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【第一章】一部
【呼び出されし者】04.イベントバトル ~フレイム・ソフトウェア式~
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「本気・・・かよ」
やっと脱出路が出来たと思ったらそこから出てきたのは、醜い爺のような顔の頭と獅子の体にサソリの尾を持つ化け物
マンティコア、名前の由来は人を喰らうものだったか?
マンティコアは俺を品定めするかのように俺の周りを円を描きながら悠然と歩く。
「初戦がマンティコアとかどう見ても負け確定イベントだろ」
こっちは丸腰、一撃喰らえば死亡確定
しかも毒の尻尾を喰らえばかすり傷でも死に至る。
ヤバいヤバいヤバい
どうする?誘き寄せて隙を見て出口に直行するか?
いやいや出口の先が安全とは決まってない。この展開だと寧ろその先が本番と考える方が確率的に高い。
ともかく奴を倒すことを考えるべきだ。武器はマルチキャスト1とマルチロックと各魔術
マルチロックで頭と尻尾の先をロックする。
【マルチキャストクイックメイクのショートカットを作成しました】
マルチキャスト内の魔術を調整
アイス 範囲+5、持続時間+10
ライト 明るさ+10、持続時間-10
ダーク 持続時間+10
ファイア 熱量+10、効果範囲+10、持続時間+3
設定完了。即発動!迷ってる暇はない!
「先手必勝!!」
一気にMPゲージが1/3以下になる。
と同時に踏ん張っていた後ろ足を踏み切るマンティコアが飛びかかってきた。
不味い!
慌てて下がろうとして足が縺れて体勢を崩す。
不味い不味い不味い!頭の中が真っ白になり全身の毛穴から嫌な汗が吹き上がり一気に喉が渇き唇がかさつくのがわかる。
頭部を闇と炎に包まれた巨体が目の前に迫る。
左肩を猛烈な衝撃と熱が襲い掛かりそのまま背中を床に叩き付けられる。
「がはっ」
背面を強かに打ち付け横隔膜が痙攣したのか息を吸うことも吐くことも儘ならない。げはぐはと苦悶の吐息が漏れるが息が吸えない。苦しい。このまま死ぬのか。くそっ!こんなところで何もしないまま俺は死ぬのか。
激しい熱が顔に襲い掛かり我に返ると炎に包まれたマンティコアが頭の炎を振り払おうと頭を必死に振り回して前肢で顔を引っ掻くように抑え悶え転げまわっている。
大きな前足の爪が俺の顔の真横で振り回されて左肩に何度か刺さる。
どうやら飛び掛かると同時に俺の魔術が発動していたようだ。
尻尾の先をアイスで囲み毒針を封印され、直径60cmの氷塊が纏わり付いたためかバランスを崩していたので体当たりの直撃を受けずに済んだようだ。
マンティコアの鼻先で強烈な光が炸裂して眩惑させすぐに顔を闇が覆い、止めに高火力広範囲にしたファイアがマンティコアの頭を包み込み肉を焦がしたのだろう。
辺り一面に肉と髪の毛が燃える臭いが立ち込めて行く。
マンティコアは突然閃光で視界を塞がれたと思えば暗闇に陥り混乱の最中、訳も分からず顔を襲う高熱に混乱しタイミング悪く息を吸い込んでしまい喉から肺まで焼いたのだろう声もあげずに地を這いずり転げ回って蠢いている。
俺の真横で両前肢で顔を掻きむしりながら体を大きく捩り、ついに我慢きれなかったのか両前肢で顔を押さえながら竿立ちになった後、ドドウと大きな音を立て倒れ込むと暫く全身を痙攣させそのまま動かなくなった。
左肩を押さえながらマンティコアの傍から転がりでて立ち上がり身構えながら後退りしつつ様子を伺う。
「やった・・のか?って、このセリフはフラグだったな」
徐々に回復してきているMPの残量を確認するとゲージは半分以上まで回復している。
「フラグへし折る!ファイア熱量+40、効果範囲+10、持続時間+10、頭部へファイア!!」
MPゲージがすべて無くなる。MP切れで特に何があるわけでもないようだ。
魔力切れだと気絶するとか目眩や吐き気の設定はありがちだけど大丈夫みたいだ。
その後ファイアが燃え尽きるまで眺めているとマンティコアの頭部は骨までも焼き尽くし炭化し崩れ去った。
「いつつ」左肩の傷が疼く。
これでもう大丈夫だろうと、やっと緊張が弛緩したためか痛みが襲ってくる。
肩を見るといくつか血を流す穴が空いている。
よろよろと立ち上がりふらふらと出口の脇まで移動して無造作にどんと腰を降ろす。
クリエイトウォーターで作った水で喉を潤し「ぷはぁ」と大きく息を吐く。
ついでに肩の傷も洗い流す。破傷風になったら不味いからな。
【レベルが上がりました】
お、レベルなんてあるのか。半ば放心していたところにメッセージが浮かぶ。
そういえばメニューにステータスが追加されてたけど見てなかったな。
ステータスは、と思うとメニューから操作しなくてもステータスウインドウが開く。
カトー・ダイチ
HP 66/50(+11)
MP 230/120(+110)
魔導の瞳(Ver.23.14)
Lv 11
HP +11
MP +110
至ってシンプル、てか項目少な!HPとMPしかないじゃないですか。これなら常時(メイン画面)表示されてるゲージと変わらんですよ。
それから魔導の瞳、バージョン23.14って・・・まあ考えたらゲーム仕立てだもんな。
アップグレードやアップデートがあってもおかしくはないか。
しかも本質は兵器なのだから不具合修正や有用な機能を追加しないことはデメリットでしかないはずなので当然か。
瞳Lv11でHPはレベル、MPがレベル×10となってそれが俺に合算されるのか。
MPは瞳が魔力を制御しているからと理屈は予想できるけど、HPも上がるってことはどういう理屈なんだ?
魔力が身体を巡ることで身体の耐久性を上げているてな感じの理屈か?
それにしても増えたのは微々たるものだが。
俺、自分の紙耐久度に自重気味の失笑が漏れる。肉体はただの一般人だしな。
なにより俺じゃなく魔導の瞳のレベルが上がるというのがゲームではないことを如実に表してるよな。
そりゃそうだよな。
ゲーム仕立てにはなってるけど装着者本人は単なる人間でゲームの中のような存在じゃあない。
それが戦闘終了と同時に突然どうにかなったらそれこそ魔物というか化け物だな。
戦闘終了直後に突然マッチョになる女勇者様とか間近で見たらきっとドン引きですよ。
まあともかくこれで魔法を使える量も増えたということは手数が増えたということだ。
これ、経験値とかあるのか?あるなら魔物を倒しまくれば無双もできるかもな。
なんて浮かれたこと考えてると脳裏に「呼んだ?」とフレイム・ソフトウェアのロゴが浮かび上がる。
そうだこれはゲームじゃないんだよ。気を付けろ!初見殺しが当たり前と思っていないと呆気なく死ぬ世界なのだ。
「そうだよ。今回はなんとかかすり傷程度で勝てた。が、今回は偶々先制初撃で倒せたから助かっただけなんだよ。つまり逆に同じ事をされたら手も足も出ず俺が消し炭になってたということになる。」
自重気味の発言が出来るのも気持ちが落ち着いてきたことで現状を振り返る余裕も出てきたのだ。
そう運が良かった。その一言だ。
もし相討ちでなく一方的に向こうの先制を許していたら、もし魔術の発動が遅れて体当たりをまともに受けそのまま抑え込まれ燃えさかった頭で噛みつかれていたら、もし相手が複数だったなら、と考えれば考えるほど今の状況は楽観視できない。
「攻撃だけじゃダメだな。防御手段を手に入れないと一撃死の危険が付きまとうんだよな」
この先、何が待ち構えているのか分からない。なにせチートアイテム貰っただけで俺の身体はただの一般人。簡単に死ぬ。怪我の痛みで簡単に動けなくなる。
この部屋を出る前に出来るだけ魔術で手段を作り、生き残る可能性を少しでも増やしておかないとこのチュートリアルであっさり死ぬということだけは紛れもない真実であろう。
「備えあれば憂いなしだよな。さっきも謎解きする前に戦闘を想定した魔法を先に作っておくかおくべきだったんだ。フレイム・ソフトウェアからの教訓を生かさなければ、この先生きのこることはできないんだ」
そう思いながら魔術作成のウインドウを開こうと思うと直接開いた。
「お、意識するだけで直接作成画面に行けるようになった」
今まではメニューを開き魔術作成を選択する必要があったがその手間が無くなっていた。
【魔術作成のショートカットを作成しました】
なるほど、直接開きたいウインドウを意識すればいいのか。
【魔術式一覧のショートカットを作成しました】
こちらも直接開けた。
それからどんな魔術が必要か思案していく。
まず防御だけど盾代わりの物が欲しい。
今回みたいに隠れる場所も何もないところでは自分が動いて攻撃をかわすしかない。一撃程度ならなんとかなるかもしれないが、そのままラッシュで押し込まれたら確実に耐えられないだろう。
盾になるものとはなんだ?
魔法モノでよくあるのは、土の壁、水の壁、矢を逸らす風の障壁、自動で身を守ってくれる魔力の盾、身体を覆うバリアみたいな魔法の鎧etc.etc...
土の壁は動かせないけど応用が利きそうで使い勝手は良さそう。
水の壁は炎を避けるのとか矢くらいなら勢いを殺して無害化してくれそうだ。
炎の壁も侵入を妨げるバリケード代わりに使い勝手は良いし攻めるのにも使えるので使い途は色々と考えられる。
風の障壁、矢避けが主だけど他に使い途が思い浮かばないな。風だから大気操作だけどどうやって大気に動きを付けるかが課題だがひとまず保留。
それと今のマンティコアでのファイアでわかったことだけど魔法解除出来ないとファイア程度でも余裕で焼き殺されるんだよな。
魔法解除は必須だ。あんなの自分にやられたら堪ったもんじゃない。息を吸い込んだら地獄の苦しみで窒息するか燃え尽きるまでのたうち回ることになる。考えただけでも恐ろしい。
これもどうすれば良いのか検討も付かないので保留。
次、魔力の盾。魔力だけで物理防御をするにはどうするのか、しかも自動でこちらへの攻撃を判断して防御行動とか複雑だ。AIみたいな魔術礎があれば比較的簡単に作れそうではあるが。。。これも保留
魔力バリアも同じで魔力で物理防御するにしても身体の動きを阻害しないで身体を包むとかどうやるのか見当も付かない。
この辺は俺の多少の科学知識程度じゃ役に立たんですよ。神様、なんで俺選んだんですかね。と愚痴を溢す。
ともかくまずは(俺的に)分かりやすい水の壁を作ってみようと思う。
魔術礎を順番に見ていく。
水はあるな。。。なんだよ!水素とか酸素から作らなくてもその物があるじゃん。分子だからか?
分子があるならそっちからの方が断然楽じゃん。
高分子とか複雑な分子があればかなりのことをできるようになる(はず)。
毒や薬なんかも作れるだろう。そこでふと疑問が浮かぶ。
「回復魔法ってどんなもんなんだ?
俺の居た世界ではあんな高速に治癒する技術なんて存在しなかったからイメージ出来ないぞ。再生医療とかを速度を早めるとかになるのか?」
「解毒の方はなんとなくだが毒をアナライズしてその血清を作り出すことで出来そう。若しくは毒の成分を体内から消去するイメージか。消去の礎とかがあればこの辺は一気に解決できそうだ。魔法解除もそれで行けそうな気がしてきた。」
おっと脱線した。
話を戻して土に拘らずに鉄とかなら原子であるしそっちの方が楽か。
じゃあ壁とか板とか直方体とかの形を決める魔術礎はと・・・形状を表す魔術礎が無数にある。中には剣や斧とかの武器や盾、鎧の物なんてのもあるな。
無難に直方体を選択する。まさに壁!
規定値って指定できるのかな。
【魔術式の規定値を変更出来るようになりました】
お、機能が追加された。もしかしたら表示されてないだけで隠された機能とかたくさん有りそう。
ダメ元で、規定値の追加削除あるかな。
【魔術式の規定値項目のカスタマイズが出来るようになりました】
おお、試してみるもんだな。
じゃあ倍率なんかを変数にして汎用性を持たせられるとかも可能かな。
【魔術式に変数を組み込むことが出来るようになりました】
【魔術礎に変数が追加されました】
おお、いいね。これで大分複雑なことが出来るだろう。
んー変数の中身を原子や分子に出来るのかな。そこにある土の成分を変数に取り込めばそこの土を変形させることが出来そうだ。
魔力を置換して素材を生成するのは消費が激しそうだしきっと効率が悪いと思う。
試しにこの床の石の成分とか調べられないかな。
【スキル:アナライズが解放されました】
【魔術礎にアナライズ変数が追加されました】
予想はしてたけど、解析ってかなり重要な機能じゃないですか。それをあっさりと手に入れてしまった。
そういえば神様が言ってたけど、魔導の瞳は過去の魔王討伐の際に使われた量産兵器なんだよな。
その時点だと科学レベルもかなり高かったようだから解析技術も当然あっただろうし解析結果の情報データベース化もされてるんだろう。
そのデータベースが欲しいなー(チラッチラッ)
【データベースの一部が解放されました】
フフフフ言ってみるもんだね。しかし一部で全部じゃないのか。
分子がかなり増えているし形状にもドームとかスクウェアとかキューブとかスフィアとかシリンダーなどが増えてる。結界とか作れそうで夢が拡がりますな。
んじゃ取り敢えず素材をアナライズ変数にした無難な直方体を作る魔術礎を組んでみますか。
アナライズ変数と直方体の魔術礎を元に魔術式を生成
【規定値の変更をしますか?】
おお、そうかこの機能もさっき追加されてたんだったけ。
直方体の規定値はどうなっているんだろ?
密度、幅、高さ、奥行、持続時間って感じか。
【1.00×100.00×200.00×5.00×100.00】
幅と高さは人が隠れるには十分だな。問題は奥行だな奥行は10.00に変更。土の密度ってどんなもんよ。その場の土の密度だったら耕した畑とか柔らかいところだと不安すぎるな。
ヘルプにないかと調べてみたらアナライズ変数で取り込んだ物だけにした密度1らしい。アナライズ変数には土中の空気とかは含まれないのだろうか?
アナライズ変数の中身を見れないだろうか?
取り敢えず使ってみてから考えるか。
【魔術式が完成しました。魔術名称を決めてください】
おろ?こんなの前には無かったよな。クリエイトウォーターは勝手に名前付いてたし。
んー俺、ネーミングセンスないんだよな。ネットゲーでもよく皆に弄られてた記憶がある。
「マテリアルウォール」
これで良いや
【マテリアルウォールを魔術式一覧に登録しました】
ふむ、では早速起動
【アナライズ変数を選択してください】
すると、ウインドウが開いて【アナライズ結果がありません。アナライズをしますか】と出ている。履歴から可能ってことなのか?それなら片っ端からアナライズしとけば後々色々使えるな。
承認すると【目標を選択してください】
あの黒い壁がなんなのか知りたいな、と、あの光を反射しない壁をアナライズしてみる。
【オメガブラック 光吸収率99.998%の合成石材 製造方法不明 硬度6500】
光吸収率すげー、こりゃ闇の空間と見間違うはずだわ。
俺の居た世界でも塗料だけど99.965%が最高だったはず。
そのレベルでも肉眼や画像処理でも対象に凹凸があっても凹凸があることを判断出来ないと検証結果が出ていたからな。
硬度6500は高いのか低いのか。
桁数的にはビッカース硬度ぽいけど、ダイアモンドが7000だったはずだからもしそうなら相当硬いぞ。まあこの世界での尺度だろうから正しいかは分からんけど。
んじゃこれで発動
発動と同時にMPゲージが一気にすべて無くなるのを確認。
げは、これじゃ戦闘で暫く何も出来なくなるじゃないか。
1秒毎には回復してるけどいざというときに魔術が使えないのはまずい。
目の前には真っ黒な壁というか闇が出現している。
周りをぐるぐるしながら観察しているけど闇の壁のある部分と通常の空間を同時に見ていると遠近感がおかしくなるので言い知れぬ不安が心の底から沸き上がってくる。
【発動した魔術式を登録しますか】
なにぃ変数式で発動したものを固定式として登録できるのか。
オメガブラックウォールで登録しとく。
【オメガブラックウォールを魔術式一覧に登録しました】
しかしあのMP消費量は実用的ではないな。素材のせいかな?試しに別の素材として床材でもう一度。
おっとその前に床をアナライズ。
【クリアタイト 透明感の高い石材 硬度と加工難度の両立を目指した合成石材 硬度2200】
うーん、分からんけど発動
真っ白な壁が出現する。
減ったMPは130。これならなんとか実用に耐える、か。
【クリアタイトウォールを魔術式一覧に登録しました】
クリエイトウォーターで一息着く。
おっと水をアナライズしとこ。
液体での壁はどうなるのか実験しとかないと作った瞬間にベシャじゃ意味ないしな。
結果からいうと直方体の壁として立ち続けました。
液体でも行けることが判明したので壁魔法はこれで良いや。
何かで囲っているということなんだよな。それが魔力?
【アクアウォールを魔術式一覧に登録しました】
あ、火の壁は機能も別個に作っておくか。
炎の壁は規定値のサイズを【200.00×200.00×100.00】に変更して熱量を調整できるように別の魔術式を組み直して作る。これだけの大きさがあれば迂闊に飛び込こんで来ようとは思うまい。
【フレイムウォールを魔術式一覧に登録しました】
ついでに
【マテリアルドームを魔術式一覧に登録しました】
【マテリアルキューブを魔術式一覧に登録しました】
【フレイムフィールドを魔術式一覧に登録しました】
さてこうなると出した壁を消したいとかもあるよなきっと。自分の作った結界が檻になっちゃ意味がないからな。
魔術を打ち消す魔術がやっぱり必要。自分があの炎に包まれたまま燃え尽きるようなことにはなりたくはない。
ヘルプで消去とかそれに類似するものがないか検索。
ゲームだとディスペルとかだよな。解毒はアンチドーテとかか。
魔術の解除方法のヘルプがあった。
対象の魔術が術者本人の場合は、術者が設定したキャンセルワードを詠唱することで解除することができます。
対象の魔術が属性魔法の場合、対象の魔術を同等か上回る魔力の逆属性の魔術を重複させることで打ち消すことができます。
属性魔術ではない場合、対象の魔術を超える魔力により対象魔術式へ干渉し魔力を拡散させることで効果を打ち消すことができます。
魔力は対象の魔術をアナライズすることで確認できますが、隠蔽や偽装されている場合もあります。
【魔術式の規定値にキャンセルワードを設定出来るようになりました】
【スキル:魔力感知 が解放されました】
【魔術礎:魔力制御 が解放されました】
おお、これで自分の魔術はキーワードで簡単に消せるようになった。でも今さっき作った魔術は作り直ししないとな。
【既存の魔術式の規定値にキャンセルワードの追加を行いますか?】
Yes!
良かったやり直さなくても済んだ。
まあそれほど数はないから作り直してもなんとかなるけど、魔術式から魔術礎の組み合わせが解れば楽なんだけどな(チラッチラッ)
【スキル:魔術式解析 が解放されました】
よし!
【魔力検知 魔力制御 魔術式解析 が解放されたことにより アナライズ での 魔術式解析 が可能となりました】
おお、なにかなこれは?
もしかすると魔術をアナライズして解析すれば自分のモノに出来るとかいうチート勇者様のようなことが出来るのでは?
相手が発動しようとしている魔術を解析して相殺魔術を発動したり、発動前に邪魔したりとかも可能になるのかと再びワクワク感が沸き上がってきたよ。
ついでに追加された魔力制御の魔術礎はどんな感じで使えるのかヘルプを調べる。
魔力制御とは魔力の流れをどのような法則で制御しているのかを理解することが出来ます。アナライズにて魔術式解析を行うことで魔術礎として取り出すことが可能です。
魔術の制御方式を調べられるということか。
魔力感知と併用すれば自分が思い付かなかった方法とかを手に入れられるかもしれないな。
何気なく魔力感知を発動してみると、さきほど作り出した壁を見てみると魔力が巡り直方体を象作っているのが分かる。
部屋全体にもうっすらと魔力で包まれている。四隅の柱が引っ込んだところはより強めの流れが見える。
【魔術礎:周辺魔素 を解放しました】
【魔術礎:魔素吸収 を解放しました】
ん?アナライズの結果か?
この部屋の魔力の流れはどこかに魔力源があるのではなく周囲に偏在する魔素を源にしているってことかな。
これを利用すれば自分の魔力の消費を抑えて周辺にある魔素で代用できるのかもしれない。
「疲れた」と呟く眠気が襲ってくる。こんなところでと思うが、意識が遠退いていった。
やっと脱出路が出来たと思ったらそこから出てきたのは、醜い爺のような顔の頭と獅子の体にサソリの尾を持つ化け物
マンティコア、名前の由来は人を喰らうものだったか?
マンティコアは俺を品定めするかのように俺の周りを円を描きながら悠然と歩く。
「初戦がマンティコアとかどう見ても負け確定イベントだろ」
こっちは丸腰、一撃喰らえば死亡確定
しかも毒の尻尾を喰らえばかすり傷でも死に至る。
ヤバいヤバいヤバい
どうする?誘き寄せて隙を見て出口に直行するか?
いやいや出口の先が安全とは決まってない。この展開だと寧ろその先が本番と考える方が確率的に高い。
ともかく奴を倒すことを考えるべきだ。武器はマルチキャスト1とマルチロックと各魔術
マルチロックで頭と尻尾の先をロックする。
【マルチキャストクイックメイクのショートカットを作成しました】
マルチキャスト内の魔術を調整
アイス 範囲+5、持続時間+10
ライト 明るさ+10、持続時間-10
ダーク 持続時間+10
ファイア 熱量+10、効果範囲+10、持続時間+3
設定完了。即発動!迷ってる暇はない!
「先手必勝!!」
一気にMPゲージが1/3以下になる。
と同時に踏ん張っていた後ろ足を踏み切るマンティコアが飛びかかってきた。
不味い!
慌てて下がろうとして足が縺れて体勢を崩す。
不味い不味い不味い!頭の中が真っ白になり全身の毛穴から嫌な汗が吹き上がり一気に喉が渇き唇がかさつくのがわかる。
頭部を闇と炎に包まれた巨体が目の前に迫る。
左肩を猛烈な衝撃と熱が襲い掛かりそのまま背中を床に叩き付けられる。
「がはっ」
背面を強かに打ち付け横隔膜が痙攣したのか息を吸うことも吐くことも儘ならない。げはぐはと苦悶の吐息が漏れるが息が吸えない。苦しい。このまま死ぬのか。くそっ!こんなところで何もしないまま俺は死ぬのか。
激しい熱が顔に襲い掛かり我に返ると炎に包まれたマンティコアが頭の炎を振り払おうと頭を必死に振り回して前肢で顔を引っ掻くように抑え悶え転げまわっている。
大きな前足の爪が俺の顔の真横で振り回されて左肩に何度か刺さる。
どうやら飛び掛かると同時に俺の魔術が発動していたようだ。
尻尾の先をアイスで囲み毒針を封印され、直径60cmの氷塊が纏わり付いたためかバランスを崩していたので体当たりの直撃を受けずに済んだようだ。
マンティコアの鼻先で強烈な光が炸裂して眩惑させすぐに顔を闇が覆い、止めに高火力広範囲にしたファイアがマンティコアの頭を包み込み肉を焦がしたのだろう。
辺り一面に肉と髪の毛が燃える臭いが立ち込めて行く。
マンティコアは突然閃光で視界を塞がれたと思えば暗闇に陥り混乱の最中、訳も分からず顔を襲う高熱に混乱しタイミング悪く息を吸い込んでしまい喉から肺まで焼いたのだろう声もあげずに地を這いずり転げ回って蠢いている。
俺の真横で両前肢で顔を掻きむしりながら体を大きく捩り、ついに我慢きれなかったのか両前肢で顔を押さえながら竿立ちになった後、ドドウと大きな音を立て倒れ込むと暫く全身を痙攣させそのまま動かなくなった。
左肩を押さえながらマンティコアの傍から転がりでて立ち上がり身構えながら後退りしつつ様子を伺う。
「やった・・のか?って、このセリフはフラグだったな」
徐々に回復してきているMPの残量を確認するとゲージは半分以上まで回復している。
「フラグへし折る!ファイア熱量+40、効果範囲+10、持続時間+10、頭部へファイア!!」
MPゲージがすべて無くなる。MP切れで特に何があるわけでもないようだ。
魔力切れだと気絶するとか目眩や吐き気の設定はありがちだけど大丈夫みたいだ。
その後ファイアが燃え尽きるまで眺めているとマンティコアの頭部は骨までも焼き尽くし炭化し崩れ去った。
「いつつ」左肩の傷が疼く。
これでもう大丈夫だろうと、やっと緊張が弛緩したためか痛みが襲ってくる。
肩を見るといくつか血を流す穴が空いている。
よろよろと立ち上がりふらふらと出口の脇まで移動して無造作にどんと腰を降ろす。
クリエイトウォーターで作った水で喉を潤し「ぷはぁ」と大きく息を吐く。
ついでに肩の傷も洗い流す。破傷風になったら不味いからな。
【レベルが上がりました】
お、レベルなんてあるのか。半ば放心していたところにメッセージが浮かぶ。
そういえばメニューにステータスが追加されてたけど見てなかったな。
ステータスは、と思うとメニューから操作しなくてもステータスウインドウが開く。
カトー・ダイチ
HP 66/50(+11)
MP 230/120(+110)
魔導の瞳(Ver.23.14)
Lv 11
HP +11
MP +110
至ってシンプル、てか項目少な!HPとMPしかないじゃないですか。これなら常時(メイン画面)表示されてるゲージと変わらんですよ。
それから魔導の瞳、バージョン23.14って・・・まあ考えたらゲーム仕立てだもんな。
アップグレードやアップデートがあってもおかしくはないか。
しかも本質は兵器なのだから不具合修正や有用な機能を追加しないことはデメリットでしかないはずなので当然か。
瞳Lv11でHPはレベル、MPがレベル×10となってそれが俺に合算されるのか。
MPは瞳が魔力を制御しているからと理屈は予想できるけど、HPも上がるってことはどういう理屈なんだ?
魔力が身体を巡ることで身体の耐久性を上げているてな感じの理屈か?
それにしても増えたのは微々たるものだが。
俺、自分の紙耐久度に自重気味の失笑が漏れる。肉体はただの一般人だしな。
なにより俺じゃなく魔導の瞳のレベルが上がるというのがゲームではないことを如実に表してるよな。
そりゃそうだよな。
ゲーム仕立てにはなってるけど装着者本人は単なる人間でゲームの中のような存在じゃあない。
それが戦闘終了と同時に突然どうにかなったらそれこそ魔物というか化け物だな。
戦闘終了直後に突然マッチョになる女勇者様とか間近で見たらきっとドン引きですよ。
まあともかくこれで魔法を使える量も増えたということは手数が増えたということだ。
これ、経験値とかあるのか?あるなら魔物を倒しまくれば無双もできるかもな。
なんて浮かれたこと考えてると脳裏に「呼んだ?」とフレイム・ソフトウェアのロゴが浮かび上がる。
そうだこれはゲームじゃないんだよ。気を付けろ!初見殺しが当たり前と思っていないと呆気なく死ぬ世界なのだ。
「そうだよ。今回はなんとかかすり傷程度で勝てた。が、今回は偶々先制初撃で倒せたから助かっただけなんだよ。つまり逆に同じ事をされたら手も足も出ず俺が消し炭になってたということになる。」
自重気味の発言が出来るのも気持ちが落ち着いてきたことで現状を振り返る余裕も出てきたのだ。
そう運が良かった。その一言だ。
もし相討ちでなく一方的に向こうの先制を許していたら、もし魔術の発動が遅れて体当たりをまともに受けそのまま抑え込まれ燃えさかった頭で噛みつかれていたら、もし相手が複数だったなら、と考えれば考えるほど今の状況は楽観視できない。
「攻撃だけじゃダメだな。防御手段を手に入れないと一撃死の危険が付きまとうんだよな」
この先、何が待ち構えているのか分からない。なにせチートアイテム貰っただけで俺の身体はただの一般人。簡単に死ぬ。怪我の痛みで簡単に動けなくなる。
この部屋を出る前に出来るだけ魔術で手段を作り、生き残る可能性を少しでも増やしておかないとこのチュートリアルであっさり死ぬということだけは紛れもない真実であろう。
「備えあれば憂いなしだよな。さっきも謎解きする前に戦闘を想定した魔法を先に作っておくかおくべきだったんだ。フレイム・ソフトウェアからの教訓を生かさなければ、この先生きのこることはできないんだ」
そう思いながら魔術作成のウインドウを開こうと思うと直接開いた。
「お、意識するだけで直接作成画面に行けるようになった」
今まではメニューを開き魔術作成を選択する必要があったがその手間が無くなっていた。
【魔術作成のショートカットを作成しました】
なるほど、直接開きたいウインドウを意識すればいいのか。
【魔術式一覧のショートカットを作成しました】
こちらも直接開けた。
それからどんな魔術が必要か思案していく。
まず防御だけど盾代わりの物が欲しい。
今回みたいに隠れる場所も何もないところでは自分が動いて攻撃をかわすしかない。一撃程度ならなんとかなるかもしれないが、そのままラッシュで押し込まれたら確実に耐えられないだろう。
盾になるものとはなんだ?
魔法モノでよくあるのは、土の壁、水の壁、矢を逸らす風の障壁、自動で身を守ってくれる魔力の盾、身体を覆うバリアみたいな魔法の鎧etc.etc...
土の壁は動かせないけど応用が利きそうで使い勝手は良さそう。
水の壁は炎を避けるのとか矢くらいなら勢いを殺して無害化してくれそうだ。
炎の壁も侵入を妨げるバリケード代わりに使い勝手は良いし攻めるのにも使えるので使い途は色々と考えられる。
風の障壁、矢避けが主だけど他に使い途が思い浮かばないな。風だから大気操作だけどどうやって大気に動きを付けるかが課題だがひとまず保留。
それと今のマンティコアでのファイアでわかったことだけど魔法解除出来ないとファイア程度でも余裕で焼き殺されるんだよな。
魔法解除は必須だ。あんなの自分にやられたら堪ったもんじゃない。息を吸い込んだら地獄の苦しみで窒息するか燃え尽きるまでのたうち回ることになる。考えただけでも恐ろしい。
これもどうすれば良いのか検討も付かないので保留。
次、魔力の盾。魔力だけで物理防御をするにはどうするのか、しかも自動でこちらへの攻撃を判断して防御行動とか複雑だ。AIみたいな魔術礎があれば比較的簡単に作れそうではあるが。。。これも保留
魔力バリアも同じで魔力で物理防御するにしても身体の動きを阻害しないで身体を包むとかどうやるのか見当も付かない。
この辺は俺の多少の科学知識程度じゃ役に立たんですよ。神様、なんで俺選んだんですかね。と愚痴を溢す。
ともかくまずは(俺的に)分かりやすい水の壁を作ってみようと思う。
魔術礎を順番に見ていく。
水はあるな。。。なんだよ!水素とか酸素から作らなくてもその物があるじゃん。分子だからか?
分子があるならそっちからの方が断然楽じゃん。
高分子とか複雑な分子があればかなりのことをできるようになる(はず)。
毒や薬なんかも作れるだろう。そこでふと疑問が浮かぶ。
「回復魔法ってどんなもんなんだ?
俺の居た世界ではあんな高速に治癒する技術なんて存在しなかったからイメージ出来ないぞ。再生医療とかを速度を早めるとかになるのか?」
「解毒の方はなんとなくだが毒をアナライズしてその血清を作り出すことで出来そう。若しくは毒の成分を体内から消去するイメージか。消去の礎とかがあればこの辺は一気に解決できそうだ。魔法解除もそれで行けそうな気がしてきた。」
おっと脱線した。
話を戻して土に拘らずに鉄とかなら原子であるしそっちの方が楽か。
じゃあ壁とか板とか直方体とかの形を決める魔術礎はと・・・形状を表す魔術礎が無数にある。中には剣や斧とかの武器や盾、鎧の物なんてのもあるな。
無難に直方体を選択する。まさに壁!
規定値って指定できるのかな。
【魔術式の規定値を変更出来るようになりました】
お、機能が追加された。もしかしたら表示されてないだけで隠された機能とかたくさん有りそう。
ダメ元で、規定値の追加削除あるかな。
【魔術式の規定値項目のカスタマイズが出来るようになりました】
おお、試してみるもんだな。
じゃあ倍率なんかを変数にして汎用性を持たせられるとかも可能かな。
【魔術式に変数を組み込むことが出来るようになりました】
【魔術礎に変数が追加されました】
おお、いいね。これで大分複雑なことが出来るだろう。
んー変数の中身を原子や分子に出来るのかな。そこにある土の成分を変数に取り込めばそこの土を変形させることが出来そうだ。
魔力を置換して素材を生成するのは消費が激しそうだしきっと効率が悪いと思う。
試しにこの床の石の成分とか調べられないかな。
【スキル:アナライズが解放されました】
【魔術礎にアナライズ変数が追加されました】
予想はしてたけど、解析ってかなり重要な機能じゃないですか。それをあっさりと手に入れてしまった。
そういえば神様が言ってたけど、魔導の瞳は過去の魔王討伐の際に使われた量産兵器なんだよな。
その時点だと科学レベルもかなり高かったようだから解析技術も当然あっただろうし解析結果の情報データベース化もされてるんだろう。
そのデータベースが欲しいなー(チラッチラッ)
【データベースの一部が解放されました】
フフフフ言ってみるもんだね。しかし一部で全部じゃないのか。
分子がかなり増えているし形状にもドームとかスクウェアとかキューブとかスフィアとかシリンダーなどが増えてる。結界とか作れそうで夢が拡がりますな。
んじゃ取り敢えず素材をアナライズ変数にした無難な直方体を作る魔術礎を組んでみますか。
アナライズ変数と直方体の魔術礎を元に魔術式を生成
【規定値の変更をしますか?】
おお、そうかこの機能もさっき追加されてたんだったけ。
直方体の規定値はどうなっているんだろ?
密度、幅、高さ、奥行、持続時間って感じか。
【1.00×100.00×200.00×5.00×100.00】
幅と高さは人が隠れるには十分だな。問題は奥行だな奥行は10.00に変更。土の密度ってどんなもんよ。その場の土の密度だったら耕した畑とか柔らかいところだと不安すぎるな。
ヘルプにないかと調べてみたらアナライズ変数で取り込んだ物だけにした密度1らしい。アナライズ変数には土中の空気とかは含まれないのだろうか?
アナライズ変数の中身を見れないだろうか?
取り敢えず使ってみてから考えるか。
【魔術式が完成しました。魔術名称を決めてください】
おろ?こんなの前には無かったよな。クリエイトウォーターは勝手に名前付いてたし。
んー俺、ネーミングセンスないんだよな。ネットゲーでもよく皆に弄られてた記憶がある。
「マテリアルウォール」
これで良いや
【マテリアルウォールを魔術式一覧に登録しました】
ふむ、では早速起動
【アナライズ変数を選択してください】
すると、ウインドウが開いて【アナライズ結果がありません。アナライズをしますか】と出ている。履歴から可能ってことなのか?それなら片っ端からアナライズしとけば後々色々使えるな。
承認すると【目標を選択してください】
あの黒い壁がなんなのか知りたいな、と、あの光を反射しない壁をアナライズしてみる。
【オメガブラック 光吸収率99.998%の合成石材 製造方法不明 硬度6500】
光吸収率すげー、こりゃ闇の空間と見間違うはずだわ。
俺の居た世界でも塗料だけど99.965%が最高だったはず。
そのレベルでも肉眼や画像処理でも対象に凹凸があっても凹凸があることを判断出来ないと検証結果が出ていたからな。
硬度6500は高いのか低いのか。
桁数的にはビッカース硬度ぽいけど、ダイアモンドが7000だったはずだからもしそうなら相当硬いぞ。まあこの世界での尺度だろうから正しいかは分からんけど。
んじゃこれで発動
発動と同時にMPゲージが一気にすべて無くなるのを確認。
げは、これじゃ戦闘で暫く何も出来なくなるじゃないか。
1秒毎には回復してるけどいざというときに魔術が使えないのはまずい。
目の前には真っ黒な壁というか闇が出現している。
周りをぐるぐるしながら観察しているけど闇の壁のある部分と通常の空間を同時に見ていると遠近感がおかしくなるので言い知れぬ不安が心の底から沸き上がってくる。
【発動した魔術式を登録しますか】
なにぃ変数式で発動したものを固定式として登録できるのか。
オメガブラックウォールで登録しとく。
【オメガブラックウォールを魔術式一覧に登録しました】
しかしあのMP消費量は実用的ではないな。素材のせいかな?試しに別の素材として床材でもう一度。
おっとその前に床をアナライズ。
【クリアタイト 透明感の高い石材 硬度と加工難度の両立を目指した合成石材 硬度2200】
うーん、分からんけど発動
真っ白な壁が出現する。
減ったMPは130。これならなんとか実用に耐える、か。
【クリアタイトウォールを魔術式一覧に登録しました】
クリエイトウォーターで一息着く。
おっと水をアナライズしとこ。
液体での壁はどうなるのか実験しとかないと作った瞬間にベシャじゃ意味ないしな。
結果からいうと直方体の壁として立ち続けました。
液体でも行けることが判明したので壁魔法はこれで良いや。
何かで囲っているということなんだよな。それが魔力?
【アクアウォールを魔術式一覧に登録しました】
あ、火の壁は機能も別個に作っておくか。
炎の壁は規定値のサイズを【200.00×200.00×100.00】に変更して熱量を調整できるように別の魔術式を組み直して作る。これだけの大きさがあれば迂闊に飛び込こんで来ようとは思うまい。
【フレイムウォールを魔術式一覧に登録しました】
ついでに
【マテリアルドームを魔術式一覧に登録しました】
【マテリアルキューブを魔術式一覧に登録しました】
【フレイムフィールドを魔術式一覧に登録しました】
さてこうなると出した壁を消したいとかもあるよなきっと。自分の作った結界が檻になっちゃ意味がないからな。
魔術を打ち消す魔術がやっぱり必要。自分があの炎に包まれたまま燃え尽きるようなことにはなりたくはない。
ヘルプで消去とかそれに類似するものがないか検索。
ゲームだとディスペルとかだよな。解毒はアンチドーテとかか。
魔術の解除方法のヘルプがあった。
対象の魔術が術者本人の場合は、術者が設定したキャンセルワードを詠唱することで解除することができます。
対象の魔術が属性魔法の場合、対象の魔術を同等か上回る魔力の逆属性の魔術を重複させることで打ち消すことができます。
属性魔術ではない場合、対象の魔術を超える魔力により対象魔術式へ干渉し魔力を拡散させることで効果を打ち消すことができます。
魔力は対象の魔術をアナライズすることで確認できますが、隠蔽や偽装されている場合もあります。
【魔術式の規定値にキャンセルワードを設定出来るようになりました】
【スキル:魔力感知 が解放されました】
【魔術礎:魔力制御 が解放されました】
おお、これで自分の魔術はキーワードで簡単に消せるようになった。でも今さっき作った魔術は作り直ししないとな。
【既存の魔術式の規定値にキャンセルワードの追加を行いますか?】
Yes!
良かったやり直さなくても済んだ。
まあそれほど数はないから作り直してもなんとかなるけど、魔術式から魔術礎の組み合わせが解れば楽なんだけどな(チラッチラッ)
【スキル:魔術式解析 が解放されました】
よし!
【魔力検知 魔力制御 魔術式解析 が解放されたことにより アナライズ での 魔術式解析 が可能となりました】
おお、なにかなこれは?
もしかすると魔術をアナライズして解析すれば自分のモノに出来るとかいうチート勇者様のようなことが出来るのでは?
相手が発動しようとしている魔術を解析して相殺魔術を発動したり、発動前に邪魔したりとかも可能になるのかと再びワクワク感が沸き上がってきたよ。
ついでに追加された魔力制御の魔術礎はどんな感じで使えるのかヘルプを調べる。
魔力制御とは魔力の流れをどのような法則で制御しているのかを理解することが出来ます。アナライズにて魔術式解析を行うことで魔術礎として取り出すことが可能です。
魔術の制御方式を調べられるということか。
魔力感知と併用すれば自分が思い付かなかった方法とかを手に入れられるかもしれないな。
何気なく魔力感知を発動してみると、さきほど作り出した壁を見てみると魔力が巡り直方体を象作っているのが分かる。
部屋全体にもうっすらと魔力で包まれている。四隅の柱が引っ込んだところはより強めの流れが見える。
【魔術礎:周辺魔素 を解放しました】
【魔術礎:魔素吸収 を解放しました】
ん?アナライズの結果か?
この部屋の魔力の流れはどこかに魔力源があるのではなく周囲に偏在する魔素を源にしているってことかな。
これを利用すれば自分の魔力の消費を抑えて周辺にある魔素で代用できるのかもしれない。
「疲れた」と呟く眠気が襲ってくる。こんなところでと思うが、意識が遠退いていった。
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