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淘汰

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「ゆりちゃんみたいな子供がね、大人の保護も
受けられずにいる世の中からまず、変えないと」と、加藤は述べた。


その10年の間に、加藤は
エネルギー革命を起こして、経済を無くして
貧富格差を無くした。


それで、もうひとりの加藤は10年前に遡ったのだが


それは、こちらの加藤は知らない。




「生き物は、元々優れた者が生き残るように
競う。その為に雄と雌が出来たと考えられているね。でもそれは、チャールズ・ダーウィンの頃の差別思想が背景だと僕は思う。現在起こっている事は、劣位な者が集まって優位な者を
攻撃する、と言う構図だね。
この国の政治もそうだし、さっきの沖縄民謡もそう。美しい娘が生き残るべきなのに、妬みで
殺される、なんて変でしょう?

妬む発想の背景には差別がある。
美しい者の方が優位だ、と言う差別ね。


そんな事はない。見た目だけ美しい人もいれば中身が美しい人もいる。動作が美しい人もいる。
1970年代までは、みんな平等にそうして
讃えあっていたんだよ。学校でもね。」

と、加藤は言う。



ななには、俄かに信じられない。

ななの知る学校は、既に抑圧的で
教師は争う事しか教えなかった。

勉強でもスポーツでも、芸術でも
勝つ、しか考えない教師。




「僕らは科学的に教えられてますから、差別は発想としてないですね」ジョナサンはそう、微笑んだ。




「そう、教育にも損得を持ち込んだら
おかしいんだね。勝てば得するって。
それは教師の頭が変なのさ。教育基本法に
ないよ、そんなの」と、加藤は言う。



「生き物には淘汰の本能がある、なんて
俄か学生が言うけどね、それなら優位の者が
生き残るべきさ。でも、人間の優劣って今はないよ。だけど、競う気持ちだけが残ったから
結果が出ないのでみんなイライラしてるのさ。ナナエの与那原晋運転手みたいにね。
前のクルマとの車間距離詰めたって、早く
着く訳でもない。
でも、攻撃したがるってのは
そういう育てられ方をしたからさ。
心の病気なんだよ。」

それは、すぐには治らないと
ジョナサンも思う。



ななは、知らないけれど
そういう人達の為に、神様は薬を与えていたんだし

行政が、エネルギーを頒布して
無理に働かなくてもいい、と言う
世の中にしたんだから、トラックなんて
運転しなくてもいいはず。




「淘汰なんてしなくていいのさ。1960年代みたいに助け合っていけば。」加藤は言った。



ジョナサンも思う。それは、アメリカンな平和で


日本海より北は、1960年代でも
差別的な国だった。



それが、1990年代に
日本の金融市場を開放した事で

日本を侵略した結果、日本の社会が
差別的になった、と。


それで、加藤は経済を破壊した。

そんなものはなくてもいい、と。
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