タビスルムスメ

深町珠

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あー、閉まっちゃった!

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と・・・。
ブロンズのキーホルダーがついた、部屋の鍵を
テーブルにおいたまま・・・・。


ばたり。


スリッパで、廊下をとことこ。お隣の部屋へ。

♪ぴんぽーん♪


「はーい」と、さかまゆちゃん。


ドアを開けて「あら、パティ。浴衣?かわいい」

パティは「エヘヘ」


さかまゆちゃんも浴衣だけど、やっぱり背が高いから
男子用の特大。で、紺色の羽織。

「パティ、羽織った方がいいんじゃない?そのままだと見えるよ」
と、さかまゆちゃん。


ぼいん、ぼいーん(^^)。

パティは「ハイ」と、言って・・・お部屋に戻ると・・・・・

「開かない」(^^;


ノブをかちゃかちゃ。


さかまゆちゃんが「あー、オートロックだからこれ」

パティは「ロートレック?」


ともちゃん「絵も好きなの?」と。桃色や、若草色が入った
婦人用浴衣に、羽織。

背丈も160cmくらいなので、ふつう。


さかまゆちゃん「これ、しまっちゃうの。自動で」

友里絵が出てきて「あー、鍵。行ってきてあげる!」と、フロントに向けて
階段を下りていった。


さかまゆちゃんは「エレベータで行けばいいのに(^^)、元気だなぁ」


ともちゃんは・・・その、友里絵の元気なかんじに・・・。

中学の頃、一緒だった。
裕子のことを思い出していた。


裕子と、朋恵は
同じ中学で・・・。


裕子はバスケ部。
山の手の、いい所のお嬢さん
なんだけど、活発でオチャメで。

元気一杯!。

2年の時、同じクラスになって・・・・。


放課後、朋恵が吹奏楽のパート練習を
抜け出してきて。

F組でよく遊んだ。

ギターの好きなカトーくんとかと、歌を歌ったりして。


裕子は、同じバスケ部の笠原くんがタイプで。

ユーモアのある笠原くんと、いつもふざけていた。


そんな時・・・・南からきた転校生が
笠原くんに想いを寄せて。

笠原くんも、かわいい、その転校生が
気になってしまったり。


そんな時でも・・・裕子はふつうにユーモアたっぷり、元気な子だった。


どっちかと言うと、考えたりしてしまう朋恵は
裕子が「すごいなー」と、思っていたりした。



高校入試の時、裕子は
私立の、お嬢様学校へ行ったので・・・・。


高校を出てから、まさか同じ仕事になるとは思ってなかったけど。


でも、裕子は昇進試験を受けて、車掌になったりして。


朋恵は、もともと、そんなに昇進って興味がなかったりする(^^)けど
でも、その努力はすごいなぁ・・と。
中学の頃と同じ事を思ったりして。






さかまゆちゃんが「とーもちゃん。どしたの?」


ともちゃんは「うん。なんでもなーい、ちょっと思い出」

さかまゆちゃん「ふーん、あ・・・友里絵ちゃん来た!」

フロントの若い人と、一緒に「鍵、あったよ!」


由香は「無かったら困るよ」(^^)。



フロントの若い人は、にこにこ。大柄なお兄さんで
クロ眼鏡、四角い顔。

蝶ネクタイがちょっと苦しそう(^^)。「はい、開きました。電話で呼んでください。」と。

パティは「ありがとうございまーす」と、お辞儀。
大きなパティが、お辞儀をすると
ブロンドの髪が揺れて。華やか。
いい香りがする。


友里絵も「ありがとうございまーした」と、にこにこ。

お兄さんは、にこにこ。階段を下りていった。






愛紗と菜由が、タオル持って出てきて「どしたの?」と、菜由。


パティが「鍵をいれたまま、閉じちゃって」と、ちょっとはずかしそ。


愛紗「オートロックだから、ここ」と。
茶色の、ふかふかしたレザーで巻いてある
重厚なドアを見て。

パティは「あ、そう。それを聞こうと思ったの。お風呂行く・・ね。」と
タオルを見て。

愛紗は「うん、さっぱりしてからご飯がいいかなー、と思って。
汗ながして、とりあえず」


友里絵は「そだね!。じゃ、風呂風呂!」と、408に戻る。


愛紗は「あ、お風呂は地下と、2階ねー。2階は露天だから」と。


菜由は「露天、あったんだ。」


愛紗は「うん、なんか、最近出来たみたい。」


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