55 / 93
静かな村
しおりを挟む
珠子自身も、ご近所さんの双葉に
恋を感じたことはない。
それは自然で、近くにいて慣れてしまうと
興味はなくなる。
感覚には恒常性がある。
野生の頃の名残であって、外敵、つまり「普段と違うもの」を
検出するようにして、人間は生き延びてきた。
なので、近隣に居るものは慣れてしまうように出来ている。
それに、高校生の頃は
碧が珠子を守りたかったらしいから、と
碧の気持を気遣ったのもある。
「碧ちゃん、双葉が嫌いだったみたいだし」と、珠子が言うと
神流は「そうかもしれませんね。」と。
さ、交替交替。と、珠子は
今度は神流の背中を流す事に。
すこし、珠子より小柄。
ふくよかで、女らしい背中だなぁと思う珠子。
・・・・ふつう、こうなのかな。
なんて、少し思ったりもしたけれど
そこは切り替えの早い子である。
「神流ちゃんは、ずっと研究一筋なんだね。」と、珠子。
神流は「はい。それが楽しいのです。」
もちろん、そういう人だから
研究をするのであって
向いていない人が無理にしても、成果は残せないものだ。
神流の背中は、丸みを帯びて愛らしい。
シャボンの泡で包むと、お菓子のようだと珠子は思う。
「私達も、いつかお母さんになるのかな」なんて、珠子はふと思う。
どこかの世界に飛ばされなければの話である。
あの町に帰らなければ、安全だと思うのだけど。
神流の背中から、脇には
柔らかな脂肪がついていて、お母さんみたいだと珠子は思う。
神流は「いつか、母にはなるかもしれませんけれど・・・・。
恋愛って面倒ですね。」と。
それは本音かもしれない。
珠子も「そうだねー。双葉がラブレターくれた時も、碧ちゃんが怒って。
あんなことになるんなら、したくないなぁ。恋愛。
みんなが仲良くなれないと。でもなんで碧ちゃんって、あんなに怒ったんだろね。」
神流は「珠ちゃんが可愛いからでしょう。」と、微笑んだ。
珠子は「碧ちゃんは恋人いるのかなぁ。」と。
神流は「・・・さぁ。でも、人気ありそうですね。」と言って
ありがとうございます。と。
背中を流してくれた礼を述べ、お湯でシャボンを流した。
珠子にも掛けてあげた。
黒湯なので、シャボンがグレィに見える所が面白い。
「あったまりましょうか」 「はい。」と
珠子と神流は、風呂桶に。
文字通り桶になっているそれは、今はあまり見かけないタイプ。
ふたりで入れるくらいの大きさ。
ここは温泉なので、沸かす設備がついていないから
その分大きく見えるのもあるだろう。
黒湯が浸透して黒くなっていないので、新しく作ったのかもしれない。
「ナーヴちゃんも入れればいいのに」と、珠子。
神流は「その辺りは課題ですね。機械ですし、あくまでも」
「静かね」と、珠子。
ここは農村なので、あまり人の気配がしない。
そういう環境に慣れていない珠子は、特にそう感じるらしい。
神流は「私はすぐ慣れました。ナーヴもいるし。」
珠子は「ひとりだと、ちょっと怖いかもね。」
神流は「ご近所もいい人ばかりだから、大丈夫です。」
恋を感じたことはない。
それは自然で、近くにいて慣れてしまうと
興味はなくなる。
感覚には恒常性がある。
野生の頃の名残であって、外敵、つまり「普段と違うもの」を
検出するようにして、人間は生き延びてきた。
なので、近隣に居るものは慣れてしまうように出来ている。
それに、高校生の頃は
碧が珠子を守りたかったらしいから、と
碧の気持を気遣ったのもある。
「碧ちゃん、双葉が嫌いだったみたいだし」と、珠子が言うと
神流は「そうかもしれませんね。」と。
さ、交替交替。と、珠子は
今度は神流の背中を流す事に。
すこし、珠子より小柄。
ふくよかで、女らしい背中だなぁと思う珠子。
・・・・ふつう、こうなのかな。
なんて、少し思ったりもしたけれど
そこは切り替えの早い子である。
「神流ちゃんは、ずっと研究一筋なんだね。」と、珠子。
神流は「はい。それが楽しいのです。」
もちろん、そういう人だから
研究をするのであって
向いていない人が無理にしても、成果は残せないものだ。
神流の背中は、丸みを帯びて愛らしい。
シャボンの泡で包むと、お菓子のようだと珠子は思う。
「私達も、いつかお母さんになるのかな」なんて、珠子はふと思う。
どこかの世界に飛ばされなければの話である。
あの町に帰らなければ、安全だと思うのだけど。
神流の背中から、脇には
柔らかな脂肪がついていて、お母さんみたいだと珠子は思う。
神流は「いつか、母にはなるかもしれませんけれど・・・・。
恋愛って面倒ですね。」と。
それは本音かもしれない。
珠子も「そうだねー。双葉がラブレターくれた時も、碧ちゃんが怒って。
あんなことになるんなら、したくないなぁ。恋愛。
みんなが仲良くなれないと。でもなんで碧ちゃんって、あんなに怒ったんだろね。」
神流は「珠ちゃんが可愛いからでしょう。」と、微笑んだ。
珠子は「碧ちゃんは恋人いるのかなぁ。」と。
神流は「・・・さぁ。でも、人気ありそうですね。」と言って
ありがとうございます。と。
背中を流してくれた礼を述べ、お湯でシャボンを流した。
珠子にも掛けてあげた。
黒湯なので、シャボンがグレィに見える所が面白い。
「あったまりましょうか」 「はい。」と
珠子と神流は、風呂桶に。
文字通り桶になっているそれは、今はあまり見かけないタイプ。
ふたりで入れるくらいの大きさ。
ここは温泉なので、沸かす設備がついていないから
その分大きく見えるのもあるだろう。
黒湯が浸透して黒くなっていないので、新しく作ったのかもしれない。
「ナーヴちゃんも入れればいいのに」と、珠子。
神流は「その辺りは課題ですね。機械ですし、あくまでも」
「静かね」と、珠子。
ここは農村なので、あまり人の気配がしない。
そういう環境に慣れていない珠子は、特にそう感じるらしい。
神流は「私はすぐ慣れました。ナーヴもいるし。」
珠子は「ひとりだと、ちょっと怖いかもね。」
神流は「ご近所もいい人ばかりだから、大丈夫です。」
0
あなたにおすすめの小説
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺迷音
恋愛
分厚い眼鏡と、ひっつめた髪を毛糸帽で覆う女性・カレン。
彼女はとある想いを胸に北へ向かう蒸気機関車に乗っていた。
王都から離れてゆく車窓を眺めながら、カレンは夫と婚姻してから三年という長い時間を振り返る。
その間、夫が帰宅したのは数えるほどだった。
※ご覧いただけましたらとても嬉しいです。よろしくお願いいたします。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる