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深町珠

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お風呂で

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ナーヴのそばによって、静かに
濡れたタオルで体を濡らしてあげて。
それから、シャワーヘッドで
すこし暖めたお水を。

「熱くない?」と、珠子は
そういえば、幼い妹を
こうしてお風呂に入れてあげた事を思い出す。

妹は、ふつうの女の子で
お店のお手伝いは好きじゃなくて。

子供の頃も、遊びに行って
お店の手伝いはあまりしなかったけれど
むしろ、それがふつう。

珠子があまりにも老成していたのだろう。
お姉ちゃんだから、お母さんがいないから。

そんなふうに、無意識に珠子は自分を縛っていたのかもしれない。

旅に出て、縛るものがないと
なんとなく、解放されたような、珠子自身そんな気がした。


ナーヴは「いえ、熱くはないです。」感温センサはあるようだ。
猫のような毛皮 (?)なので
濡れてしまうと、とてもスリムに見える。

ナーヴは「珠子さんは、綺麗な肌ですね、とても。」

珠子は「ありがとう。ナーヴちゃんも美人よ。」と、にこにこ。

シャボンを少しつけた海綿で、ふわふわ。泡を立てて。
ナーヴの足もとから洗っていく。

「きれいね。あまり汚れてない」と。珠子。

神流は「表に出ないから」と。

珠子は「お散歩行かないの?」

ナーヴは「はい。私は猫と間違えられると危ないですし」

動くものはなんでも追いかけるのが猫であるので
ナーヴがなにかわからなくても、とりあえず追いかけるだろう。

元々、ナーヴは生き物ではないので
表に出る習性がない。

人間が表に出たり、旅したりするのは
野生の頃に脳が出来たから、自然なノイズや情報がないと
飽きてしまうから。

防衛の為にいつも周囲の音や光、振動を気にしているのが
人間、と言うか動物の習性で

近代社会になって、安全な環境であっても
脳がそこに適応していない。

それなので、例えば電車の中でも
携帯端末で情報を与え続けたり。新聞を読んだり。
お喋りをしたり。あるいは音楽を聴いたり。

そうしないと、脳が飽きて苛立ってくるのである。

猫もそうなのだろう。ただ、ナーヴは機械だから
そういう習性がない。

擬似人格システムとしては、人間と違うその辺りが
少し変わったひと、みたいに感じられるのだろう。


珠子のように、可愛がられて育っていると
可愛がってくれる人に甘えたい、と言う希望は
そんなにないし
むしろ、可愛がってくれる人が
困らないように、希望は控えるようになる。

その人を気遣うから。


そういう習慣が珠子にもあるから、例えば
神流の言うように、恋人を作りたいなどと思っても
それは、夢・・・。の中に秘めていて。

本当は、そうしたいのだろうけど、それはキッカケがあって興るものだ。




珠子は、ナーヴを洗ってあげて。
タオルで拭いて。「よし、できたね。」

ナーヴは「ありがとう、珠子さん。わたしが人型だったら
洗って差し上げるのですが」


それは、ナーヴの希望、かもしれない。
そんな風に、環境がキッカケで希望は興る。




珠子は「いいの。お話相手になってくれてありがとう。」と。笑顔で。


海綿にシャボンを付けて、自分を洗った。
今度は、黒湯で洗ったので
あまり、泡が立たない。

神流が「じゃ、わたしがナーヴの代わりに。」と
珠子の背中を流してあげた。

あまり表にでないから、白い肌は透き通るようで
少女のままのようである。

脂肪のあまりないすっきりとした背中。
美的である。

神流は「双葉さん、珠ちゃんを今でも好きなのかな」と。
懐かしい話題。


珠子は「そんなことないよ。女の子にモテてたし。今頃もう、恋人くらいはいるよ。
結婚してるかもしれない」

神流は「そうかもしれませんね。」と。妥当な意見。
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