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第6話・〇〇しないと出られない部屋レベル2

やめて、こんなの私じゃない(性描写有り)

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 しかし次の瞬間。ユエルは私の胸に顔を埋めたまま

「えっ? あっ、ちょっ、ユエル?」

 片方の胸を揉みながら、もう一方の乳房を舐め出した。予期せぬ行動に戸惑う私に、ユエルは苦しそうな顔で

「すみません。でもこんなことをされたら、もう我慢できない」
「が、我慢できないって……」

 まさかユエルがこんな反応をするとは思わず、思考停止状態になっていると

「マスターの胸、すごく綺麗です……」

 ユエルがポーッと私の胸に見入っていることに気付いて

「ま、待って! 見ちゃダメ!」

 慌てて胸を隠そうとするも、ユエルは妨害するように私の手首を掴み

「見るなって言われても無理です。もっとマスターに触れたい」

 触れたいと言っても彼の両手は、私の手首を掴んでいる。だとしたら胸に触れられるのは

「ちょっ!? 待って、そこは」

 無防備に露出した乳房を、舌と唇で愛撫される。最初は胸の表面を全体的に舐められていたが

「乳首硬くなっているの、舐めると美味しいです」

 尖らせた舌先でグリグリと潰されたり、唇で食まれてチュウチュウ吸われたりすると、乳首だけじゃなくてあらぬところに変な刺激が走る。18禁愛好者のくせに変なところで潔癖な私は、処女の上に自己開発もしていなかった。だから多分、不感症だろうと自分では思っていたのだが

「あっ、やぁっ。ユエル……」

 私の意思に反して上がる切ない声。やめて、こんなの私じゃない。大人としてのプライドがガラガラと崩壊して、涙目になる私とは対照的に、ユエルはとろっと微笑むと

「マスター、ここを触ると、すごく可愛い声を出すんですね。可愛い声、もっと聞きたいです」

 それから完全に何かのスイッチが入ったユエルさんに、私は両の乳首を舌と指先で蹂躙された。


 私は今まで自分を冷静で可愛げの無い人間だと思っていた。エバーシュタインさんやアルゼリオへの対応と同様、しつこくケンカを売られると、つい叩き潰してしまうタイプだし。今回も他の男が相手だったら、目潰しか股間を蹴り潰すなど過激な対処ができたと思う。

 でも相手がユエルだと狼狽えるばかりで、なんの抵抗もできないことが分かった。もっと経験豊富な大人の女性だったら

「慌てちゃダメよ、坊や」

 みたいな華麗な対応ができたかもしれない。

 しかし私は自分でも意外なことに推しの突然の豹変に、終始「ふぇぇ……?」と涙目でたじろぐばかりだった。由羽ちゃんみたいに日頃から可愛いキャラならいいけど、私がやると醜態でしかない。

 ちなみにユエルの凶行は、ドアと宝箱の出現により収まった。具体的に言うと、彼ではなく私のほうがドアと宝箱の出現により、いささか平静を取り戻して

「ゆ、ユエル。もうドアが出たから」

 と声をかけてもユエルが

「……嫌です」

 切なげな顔で行為の中止を拒むので

「そっかー。嫌かー」

 推し可愛さに、つい流されそうになる自分をグッと堪えて『鎮静』をかけた。『鎮静』とは水属性の魔法で、戦闘では怒り・混乱・魅了などの精神異常を回復する。要するに興奮状態を解く効果があるので、発情にも効くかもしれないと試したところ、ユエルは正気に戻って

「すみません、マスター! 僕はケダモノです!」

 お題に気付いた時の私のように「ずしゃああっ」と崩れ落ちたまま、今はベッドで震えながら『ゴメン寝』している。私はユエルの大ファンなので、ゲームには存在しなかった初々しい姿を見るだけで「ギャワイイ。何もかも許す」と言う気持ちになってしまう。

 服を着て落ち着きを取り戻した私は

「いいよ。そもそも私が君を刺激したようなものなんだから、そんなに気にしないで」
「でもマスターは何度もダメだと言っていたのに、僕は1つも聞けないで、欲望のままに主の身体を汚してしまうなんて。自分がこんなケダモノだとは思いませんでした。死んだほうがいいです……」

 体勢のせいで表情は見えないが、ユエルの声は泣きそうに震えていた。自責する彼を見て胸が痛み

「そんなに自分を責めないで。君が落ち込んでいたら私のほうが気に病む」
「でも……」

 私はユエルの言葉を遮るように、彼の肩に触れながら

「本当に大丈夫だから。それに私はユエルに嫌な想いをさせていないか心配だったから、我を忘れるくらい気持ち良かったなら、かえって良かったよ」
「ほ、本当ですか?」

 顔を上げて私を見たユエルは、やっぱり涙目だった。私は神妙な顔で、ユエルを見返すと

「うん……だって君に嫌な想いをさせるほうが嫌だから」
「マスター……」

 ユエルは再び俯いて少し考えていたが、やがて顔を上げると

「マスターの優しさに付け込むようで申し訳ありませんが、これ以上自責しても、かえってマスターを心配させてしまうだけのようなので、もう自分を責めないようにします」

 私が自責を望んでいないことを理解してくれたようだった。私はユエルが気を取り直してくれたことにホッとして

「うん。そうしよう。さっきのことは事故だと思って、お互いに忘れよう」
「……事故」

 何か呟いたようだが、聞き取れなかったので「何?」と返すと、ユエルはハッとして

「あっ、いえ……そうですね。マスターにとって不本意な出来事は、僕も忘れるようにします」

 お互いにぎこちなく笑い合って、その事故については無かったことにした。
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