科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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思想と観念

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「それでも、ついて生きたいって
思う人がいたら?」ななは
少し、悲痛な思いでそう告げた。

加藤は、その言葉を受け


「それが幸せだと言う人もいるでしょうね。
兄も、幸せに死んでいったと思います。
生き物にはそういう性質がありますね。」と
加藤は言った。


子を遺して死ぬ為に遡上する鮭なども
行動学的に類似例だろう。

でも、それを利用しようとするなら
それは悪、と言っていいのではないか、と。




「確かにそうですね。アメリカでも
開拓時代と違って、今は狡い事でも
儲かればいい、と言う人が増えた。それなので
貨幣流通、もともと
国家が作った偽札なのですから、今の
信用貨幣は。それを止めて
エネルギー取引のような、明確な基準のある
ものを貨幣の代わりにしよう、と言う
発想を受け入れるアメリカンは多いのです」と
ジョナサンは言う。




「その通り。でも、国家としては
困る訳ですね。ただの紙切れを印刷すれば
幾らでも儲かったのに、基準を作られてしまっては不便だ。それで、無料エネルギーにした。それで困るのは、ギャンブラーだけさ。悪魔のようなね」と、加藤が言う。




悪魔が聞いたら怒る事だろう。
悪魔とて、そこまで狂ってはいない、と。
必要のない欲望の為にギャンブルなどしない、と。



「欲望が、人を狂わせるんだね。
僕は、兄嫁を見てそう思った。
なんでも肯定されて、何をしても許される。
家の中に篭っていて、暇を持て余した
主婦ってそんなものなんだね。
元々、育てられた過程で歪んだ、自らに
枷られた教育のせいで、狂ってしまうのさ。
尤も、教育なんて誤りだと
自己判断できれば別だけどね」と、加藤は言った。




ななには、なんとなく分かる。


働かなくていい、と言っても
暇だと落ち着かないとか、そんな気持ちは


怠けていると怒る、親が居た記憶だったり
するのだけれど。




「兄嫁もね、そういう人だったのさ。
見かけを整える、それだけで生きてきて
あとは、狡く立ち回る。たぶん、日本人の
子孫ではないでしょうね」と、加藤は言う。




「ゆりちゃんは、そうではなかった、と?」
ななは女なので、やや同性に厳しい(笑)。




「ゆりはね、捨て身だった。そういう子は
珍しい。受け入れてあげなくては、と
思った」と、加藤。




「それで、騙されてもいい、と?」ジョナサンは言う。




「うん。でも、ゆりはね、結局
僕の事を思って、好きなように生きて、って言った。自由が一番だから、と。
そういう子の事は、忘れられなくなるね」と
加藤は微笑みながら。




ななは、思う。

もし、17才で出逢った恋だったら
捨て身になれたかもしれない。


でも、たまたま出会えなかった。


遅れてであったので、26才の
自分には、もう捨て身で飛び込むまえに
留まってしまう経験が積み重なってしまっていた。


それが、不運だったんで

なな自身にも、愛の心はあるのだけど

悲しいかな、環境が保身を優先に
させてしまうのだ、と。



ななの表情を見て、加藤は



「ゆりが特別だとは思っていません。
誰でも、17才ならあんなものでしょう。
ゆりの友達も、みんな似たような感じで
ひたむきでした。見た目は悪そうでもね
みんないい子です。
だから、ゆりの幸せを考えると
少し時間を置いて、それで本当にいいのか
考えさせてあげたかったんです」

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