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第六話・私が思っていたライバルとちがう
かと思いきや早々に自滅
「いや、いい。別に落ち込んで無いから」
すぐにでも立ち去りたそうな誠慈君を、卯坂さんは強引に引き留めると
「そんなこと言わないで、ほらほら。制服の上からじゃ分からないかもしれませんけど、こう見えてけっこう胸があるんですよ。先輩、童貞だし、ドキドキしちゃいました?」
「いや、全然」
「なっ!? 全然って酷く無いです!? こんなっ、こんな写真を見ても、なんとも思わないんですか!?」
ここからじゃどんな写真を見せているか分からないけど、文脈からして先ほどよりも、過激かつ際どい写真を見せているようだ。しかし誠慈君は、赤くなるどころか呆れ顔で
「どういう意図でこんなポーズを、自分で撮ったのかは気になるけど……」
誠慈君の冷ややかな反応に、乙女心を傷つけられた卯坂さんはプルプルと震えて
「~っ、もう先輩、神経死んでいるんじゃないですか!? そんな薄いリアクションじゃ彼女にもつまらないって、すぐに振られちゃうんですからね!」
誠慈君を罵倒してワッと走り去った。ある意味で王道的なキャラではあったけど、卯坂さんは少女漫画の小悪魔系ライバルではなく、少年漫画のウザ絡みするタイプの美少女だったようだ。
後で誠慈君に聞いたところ、彼女は卯坂らみさんと言うらしい。卯坂さんは中学の頃からの後輩で、いつも一方的に絡んで来ては、怒って去って行くそうだ。他の人には愛想がいいのに、なぜか俺にだけ当たりがキツイんだと言っていた。ウザ絡み系はツンデレと同様、秘めた好意に気付かない限り、ただ感じ悪い人だ。
はじめてライバルかと思った女の子は直接ぶつかるまでもなく自滅した。告白は誠慈君からだし、愛見さんたちは祝福モードだし、私の恋愛は申し訳ないほどイージーだ。
それなのに
「も、萌乃? 教室に戻らないの?」
私は誠慈君を無人の理科室にグイグイと押し込むと
「わっ、急にどうしたの?」
無言で抱きつく私に、誠慈君は驚いた。私は彼の白いワイシャツに顔を埋めながら
「上書き」
「上書きって?」
「……誠慈君に抱きついていいの、私だけだから」
誠慈君自身は彼女をなんとも思ってないのは分かっている。それでも私以外の子が、彼に抱きつくのを見てモヤモヤした。
「もしかして卯坂に焼きもちを焼いたの?」
誠慈君は何も悪くないのに嫌かな。面倒くさいかなと思いつつ、胸に顔を押し付けたままコクンと頷くと
「か、可愛い」
悶えるような声に顔を上げると、誠慈君は蕩けそうな笑みで私を見下ろして
「ありがとう。妬いてくれて」
私をギュッと抱きしめ返すと
「でも俺は萌乃のだから。心配しなくて大丈夫だからね」
いちばん欲しかった言葉とともに、たくさん頭を撫でてくれた。さっきの卯坂さんへの対応を見て、いつも温和な誠慈君にも当たり前に怒りや嫌悪があり、自分に向けられたらどうしようと恐怖した。
だけど、この感じだと、私と誠慈君の関係においては、拒絶や否定を恐れなくても大丈夫そうだ。でもそれは決して当たり前じゃないから、誠慈君がなぜか私を好きでいてくれること、いつも笑って抱きしめてくれることに、たくさん感謝しようと、温かな腕に抱かれながら思った。
すぐにでも立ち去りたそうな誠慈君を、卯坂さんは強引に引き留めると
「そんなこと言わないで、ほらほら。制服の上からじゃ分からないかもしれませんけど、こう見えてけっこう胸があるんですよ。先輩、童貞だし、ドキドキしちゃいました?」
「いや、全然」
「なっ!? 全然って酷く無いです!? こんなっ、こんな写真を見ても、なんとも思わないんですか!?」
ここからじゃどんな写真を見せているか分からないけど、文脈からして先ほどよりも、過激かつ際どい写真を見せているようだ。しかし誠慈君は、赤くなるどころか呆れ顔で
「どういう意図でこんなポーズを、自分で撮ったのかは気になるけど……」
誠慈君の冷ややかな反応に、乙女心を傷つけられた卯坂さんはプルプルと震えて
「~っ、もう先輩、神経死んでいるんじゃないですか!? そんな薄いリアクションじゃ彼女にもつまらないって、すぐに振られちゃうんですからね!」
誠慈君を罵倒してワッと走り去った。ある意味で王道的なキャラではあったけど、卯坂さんは少女漫画の小悪魔系ライバルではなく、少年漫画のウザ絡みするタイプの美少女だったようだ。
後で誠慈君に聞いたところ、彼女は卯坂らみさんと言うらしい。卯坂さんは中学の頃からの後輩で、いつも一方的に絡んで来ては、怒って去って行くそうだ。他の人には愛想がいいのに、なぜか俺にだけ当たりがキツイんだと言っていた。ウザ絡み系はツンデレと同様、秘めた好意に気付かない限り、ただ感じ悪い人だ。
はじめてライバルかと思った女の子は直接ぶつかるまでもなく自滅した。告白は誠慈君からだし、愛見さんたちは祝福モードだし、私の恋愛は申し訳ないほどイージーだ。
それなのに
「も、萌乃? 教室に戻らないの?」
私は誠慈君を無人の理科室にグイグイと押し込むと
「わっ、急にどうしたの?」
無言で抱きつく私に、誠慈君は驚いた。私は彼の白いワイシャツに顔を埋めながら
「上書き」
「上書きって?」
「……誠慈君に抱きついていいの、私だけだから」
誠慈君自身は彼女をなんとも思ってないのは分かっている。それでも私以外の子が、彼に抱きつくのを見てモヤモヤした。
「もしかして卯坂に焼きもちを焼いたの?」
誠慈君は何も悪くないのに嫌かな。面倒くさいかなと思いつつ、胸に顔を押し付けたままコクンと頷くと
「か、可愛い」
悶えるような声に顔を上げると、誠慈君は蕩けそうな笑みで私を見下ろして
「ありがとう。妬いてくれて」
私をギュッと抱きしめ返すと
「でも俺は萌乃のだから。心配しなくて大丈夫だからね」
いちばん欲しかった言葉とともに、たくさん頭を撫でてくれた。さっきの卯坂さんへの対応を見て、いつも温和な誠慈君にも当たり前に怒りや嫌悪があり、自分に向けられたらどうしようと恐怖した。
だけど、この感じだと、私と誠慈君の関係においては、拒絶や否定を恐れなくても大丈夫そうだ。でもそれは決して当たり前じゃないから、誠慈君がなぜか私を好きでいてくれること、いつも笑って抱きしめてくれることに、たくさん感謝しようと、温かな腕に抱かれながら思った。
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