タビスルムスメ

深町珠

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ラブラちゃん

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愛紗は思う。鉄道員で、ずっと乗務員を続けたくて
昇進を断って、機関士や車掌を続けた人が、よくあるけれど
それは、バスの運転士でも似ているのかな、などと。

そういえば木滑もそうだった。組合委員長を偶々、引き受けたので
現場職を外されて、指令補になった。
けれども、やっぱりドライバーに戻りたいと志願。
それで、西営業所へ転勤して
隣町の車庫まで通勤していた、と言う・・・・そんな話。

バスの運転は、その位魅力があるのかな。


そんなふうに、ふと。




「さーて、駅からどうするの?」と、菜由。


愛紗は「16時にバスが来るって。KKRの」


そーなんだ、と。友里絵。

また、どっかのわんこを見つけて、遊んでいる(^^)。


ラブラちゃん。穏やかに笑ってて。
大きなベロで、友里絵をぺろぺろ。


友里絵も、あったかーい。なんて。

なでなで。











その頃・・・・大岡山の有馬の個人携帯に着信。


「はいはい」と、有馬が出て。



「あ、それはそれはどうも・・・ご丁寧に。」


電話の主は、池田湖の路線で
愛紗が窮地を救ったドライバーだった。

そのままだと、会社に知られて乗務停止になるか
あるいは、無理に運行を続けて事故になったかもしれない。
公式にお礼が出来ないので、個人的にと
有馬の連絡先をどこかで聞いて、連絡してきたのだった。


野田が、尋ねる「どうかしましたか?」


有馬は「あ、いやいや・・・・日生くんがね、向こうで
運行不能になったバスの運転手を助けて。
少しだけバスを動かしてあげた。そのお礼。」


野田も事情は察し「そうか、やるなぁ、あの子。運転は確かだな」


・・・ただ女の子だからな。とは思った。

ヘンな男が多すぎるんだ。
正義感の強い野田らしい、感覚だった。


ルールを守れない奴は、乗るなよ。


そう言いたい野田だった。










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