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第１４話 ピンチで最強の救世主
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菜乃の配信を観ることになった俺と栗原。
配信前の会話で、実は俺がクラスの女子に人気があると栗原に知らされる。
さらに今惹かれている人がいると話すと、なぜか栗原が顔を赤くしてモジモジした。
菜乃が俺と栗原をパソコンルームへ案内する。
栗原が部屋の設備を見て、昨日の俺と同じで興奮している。
「おおう。ガチだぁ。うちより凄そう！」
分かるぞ！ その気持ち！
「しばらくしたら配信を始めるから、ふたりは後ろの椅子に座っててね」
菜乃がゲーミングチェアに座ると配信アプリの操作を始めた。
今日は栗原もいるので制服のままらしい。
栗原はというと椅子にちょこんと座り、動きを検知するカメラからそれた画面横に陣取った。
「栗原は配信の段取りを知ってそうだな？」
「うちはたまに家族がジャマするんだよね」
なんか質問に対する答えが変なんだけど。
菜乃は準備ができると、コラボのことで佐藤マネージャーに電話したが、とりあえずひとりで始めるように言われたようだ。
しばらくして時間になり単独での配信が始まった。
俺と栗原の様子を確認した菜乃が小さくうなずくと、ちょっと待ってねという聖天使ナノンの１枚絵を表示させる。
そのまま菜乃は目をつぶり、画面の前で胸に手を当てて深呼吸した。
◇◇◇
『はーい！ 聖天使ナノンの降臨だよぉ！ みんなぁ、こんにちナノン！ 昨日ぶりだね！』
《こんにちナノン！》《俺の天使！》《ナノン様ぁ》
《昨日ぶりとかｗ》《開始普通》《さあ昨日の続き》
昨日よりコメントが多い気がする。
前からのファンにプラスして、配信事故で増えたリスナーがいるらしい。
『さてさて、まずはナノンお詫びしなきゃね。昨日は配信切り忘れという事故をやらかしてごめんね！』
《気にすんな》《不慮の事故》《逆に面白かったぞ》
《おいケンタ》《ナカムラケンタ》《ケンタどした》
元からのファンは優しいな、気遣いが見える。
それに比べてニワカ勢の煽りが相当キツイ。
あの事故はそんなに影響あったのか？
えーと、同時接続は……３０００！ ３倍か！
チャンネル登録は…８００００！！ ２．５倍！！
こりゃ配信の雰囲気変わるよな。
『えーと、あの、まずは全国のナカムラケンタさん、迷惑かけてごめんなさい』
《気にすんな》《ガンガレ！》《謝罪もう終わり？》
《だからケンタどした》《辞めるの？》《責任は？》
『その、ナノンね、これからも配信してみんなと仲良くしたいなーって思ってて……』
《元気出せ》《説明しろよ説明》《誠意をみせろよ》
《意味わからん！》《何これツマラン》《ぐずぐず》
《ねえケンタは？》《謝罪いいからケンタ出せよ》
優しいコメントを上回る勢いで、煽りや非難が増えていく。
菜乃が凄くつらそうに言葉に詰まる。
配信中にコメントを拾うのに慣れてる分、心をえぐる言葉も無視できず視界に入るのだろう。
彼女はまだ高校生なんだ。
Vtuberとして配信を続けてネットの悪意に慣れていても、やっぱりつらいに違いない。
『これからも仲良く、あの仲良く……』
《期待外れ》《ってかケンタまだ？》《さよなら～》
《もう謝罪終わり？》《カワイイ総研レベル低すぎ》
《去り際は潔く》《引退乙》《君のことは忘れない》
ああ、もう見てられないっ！
放送事故が原因だから多少の非難はしょうがないけど、ちょっとこれは酷いだろ！
普通は応援したいから見るんじゃないのかよ！
単に叩きに来てる輩が多すぎる！
ここは俺がッ！
って俺がしゃべっても燃料投下するだけだろ！
クソ、一体どうすればッ……。
菜乃は口を開けど声が出せずに困り果てている。
涙こそ流していないが、緊張のせいか顔色が悪く、身体がカタカタと震えていた。
俺では力になることもできない。
自分の無力さがただただ悔しくて、奥歯を強く噛みしめた。
……そのときだった。
急に、まったく急にだった。
モニター横で観ていた栗原が身を乗り出した！
『オイ、コラ愚民どもォォオオオオッッ！！！！』
なんと、真横の栗原が強い口調で割り込んだのだ！
声優のように高い声で吠える栗原に、俺も菜乃も呆気に取られて彼女を見つめた。
『我が名はルリア・カスターニャ。貴様ら！ よくも我が後輩のナノンを可愛がってくれたな？ 今からたっぷり礼をしてやるッ！』
《！！》《！！》《マジ？？？？》《え何コラボ？》
《ルリア？》《ルリア様キターー！》《ルリア様ー》
《ルリアは今ライブしてないぞ》《サプライズ？》
《ゲストキタコレ》《乱入だ》《ナノン横ルリア？》
《誰？》《くそ、総研のルリアだ》《エライのキタ》
ルリアって、カワイイ総研のツートップだろ!?
チャンネル登録１００万、同時接続だっていつも軽く３万を超える大人気Vtuberじゃないか！！
栗原が真似してる!?
いや、ルリアのライブをよく見る俺が間違えるはずなどない……。
声もしゃべりも、まんまルリア・カスターニャ。
間違いないッ、ほ、本物だ…………！！！！
※現在のチャンネル登録者数
聖天使ナノン
登録者８００００人
ルリア・カスターニャ
登録者１００万人
配信前の会話で、実は俺がクラスの女子に人気があると栗原に知らされる。
さらに今惹かれている人がいると話すと、なぜか栗原が顔を赤くしてモジモジした。
菜乃が俺と栗原をパソコンルームへ案内する。
栗原が部屋の設備を見て、昨日の俺と同じで興奮している。
「おおう。ガチだぁ。うちより凄そう！」
分かるぞ！ その気持ち！
「しばらくしたら配信を始めるから、ふたりは後ろの椅子に座っててね」
菜乃がゲーミングチェアに座ると配信アプリの操作を始めた。
今日は栗原もいるので制服のままらしい。
栗原はというと椅子にちょこんと座り、動きを検知するカメラからそれた画面横に陣取った。
「栗原は配信の段取りを知ってそうだな？」
「うちはたまに家族がジャマするんだよね」
なんか質問に対する答えが変なんだけど。
菜乃は準備ができると、コラボのことで佐藤マネージャーに電話したが、とりあえずひとりで始めるように言われたようだ。
しばらくして時間になり単独での配信が始まった。
俺と栗原の様子を確認した菜乃が小さくうなずくと、ちょっと待ってねという聖天使ナノンの１枚絵を表示させる。
そのまま菜乃は目をつぶり、画面の前で胸に手を当てて深呼吸した。
◇◇◇
『はーい！ 聖天使ナノンの降臨だよぉ！ みんなぁ、こんにちナノン！ 昨日ぶりだね！』
《こんにちナノン！》《俺の天使！》《ナノン様ぁ》
《昨日ぶりとかｗ》《開始普通》《さあ昨日の続き》
昨日よりコメントが多い気がする。
前からのファンにプラスして、配信事故で増えたリスナーがいるらしい。
『さてさて、まずはナノンお詫びしなきゃね。昨日は配信切り忘れという事故をやらかしてごめんね！』
《気にすんな》《不慮の事故》《逆に面白かったぞ》
《おいケンタ》《ナカムラケンタ》《ケンタどした》
元からのファンは優しいな、気遣いが見える。
それに比べてニワカ勢の煽りが相当キツイ。
あの事故はそんなに影響あったのか？
えーと、同時接続は……３０００！ ３倍か！
チャンネル登録は…８００００！！ ２．５倍！！
こりゃ配信の雰囲気変わるよな。
『えーと、あの、まずは全国のナカムラケンタさん、迷惑かけてごめんなさい』
《気にすんな》《ガンガレ！》《謝罪もう終わり？》
《だからケンタどした》《辞めるの？》《責任は？》
『その、ナノンね、これからも配信してみんなと仲良くしたいなーって思ってて……』
《元気出せ》《説明しろよ説明》《誠意をみせろよ》
《意味わからん！》《何これツマラン》《ぐずぐず》
《ねえケンタは？》《謝罪いいからケンタ出せよ》
優しいコメントを上回る勢いで、煽りや非難が増えていく。
菜乃が凄くつらそうに言葉に詰まる。
配信中にコメントを拾うのに慣れてる分、心をえぐる言葉も無視できず視界に入るのだろう。
彼女はまだ高校生なんだ。
Vtuberとして配信を続けてネットの悪意に慣れていても、やっぱりつらいに違いない。
『これからも仲良く、あの仲良く……』
《期待外れ》《ってかケンタまだ？》《さよなら～》
《もう謝罪終わり？》《カワイイ総研レベル低すぎ》
《去り際は潔く》《引退乙》《君のことは忘れない》
ああ、もう見てられないっ！
放送事故が原因だから多少の非難はしょうがないけど、ちょっとこれは酷いだろ！
普通は応援したいから見るんじゃないのかよ！
単に叩きに来てる輩が多すぎる！
ここは俺がッ！
って俺がしゃべっても燃料投下するだけだろ！
クソ、一体どうすればッ……。
菜乃は口を開けど声が出せずに困り果てている。
涙こそ流していないが、緊張のせいか顔色が悪く、身体がカタカタと震えていた。
俺では力になることもできない。
自分の無力さがただただ悔しくて、奥歯を強く噛みしめた。
……そのときだった。
急に、まったく急にだった。
モニター横で観ていた栗原が身を乗り出した！
『オイ、コラ愚民どもォォオオオオッッ！！！！』
なんと、真横の栗原が強い口調で割り込んだのだ！
声優のように高い声で吠える栗原に、俺も菜乃も呆気に取られて彼女を見つめた。
『我が名はルリア・カスターニャ。貴様ら！ よくも我が後輩のナノンを可愛がってくれたな？ 今からたっぷり礼をしてやるッ！』
《！！》《！！》《マジ？？？？》《え何コラボ？》
《ルリア？》《ルリア様キターー！》《ルリア様ー》
《ルリアは今ライブしてないぞ》《サプライズ？》
《ゲストキタコレ》《乱入だ》《ナノン横ルリア？》
《誰？》《くそ、総研のルリアだ》《エライのキタ》
ルリアって、カワイイ総研のツートップだろ!?
チャンネル登録１００万、同時接続だっていつも軽く３万を超える大人気Vtuberじゃないか！！
栗原が真似してる!?
いや、ルリアのライブをよく見る俺が間違えるはずなどない……。
声もしゃべりも、まんまルリア・カスターニャ。
間違いないッ、ほ、本物だ…………！！！！
※現在のチャンネル登録者数
聖天使ナノン
登録者８００００人
ルリア・カスターニャ
登録者１００万人
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