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第7話・加速度的に落ちて行く2人

ブレーキが壊れた風丸と待ち惚けのアルゼリオ(視点混合・性描写有り)

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 はじめての性向は噂に聞くほど痛くなく、どこまでも優しくて甘やかなものでした……と言うのは最初だけで。

「か、風丸! い、今イってますっ! 動かにゃいでっ! だめぇっ!」

 風丸は初心者の私を気遣って、序盤は手加減してくれていたようです。しかし怪しい軟膏の効果で私の反応がいいので、大丈夫だと判断したのか、行為はだんだん激しさを増しました。

 硬くて大きいので奥を突くだけじゃなく、他のいいところも巧みに擦りあげられると同時に、指と口で敏感な場所を愛撫され、私はすでに何度もいかされていました。でも私がいきすぎて辛いと懇願しても、風丸はかえって楽しそうに

「マスターちゃん可愛いから、やーだ」

 笑顔でクリを弾かれた瞬間。

「……ああっ!?」

 愛液とは違うものがぷしゃっと噴き出しました。たび重なる絶頂のせいで何も考えられませんでしたが、これで条件はクリアだと無意識に悟ってホッと脱力しました。が、次の瞬間。

「えっ? あっ? 風丸っ、風丸っ」

 てっきり終わったと思ったのに、硬いままのそれで、さらに揺さぶられて驚く私に

「だって俺はまだイってねーもん」

 風丸はちょっと意地悪に笑いながら言うと

「いま責められんのは辛いだろうけど、最後まで付き合って?」

 それから5分くらいして

「あっ、中ビューって……」

 熱いものがお腹の奥にかかる感覚で、風丸が達したことを知りました。要するに中出しされたようなのですが

「大丈夫だよ。導き手をやっている間は孕まないらしいから」

 ゲームでもそうでしたが、あちらの世界の元の時間に戻れるように、導き手は肉体の時間が止まっているそうです。だから髪や爪も伸びなければ生理も来ません。子宮のサイクルが止まっているので、精子を中に注がれても育まれることは無いそうです。

 恐らく元がエロゲーなので、生理とか妊娠とか気にせずやりまくれるようにという設定なのでしょう。

 でも私が反応したのは妊娠の心配じゃなくて

「嫌だったんじゃなくて、嬉しかったんです。風丸が中に出してくれたのが。あなたのものになったみたいで」

 けっきょく私は風丸ガチ恋勢なので、望んではいけないと思いつつ、彼のものにされたい願望があるのでした。それが一時でも叶ったことが嬉しかったのだと告げると

「~っ」

 風丸はなぜか言葉にならない声を発して、私の上に突っ伏しました。予期せぬ反応に私は戸惑って

「か、風丸? 大丈夫ですか? ……はっ、これが噂に聞く果てたってヤツですか!?」

 エッチな小説によく出るフレーズを目の当たりにして「これがそうか!」と感動した矢先。

「……残念だけど、全然果ててない」

 風丸は言いながら、ぬこぬこと腰を動かしました。すると萎えたはずのものが、すぐに復活して

「ふぇっ!? なんでまた大きく!?」

 硬度を増したものに、またトントンと奥をノックされてたじろぐ私に

「マスターちゃんが中出し嬉しいなんてエロいことを言うからじゃん。処女だし一度でやめてやるつもりだったのに。こりゃ2回戦突入だな?」
「えーっ、無理ですっ!? うわぁんっ、無理って言っているのに~!?」


【視点無し】


 風丸がボタンを押した瞬間、アルゼリオの目の前で、彼は由羽とともに姿を消した。アルゼリオはなぜ自分だけが置き去りにされたのか分からなかった。慌ててモンスター部屋のボタンを押したが反応は無い。

 1人で帰ってしまうわけにもいかず、アルゼリオは特殊部屋の前で、由羽と風丸の帰りを待っていた。もし2人だけでモンスター部屋に飛ばされたのだとしても、エリアボスを倒せば戻って来るはずだが、一向に帰って来る気配が無い。

 アルゼリオはオロオロしながら

(いくらなんでも遅すぎるだろ。まさかアイツらだけでモンスター部屋に飛ばされて、殺されたんじゃないだろうな?)

 扉の前を行ったり来たりしながら、ずっと気を揉んでいたが

「か、風丸! 無事だったのか!?」

 風丸たちが転送されてからおよそ3時間。ようやく帰って来た風丸を見てアルゼリオはホッとした。しかしすぐに

「相楽はどうしたんだ? まさか怪我でもしたのか?」

 風丸の背中でグッタリしている由羽に気付いた。しかし心配するアルゼリオに、なぜか風丸は眩しいほどの笑顔で

「んにゃ別に~。足腰が立たないって言うから、俺がおんぶしているだけ~」
「そうか。風丸と2人だけで、よほど消耗したんだな……って、その割には、お前はいつになく元気そうだが……モンスターと戦っていたんだよな? 2人で、お題部屋で、一戦交えていたってわけじゃないよな!?」
「ははっ、上手いこと言うな。アルゼリオの旦那」

 言葉で肯定したわけじゃないが、いつになく上機嫌な風丸を見れば何かしら『いいこと』があったのは明らかだった。空白の3時間。彼らが何をしていたのか、だいたい察したアルゼリオは

「テメー、風丸! こっちは、ずっと心配していたんだぞ!? 人を外で待たせて3時間も盛ってんじゃねぇぇ!」

 力いっぱい怒鳴ったものの、幸福の絶頂にいる風丸にも意識を飛ばしている由羽にも全く響かないのだった。
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