きみの笑顔が見たくて

ごま団子

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噂のきみ

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キーンコーンカーンコーン...

チャイムと同時にバタバタと移動する生徒.次は体育だ.

「やっとこの時がキタ―――――!俺活躍のチャンス~~」

ちらりと見るとさっきの授業のノートはほぼ白紙.こいつテスト大丈夫かな,,

「おい片瀬,体育もいいけど授業も真面目に受けろよ.また赤点で泣きついてきても知らないからな」

そう言いながら,教室のドアを開けて更衣室へ向かう.

「えっ,相澤は俺を見捨てるの,,?」

そんな顔しても,ここは友達として自分で頑張ることも学んでもらわねば.そうこうしているうちに,

「ま,テストまではだいぶ先だし平気っしょ~~」

なんて言うもんだから,

「あのなーそういう,」

 ドン!バサバサバサッ

歩きながら振り返ったタイミングが悪かった.ぶつかってしまった彼女が持っていたテキストやらプリントが床にまき散らされてしまった.

「ごめん!前見てなくて.大丈夫?」

急いで集めたプリントを片手にもう片方の手を彼女に差し出す.

「ええ.大丈夫です.」

俺の手を借りて立ち上がった彼女はスカートのほこりをはたいている.その間にプリントを綺麗に整えて再度謝ろうと口を開いたところに

「ほ,ほんとにうちのバカがすみません!!」

片瀬に無理やり頭を掴まれてこれでもかってほど下げさせられる.

「マジですみません!100%こいつが悪いです!どうかこれで勘弁してもらえませんか(震え声)」

おいおい,なんで怯えてんの.確かに悪かったのは認めるけど,片瀬に頭下げさせられる筋合いはない.爪食い込んでるし.
まあ,それは置いといて,

「ほんとにごめんね.これ,プリント.たぶん全部拾えたと思うけど」

「平気です.ありがとうございます,では」

彼女は少しウェーブのかかった長い髪を耳にかけそう言うと,俺たちを通り過ぎて行った.

と同時にはたかれる俺の頭.

「おい,何すんだよさっきから」

「それはこっちのセリフだよ!俺はお前の命を救ってやったんだぞ,感謝しろ!」

「恨みしかねえよ.爪刺さったんだよ,痛いよ」

「お前葛西さんにぶつかったんだぞ!?」

「同じクラスのだろ?確かに悪かったけど,お前に頭掴まれる覚えはないぞ」

「いーや,あるね.お前は大バカだ!葛西さんの噂を知らないなんて」

片瀬にバカバカ言われるいわれはないと思う.ほんとに赤点でも助けてやらないからな.

「いーか,彼女いつも一人だろ.噂じゃ元ヤンで売られたケンカで負けたことないらしいぜ」

「そーなのか,知らなかった」

全然そんな風な感じはしない.髪は染まってないし,スカート丈もごく普通.でも,片瀬は信じ込んでいるようでいまだに怯えながら彼女が去っていった方を見ている.

「帰りに,なんかガタイのいい奴らが葛西さんに会って頭下げてるの見た奴だっている.マジで目ぇつけられたらやばいって,俺そんなに強くないのに~~」

そんなに噂になってたのかー.普段あまり気に留めたことないから分からなかった.授業は同じ科目がいくつかある程度で,そんなに目立っている様子もないから記憶にない.う~ん,,

キーンコーンカーンコーン

「あ,やば.体育,,」

・・・これは怒られるなあ,,
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