67 / 70
オマケ・結婚式と結婚初夜
私が消えた後のこと
しおりを挟む
それからユエルに私が居なくなった後の話を聞いた。
そもそもユエルが健在で王城も無事であることが、魔王の再封印が無事になされた証拠だ。だとすれば、ユエルは現実に『騎士王と主の伝説エンド』を達成し、騎士王になったということだ。
ユエルに確認すると「よく知っていますね」と驚かれた。ユエルはネフィロスに妨害されながらも、単独で魔王の再封印を果たして、このシステムを作って世界を救った始祖と並ぶ名声を得たそうだ。
今まで大陸の主要4か国のうち、人間に対して戦力の低い聖王国は、アルゼリオ、カイゼル、クレイグたちの故郷である3国に比べて発言力が弱かった。
しかしネフィロスのせいとはいえ、封印の騎士として送り出した自国の精鋭が、魂を抜かれて戦闘不能どころか、思いきり邪魔して来た。自分たちが送り出した精鋭たちのせいで、あわや魔王が復活する危機をユエルが救ってくれたとなると態度を改めないわけにはいかない。
またユエルはこの10年間で少しずつ、神官たちと話し合い、過剰になっていた戒律を改めたそうだ。特に食事の影響は大きく、兵士たちの体力は向上して国防のための力が安定したという。ユエルは内政を改めるとともに、各地の紛争を治めることに尽力した。最小限の被害で戦火を食い止める働きが評価されて、じゃっかん24歳にして『騎士王』と呼ばれているそうだ。
10年前は単なる支援役として軽んじられていたユエルが、自身の努力で這い上がり、騎士王と呼ばれるまでに成長した。ともに歩んだ時間を思い出して、はじめてゲームをクリアした時以上の感動が私を襲う。
ちなみにアルゼリオ、カイゼル、クレイグたちに関しても、ユエルがフォローしたおかげで、自国で立場を失わずに済んだそうだ。
彼らが一時、快楽に溺れて鍛錬を疎かにしていたことや、襲われた側のアルゼリオはともかく、カイゼルとクレイグは思いきり敵に寝返って、戦局を危うくしたことなどは公にしなかったと言う。
カイゼルとクレイグは、ネフィロスと行動する中で徐々に精神を蝕まれた。ユエルが傀儡の術で操られたように、魔属性の力の影響もあったのだろうから、全て本人のせいにするのは気の毒だ。
ユエルはきっと善意で庇ったのだろうが、それぞれの国で重要な立場にいる彼らに恩を売っておくのは、外交的に正解だろうと汚れた大人である私は思う。
1つだけ残念だったのが、封印の儀式を済ませた後の風丸の安否が分からないこと。風丸はユエルが魔王と戦っている間、なんとか生き残った。それだけでなく魔王を倒して力尽きたユエルを背負って、地上まで運んでくれたと言う。本当に私もユエルも、風丸には感謝しきれないほど助けられた。
しかし陰の功労者である風丸は、ユエルに呪いの発動を妨害する魔法をかけてもらい姿を消したそうだ。ただし守護の効果は1か月しか持たないという。魔法をかけ直すためにユエルの前に再び現れることも、この10年間無かったそうだ。
……由羽ちゃんのためにも無事で居て欲しいけど、命はあったとしても、使い捨ての忍として殺しや色や裏切りを強要される日々は、どんなに辛いだろう。
ユエルと再会できたのは絶対的に良かったが、私も由羽ちゃんや家族には無断でこちらに来てしまった。
まぁ、うちの両親は私が中学生の時に離婚して、今はそれぞれの家庭があるからいいとして。できあがったゲームを由羽ちゃんにちゃんと渡したかった。あれは由羽ちゃんにとっても大事なゲームだったのに。仕事はとっくに退職していたので、由羽ちゃんに無断で来てしまったことだけが心残りだった。
そもそもユエルが健在で王城も無事であることが、魔王の再封印が無事になされた証拠だ。だとすれば、ユエルは現実に『騎士王と主の伝説エンド』を達成し、騎士王になったということだ。
ユエルに確認すると「よく知っていますね」と驚かれた。ユエルはネフィロスに妨害されながらも、単独で魔王の再封印を果たして、このシステムを作って世界を救った始祖と並ぶ名声を得たそうだ。
今まで大陸の主要4か国のうち、人間に対して戦力の低い聖王国は、アルゼリオ、カイゼル、クレイグたちの故郷である3国に比べて発言力が弱かった。
しかしネフィロスのせいとはいえ、封印の騎士として送り出した自国の精鋭が、魂を抜かれて戦闘不能どころか、思いきり邪魔して来た。自分たちが送り出した精鋭たちのせいで、あわや魔王が復活する危機をユエルが救ってくれたとなると態度を改めないわけにはいかない。
またユエルはこの10年間で少しずつ、神官たちと話し合い、過剰になっていた戒律を改めたそうだ。特に食事の影響は大きく、兵士たちの体力は向上して国防のための力が安定したという。ユエルは内政を改めるとともに、各地の紛争を治めることに尽力した。最小限の被害で戦火を食い止める働きが評価されて、じゃっかん24歳にして『騎士王』と呼ばれているそうだ。
10年前は単なる支援役として軽んじられていたユエルが、自身の努力で這い上がり、騎士王と呼ばれるまでに成長した。ともに歩んだ時間を思い出して、はじめてゲームをクリアした時以上の感動が私を襲う。
ちなみにアルゼリオ、カイゼル、クレイグたちに関しても、ユエルがフォローしたおかげで、自国で立場を失わずに済んだそうだ。
彼らが一時、快楽に溺れて鍛錬を疎かにしていたことや、襲われた側のアルゼリオはともかく、カイゼルとクレイグは思いきり敵に寝返って、戦局を危うくしたことなどは公にしなかったと言う。
カイゼルとクレイグは、ネフィロスと行動する中で徐々に精神を蝕まれた。ユエルが傀儡の術で操られたように、魔属性の力の影響もあったのだろうから、全て本人のせいにするのは気の毒だ。
ユエルはきっと善意で庇ったのだろうが、それぞれの国で重要な立場にいる彼らに恩を売っておくのは、外交的に正解だろうと汚れた大人である私は思う。
1つだけ残念だったのが、封印の儀式を済ませた後の風丸の安否が分からないこと。風丸はユエルが魔王と戦っている間、なんとか生き残った。それだけでなく魔王を倒して力尽きたユエルを背負って、地上まで運んでくれたと言う。本当に私もユエルも、風丸には感謝しきれないほど助けられた。
しかし陰の功労者である風丸は、ユエルに呪いの発動を妨害する魔法をかけてもらい姿を消したそうだ。ただし守護の効果は1か月しか持たないという。魔法をかけ直すためにユエルの前に再び現れることも、この10年間無かったそうだ。
……由羽ちゃんのためにも無事で居て欲しいけど、命はあったとしても、使い捨ての忍として殺しや色や裏切りを強要される日々は、どんなに辛いだろう。
ユエルと再会できたのは絶対的に良かったが、私も由羽ちゃんや家族には無断でこちらに来てしまった。
まぁ、うちの両親は私が中学生の時に離婚して、今はそれぞれの家庭があるからいいとして。できあがったゲームを由羽ちゃんにちゃんと渡したかった。あれは由羽ちゃんにとっても大事なゲームだったのに。仕事はとっくに退職していたので、由羽ちゃんに無断で来てしまったことだけが心残りだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
203
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる