私が思っていた恋愛とちがう

知見夜空

文字の大きさ
24 / 72
第六話・私が思っていたライバルとちがう

かと思いきや早々に自滅

「いや、いい。別に落ち込んで無いから」

 すぐにでも立ち去りたそうな誠慈君を、卯坂うさかさんは強引に引き留めると

「そんなこと言わないで、ほらほら。制服の上からじゃ分からないかもしれませんけど、こう見えてけっこう胸があるんですよ。先輩、童貞だし、ドキドキしちゃいました?」
「いや、全然」
「なっ!? 全然って酷く無いです!? こんなっ、こんな写真を見ても、なんとも思わないんですか!?」

 ここからじゃどんな写真を見せているか分からないけど、文脈からして先ほどよりも、過激かつ際どい写真を見せているようだ。しかし誠慈君は、赤くなるどころか呆れ顔で

「どういう意図でこんなポーズを、自分で撮ったのかは気になるけど……」

 誠慈君の冷ややかな反応に、乙女心を傷つけられた卯坂さんはプルプルと震えて

「~っ、もう先輩、神経死んでいるんじゃないですか!? そんな薄いリアクションじゃ彼女にもつまらないって、すぐに振られちゃうんですからね!」

 誠慈君を罵倒してワッと走り去った。ある意味で王道的なキャラではあったけど、卯坂さんは少女漫画の小悪魔系ライバルではなく、少年漫画のウザ絡みするタイプの美少女だったようだ。

 後で誠慈君に聞いたところ、彼女は卯坂らみさんと言うらしい。卯坂さんは中学の頃からの後輩で、いつも一方的に絡んで来ては、怒って去って行くそうだ。他の人には愛想がいいのに、なぜか俺にだけ当たりがキツイんだと言っていた。ウザ絡み系はツンデレと同様、秘めた好意に気付かない限り、ただ感じ悪い人だ。

 はじめてライバルかと思った女の子は直接ぶつかるまでもなく自滅した。告白は誠慈君からだし、愛見さんたちは祝福モードだし、私の恋愛は申し訳ないほどイージーだ。

 それなのに

「も、萌乃? 教室に戻らないの?」

 私は誠慈君を無人の理科室にグイグイと押し込むと

「わっ、急にどうしたの?」

 無言で抱きつく私に、誠慈君は驚いた。私は彼の白いワイシャツに顔を埋めながら

「上書き」
「上書きって?」
「……誠慈君に抱きついていいの、私だけだから」

 誠慈君自身は彼女をなんとも思ってないのは分かっている。それでも私以外の子が、彼に抱きつくのを見てモヤモヤした。

「もしかして卯坂に焼きもちを焼いたの?」

 誠慈君は何も悪くないのに嫌かな。面倒くさいかなと思いつつ、胸に顔を押し付けたままコクンと頷くと

「か、可愛い」

 悶えるような声に顔を上げると、誠慈君は蕩けそうな笑みで私を見下ろして

「ありがとう。妬いてくれて」

 私をギュッと抱きしめ返すと

「でも俺は萌乃のだから。心配しなくて大丈夫だからね」

 いちばん欲しかった言葉とともに、たくさん頭を撫でてくれた。さっきの卯坂さんへの対応を見て、いつも温和な誠慈君にも当たり前に怒りや嫌悪があり、自分に向けられたらどうしようと恐怖した。

 だけど、この感じだと、私と誠慈君の関係においては、拒絶や否定を恐れなくても大丈夫そうだ。でもそれは決して当たり前じゃないから、誠慈君がなぜか私を好きでいてくれること、いつも笑って抱きしめてくれることに、たくさん感謝しようと、温かな腕に抱かれながら思った。
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
恋愛
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。