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オマケ・大人になった2人の話
君が本当にしたいことを
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しかしブライアンは縁を切ったつもりでも、彼らは戸籍上の兄弟だ。
オーウェンはその後も、酔っぱらって問題を起こしては、何度も警察の世話になった。ブライアンが高校生の頃から、オーウェンの愚行にうんざりしていた父は、とうとう彼を見放した。
息子への最後の義理として、父はオーウェンをアルコール中毒患者の回復施設に入れた。けれど施設を出た後の引き取りは拒否した。父だけでなくオーウェンの母も、いい加減支え切れないと我が子を見放した。
なぜそんな事情をブライアンが知っているのかと言うと、その施設からオーウェンを引き取るか否か、確認の通知が来たせいだった。カザネには縁を切ったんだから、関わらなくていいと言ったブライアンだが、家族を切り捨てることに痛みを感じた。
実の母を見殺しにした経験があるからこそ、一生付きまとう後悔の味を知っている。それにブライアンも実の両親から捨てられた人間だ。本来なら絶対の拠り所であるはずの家族から背を向けられる苦しみを誰よりも理解できた。
しかしオーウェンとブライアンの関係は最悪だ。自分の言うことを、素直に聞くとは思えない。引き取れば、確実に生活を乱される。それなのに見捨てる決断もすぐにはできず、密かに苦悩していたブライアンに
「ブライアン。何かあった?」
「……いや、なんでも。ちょっとボーッとしていただけだよ」
ブライアンは咄嗟に誤魔化そうとしたが、カザネは冗談っぽく笑って
「私を舐めちゃダメだよ、ブライアン。もう10年も一緒に居るんだから、君が悩んでいることくらい分かる」
ブライアンが座っていたソファに腰かけると、穏やかな眼差しで夫を見つめて
「もう夫婦なんだから1人で苦しまないで。なんでも話して」
他の誰も剥がせないポーカーフェイスも、カザネの前では役に立たない。ブライアンがオーウェンのことを打ち明けると
「ブライアンは、本当はどうしたい?」
彼女の問いに、引き受けられるわけがないと言おうとした。当然、拒否するつもりだと。
しかしカザネの顔を見ていたら、余計に言えなくなった。誰しも愛する人の前では、最良の自分でありたい。その気持ちがブライアンに、非情な決断を躊躇わせた。
それでもオーウェンが立ち直れるとは思えない。単に金銭的な問題だけでなく、引き受ければ必ず自分たちの幸せに影を落とすだろう。
「……お前は俺が兄貴を見捨てるって言ったら軽蔑する?」
ブライアンの問いに、カザネは静かに首を振って
「ブライアンが辛いなら、無理に引き受けなくていい。でも今は逆に見えたから」
カザネは真っ直ぐにブライアンを見つめると
「本当は見捨てたくないのかなって思うから、またしばらく大変になっても、ブライアンが本当にしたいことをして欲しい」
彼女の言うとおり、本当は見捨てたくない。しかし支えきる自信が無いのも本心で、こんな手紙、見なかったことにして逃げてしまいたかったが
「……身内と揉めるのが、いちばんキツイんだよ。しかも俺を目の敵にしているヤツと、平気で話せるほど強くないから」
ブライアンは弱った声で言いながら
「また俺が凹んでいたら、慰めてくれる?」
出来損ないの冗談とともに、縋るような目でカザネを見た。カザネは小さな体で、ブライアンを抱きしめると
「ブライアンが元気になるまで、いっぱい慰める」
カザネに励まされたブライアンは、暗く沈んでいた心が晴れていくのを感じた。カザネはいつも清々しい風のように、心にかかった霧を吹き飛ばしてくれる。
気付けばブライアンも自然に笑って
「……じゃあ、やるか。オーウェンはどうでもいいけど、お前にいっぱい慰められたいからね」
オーウェンはその後も、酔っぱらって問題を起こしては、何度も警察の世話になった。ブライアンが高校生の頃から、オーウェンの愚行にうんざりしていた父は、とうとう彼を見放した。
息子への最後の義理として、父はオーウェンをアルコール中毒患者の回復施設に入れた。けれど施設を出た後の引き取りは拒否した。父だけでなくオーウェンの母も、いい加減支え切れないと我が子を見放した。
なぜそんな事情をブライアンが知っているのかと言うと、その施設からオーウェンを引き取るか否か、確認の通知が来たせいだった。カザネには縁を切ったんだから、関わらなくていいと言ったブライアンだが、家族を切り捨てることに痛みを感じた。
実の母を見殺しにした経験があるからこそ、一生付きまとう後悔の味を知っている。それにブライアンも実の両親から捨てられた人間だ。本来なら絶対の拠り所であるはずの家族から背を向けられる苦しみを誰よりも理解できた。
しかしオーウェンとブライアンの関係は最悪だ。自分の言うことを、素直に聞くとは思えない。引き取れば、確実に生活を乱される。それなのに見捨てる決断もすぐにはできず、密かに苦悩していたブライアンに
「ブライアン。何かあった?」
「……いや、なんでも。ちょっとボーッとしていただけだよ」
ブライアンは咄嗟に誤魔化そうとしたが、カザネは冗談っぽく笑って
「私を舐めちゃダメだよ、ブライアン。もう10年も一緒に居るんだから、君が悩んでいることくらい分かる」
ブライアンが座っていたソファに腰かけると、穏やかな眼差しで夫を見つめて
「もう夫婦なんだから1人で苦しまないで。なんでも話して」
他の誰も剥がせないポーカーフェイスも、カザネの前では役に立たない。ブライアンがオーウェンのことを打ち明けると
「ブライアンは、本当はどうしたい?」
彼女の問いに、引き受けられるわけがないと言おうとした。当然、拒否するつもりだと。
しかしカザネの顔を見ていたら、余計に言えなくなった。誰しも愛する人の前では、最良の自分でありたい。その気持ちがブライアンに、非情な決断を躊躇わせた。
それでもオーウェンが立ち直れるとは思えない。単に金銭的な問題だけでなく、引き受ければ必ず自分たちの幸せに影を落とすだろう。
「……お前は俺が兄貴を見捨てるって言ったら軽蔑する?」
ブライアンの問いに、カザネは静かに首を振って
「ブライアンが辛いなら、無理に引き受けなくていい。でも今は逆に見えたから」
カザネは真っ直ぐにブライアンを見つめると
「本当は見捨てたくないのかなって思うから、またしばらく大変になっても、ブライアンが本当にしたいことをして欲しい」
彼女の言うとおり、本当は見捨てたくない。しかし支えきる自信が無いのも本心で、こんな手紙、見なかったことにして逃げてしまいたかったが
「……身内と揉めるのが、いちばんキツイんだよ。しかも俺を目の敵にしているヤツと、平気で話せるほど強くないから」
ブライアンは弱った声で言いながら
「また俺が凹んでいたら、慰めてくれる?」
出来損ないの冗談とともに、縋るような目でカザネを見た。カザネは小さな体で、ブライアンを抱きしめると
「ブライアンが元気になるまで、いっぱい慰める」
カザネに励まされたブライアンは、暗く沈んでいた心が晴れていくのを感じた。カザネはいつも清々しい風のように、心にかかった霧を吹き飛ばしてくれる。
気付けばブライアンも自然に笑って
「……じゃあ、やるか。オーウェンはどうでもいいけど、お前にいっぱい慰められたいからね」
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