転生聖女は幼馴染の魔王様を連れて旅に出る!

青狸

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01 主人公5才、異世界転生と出会い

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それはいつもの朝食風景だった。
パンを頬張り飲み込もうとした時に、ふと気がついた。
あ、私、異世界転生している、と。


前世の私は、独身貴族だった。
一人だって別に寂しくはない。無理しているわけでは決してない。まぁ、寂しくない自分を残念に思うことはあったが。

私は自分に自信がなく、それ故に他人にとても気を使っていた。他人が困っているのは自分が悪いからだと思ったし、他人の失敗すらも自分があの時もっと注意していれば防げたはずだと全て自分のせいだと感じていた。んなアホな。

そう、転生したから気づいたのである。

前世の自分は歪んでいた!!
他人のことまで責任もてるかーい!!!

そんな考えのなか社会で生き抜けるものか。社会には恐ろしい魑魅魍魎(物理)が跋扈しているのだ、無駄にHPを削ってまで他人ファーストするとは、私は仏にでもなりたかったのか?自分のことだがさっぱり分からん。

なんで死んだのかは思い出せないけど、新しい私は私のために生きよう。もう他人なんか気にしない!脱、他人ファースト!!望め、マイドリーム!!!



結論は出た。
ようやく口の中のパンを飲み込む。ゴックン。

前世では長女だったので両親にもうまく甘えられなかった。今生の私はまだ5才、親に存分に甘やかしていただこうではないか!

、、、ふむ、甘えるって、えっと?

どうやって甘えれば??が分からん。
え?えー??あわわわわ、さ、最初はなんて声かければ良いんだっけ???

前世を思い出したからといって、今まで5才の子供が甘えてなかったわけがないのだ。思い出せ子供の本能!恐れるな実行しろ!!幼 女 は 無 敵 だ !!!

5才児が難しい顔をしていたからか、今生の両親がいらぬ心配をしたようだ。

「なんだ、ルーナ、う●ちか?」

父さん、違う!!!

「あら、う●ちは朝イチで済ませたわよねー?おし●こかしら?」

母さんも、違う!!!

幼女が難しい顔をしたらトイレと思うなよ!!!

「二人ともはずれー!父さんのイチゴもーらった!!」

素早く、、は無理だけど、父さんのお皿からイチゴを1ついただく。食事中にシモの話をした罰である。母さんはイチゴが好物なので勘弁してやるか。

モニュモニュと口を動かし、ゴックン。うむ、今ので今生の私の調子に戻ったみたい。

「さぁ、早く食べてしまって仕事に出ましょう?ルーナは母さんと一緒にお洗濯に行きましょうね。」

「父さんは畑にいるから、ルーナ、あとで遊びにおいで。」

はーい!元気良く手を挙げてから、食事を終わらせにかかる。ここで時間を食うと父さんからの「あーん」が待っているのだ。前世を思い出した私では恥ずか死ぬ。回避の一択である。



はてさて、少し状況を整理してみようか。

私の名前はルーナ、5才。銀髪で可愛らしい顔立ちをしている、と思う。おとなしい性格で、いつも一人で遊んでいる子供だ。こんなとこで前世と同じボッチ属性とは、とほほ。死んでも変わらないんだなぁと残念な気持ちになったが「私は幼女、私は幼女、将来に期待」と唱えてやり過ごす。銀髪で、顔面偏差値は前世よりも格段に高いのだ、人間性には一旦目を瞑ろう。そうしよう。

薄い金髪で、いつも穏やかに笑っている母さん。薄灰色の髪の、優しいのにデリカシーのない父さん。この両親と、森の中にひっそりと存在する村で私たちは暮らしている。

なんでも、この村は逃避行の果てに辿り着く場所らしい。(私の両親は駆け落ちだそうだ。)小さな村なので用があって訪れるものはまれで、住人達は各々が訳アリだが助け合って生活している。不便もあるが、私はこの村が好きだ。



母さんの後について、井戸へ向かう。晴れた日は村の女達が集まり、主にお喋り、ついでに洗濯などの用事を済ませるのがお決まりだ。私はお仲間に合流した母さんに一言告げてから、一人遊び開始である。

さぁ、今日はなにをしようかな~。

機嫌良く井戸から離れ、少し森に入った所に向かう。森に入りすぎると迷子になったり、危険な動物に遭遇する可能性が高くなる。私は5才であっても、危険には飛び込まない慎重派なのだ。

いつもの切り株に腰をおろし、ぼけっとしていよう。そんなことが許されるのは子供のうちだけだ。前世に大人だった私はそのことを知っている。存分に暇を満喫しようではないか。

5才児らしからぬことを考えていたからか、神は無情にも私に試練を与えた。少し距離はあるが、森の奥に入っていく自分と同じくらいの子供を見つけてしまった。

森は子供には危ない場所だ。私のいる切り株から奥には行ってはいけない決まりである。

「ちょっと、待って!あまり奥へ入ったら危ないわ!」

私はきちんと止めたとも。知らぬ降りはできなかった。だけどその子は聞こえてんだか、いないのか、こちらを見向きもせずにトコトコ奥へ進んでいく。

「ちょ?!待って待って待ってーー!!せめて振り向いて!!!」

ダメだ、自分的には大声で叫んだがダメだった。まぁいつもおとなしく、大声を出さない5才児の声なんてたかが知れているが。仕方ないので、私もその子を追って行くが、遠目からもその子がひどく痩せていることに気がついてしまった。

(なに?見たことないけど村の子よね?どうしてそんなに痩せてるのよ?!まさか病気じゃないでしょうね!?)

追い付くまでに最悪の考えが過るが、まずは奥に入ったことを叱ってから尋問である。待たんかいっっ!!

村から死角になっている木々の隙間でやっと追い付いた。よくも5才児に全力疾走させてくれたな。

「こら!迷子になるわよ!!」

ゼハゼハ息継ぎが苦しいが、同じくらいの背丈の子供の腕を掴んでやった。するとようやく、ようやくだ、その子が私へ振り向いてくれた。長かったな、おい。

「!?」

おぉ、驚いた。私がね!

痩せていた子は黒髪黒目の男の子だった。頬は痩けて顔色も悪い。そこまでだったら私が驚くことはない。このまま森の奥へ入ったことを注意するだけでいいんだから。

「ナニヤツ!?マオウサマ ヲ ハナセ!!」

そう、コイツである。このカタコトな喋りのヤツが原因で、たいそう驚いたのである。

「動物の骨が喋ったーーー?!」

カタコトなセリフを吐く、動物の骨?が男の子を庇っている。襲っているようには見えないので、庇っているで間違いではないだろう。

威嚇する骨、仰天する私、だんまりで無表情な男の子。カオスとは、こういう状態をいうんだろうなと、あとでこの時を振り返ったときに思ったのだった。
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