急用で席を外した。
純の宮妃の顔色が変わった。
さっきまでの穏やかな雰囲気がまるで消し飛んだかのようで、暗く陰気な雰囲気が彼女を覆う。
「こんなこと、普段は言えないのだけれど良いかしら?…私の夫のしたこと許せる?…星影の宮は栄の宮と仲が良かったわよね」
「え?あ、はい」
「良いわよねあそこは。本当に夫婦仲が良さそうで」
栄の宮と楓の宮妃のオシドリぶりは宮中では有名である。
「寿の宮さまと純の宮妃さまも夫婦仲が良いようにお見受けしました」
ツキヨは見たままの感想を言った。
「馬鹿ね、あの人は煌生を亡くした私なんて無価値だと思っているのよ」
ツキヨは純の宮妃の影を落とした声に思わず背筋が伸びる。
「まさか、寿の兄上は純の宮妃のことを大切に思っていますよ」
尊星はすかさずフォローをする。
「ねぇ、星影の宮さま、浮気や不倫それがどうしてそれがいけないこととされているのか分かる?」
王族には側室制度は認められている。正当な手続きを踏んで側室をとる。王族という血筋を残すためにも政治基盤を安定させるためにも合理的な手段だ。実際、父上には何人も側室がいる。でも、側室制度と不倫には線が引かれている。
「それは…正当な手段を踏まなければ恨みを買うこともあるでしょうし、社会的な信用も失います。短絡的という烙印を押されると、多くの人々に迷惑がかかる。そもそも、倫理や正義と照らしても良くないとされることを積極的にする、いや、我慢できないというのは個人の人格として問題があると見なされうる。だから、してはいけないことだと思っています」
純の宮は短く息を吐いた。
「星影の宮は噂通りの堅物ね。自己の利益と他者の損失、倫理や規則、物事を合理的に判断するには実に良い判断基準だわ。でもね、貴方は何も分かっていない」
冷たい視線。心の奥底に眠る憎悪や嫌悪が宿る声、表情、純の宮妃は一体何を聞いている?ドンと重たいものが首の後ろに乗っかるような心地だ。
「ツキヨさんはどうお考えになりましたか?」
「えっと…えっと、か、家族と他人を天秤にかけて他人をとる。それって、残された家族からしたら、悲しくて寂しくてたまらない気持ちになるからですか?それで、喧嘩になるのもそんな状態で子供のことを考えるのも私だったら嫌で、それだけでも不倫がダメな理由にはなるのかなって」
「及第点ってとこかしら。世の中には人の気持ちが分からない人がいるのよ。私の夫みたいに」
「え?」
「気がつかなかったの?我が家にはないのよ、煌生を偲ぶ場所が。死ねば終わり。そりゃ悲しむふりはしてたけど、それは子どもを亡くしてじゃなくて、跡継ぎが居なくなって。次の日から平気な顔で仕事に行って、家には帰らないで高良の元へと入り浸る。嘘だと思うでしょう?」
純の宮妃の発言に空気が凍る。
「とっくに、私たちの結婚生活は破綻しているの。」
一体、どんな相槌が正解だったんだ?
「栄の宮に伝えておいて、寿安さまは王座につく器はないから貴方が王になってと。皇太子妃である私がそう言ったと世にしれわたればあの人は王位につけない」
「そ、そうですが…」
「私はね、寿安さまが一番嫌いなの。だから、あの人の誇りである皇太子という立場を壊したいんだよね」
不気味な笑顔に見えた。
純の宮妃と寿の宮がどんな関係性だったのかを推し量るすべはない。少なくとも、表面上は上手くやっていたはずだ。つい40分前まで二人仲良く新婚旅行の思出話に花を咲かせていた。それも何も巧妙なハリボテと言うのか。
「…夫婦のことなので私みたいな関係のない人が言うのは無礼だと分かっていますが、今の純の宮妃さま、夫を憎み、高良さまを嫌悪し、家庭を崩壊させようとする。そんな姿、煌の宮さまは望んでいないと思います。無理に仲良くなんて言いませんが、煌の宮が好きだったお母さんに戻ってください」
ツキヨの方を見る。こんなことを皇太子妃に言って良い訳がない。
「貴女は煌生もその前での私もよく知りもしないくせに知ったような口をきなないで、不快だわ」
脚を組み換えて、思わず身が震えるような視線を向けた純の宮妃。それでもツキヨは食い下がらない。
「煌の宮さまのお話、楓の宮妃さまから伺ったんです。闊達でおしゃべり好きで、走るのが好きで、でもお豆腐が苦手で、絵がお上手で、最近良い画材をお誕生日の贈り物としてもらってとても喜んで、それで、何より、優しくて明るくて、ちょっと怖いけど、ギューってしてくれるお母さんが大好きな子だって」
「取り繕った上辺よそんなものは」
一言で過去を否定するような言い回しに思わず、ツキヨはキッと眉間にシワを寄せた。
「嘘ですよね」
「嘘じゃないわ」
「ツキヨさん、もう…」
尊星は熱くなるツキヨを制止する。
「純の宮妃さま、」
「何?」
「私は不倫を肯定したり、無闇に元気付けたりしようなんて気はなくて、同じ宮さまをお支えする一人の女性として、仲間として、純の宮妃さまのお力になりたかったんです。出すぎた真似と承知です。純の宮妃さまが煌の宮さまを亡くして以降、人との関わりを断っていらっしゃると聞いて、話を聞き、過去を肯定するだけでも力になると思っていたんです。すみませんでした」
純の宮妃はツキヨを見てハッと笑った。
「本当につくづく馬鹿みたいな子ね。でも、その馬鹿真面目は嫌いじゃないわ」
尊星はホッと胸を撫で下ろす。
「実は私、娘を連れて里へ戻るの。寿安さまが私の頬を優しく叩いてくださったの、これでようやく離婚できる。だから、最後に恨み節を言いたかったのよ」
「え!里へ戻るんですか?」
「だから、そう言っているじゃない。理解の遅い男は嫌われるわよ」
「は、はぁ。」
「あなたたちなら、うちよりもずっといい家庭を築けるわ。結婚おめでとう」
「本日はお招きくださり誠にありがとうございます」
尊星とツキヨはお辞儀をする。
「さ、どうぞ、上がって」
寿の宮はそう言う。二人はその言葉に従う。
玄関から客間への通路。
昔から思っていたが、相変わらず生活感のない家だ。壁や床、天井に至るまで白色で、家具も必要最低限しかないし、侍女もまるで複製のように同じ髪型、同じ化粧に同じ服。寿の宮の性格が全面に押し出されている。
「綺麗なお家ですね」
ツキヨが場をなごませるように言った。
「子が居てはすぐに汚くされてしまうから、掃除は徹底するよう侍女に頼んでいるんだ」
「な、なるほど」
なんとなく寿の宮の侍女にはなりたくないと思ってしまう。
席について、お茶とお茶菓子が出される。
ちらりと純の宮妃を見る。頬の辺りがげそっと痩せてやつれたような気がする。
「あなたがツキヨの宮妃かしら?」
「はい、はじめまして」
緊張の面持ち。
「私は純。よろしくね」
柔らかく微笑んだ純の宮妃に少し安心した。
「しかし珍しいな。尊星の方から私たちに会いに来るなど」
「長兄である寿の宮とその妃である純の宮妃に結婚の挨拶を済ませていないのは…と思いまして。」
「そうか、二人は仲睦まじく結婚生活を営めているのか?」
尊星とツキヨは顔を見合わせる。
「はい」
「まぁ!それは何よりね、寿安さま」
「うむ」
話題は二人の新婚旅行の話へとシフトした。半年以上前にはなるが、あの日のことは鮮明に覚えている。寿の宮夫妻の新婚旅行の話も聞かせてもらった。
1時間程したところで、寿の宮は急用で席を外した。
純の宮妃の顔色が変わった。
さっきまでの穏やかな雰囲気がまるで消し飛んだかのようで、暗く陰気な雰囲気が彼女を覆う。
「こんなこと、普段は言えないのだけれど良いかしら?…私の夫のしたこと許せる?…星影の宮は栄の宮と仲が良かったわよね」
「え?あ、はい」
「良いわよねあそこは。本当に夫婦仲が良さそうで」
栄の宮と楓の宮妃のオシドリぶりは宮中では有名である。
「寿の宮さまと純の宮妃さまも夫婦仲が良いようにお見受けしました」
ツキヨは見たままの感想を言った。
「馬鹿ね、あの人は煌生を亡くした私なんて無価値だと思っているのよ」
ツキヨは純の宮妃の影を落とした声に思わず背筋が伸びる。
「まさか、寿の兄上は純の宮妃のことを大切に思っていますよ」
尊星はすかさずフォローをする。
「ねぇ、星影の宮さま、浮気や不倫それがどうしてそれがいけないこととされているのか分かる?」
王族には側室制度は認められている。正当な手続きを踏んで側室をとる。王族という血筋を残すためにも政治基盤を安定させるためにも合理的な手段だ。実際、父上には何人も側室がいる。でも、側室制度と不倫には線が引かれている。
「それは…正当な手段を踏まなければ恨みを買うこともあるでしょうし、社会的な信用も失います。短絡的という烙印を押されると、多くの人々に迷惑がかかる。そもそも、倫理や正義と照らしても良くないとされることを積極的にする、いや、我慢できないというのは個人の人格として問題があると見なされうる。だから、してはいけないことだと思っています」
純の宮は短く息を吐いた。
「星影の宮は噂通りの堅物ね。自己の利益と他者の損失、倫理や規則、物事を合理的に判断するには実に良い判断基準だわ。でもね、貴方は何も分かっていない」
冷たい視線。心の奥底に眠る憎悪や嫌悪が宿る声、表情、純の宮妃は一体何を聞いている?ドンと重たいものが首の後ろに乗っかるような心地だ。
「ツキヨさんはどうお考えになりましたか?」
「えっと…えっと、か、家族と他人を天秤にかけて他人をとる。それって、残された家族からしたら、悲しくて寂しくてたまらない気持ちになるからですか?それで、喧嘩になるのもそんな状態で子供のことを考えるのも私だったら嫌で、それだけでも不倫がダメな理由にはなるのかなって」
「及第点ってとこかしら。世の中には人の気持ちが分からない人がいるのよ。私の夫みたいに」
「え?」
「気がつかなかったの?我が家にはないのよ、煌生を偲ぶ場所が。死ねば終わり。そりゃ悲しむふりはしてたけど、それは子どもを亡くしてじゃなくて、跡継ぎが居なくなって。次の日から平気な顔で仕事に行って、家には帰らないで高良の元へと入り浸る。嘘だと思うでしょう?」
純の宮妃の発言に空気が凍る。
「とっくに、私たちの結婚生活は破綻しているの。」
一体、どんな相槌が正解だったんだ?
「栄の宮に伝えておいて、寿安さまは王座につく器はないから貴方が王になってと。皇太子妃である私がそう言ったと世にしれわたればあの人は王位につけない」
「そ、そうですが…」
「私はね、寿安さまが一番嫌いなの。だから、あの人の誇りである皇太子という立場を壊したいんだよね」
不気味な笑顔に見えた。
純の宮妃と寿の宮がどんな関係性だったのかを推し量るすべはない。少なくとも、表面上は上手くやっていたはずだ。つい40分前まで二人仲良く新婚旅行の思出話に花を咲かせていた。それも何も巧妙なハリボテと言うのか。
「…夫婦のことなので私みたいな関係のない人が言うのは無礼だと分かっていますが、今の純の宮妃さま、夫を憎み、高良さまを嫌悪し、家庭を崩壊させようとする。そんな姿、煌の宮さまは望んでいないと思います。無理に仲良くなんて言いませんが、煌の宮が好きだったお母さんに戻ってください」
ツキヨの方を見る。こんなことを皇太子妃に言って良い訳がない。
「貴女は煌生もその前での私もよく知りもしないくせに知ったような口をきなないで、不快だわ」
脚を組み換えて、思わず身が震えるような視線を向けた純の宮妃。それでもツキヨは食い下がらない。
「煌の宮さまのお話、楓の宮妃さまから伺ったんです。闊達でおしゃべり好きで、走るのが好きで、でもお豆腐が苦手で、絵がお上手で、最近良い画材をお誕生日の贈り物としてもらってとても喜んで、それで、何より、優しくて明るくて、ちょっと怖いけど、ギューってしてくれるお母さんが大好きな子だって」
「取り繕った上辺よそんなものは」
一言で過去を否定するような言い回しに思わず、ツキヨはキッと眉間にシワを寄せた。
「嘘ですよね」
「嘘じゃないわ」
「ツキヨさん、もう…」
尊星は熱くなるツキヨを制止する。
「純の宮妃さま、」
「何?」
「私は不倫を肯定したり、無闇に元気付けたりしようなんて気はなくて、同じ宮さまをお支えする一人の女性として、仲間として、純の宮妃さまのお力になりたかったんです。出すぎた真似と承知です。純の宮妃さまが煌の宮さまを亡くして以降、人との関わりを断っていらっしゃると聞いて、話を聞き、過去を肯定するだけでも力になると思っていたんです。すみませんでした」
純の宮妃はツキヨを見てハッと笑った。
「本当につくづく馬鹿みたいな子ね。でも、その馬鹿真面目は嫌いじゃないわ」
尊星はホッと胸を撫で下ろす。
「実は私、娘を連れて里へ戻るの。寿安さまが私の頬を優しく叩いてくださったの、これでようやく離婚できる。だから、最後に恨み節を言いたかったのよ」
「え!里へ戻るんですか?」
「だから、そう言っているじゃない。理解の遅い男は嫌われるわよ」
「は、はぁ。」
「あなたたちなら、うちよりもずっといい家庭を築けるわ。結婚おめでとう」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる