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セイが病室を訪れた時には、既にレンは私服に着替えていた。片付けられたベッド周りに、百合だけが佇んでいる。椅子から立ち上がった彼と抱き合って、キスをする。彼の手には、点字でない本があって、沢山の付箋が貼られているのが見えた。
「勉強熱心なのは良いことですが、目に負担を掛けすぎてはいけませんよ」
「つい、楽しくて……。気をつけるよ。ありがとう」
目が見えるようになってすぐに、レンは文字の勉強を始めた。今まで指でなぞって覚えた読み、或いは書きの知識を、視覚的情報と擦り合わせているようで、元々物覚えの良い彼は物凄い吸収力で学んでいるのだが、なにせ没頭しすぎる面があって、それをセイは心配していた。読書好きな彼のことだ、早くすらすらと読めるようになりたいというのはわかる。だからセイはそれを咎めるのではなく、無理をしないよう見張るだけにしていた。
あれだけ視力を不要としていた彼だが、やはり実際に見えるようになってしまえば好奇心が疼くようで、病院内を散策してはあれこれ聞いて回っているそうだ。それをノノから聞いた時には、普段大人っぽい彼の、少しの幼さが皆間見えて、可愛らしく思えた。
レンは本を鞄にしまうと、百合に目をやった。
「これは置いていこうかな。無闇に持ち歩いても、花の負担になってしまうだろうし」
「そうですね。その方が良いと思います」
あの大切な瞬間を見守ってくれた白い花は、優しくそこに在った。レンが何度も触れた百合。丁寧に世話してくれる此処でなら、もう少し咲き続けてくれるだろう。
耳に入る聞き慣れたノック音。扉が開き、医師が顔を出して笑う。
「退院おめでとう~。経過も順調だし、二人でお幸せにね」
「本当に、ありがとう。君が担当医で良かった」
「ふふ、そう言ってもらえると医者冥利に尽きるね~。これからも、何かあれば連絡してね」
何も無くても連絡して良いけど、と付け足す医師に、二人で頭を下げる。レンへ眼鏡の処方箋を渡されるのを眺めてから、セイはキョロキョロと見回した。
「ノノさん、今日はおやすみですか?ご挨拶をしたかったのですが」
「いるよ~。というか途中まで一緒だったんだけど……」
「?」
すると半分開いた扉の向こうで彼女の声がした。そっと近づいてみると、廊下で子どもを二人捕まえ、首根っこを掴んでいる。彼女はじたばたする子どもに手をやいているようで、此方に気づいてはいない。
「ったく、検査から逃げんなクソガキ共」
「ノノの横暴!!検査の薬苦いの!」
「呼び捨てすんなー。いいかよく聞け。明日がなんの日か忘れたわけじゃないな?」
「……ゲームの発売日」
「そう。んで、お前たちが検査をサボると、検査が明日になる。すると?」
「……ゲームが出来ない」
「そっすね。発売日凸する約束を破る気なら、サボってもいいっすよ?」
「「やだー!!」」
「じゃー行け」
「「わかったー!!」」
急に聞き分けの良くなった二人を、別の看護師に任せて見送ると、ノノが振り返った。セイと目が合い、あからさまにげ、という顔をする。セイも多分、気の抜けた顔をしていただろう。検査の必要性云々を諭すわけでないところがノノらしい。
「お仕事、大変ですね」
「奥さんまで看護師らしくない~とか言わないでくださいよ。今更っすから」
「言いませんよ。そこに救われたんですから、私は」
ノノと一緒に病室に戻る。医師がレンに処方箋についての説明をしていたが、短かったようですぐに終わった。
「それから、最後に番の情報の再確認ね」
「はい」
《天使の生まれ変わり》が、一般の番と大きく異なる点は二つ。印が現れる位置と、番であっても子を宿さないこと。
これについては幾つかの論文が出ているそうだが、そもそも番のシステム自体が科学的、医学的に解明されていないので、明確にはわからないらしい。一部には『天使様だから』でまかり通っているそうだ。
女性はそこに重きを置く傾向があるということで、医師はとても心配してくれたが、当のセイはケロリとしていた。今や母体を経由しない方が主流であったし、自分もそうでありながら両親に愛された記憶を持つから、まるで気にしないと。もし、彼との間に子を授かりたいと願うことがこの先あるならば、然るべく施設に行けば良い。それにレンも同意すると、医師はほっとした顔を見せた。
また、番が国から金銭的援助を受けられる制度についても詳細を説明された。天使の生まれ変わりともなれば、その額は一般のものよりも高いだろうと。折角使えるものなら甘んじてみたらどうかと、医師は勧める。これから先、どんな道でも選ぶことが出来るように。
「教会に戻ることも出来るし、このまま二人で好きな場所に行くことも出来る……か。本当に、何もかもが変わったな」
「はい。どうするかは……一緒に決めていきたいです」
「そうだね。時間は、沢山あるのだから」
足元の鞄を手にとる。いつも通り全て持とうとしたら、レンに半分とられてしまった。その代わり、手を繋いで欲しいと。視力が安定していないのもあり、ただ繋ぎたいのもあり。もちろんセイが断るわけはない。
「とりあえず眼鏡を作って、役所に行って……。それからどうしましょう。折角ですから、見て回りますか?」
「うん。大きな図書館も、美術館も此処にはあるみたいだし、行ってみたいところは沢山あるから」
「あれ、まず教会には連絡しないんすか?もうコソコソする理由は無いじゃないっすか」
ノノが首を傾げると、レンもセイも悪戯っぽく笑った。
「だって、あと三ヶ月もあるじゃないですか」
「そう。使えるものは使わなくちゃ」
「……ははーん。二人ともワルっすねぇ。嫌いじゃないっすよ」
なんの負担も無く、あと三ヶ月此処に滞在出来る。この機会をわざわざ潰す必要は無くて、二人で決めたことだ。ノノは納得してにやりと笑う。
「センセ、まさか伝えてないっすよね」
「僕が伝えるべきは、治療の経過だけだよ~」
「わはは、ワルしかいない」
四人で笑って、病室を出る。ロビーまで見送ってくれた二人に手を振って、外へ。
爽やかな空の下。心地の良い風が二人の髪を揺らす。レンは眩しそうに目を細めて、色の溢れた街並みを眺めた。
「綺麗」
「辛かったら必ず言うんですよ?」
「ふふ、うん。……行こう」
まずは荷物を置きに。それから何処へ行こうか。なんでもいい。なんでも出来るのだから。
手をぎゅっと握る。他愛の無い話をしながら、賑やかなストリートへと歩き出した。
ーー
それから。
行きたい場所を決めて、その全てを周った。レンはもちろん、幼い記憶の中よりずっと様変わりしていた大都市に、セイも目を輝かせた。好きなものを、好きなだけ。好きな人と、好きなように。面倒な主任への連絡さえ、億劫にも思わないくらいに。そうしていれば、時間などあっという間に過ぎていく。三ヶ月は、長いようでずっと短かった。
怒気を纏う電話口の向こうの声に明日こちらを発つとだけ告げて、何かまだ言っていた通話を切った。初めてその戸を開けた時と同じ、最低限の家具家電だけになった粗末な部屋。玄関付近に並べたトランクには、来た時には無かった鞄が二つ乗っている。
「この煎餅布団も、いざ離れるとなると愛しいですね」
「二人でくっついている分には、困らなかったしね」
「ふふ、そうですね」
ベッドに腰掛けるセイの隣に、レンが座る。彼の眼鏡姿にまだ慣れなくて、ときめいてしまうのをそっと飲み込んだ。明日、最後に病院に寄ろう。そう言って、キスをする。
「楽しかったな。また来られるかな」
「はい。きっと」
「……セイ、後悔はない?」
「今更何を後悔するというのですか?大丈夫、出来ますよ。出来なかったら、違う手段だってありますもの」
「そうだね。君と一緒なら、なんでも良いのだけれど」
「私もです。だから、大丈夫」
沢山見たことのない景色を見て、知見を広げた。その上で、自分たちがこれからしたいことは何か。何度も考え、話し合った。そして、二人はお互いに納得し、一つの道を選択した。
手を握る。今までだいぶ無理を通してきた。そしてこれからまた、無理を通そうとしている。
けれど、今までもどうにかなった。今度もきっとどうにかなる。ならなくても、その時はまた二人で考えたら良い。刹那的にも楽観的にも見えるその決定は、共に在る前提で下されている。
「ノノさんたちは、なんと言うでしょうか」
「笑ってくれるんじゃないかな。やっぱワルっすね、って」
「言いそうです。でも、きっと二人とも背中を押してくれるんでしょうね」
大切な出会いがあった。友人と呼べる人間が出来た。この縁をこれきりにはしたくないから、違う形でまた此処に来よう。その時は四人で遊びに行きたいと。きっと楽しいに違いない。
「明日は早いよ。そろそろ休もう」
「はい」
サイドテーブルの照明を消して、二人で狭いベッドに潜り込む。あたたかい体温、大好きな匂い。ぎゅっと抱きしめ合って、多幸感に酔いしれる。何をしていても、幸せだった。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
静かな夜は更けていく。空には、大きな満月が浮かんでいた。まるで、二人を照らすように。
「勉強熱心なのは良いことですが、目に負担を掛けすぎてはいけませんよ」
「つい、楽しくて……。気をつけるよ。ありがとう」
目が見えるようになってすぐに、レンは文字の勉強を始めた。今まで指でなぞって覚えた読み、或いは書きの知識を、視覚的情報と擦り合わせているようで、元々物覚えの良い彼は物凄い吸収力で学んでいるのだが、なにせ没頭しすぎる面があって、それをセイは心配していた。読書好きな彼のことだ、早くすらすらと読めるようになりたいというのはわかる。だからセイはそれを咎めるのではなく、無理をしないよう見張るだけにしていた。
あれだけ視力を不要としていた彼だが、やはり実際に見えるようになってしまえば好奇心が疼くようで、病院内を散策してはあれこれ聞いて回っているそうだ。それをノノから聞いた時には、普段大人っぽい彼の、少しの幼さが皆間見えて、可愛らしく思えた。
レンは本を鞄にしまうと、百合に目をやった。
「これは置いていこうかな。無闇に持ち歩いても、花の負担になってしまうだろうし」
「そうですね。その方が良いと思います」
あの大切な瞬間を見守ってくれた白い花は、優しくそこに在った。レンが何度も触れた百合。丁寧に世話してくれる此処でなら、もう少し咲き続けてくれるだろう。
耳に入る聞き慣れたノック音。扉が開き、医師が顔を出して笑う。
「退院おめでとう~。経過も順調だし、二人でお幸せにね」
「本当に、ありがとう。君が担当医で良かった」
「ふふ、そう言ってもらえると医者冥利に尽きるね~。これからも、何かあれば連絡してね」
何も無くても連絡して良いけど、と付け足す医師に、二人で頭を下げる。レンへ眼鏡の処方箋を渡されるのを眺めてから、セイはキョロキョロと見回した。
「ノノさん、今日はおやすみですか?ご挨拶をしたかったのですが」
「いるよ~。というか途中まで一緒だったんだけど……」
「?」
すると半分開いた扉の向こうで彼女の声がした。そっと近づいてみると、廊下で子どもを二人捕まえ、首根っこを掴んでいる。彼女はじたばたする子どもに手をやいているようで、此方に気づいてはいない。
「ったく、検査から逃げんなクソガキ共」
「ノノの横暴!!検査の薬苦いの!」
「呼び捨てすんなー。いいかよく聞け。明日がなんの日か忘れたわけじゃないな?」
「……ゲームの発売日」
「そう。んで、お前たちが検査をサボると、検査が明日になる。すると?」
「……ゲームが出来ない」
「そっすね。発売日凸する約束を破る気なら、サボってもいいっすよ?」
「「やだー!!」」
「じゃー行け」
「「わかったー!!」」
急に聞き分けの良くなった二人を、別の看護師に任せて見送ると、ノノが振り返った。セイと目が合い、あからさまにげ、という顔をする。セイも多分、気の抜けた顔をしていただろう。検査の必要性云々を諭すわけでないところがノノらしい。
「お仕事、大変ですね」
「奥さんまで看護師らしくない~とか言わないでくださいよ。今更っすから」
「言いませんよ。そこに救われたんですから、私は」
ノノと一緒に病室に戻る。医師がレンに処方箋についての説明をしていたが、短かったようですぐに終わった。
「それから、最後に番の情報の再確認ね」
「はい」
《天使の生まれ変わり》が、一般の番と大きく異なる点は二つ。印が現れる位置と、番であっても子を宿さないこと。
これについては幾つかの論文が出ているそうだが、そもそも番のシステム自体が科学的、医学的に解明されていないので、明確にはわからないらしい。一部には『天使様だから』でまかり通っているそうだ。
女性はそこに重きを置く傾向があるということで、医師はとても心配してくれたが、当のセイはケロリとしていた。今や母体を経由しない方が主流であったし、自分もそうでありながら両親に愛された記憶を持つから、まるで気にしないと。もし、彼との間に子を授かりたいと願うことがこの先あるならば、然るべく施設に行けば良い。それにレンも同意すると、医師はほっとした顔を見せた。
また、番が国から金銭的援助を受けられる制度についても詳細を説明された。天使の生まれ変わりともなれば、その額は一般のものよりも高いだろうと。折角使えるものなら甘んじてみたらどうかと、医師は勧める。これから先、どんな道でも選ぶことが出来るように。
「教会に戻ることも出来るし、このまま二人で好きな場所に行くことも出来る……か。本当に、何もかもが変わったな」
「はい。どうするかは……一緒に決めていきたいです」
「そうだね。時間は、沢山あるのだから」
足元の鞄を手にとる。いつも通り全て持とうとしたら、レンに半分とられてしまった。その代わり、手を繋いで欲しいと。視力が安定していないのもあり、ただ繋ぎたいのもあり。もちろんセイが断るわけはない。
「とりあえず眼鏡を作って、役所に行って……。それからどうしましょう。折角ですから、見て回りますか?」
「うん。大きな図書館も、美術館も此処にはあるみたいだし、行ってみたいところは沢山あるから」
「あれ、まず教会には連絡しないんすか?もうコソコソする理由は無いじゃないっすか」
ノノが首を傾げると、レンもセイも悪戯っぽく笑った。
「だって、あと三ヶ月もあるじゃないですか」
「そう。使えるものは使わなくちゃ」
「……ははーん。二人ともワルっすねぇ。嫌いじゃないっすよ」
なんの負担も無く、あと三ヶ月此処に滞在出来る。この機会をわざわざ潰す必要は無くて、二人で決めたことだ。ノノは納得してにやりと笑う。
「センセ、まさか伝えてないっすよね」
「僕が伝えるべきは、治療の経過だけだよ~」
「わはは、ワルしかいない」
四人で笑って、病室を出る。ロビーまで見送ってくれた二人に手を振って、外へ。
爽やかな空の下。心地の良い風が二人の髪を揺らす。レンは眩しそうに目を細めて、色の溢れた街並みを眺めた。
「綺麗」
「辛かったら必ず言うんですよ?」
「ふふ、うん。……行こう」
まずは荷物を置きに。それから何処へ行こうか。なんでもいい。なんでも出来るのだから。
手をぎゅっと握る。他愛の無い話をしながら、賑やかなストリートへと歩き出した。
ーー
それから。
行きたい場所を決めて、その全てを周った。レンはもちろん、幼い記憶の中よりずっと様変わりしていた大都市に、セイも目を輝かせた。好きなものを、好きなだけ。好きな人と、好きなように。面倒な主任への連絡さえ、億劫にも思わないくらいに。そうしていれば、時間などあっという間に過ぎていく。三ヶ月は、長いようでずっと短かった。
怒気を纏う電話口の向こうの声に明日こちらを発つとだけ告げて、何かまだ言っていた通話を切った。初めてその戸を開けた時と同じ、最低限の家具家電だけになった粗末な部屋。玄関付近に並べたトランクには、来た時には無かった鞄が二つ乗っている。
「この煎餅布団も、いざ離れるとなると愛しいですね」
「二人でくっついている分には、困らなかったしね」
「ふふ、そうですね」
ベッドに腰掛けるセイの隣に、レンが座る。彼の眼鏡姿にまだ慣れなくて、ときめいてしまうのをそっと飲み込んだ。明日、最後に病院に寄ろう。そう言って、キスをする。
「楽しかったな。また来られるかな」
「はい。きっと」
「……セイ、後悔はない?」
「今更何を後悔するというのですか?大丈夫、出来ますよ。出来なかったら、違う手段だってありますもの」
「そうだね。君と一緒なら、なんでも良いのだけれど」
「私もです。だから、大丈夫」
沢山見たことのない景色を見て、知見を広げた。その上で、自分たちがこれからしたいことは何か。何度も考え、話し合った。そして、二人はお互いに納得し、一つの道を選択した。
手を握る。今までだいぶ無理を通してきた。そしてこれからまた、無理を通そうとしている。
けれど、今までもどうにかなった。今度もきっとどうにかなる。ならなくても、その時はまた二人で考えたら良い。刹那的にも楽観的にも見えるその決定は、共に在る前提で下されている。
「ノノさんたちは、なんと言うでしょうか」
「笑ってくれるんじゃないかな。やっぱワルっすね、って」
「言いそうです。でも、きっと二人とも背中を押してくれるんでしょうね」
大切な出会いがあった。友人と呼べる人間が出来た。この縁をこれきりにはしたくないから、違う形でまた此処に来よう。その時は四人で遊びに行きたいと。きっと楽しいに違いない。
「明日は早いよ。そろそろ休もう」
「はい」
サイドテーブルの照明を消して、二人で狭いベッドに潜り込む。あたたかい体温、大好きな匂い。ぎゅっと抱きしめ合って、多幸感に酔いしれる。何をしていても、幸せだった。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
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