転生聖女は幼馴染の魔王様を連れて旅に出る!

青狸

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02 主人公5才、魔王と骨犬と私

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森の奥で喋る動物の骨と、その骨に魔王様と呼ばれる男の子。なにかの物語の始まりですか?

「骨も喋ることがあるのね、知らなかったわ。」

ここは異世界、前世の普通は一旦忘れよう。あとで思い出すかもしれないが、今はおいておこう。じゃないと、私のキャパを越える。

「骨さん、はじめまして。あなたも、はじめまして。私はルーナよ、仲良くしてね?」

幼女の先制攻撃!
幼女は挨拶をした!

「クセモノ メ!マオウサマ ヲ ツケテキタ ナ!」

骨は幼女の攻撃(挨拶)をかわした!
骨に0のダメージ!
骨はグルグル威嚇音を発した。

「森の奥へ行ったら迷子になるわ。私はこの子が心配で後を追ってきたの。」

幼女は骨の威嚇を無視した!
幼女の心に1のダメージ!(無視してごめんね!)

って、ゲームっぽくしてもダメね。骨はともかく、男の子は一言も発しないし、無表情でなに考えてるのか分からん。

「ねぇ、あなた、お名前は?」
「・・・。」
「この骨さんとはお友だちなの?」
「・・・。」
「あなた、声は出せる?」
「・・・。」
「この村に住んでいるのよね?」
「・・・。」

だんまりかい!!

「骨さん、この男の子のお友だちなの?」

意思疏通ができそうな方へ会話を切り替える。私が一生懸命に話していた間も威嚇してるくらいだもの、きっと男の子が心配なのね。

「トモダチ デハ ナイ!ワタシ ハ マオウサマ ニ ツカエル マゾク ダ!」
「この子のペットかしら?」

そういえば、犬の骨っぽいわね。四足で、尻尾もあるし。ちょうど豆柴くらいのサイズで可愛いかも?・・・異世界転生に必要なモフモフ(物理)はどこへ置いてきた?

「マオウサマ ガ ノゾムナラ、ペット デモ ヨイ!ダガ ショタイメン カラ ペット ヨバワリトハ ナマイキ ナ!」
「そうね、失礼だったわね、ごめんなさい。」
「コドモ ナノデ、ユルシテ ヤル!ダガ、マオウサマ ニ シツレイ ノ ナイ ヨウニ!」
「ありがとう!うん、この子には丁寧にするから安心して。それで、この子はどうしてさっきから話さないのかしら?人見知りなの?」

骨は話のわかるやつだったようだ。てか、随分と人の良さそうな骨である。もしや、この小ささでも大人であろうか?

「マオウサマ、コトバ ワカラナイ!イママデ ハナシテクレル ニンゲン イナカッタ!ダカラ、コトバ ワカラナイ!」

衝撃的だった。骨犬によると、男の子の両親は黒髪黒目の魔王色を持つ子にビビってしまい、きちんと教育をしているとは言えない状況らしい。子供にむかって話しかけることが少なければ、そりゃ言葉も理解できないわ。

この子は両親と三人暮らしで、最低限の世話はしてもらってるらしい。ビビってはいてもそこは親、子供を見殺しには出来ないようだ。まぁ、最低限だけどね!

魔王である男の子の環境を心配して、まだ魔族としての力が弱いなか立ち上がったのがこの骨犬らしい。なんて良いやつなの。

「じゃあ、私がこの子と友達になるわ!遊んでいればそのうち言葉も分かるようになると思うの。」

ネグレクト気味の子供を相手に、5才児が何ができるのか。不安はあるものの、放置はできかねる。それにだ、ここで誰も手を差しのべなければどうなるか?

最悪、この子は死んでしまうのではないか?
生きてたとしても、この先苦しむことは目に見えている。きっと、人間に失望するだろう。

魔王だと骨犬は言っているが、このままだと物語でよくある残酷な魔王となり、勇者に倒されてしまうかもしれない。そんなこと骨犬は許さないだろう。この短時間でも、骨犬は男の子を大事にしているのが分かる。もしも魔族というのが骨犬と同様に魔王を大切にしているとしたら?・・・確実に物語みたいな人間と魔族との戦いになるなぁ。血の雨で野菜は育たないのにね。

「ウム!ソレ ハ ヨイ!ワタシ イガイ ノ マゾク ハ、マダ チカラ ガ ヨワク、カイワ ガ デキナイ!タクサン アソンデ ヤッテ ホシイ!」
「うん!そうと決まれば、まずは名前よ。この子は何ていう名前なの?」
「ナマエ ハ ナイ!」

え?名無しなの?

「さ、さすがに魔王様って呼ぶのは、周囲もびっくりしちゃうから・・・じゃあ、マオって呼ぶわ。骨さんはゴンタね。」

安直な。自分のネーミングセンスに落ち込んだ。だけどまぁ覚えやすいし、骨犬あらためゴンタのゴンちゃんが魔王様と呼んでも聞き間違いと思われるはずだ。

「ホウ、ヨク カンガエ ラレテイル ナ!ソレデ、ナゼ ワタシ ハ ゴンタ ナノ ダ?ナニカ イミ ガ アル ノ カ?」
「骨と犬と来たらゴンタでしょ?」

前世のCMでは愛らしい大型犬だったが。

「ソウカ!ナラ ソウ ヨブ ガ ヨイ!」

お喜びのようだ。骨の尻尾がフリフリしている。

「さぁ、マオ!一緒に遊びましょう。もちろん、ゴンちゃんも一緒よ?」
「・・・。」

名前も、言葉も、気長にいきましょう。私はマオの手をつないで、来た道を少しだけ戻る。

「ドコ ヘ イク ノ ダ?」

尻尾をフリフリしながら、まるで馬がギャロップを踏むようにルンルンで着いてきてくれるゴンちゃん。モフモフではないが、とても可愛らしい。可愛いは正義とはこのことか。

「マオは痩せすぎよ。美味しいものを食べて太らせましょう?少しいったところに木苺があるの。」

この木苺は私のとっておきだ。とびきり甘い木を見つけて、場所は秘密にしている。毎日のおやつで、不思議なことに食べても次の日にはもう実をつける元気なやつである。私は親しみを込めて、木苺先輩と読んでいる。

「マオ、ゴンちゃん、この木よ!マオ、こうやって、この赤い実を採るのよ?」

お手本を見せて、マオにも採らせる。これが中々の難題で、なかなかマオに伝わらない。言葉では伝わらないと思ったので、マオの手をとり、そのまま実まで誘導する。

「手を使って、赤い実を、採るのよ?」

マオの指で、誘導して実を採らせる。それをマオの口へ誘導すると、口をあけてくれた。よしよし、そのまま口の中へ。

「美味しい?」

マオは相変わらず無表情ではあるが、気に入ってくれたようだ。2度目からは自分の意思で食べ始めた。

「ウマイ!ウマイ!マオウサマ モ、キニイラレタ ヨウダ!」

ゴンちゃんも自分で下の方の実を食べている。その食べたの、どこへいくの?

「たくさん食べても、明日になれば新しい実がなっているから大丈夫よ。」
「アシタ モ、タベ ヨ ウ!」

満足いくまで木苺を頬張り、ご馳走さまをする。そして、また明日もお世話になりますと木苺先輩に挨拶をして村へ戻った。
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