ネオ・ヴァラニア 〜アナル開発すると魔法が強くなるMMOで

なエタそ

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9.エロ防具でも大丈夫

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9.エロ防具でも大丈夫
 風と花の街フロランティアは相変わらず活気に満ち溢れていた。
 中央広場から一本道を逸れると、晴天の下に白塗りの家屋が建ち並ぶ。その間に敷かれた赤煉瓦敷きの道を、僕は人を避けながら南西へ進んだ。

 ジルからのメッセージは、ビジネスメールの様なお堅く形式ばった文面だった。「先般は大変お世話になりました。ジルです。」という定型の挨拶から始まり、終わりは「よろしくお願いします。」というこれまたお決まりの文言。
 何度見ても笑えるが、中身はなんともジルらしい。
 RPGへの意欲と僕に対する遠慮がごちゃまぜになっている文は、要約すると「オッキ活火山の5合目に行けるようになったので、都合の良い時に声を掛けてください。ちなみに、今日は南西の武器屋に居ます」という内容だった。
 
 有言実行だよ。
 まさか、本当に数日で5合目まで来るとはねぇ。
 一体どうやったのだろう?
 ジルくらいの腕なら簡単なのだろうか。徹夜して頑張ったのか。
 それとも、僕みたいにオナニーと戦闘を交互に繰り返したのか。
 専門のお店に行って、関連する性スキルの底上げをしたという可能性も考えられる。
 聞いてみたい気もするけど、セクハラが過ぎるかな?
 
『手が空いてるから、今からそっち行く』

 簡潔に返事をして、目指すは南西の武器屋。
 と言っても、南西の商工業地区はニアマンが経営する老舗の店舗が多数軒を連ねている。
 武器屋だけでも何軒もあるので、迷わずに辿り着けるか不安だ。

 けれど、予想に反してその店舗は簡単に見つかった。
 店舗裏に試験場になっている広場があり、そこでジルがハルバードを振り回していたのだ。

 先日は、初期装備のロングソードとスモールシールドを使っていたジルだが、ハルバードのような大型の斧槍も扱えるとはこれ如何に。
 遠目に見ていても、ジルは武器に振り回される事なく、仮想モンスターを難なく倒している。

 声を掛けるのを忘れて見物していると、今度は武器を捨てて、体を覆い隠せる程の大楯を装備した。
 仮想敵として出現させられたテイスティボアの突進を不動の構えで難なく耐え切ると、テイスティボアが棒立ちになった隙に、ジルが大盾を僅かに浮かせた。
 その習慣、大盾が火を噴く。

「はあっ?!」

 僕は驚いて声を上げた。
 大楯が火を噴射するって、どういうこと?

 巨大な火の弾は正面にいたテイスティボアに着弾すると、哀れな猪を一撃にて屠った。
 規定のHPを超えたので仮想敵が消えただけだが、あまりの派手さに、まるで燃焼し気化してしまったように見える。
 その威力と派手さに僕は開いた口が塞がらなかったが、当のジルは驚いた表情をした後、腹を抱えて笑い出した。
 実戦、それも山の中では使えないロマン砲。完全なネタ武器。
 騒ぎを聞きつけて、店員が出てきた。
 そのタイミングでジルも僕に気付いたようで、彼はこちらに手を振っている。まだ尾を引いているようで、ジルは満面の笑みを浮かべていた。

「ミュラーさん!」
「呼び捨てで良いってば。随分派手にやってたね、ジル」
 
 気を利かせた武器屋の店員が、店の奥にある商談用のスペースへと通してくれた。
 作業机のような幅広の机に、木を一本削り出して作った様な重厚な椅子。
 僕達は机を挟んで、正面に向かいあって座った。
 水を飲んで一息ついたジルは満足そうな顔をしている。

「いやぁ、あの盾はヤバイですね。店員さんがオススメしていたので試させてもらったんですが、想像以上だった」
「あれはヤバイね、僕も顎が外れるかと思ったよ。買うの?」
「ハハッ、あれを買う余裕は流石に無いなぁ」

 ジルの装備は一新されていた。
 初期のレザー装備ではなく、モンスターの素材を利用したハイレザーと呼ばれるワンランク上の物がベースになっている。
 靴や手甲には、また別の素材を用いている様だが、黒を基調とした色味はジルに似合っているし、体のラインに合わせた作りになっているので、防具の上からでも彼の肉体美が感じられた。

 全身の装備を新調したのなら、そりゃあ所持金は減っただろう。
 じろじろと眺めすぎたのか、ジルの背が気恥ずかしそうに丸まる。

「比較的性能が良い既製品を買ったんですが、急場しのぎで、お恥ずかしい」
「いや、良いと思うよ、凄く。格好良いし、エロくて良いと思う」
「エッ!? えろ……?」

 外套を脱ぎ、肩当てを外したジルの肩は、美肌がガッツリと露出していた。
 更には、肩だけでなく、背中から腰にかけても艶かしい肌がはっきりと。
 ふと、裸エプロンという単語が思い浮かんだ。前面はしっかりと覆われているのに、背後だけなら全裸に見えるんじゃないかな?
 いや、腰には腰用防具をつけているから全裸だとは思わないが、それはそれで全裸よりエロい。太腿もぴっちりとしたレザーに覆われている分、余計にな。
 
「うん、その露出はエロいよ」
「ろ、露出……。これでも露出度はかなり低い方なんだが……」
「ビキニアーマーばっかだもんね」

 ビキニアーマーと聞いて店頭のラインナップを思い出したのか、ジルは渋い顔をした。

「不思議なんですが、ビキニアーマーの方が効果が良かったりするんですよね。男体用も女体用も、服面積と防御力が反比例しているような……」
「それは言い過ぎ……とも言えないような?」

 明らかに材料費が安そうな防具でも、驚く様な値段が付いていたりして、確認すると確かにステータスが良かったりする。
 紐パンが防具屋に並んでいて、プレートメイルよりも防御力があった時には目を疑ったものだ。

 そんな会話をしていたら、通りかかった店員が声を挟んできた。

「なんだ、あんさんらは、精霊の守りを知らんのか」
「精霊の守り?」
「って何ですか?」

 ジルと二人、机を挟んで首を傾げる。

「『防具に精霊の加護を賜る事で、露出した生肌を精霊に守護してもらえる』と一般的には認識されているがね。専門的には、『素材や武具に精霊力が残っている状態』を指す」
「尚更、肌の露出は少ない方が良いのでは?」
「精霊の力は、素材の体積が小さい程、強く残るんだよ。『凝縮される』と言えばイメージが湧くかね? 精霊力の強く残る素材を使うなら、自然と材料は少なくなる。当然、アンタらの言う『布面積』も小さくなるってもんよ」
「それなら布面積は小さければ小さい程良い、のかなぁ?」

 ビキニアーマーが蔓延はびこっている理由は分かったが、あまり納得はしたくないな。
 それを認めたら、僕もほぼ裸族になるのが一番強くなってしまう。

「カッカッカッ、そこが腕の見せ所よぉ。面積や体積が多かろうと、より優れた武具は存在するだろ?」
「それは、そうですね」
「精霊力のある素材は、職人の腕によるってこったぁ。ただ素材を増やすだけじゃ駄目なんだ。素材や、その素材に加護を与えた精霊が望む形にしてやれて、はじめて一人前の職人ってもんよ!」

 店員さんも、自分で鍛治加工をする職人なのだろう。
 豪快に笑うと、彼は僕の背をバンバン叩いて店頭へと去っていった。

「……だってさ。ジルのその防具は、精霊の守りがあるの?」
「これの事ですかね? 『風の羽』という特性が付与されていて、AGI素早さが上がるのと、冷感温感・その他感覚の補助機能があります」
「露出が多くても寒くないってことか。この街は、風を司る精霊ウィンティアと花を司る精霊フローラのお膝元らしいから、ウィンティアの力かもな」

 僕は執事フェニエから聞いた話をジルにした。
 イベントのお知らせはジルも確認していたらしく、精霊についての知見が深まった。
 精霊はセックス推奨派だというし、露出の多い装備も、案外精霊の好みなのかもな。

「まぁ、僕にセックスは無縁だし、イベントはほぼRPGかな」
「俺もです」

 二人して、ハァと溜め息が出た。
 僕はともかく、ジルはその気になれば相手なんて選り取り見取りだと思うけど。
 初日にナンパされて困っていた様子からしたら、やはりセックスは童貞には敷居が高いんだろうなぁ。

 顔を見合わせて、お互い苦笑する。

「えっと……、じゃあ、そろそろオッキ活火山に行きます?」
「そうしよう。あ、待って。その前に僕も装備を刷新したい。実はまだ初期防具なんだ、お恥ずかしい限りで」

 いや、本当に恥ずかしくなってきた。
 普段のグレースーツ3点セットが使い勝手良すぎて、フィールド用の防具が疎かになってるんだよな。
 今もスーツのパンツに、白シャツとジャケットだ。
 正直、武器屋では浮きまくっている。

「初期!? それでよく5合目にソロで行こうと思いましたね。絶対買い替えた方が良いですよ」
「いや、4合目が意外と大丈夫だったからさ」

 5合目に入った途端、躓いた原因でもある。
 それまではアナニーで火力を上げて、チクニーで防御力を育てて、アナル拡張で回復効果を高めるだけで何とかなっていたのだが。

「是非、買い替えましょう」
「あ、はい。買い替えます、買い替えます」

 力の籠ったジルの言葉に、二の句も継げず頷いた。
 他のMMORPGでは、防具更新は最初にすべきなのかもな。
 その辺は経験者のジルの方が勝手を知っているのだろう。
 ジルに促されるまま、僕達は店頭に移動した。
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