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デート?2
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「ここ入るぞ」
「え、あ、うん」
ぽかんとしてる間に目的の店に着いたみたいで、俺と雄大は高級そうな寿司屋の暖簾をくぐって中に入った。
結論から言うと、回ってない寿司はめちゃくちゃに美味かった。
もちろん回ってる方も大好きだけど、なんかさぁ、ネタの鮮度が違うっていうか、ホント美味かった。
「はー、腹苦しいー。ありがとね、雄大」
店を出て歩きながら一応礼を言うと、雄大はニヤッと笑った。
「お前マジで飢えた犬みてーだったな。普段何食ってんだよ」
「だってめっちゃ美味かったんだもん、しばらくこの味思い出しながら飯食っちゃいそう」
「ったくお前、捨てたもんゴミ箱から漁ろうとするしよ・・・かわいそーだからまた食わせてやるよ」
ちょっと意地悪っぽいけど笑顔でそう言われて、俺は喜んだ。迎えに来た時はなんか不機嫌だったけど、いつの間にか機嫌良くなったみたい。
「やった、今度は焼肉かステーキがいいな!」
「はいはい」
ぽんぽん、と頭を軽く叩かれて、びっくりする。
「え、お前ってそんなことするタイプだっけ?」
「あ」
言われた雄大もびっくりしたみたいに俺を見つめてたけど、すぐ皮肉っぽい顔で笑った。
「お前のこと犬みてぇって思ったら、つい実家の犬にやるのと同じ事してたわ」
「へぇ、雄大んち犬飼ってるんだ。なんか凄いの飼ってそうだよね、ドーベルマンとかさ?どんな犬なの?」
「チワワ」
「あはは!似合わねぇー!」
「俺が飼ってるわけじゃねーし」
そんな話をしながら歩いてたら、ふとすれ違う若い女の子達が雄大のこと、見てるのに気付いた。
まあ見た目は最高にイケてるもんね。
中身知って、それでもずっと付いて来る子は、さすがにいないっぽいけどさ。
それこそ、そんなの俺だけなんじゃない?
・・・いや、知らないけどさ。
俺と会ってる時以外の雄大が、何してんのか、誰と会ってるのか、どんな話してるのか、なんて、俺は全然知らないし。
別にそんなの、知らなくてもいいことだし。
「おい、ここ入るぞ」
「え、うん」
雄大が有名ブランドの店の前でそう言ったから、ハッとして付いて行った。
「へー、高そう。俺入るの初めてだ」
「そ」
そういえば俺、よく考えたら昨日の洗ってない、しかもTシャツにジーンズだったんだけど?
「なあ雄大、こういう店って俺みたいな服、大丈夫?お前はシックな感じの着てるからいいけどさ、俺のなんて昨日のままで洗ってもないんだぜ?」
こそこそと耳打ちすると、雄大はふっと笑った。
「大丈夫大丈夫」
「えー、俺知らないよ」
そう言ったけど店の中に入ると、すぐに品の良さそうな店員さんが寄って来て、丁寧にお辞儀して来た。
「日比野様お久しぶりですね。本日はお越し頂きありがとうございます」
「今日は、こいつに似合うアクセサリー選びたいんですけど」
え、なに?こんな店で常連なの?
平然と店員さんとやり取りする雄大に、さすがにびっくりだ。ていうか、
「なあ雄大、マジで昨日言ってたの買ってくれるんだ?」
「そう言っただろ」
しらっとした顔の雄大をぽかんと見つめていたら、
「かしこまりました。お連れの方もこちらへどうぞ」
「へ!?あ、ハイ」
笑顔の店員さんに奥へ連れてかれて、ソファに座らされた。
座ってたら選べなくない?って思ってたら、店員さんが「どういったものがお好みですか?」なんて聞いて来る。
訳が分かんないまま
「イヤーカフ欲しくて~」
って答えたら、
「少々お待ち下さいませ」
って目の前にトレーに乗ったのを持って来られて、びびった。
「お、おお~、これが金持ちの買い物かぁ・・・マジですげぇな、俺、こんなの初めて」
「ふっ、お前のリアクション、マジで笑えるんだけど」
「楽しんで頂いて恐悦至極ですぅ」
隣で笑う雄大にそう言って、目の前のトレーに並んだイヤーカフを眺める。
値段付いてないけど、絶対高いんだろうなあ。
でもどれもカッコ良くて俺はウキウキと手に取った。
「付けてみてイイっすか?」
「はい、勿論です。こちらをどうぞ」
鏡を持って来て貰って、全部試着してみた。
昨日ベッドルームで見つけたあれも良かったけど、さすがにこっちの方が質がいいって感じ。
「な、似合う?」
雄大を振り向くと、雄大は俺をチラッと見て、店員さんに出して貰ったコーヒーを飲みながら「いんじゃね」とそっけなく言った。
「まあ俺、どれでも似合うもんね。ん~、この中だとやっぱりこれが一番好きかなぁ。よし、これにしよ!雄大、俺、これがいい」
選んだ一つを手に取って見せると、雄大は頷いて懐からクレカを取り出した。
「じゃこれで」
「ありがとうございます、少々お待ち下さいませ」
カードを受け取った店員さんが席を離れたから、俺は自分の分のコーヒーに手を付けた。
「雄大マジありがと!すっげぇいいの買って貰っちゃったな~。着けて帰ろっかな」
嬉しくてテンション高くそう言うと、雄大はまた笑いながら「そうすれば」って言った。
「ありがとうございました。またぜひお越し下さいませ」
「コーヒーごちそうさまでしたぁ」
店員さんにふかーいお辞儀をされて、うっきうきと店を出ると、雄大がすっと俺の耳に嵌まったイヤーカフに触れて来た。
「いいじゃん。昨日のより似合ってるし」
満足そうな顔に、俺も笑った。
「あは、嬉し。俺、今お前にすっげぇサービスしてやりたい気分だよ。何でもやってあげましゅよ~?何ちて欲しいでしゅかぁ?」
「その口調やめろっつの」
嫌そうな顔しながらも、雄大も満更じゃないみたいでじんわりとエロさが滲んだ目を向けて来た。
「とりあえず家に戻るぜ」
「うん」
俺も釣られてエロい気分になって来ちゃった。
気分が盛り上がった俺らは車に乗り込むと、すぐに雄大のマンションの部屋に雪崩れ込んだ。
******
ここまでお読み頂き、ありがとうございます♡
「え、あ、うん」
ぽかんとしてる間に目的の店に着いたみたいで、俺と雄大は高級そうな寿司屋の暖簾をくぐって中に入った。
結論から言うと、回ってない寿司はめちゃくちゃに美味かった。
もちろん回ってる方も大好きだけど、なんかさぁ、ネタの鮮度が違うっていうか、ホント美味かった。
「はー、腹苦しいー。ありがとね、雄大」
店を出て歩きながら一応礼を言うと、雄大はニヤッと笑った。
「お前マジで飢えた犬みてーだったな。普段何食ってんだよ」
「だってめっちゃ美味かったんだもん、しばらくこの味思い出しながら飯食っちゃいそう」
「ったくお前、捨てたもんゴミ箱から漁ろうとするしよ・・・かわいそーだからまた食わせてやるよ」
ちょっと意地悪っぽいけど笑顔でそう言われて、俺は喜んだ。迎えに来た時はなんか不機嫌だったけど、いつの間にか機嫌良くなったみたい。
「やった、今度は焼肉かステーキがいいな!」
「はいはい」
ぽんぽん、と頭を軽く叩かれて、びっくりする。
「え、お前ってそんなことするタイプだっけ?」
「あ」
言われた雄大もびっくりしたみたいに俺を見つめてたけど、すぐ皮肉っぽい顔で笑った。
「お前のこと犬みてぇって思ったら、つい実家の犬にやるのと同じ事してたわ」
「へぇ、雄大んち犬飼ってるんだ。なんか凄いの飼ってそうだよね、ドーベルマンとかさ?どんな犬なの?」
「チワワ」
「あはは!似合わねぇー!」
「俺が飼ってるわけじゃねーし」
そんな話をしながら歩いてたら、ふとすれ違う若い女の子達が雄大のこと、見てるのに気付いた。
まあ見た目は最高にイケてるもんね。
中身知って、それでもずっと付いて来る子は、さすがにいないっぽいけどさ。
それこそ、そんなの俺だけなんじゃない?
・・・いや、知らないけどさ。
俺と会ってる時以外の雄大が、何してんのか、誰と会ってるのか、どんな話してるのか、なんて、俺は全然知らないし。
別にそんなの、知らなくてもいいことだし。
「おい、ここ入るぞ」
「え、うん」
雄大が有名ブランドの店の前でそう言ったから、ハッとして付いて行った。
「へー、高そう。俺入るの初めてだ」
「そ」
そういえば俺、よく考えたら昨日の洗ってない、しかもTシャツにジーンズだったんだけど?
「なあ雄大、こういう店って俺みたいな服、大丈夫?お前はシックな感じの着てるからいいけどさ、俺のなんて昨日のままで洗ってもないんだぜ?」
こそこそと耳打ちすると、雄大はふっと笑った。
「大丈夫大丈夫」
「えー、俺知らないよ」
そう言ったけど店の中に入ると、すぐに品の良さそうな店員さんが寄って来て、丁寧にお辞儀して来た。
「日比野様お久しぶりですね。本日はお越し頂きありがとうございます」
「今日は、こいつに似合うアクセサリー選びたいんですけど」
え、なに?こんな店で常連なの?
平然と店員さんとやり取りする雄大に、さすがにびっくりだ。ていうか、
「なあ雄大、マジで昨日言ってたの買ってくれるんだ?」
「そう言っただろ」
しらっとした顔の雄大をぽかんと見つめていたら、
「かしこまりました。お連れの方もこちらへどうぞ」
「へ!?あ、ハイ」
笑顔の店員さんに奥へ連れてかれて、ソファに座らされた。
座ってたら選べなくない?って思ってたら、店員さんが「どういったものがお好みですか?」なんて聞いて来る。
訳が分かんないまま
「イヤーカフ欲しくて~」
って答えたら、
「少々お待ち下さいませ」
って目の前にトレーに乗ったのを持って来られて、びびった。
「お、おお~、これが金持ちの買い物かぁ・・・マジですげぇな、俺、こんなの初めて」
「ふっ、お前のリアクション、マジで笑えるんだけど」
「楽しんで頂いて恐悦至極ですぅ」
隣で笑う雄大にそう言って、目の前のトレーに並んだイヤーカフを眺める。
値段付いてないけど、絶対高いんだろうなあ。
でもどれもカッコ良くて俺はウキウキと手に取った。
「付けてみてイイっすか?」
「はい、勿論です。こちらをどうぞ」
鏡を持って来て貰って、全部試着してみた。
昨日ベッドルームで見つけたあれも良かったけど、さすがにこっちの方が質がいいって感じ。
「な、似合う?」
雄大を振り向くと、雄大は俺をチラッと見て、店員さんに出して貰ったコーヒーを飲みながら「いんじゃね」とそっけなく言った。
「まあ俺、どれでも似合うもんね。ん~、この中だとやっぱりこれが一番好きかなぁ。よし、これにしよ!雄大、俺、これがいい」
選んだ一つを手に取って見せると、雄大は頷いて懐からクレカを取り出した。
「じゃこれで」
「ありがとうございます、少々お待ち下さいませ」
カードを受け取った店員さんが席を離れたから、俺は自分の分のコーヒーに手を付けた。
「雄大マジありがと!すっげぇいいの買って貰っちゃったな~。着けて帰ろっかな」
嬉しくてテンション高くそう言うと、雄大はまた笑いながら「そうすれば」って言った。
「ありがとうございました。またぜひお越し下さいませ」
「コーヒーごちそうさまでしたぁ」
店員さんにふかーいお辞儀をされて、うっきうきと店を出ると、雄大がすっと俺の耳に嵌まったイヤーカフに触れて来た。
「いいじゃん。昨日のより似合ってるし」
満足そうな顔に、俺も笑った。
「あは、嬉し。俺、今お前にすっげぇサービスしてやりたい気分だよ。何でもやってあげましゅよ~?何ちて欲しいでしゅかぁ?」
「その口調やめろっつの」
嫌そうな顔しながらも、雄大も満更じゃないみたいでじんわりとエロさが滲んだ目を向けて来た。
「とりあえず家に戻るぜ」
「うん」
俺も釣られてエロい気分になって来ちゃった。
気分が盛り上がった俺らは車に乗り込むと、すぐに雄大のマンションの部屋に雪崩れ込んだ。
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ここまでお読み頂き、ありがとうございます♡
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